転生したら、嫁がドラゴンだったんだが。   作:FGO太郎

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訳あって一緒に暮らす、転生した坂本さんとお竜さん(ドラゴン)

ひょんなことから、温泉に行くことになりーーー!?

※坂本さんの同僚として沖田さんが出ます。


第4話「ドキドキの温泉旅行!〜前編〜」

僕の名前は坂本龍馬。

この東京で、しがないサラリーマンをしている。

 

今日は訳あって、東京を離れ遠出している訳でーーー。

 

「ーーーあったあった、ここだ」

渡されたチラシと建物を見比べる。

東京から少し離れたとはいえ、かなりの田舎だ。

 

「いやぁ。まさか、こんな山奥に旅館があるとはね」

「確かにお竜さんもびっくりだ」

「途中から、ナビに出ない道になってかなり不安だったよ」

「そうだな。このまま山の中でソーナンするかと思ったぞ」

「はは、流石にそれはないかなぁ...」

レンタカーから降りると、荷物を手にして玄関を開ける。

「こんな鉄の塊より、お竜さんの背に乗せてやるのに」

「人のままじゃそんなに早く飛べないでしょうが」

 

そうして、旅館の中に入った。

「へー。なんていうか、趣があるね...」

「リョーマ。それはつまり....ボロいってことか?」

「お竜さん、そういう言い方は良くないよ(小声)」

ヒソヒソ声で耳打ちするお竜さんを咎める。

そんなやりとりをしていると、女将がやって来た。

「いらっしゃいませ、二名でご予約の坂本様でしょうか?」

「あ、はい」

「まあまあ、ご夫婦で遠いところからようこそ」

「えっ」

夫婦と言われ、思わず声が裏返る。

「旦那様も奥様も、東京から長旅でお疲れでしょう?」

「は、はあ...そう見えますか?」

気まずくなり、ちらりとお龍さんの方を見る。

旅館が物珍しいのか、色々見て回っているようだった。

「ええ。美男美女でとってもお似合いで...まさか違いましたか?」

「いやぁ、あはは・・・」

笑って誤魔化すと、受付をした。

 

「さ、お部屋へご案内致します」

僕らの部屋は長い廊下を渡ってある、離れの部屋のようだった。

 

「いやぁ。自然がいっぱいで、のどかな所ですねぇ」

「リョーマ、それはつまりクソど田舎ってことか?」

「だからお竜さん、そういうこと言っちゃ駄目だって...ああ、すみませんね。彼女はちょっとばかり世間知らずでして...」

「いえいえ。まだお若い奥様ですものねぇ...」

「いや、その...」

「何かありましたら内線電話でどうぞ。ごゆっくり」

 

もしかしたら、あらぬ誤解をさせてしまったのだろうか。

しかし、赤の他人に今更説明するのも気恥ずかしい。

 

「ま、まあ...いろいろあったけど、無事に着いてよかったよ」

「結講広い部屋だな。福引きにしては良い部屋なんじゃないのか?」

「ああ。実は僕から、離れの部屋をお願いしたんだ」

福引きに自費を上乗せする形で、この部屋を取ったのだった。

そうでなければ、安月給では泊まれないような豪華な部屋だ。

「なんでわざわざそんなことしたんだ?」

「お竜さん、人間酔いしやすいだろう?せっかく旅行に来て、気分が悪くなったら困るからね」

「じゃあお竜さんの為にか?」

「まあ、そうだね」

「ふーん...」

お竜さんは、部屋の中をうろうろしながら様子を見ている。

「いやあ、本当に良い部屋だなぁ。今からアパートに帰るの、嫌になりそうだよ」

畳を堪能してゴロゴロしていると、お竜さんがこちらをジーっと見ている。

「ん?どうかしたかい?お竜さんも、ゴロゴロして良いんだよ?」

「な...なあ、リョーマ。お竜さん達...その...」

「どうかしたのかい?」

何か言いたそうなお竜さんを見る。

「その...」

「うん」

「....脱いだ上着、コートにかけとくからな。お茶も淹れてやる」

「え?ああ...ありがとう。そうだ、夕飯も豪華みたいだよ」

「そいつは楽しみだ。腹が減った甲斐があったな」

「はは、そうだね』

 

何故温泉に来たかと言えば、それは数日前のことーーー。

 

※

 

会社の帰りに、同僚沖田くんに買い物に付き合って貰った後のことだ。

 

「いやぁ、助かったよ。生憎僕は、こういうのはさっぱりだからね」

「坂本さんから貰ったら、女性ならなんでも嬉しいと思いますけどね」

「お竜さん、喜んでくれると良いんだけどなぁ」

そんなことを言いながら、駅前を歩いていた。

「で、坂本さん・・・本当に、何もしてないんですか?」

「何にもって?」

「だから、その、お竜さんと何もしてないんですか?」

いつになく、神妙な面持ちで訊いてくる。

「え?うん?してないよ。何にも・・・だって、当たり前じゃないか」

「裸で押しかけてきたのに?」

「うん。それは服を持ってなかったからだし」

「風邪引いて、添い寝したのに?」 

「だから、それはお竜さんが疲れてて仕方なくだって・・・」

いつものやり取りをしていると賑やかな声が聞こえてくる。

「坂本さん、坂本さん。ほら!福引きやってますよ!」

「ああ、さっき買い物で貰った券が使えるみたいだね。沖田くん、やる?」

「え、良いんですか?!」

「買い物に付き合って貰ったし、これくらい安いくらいだ」

「なら、遠慮なく!」

 

