堕天使の大冒険   作:VerT-EX

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6話[堕天使は上陸した!]

「やくそう2ダース」

 

「買った」

 

「せいすい3つ」

 

「買った。オマケでやくそうもらった」

 

「砥石と包帯」

 

「買った。軟膏とセールのやつ」

 

「よっし、これで全部だな!」

 

買ったものを確認し、残ったゴールドを半分に分ける。

後でこの場で落ち合うことにして、一旦それぞれ用のある店の方に向かう。

 

 

キメラの翼はこの世界ではあまり流通してないらしく、見つけたのは裏路地の怪しげな商店だ。

恰幅の良い、フードを深く被った男が店主らしく、大きな水晶玉が目印。

 

「おやおや、いらっしゃいませぇ……何をお探しで?」

 

「キメラの翼を」

 

「はぁいはい!ございますよ、ええ、ございます!一枚500Gでございますが如何致しましょう?」

 

たっっっっっっか!いや、流通的にかなり高いのは覚悟していたが、2枚買ったら手持ちが消えるぞこれ。

 

まあでも、持ち物を売るわけにもいかないし、一枚だけでもなぁ……仕方ない。

 

「2枚貰おう。足りるか?」

 

「ひぃふぅみぃ……はぁい!十分でございます!使い方は……」

 

「分かっているからいい。感謝する」

 

キメラの翼を受け取って袋に突っ込むと、足早にそこから立ち去る。なんだかこう、モンスターズに出てきたあのコレクターみたいな雰囲気の店主だった。

 

 

と、路地を出たところで丁度先生達が見えた。合流し、そのまま港町の方へと向かうこととなった。

 

────

 

そして今。

 

「えっほ、えっほ、」

 

「んしょ、よいしょ……」

 

「2人とも、このまま面舵いっぱいですよー!」

 

小舟を漕いでいた。どうして……と思うだろうが聞いて欲しい。

 

パプニカ発ロモス行きの船に乗った自分達は、途中乗り込んできたマーマンを優しく吹っ飛ばすくらいのアクシデントはあれど、無事ロモスへと着いた。乗組員のホイミスライムが可愛いのは覚えておこう。

 

それでロモスに着いて、古道具屋を覗いてから1泊、船を借りてデルムリン島に行くことになった……のだが、生憎今ある船が手漕ぎの小舟しか無かったのだ。そのせいで、えっちらおっちら漕いでいくしかなかった。

 

まあ、たしか本編でも2人は小舟を漕いで行っていたし……間違ってないのか?

 

バギクロスでターボ出来れば楽なんだけどな……多分転覆しそうなんだよなぁ。

 

 

それに、空模様も島に近付くほど怪しくなってきている。確か、この時点でハドラーがよみがえって、不死騎と氷炎が動いていたはず。オーザムは申し訳ないが、リンガイア陥落までにはまだ時間がある。

 

 

 

「曇りすぎているような……」

 

「ですねぇ。大変なことになっているようですよ。ポップ、エルくん、急ぎなさい」

 

「「はい、先生」」

 

船を漕ぐ手を早める。キーコキーコとオールの音と共に進む。海流に乗れているのか、割かしスピードが出る。

 

近付けば、きめんどうし……ブラスが、ダイに島を出るように言っているのがかすかにきこえた。その後ろから、モンスターの大群が迫ろうとしている。

島はもう目前だ。

 

「急げっ、ダイ!」

 

「いやだっ!!」

 

 

砂浜に小舟が着く。

 

「――――じいちゃんやみんなを置いておれひとりだけ逃げるなんてできない!そんなの、勇者のすることじゃないよ!!」

 

「…ダイ……!!」

 

「その通り…いいことを言いますね君は……ダイ君!」

 

船から降りた先生が言う。ダイが「なんでおれの名前を?」を言っているが、先生はそれを軽く受け流しつつ、鞘に入った剣を軽く地面に突き立て構える。

 

「ほ~~~~~~っ!!チョ~~~~~~~~~~!」

 

そのまま真っ直ぐにモンスターの群れに先生は突っ込んでいく。流石に大丈夫か?!と思うのはダイも一緒だ。

 

「ああっ、あぶない!!」

 

 そう言うダイをチョイチョイとポップがつつく。

 

「心配すんなって。先生はすげえんだから……!」

 

「先生?」

 

漫画ではここでセリフが終わって、先生がちょええ言いながら大爆走するシーンなのだが、自分もいることを忘れられてはたまったもんじゃない。

 

「ああ、自分達の先生なんだ」

 

「先生……」

 

 と、そうこうしているうちに先生が戻ってきた。途中でピオラでも使ったのかと思うほどの速度だ。

 魔法陣の終端をつなぐと、一息。

 

「ふう。邪なる威力よ退け。むううううっ!!”マホカートル”」

 

 詠唱と共に、島が聖なる結界に包まれる。暴れていた魔物たちも正気に戻り、その様子にダイとブラスは驚く。

 

「あなたは一体……」

 

「これは申し遅れました。私……」

 

 先生が懐から巻物を取り出して広げる。

 

「こーゆー者でございます」

 

「「はあっ!?」」

 

うん、まあそりゃそんな反応になるよね。だってレイアウトが怪しい家庭教師派遣会社の広告みたいだもの。

 ちょくちょく思うけど、先生、若干普段のセンスがあれなのでは……?

