堕天使の大冒険   作:VerT-EX

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4話[堕天使のたたかう!]

日が微妙に差す程の時間に目が覚めた。外は紫っぽい色の空で、明け方前だということが分かる。

先生やポップはまだぐっすり寝ており、別の部屋からの物音もほとんど聞こえない。

 

とは言っても、寝直すというような眠気はない。寝起きのぼんやり感はあるが。

 

仕方がない。散歩がてら浜辺にでも行こう。

 

念の為、『浜辺で散歩してます』の書置きを残し、女神の果実が入ったふくろを掴むと、2人を起こさないように静かに部屋を出た。

 

 

───────

 

 

ザザーン、ザザーンと波の音。誰もいない浜辺は、なぜだかなんとなく寒く感じる。

 

少し遠くの方にしびれくらげっぽい魔物が浮かんでいるのが見えるくらいで、あとはただただ水平線だ。

 

 

「どうするっかなあ……」

 

つい持ってきてしまった女神の果実のふくろを見つつ、呟いた。「どうするか」。これから、自分はどうするか。今のうちにある程度考えるべきだろう。

 

アバン先生達について行くことは決定事項だが、おそらく自分という存在によって『本編』は違うものになる可能性が高い。いやまあ、あまり干渉しなければ変わらない気もするが……そういう訳にはいかない。見て見ぬふり、知って知らぬフリをしようと言うのは大変なのだ。

 

関わってしまうなら、どう動くか?出来ることなら、何とかしたいことは多い。

 

 

例えば、バランの死。例えば、ヒュンケルの大怪我。例えば…………ダイの行方不明。

 

この先を知っている以上、「何があればどうにか出来る」ということはある程度分かっている。ただ、それが通用するかは別だ。

 

 

だが、俺には切り札がある。一か八かの賭けになるのは間違いないが───『女神の果実』は、本当に賭けになるだろうし使い所も難しいが、正しくJOKERとなり得るだろう。

 

 

しかし、それでも避けては通れないイベントはある。ダイ達が強くなるために必須すぎるイベントだ。

 

まず、クロコダイン戦は俺は絶対に関わらない方がいいだろう。ポップの為と言うやつだ。ヒュンケル戦は……状況次第。だが、これもあまり関われない。

 

直近で最も避けてはいけないものなら──アバン先生のメガンテ。あれだけは、絶対になくてはならない。そして、俺はその場面に立ち会ってはいけない。

 

ならばデルムリン島まで俺が行かない方がいい気もするが、ダイと顔合わせだけはしておきたい。

 

……と、まあ考えるだけ考えたものの、最適解と感情は別物だ。実行するにしても、自分のメンタル管理もしなければ。鬱りそう。

 

 

朝日が昇ってきた。そろそろ宿に戻るべきか……と思った瞬間、風の音と、耳障りな、蛇のような威嚇音が聞こえた。

 

『シャァァァ!』『キシャァァァァ……』

 

「オーシャンナーガ……と、その後ろにレッドサイクロンか!」

 

持ってきていたきりんのおうぎを開き、戦闘態勢に入る。

 

オーシャンナーガとレッドサイクロン。どちらもDQ9の海に登場するモンスターだ。攻撃弱点は、ヒャド系。だが生憎、俺の得意なものはバギ系だ。効きにくかった気がする。

 

ところで、ダイの大冒険の世界にオーシャンナーガは存在しないはずだ。いや、登場しなかっただけという線もあるが、レッドサイクロンなんかは4からの登場なので、魔界のモンスター扱いのはず。そんな魔物が、どうしてこんなところに?

 

とか考えてる場合ではなく、バギマと物理攻撃が飛んできた。紙一重で躱す。

が、その回避先にもう一体のオーシャンナーガのブレスが来た。もうどくの息、だ。

 

息をとめつつバックステップで距離をとる事でなんとかした。スーパーリングがあるため、そこまで怖くはないが。

 

とりあえず反撃と、こちらへ向かってきていたオーシャンナーガに攻撃を加える。いい感じに目元に入ったのか、オーシャンナーガAは後退した。が、状況はそんなに変わらない。

 

すかさず突っ込んできたオーシャンナーガBを回避すると、視界の端でレッドサイクロンがちからをためているのが見えた。ヤバい。

 

「バギクロス!」

 

オーシャンナーガAが復活し、Bと共にもうどくの息を吐いて来たため、何とかするためにバギクロスを放つ。纏めてダメージを与えられた様子だが、無力化は出来ていない。

 

この隙に逃げられるかと思ったものの、レッドサイクロンにまわりこまれてしまった。

 

 

「……どうしたものか」

 

挟み撃ちにされている。バギクロスはそこまで効かない。こうなると、使えるかはさておいてやってみた方がいいかもしれない。

 

そう思い、一息吐くと同時に、最初に飛びかかってきたのはレッドサイクロンだ。いつの間にかテンションもなかなか溜まっている様子なので、くらえばひとたまりもないだろう。

 

だから、『眠らせる』に限る。この三体のラリホー耐性はほとんどない。

 

タイミングを合わせて、レッドサイクロンに視線を合わせる。

 

『あやしいひとみ』に襲われたレッドサイクロンは、突然その場所で眠りに落ちてしまう。

 

よおおおし、使えた!これならなんとかなる!

 

そのままの勢いで、オーシャンナーガ達にもあやしいひとみを掛けて眠らせる。

 

 

「戦闘終了っと……って、コイツら、どうしよう」

 

ぐっすり眠っているオーシャンナーガとレッドサイクロンを見て、どうしようか悩む。

 

 

……と、悩んでいると、声がかかった。

 

「おーい、エルー!……ってててコイツらは?!」

 

「ポップか!あー、襲われたから……?」

 

宿の方から、俺を呼びにポップが来た。

 

「襲われたって……先生からも聞いた事ねぇぞ?こんなヤツら」

 

「眠らせてるだけだから……とりあえず、先生のところに行こ」

 

「その必要はありませんよ」

 

「おっっわ先生?!」

 

先生も来てた。びっくり。

先生はまじまじとオーシャンナーガ達を観察しはじめた。

 

 

「ふーむ……ポップ、エルくん。先に宿で朝ごはん食べちゃっててください」

 

「え?わ、わかりました」

 

 

とりあえず、ポップと共に宿の方へと戻った。




オーシャンナーガと同種のウイングスネークに何度もやられた思い出があります。ウイングスネーク許さない
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