 

「アバン・デ・ジュニアールⅢ世、勇者育成職業……ま、平たく言えば家庭教師ですな」

 

「「家庭教師ィ!?」」

 

「そう、正義を守り悪を砕く平和の使途!勇者、賢者、魔法使い……!!彼らを育て上げ超一流の戦士へと導くのが私の仕事なのですっ!!」

 

 先生の眼鏡がキラリと光る。ブラスがじゃっかん引き気味に「はーー~」というのは悪くない。勢いがすごいのだ。

 

「これは弟子のポップとエルくんです。現在それぞれ、魔法や武芸の修行中の身であります」

 

 ポップが照れ気味に軽く頭を下げるのを見て、自分も軽く会釈をする。

 そこから、先生は魔王が復活したことを伝え、ロモスやパプニカのことも伝え、ダイにどうするかを尋ねる。しばらく自分たちは黙る。

 

 

「――――おれを鍛えてください!そして本当の勇者になって……魔王を倒すっ!!」

 

「よろしいっ!では……この契約書にハンコを……!」

 

 契約書を取り出した先生。ズベっとコケるダイとブラス。その様子を自分とポップは「またか……」という感じで見ていた。

 

 

 と、そんなところに飛来してくる影が二つ……あれ、四つ見えるんだけど?

 

「ガーゴイルだっ!」

 

 

「ケケケー!人間だ!!人間がいたぞ!!」

 

「殺せ殺せ!!キイイイッ!」

 

「ケケッ、皆殺しだァ!!」

 

「ケァーケケー!」

 

 と、勢いよく飛んでくるものの、先行していた一匹が結界にぶつかり「グエッ」となる。なんだこりゃ!?と騒ぎ立てるガーゴイルたちを見ながら、先生。

 

「どうやら魔王の偵察隊のようですね。ポップ、エルくん、あいつらをやっつけちゃってください」

 

「ええーおれ達だけでですかぁ~」

 

「まあ、先生は破邪呪文使って疲れてるだろうし、仕方ないと思うな……自分もやるからさ」

 

「その通り、ベリーベリー疲れているのです」

 

「ちぇ~っ。ずりィな先生」

 

 先生に押されて結界の外に出る。すると、ポップは大声でガーゴイルに挑発をかける。自分も便乗するとしよう。

 

「おい、カラス野郎!おれ達が相手してやるからおりてこいっ!!」

 

「それとも、飛ばなきゃ子供二人をやれないとか、そんなわけないだろうな?」

 

 自分の年齢については突っ込まないでほしい。堕天使だし、かなり年くってはいるが、見た目だけなら若干年上にしか見えないし、せーふせーふ。

 

「こ、このガキがあっ!」

 

「笑わせてんじゃねーーー!」

 

「ケケケーー!」

 

 一匹はポップの方へ、二匹は自分の方へと来た。ポップは杖を構え、自分はきりんのおうぎを構える。

 

「”メラゾーマ”!!!」「”バギクロス”!」

 

「グワワっ?!」「「グアァァァァァ?!」」

 

 焼き鳥とブツ斬りの鳥肉が完成した。マズそう。

 

「き……貴様らァっ!」

 

「へっ、今度はおまえをヤキトリにしてやるぜっ!」

 

 煽るポップに向かって突っ込んでくるガーゴイル。その剣で切り裂こうとするように見えた……が、口からなんかもわんもわんした光線を吐いてきた。マホトーンだ……って待て待て、その軌道は自分も巻き添えにあばばばば

 

「あぐっ……あぐう!!」「もごもご……」

 

「ケケケッ……見たか!」

 

「あぐっ、やっやばい……!」

 

「もご……まきぞえもご……」

 

 「マホトーンが得意だと教えたでしょう?」という先生めがけ、「まとめて葬ってやる」と息巻くガーゴイルがくるが……剣は、ダイの持つパプニカのナイフによって受け止められた。

 

「魔王の手下めぇ……この島から出て行けぇっ!」

 

「ゲッ!!」

 

 ガーゴイルの腹に拳が決まる。それによってよろけたところに、剣戟……ナイフ戟?が始まる。

 いい感じに応戦していたが、ナイフが弾き飛ばされてしまう。

 

 「あぶない!」と飛び出そうとしたポップを先生が止め、ダイのほうへと「由緒正しき伝説の剣(古道具屋の10Gの剣)」を投げ渡す。

 

 

 弾き飛ばされたナイフの代わりに、ダイはその剣を使い……斬った。

 いや、一瞬だけは何事もなかったかのように見えた。しかし、一瞬ののち、ガーゴイルは背後の海もろとも割れたのだった。

 

 

「やった……やったぞおっ!」

『ピピィ~~~!』

 

 

「さっすが、先生の剣の威力(パワー)はすごいですねえ」

「う~む……」

 

 喜ぶダイと魔物たち、先生の由緒正しき伝説の剣(古道具屋の10Gの剣)をほめるポップ、「すごい逸材を見つけてしまった」といわんばかりの表情の先生。

 

 

 この状況を長く続けたいが、そうもいかない。ここから、タイムリミットが始まるのだ。

 そう思うと、なんだかいわれもない寂しさが心の片隅を撫でていったような気になった。




 一気に飛ばしました( ˘ω˘ )漫画を見つけて読みながらテンション上げて書いていました。たのしい
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