沖田くんは意気込んで引いたが、当たった商品は全てポケットティッシュだったようだ。

 

「沖田さん、一生の不覚。こんな筈では...」

「まあまあ、ティッシュってあれば助かるから良いじゃないか」

「ティッシュじゃ腹は満たされないんですよ...」

「あはは...あ、あと一枚あったよ?」

「え!?」

「最後に、引くかい?」

「どーせ、またティッシュなんで良いです・・・」

 

そう言って落ち込んでしまったので、最後の一枚は僕が引くことになった。

するとーーー。

 

「おめでとうございます!特賞の秘境の温泉宿のペア宿泊券です!」

カランカランと、軽快に当たりの鐘を鳴らされる。

「・・・いやぁ、当たったみたいだ」

「えええ!?坂本さん、運良過ぎですよぉ!たった一枚で!?」

「昔から、こういうのだけはよく当たるんだよね。なんでだろう?」

「ズルいですよ!沖田さんのこの大量のティッシュと替えて下さいよ!」

「え、良いよ?テッシュはいくらあっても困らないからね。はい、どうぞ」

そう言って渡そうとする。だがーーー。

「だ、ダメ!ダメですよ!」

「なんで?僕は行くあてもないし、ティッシュのが嬉しいよ」

「何言ってんですか!?お竜さんと、行って下さい!」

「へ?お竜さんと?」

「そう!お竜さんと!」

「温泉に?」

「温泉に!」

 

(いくら鈍い坂本さんでも...さすがに温泉宿に行けばなんらかのフラグが立ちますよね)

※沖田さんの心の声

 

「確かに、お竜さんとはまだ泊まりで出かけてないし」

「うんうん」

「良い骨休みになると思うよ。でも、本当に良いのかい?」

「それは坂本さんが引いたんだから、坂本さんが行くべきなんです!」

 

そういうわけで、僕らは温泉旅行に来ているのだった。

 

※

 

お風呂に入る準備をすると、露天風呂に向かった。

 

「リョーマと一緒に入れないのか?」

「だから、それはダメなんだって」

「お竜さんは、気にしないから良いだろ?」

「ダメだって。他にお客さんもいるし...ほら、風呂上がりにアイス食べようよ。ね?」

食べ物で言いくるめられ、お竜さんはしぶしぶ納得した。

「じゃあお竜さん、お風呂出たらこのあたりで待っててくれる?」

「ああ、わかった」

「暑かったら、飲み物でも飲んでてね」

 

そうして、女風呂に入る。

あったかい。すごくあったかい。

ぽかぽかぬくぬくする。気持ちいい。

 

風呂には他の人間はまだ居ないので、お竜さん専用みたいだ。

「リョーマ、お竜さんの為に...」

 

こんなところに連れてきてくれたのが、嬉しかった。

さっきも、女将に夫婦って言われて否定しなかった。

いつもだったら「そういうんじゃないです」とかなんとか、

秒で否定するのに。

 

もしかしたら、これは新婚旅行というやつなんじゃないか...?

いや、でもリョーマには何も言われてないしな。

 

間違いでも、リョーマと夫婦に間違われて嬉しかった。

どれくらい嬉しいかと言うと、誰もいない風呂を

ひとしきり泳ぐくらいには嬉しかったんだ。

 

そんなことをしていたら、お竜さんは体も頭がぼーっとしてしまった。

 

「なんか...あっついな」

 

リョーマもそろそろ風呂を出たかもしれない。

ふらふらする体で、戻ることにした。

 

※

 

露天風呂から出ると、コーヒー牛乳を飲んだ。

「いやあ、やっぱり風呂上がりにはこれだよね」

チェックインを早めにしたせいか、風呂は貸し切り状態だった。

お陰でのんびり入れたが、すこし物足りない。

旅行の醍醐味は、知らない人との何気ない会話だからだ。

 

そうして待っていると、女風呂の方からお竜さんが来た。

「リョーマ。すまん、遅くなった....」

「いいや、平気だよって...大丈夫?お竜さん?顔、真っ赤だよ?」

 

いつもは青白いくらいの肌だから、赤くなったのがよく分かる。

 

「ちょっと長湯し過ぎた。茹でお竜さんになってしまった」

「冗談言ってる場合じゃないよ。平気?歩ける?」

「ん...大丈夫だ」

「駄目だよ、足元フラフラじゃないか」

「うぅ...」

「お竜さん。ほら、おぶってあげるから」

「ん...」

「よいしょっと」

 

ふらふらのお竜さんをおぶると、部屋に戻ることにした。

「お竜さん、意外と軽いねぇ」

「意外ってなんだ、リョーマ。失礼だぞ?」

そう言って、がぶりと背中を噛む。

「ごめん、悪かったよ」

「体重は、企業秘密だから内緒だからな」

「はいはい。ごめんごめん」

風呂上がりの良い匂いに加えて、背中に当たる柔らかい身体にどきりとする。

「リョーマ、良い匂いするなぁ」

「そうかい?」

「揚げたてほやほやリョーマだ...」

そう言って背中に顔をすりつける。

 

部屋に着くと、既に敷かれていた布団に寝かせた。

備え付けの冷蔵庫の中から、冷えた水を渡す。

 

「水、飲める?」

「ああ...」

 

そうして、こくこくと水を飲む様子を見る。

 

(大きいお風呂ではしゃいじゃったのかなぁ)

 

そんなことを思いながら微笑ましく思っていた。

だがーーー。

よく見ると、布団が一枚しか敷かれていない。

 

ご丁寧に、枕は2つ並べてある。

思わず、目頭を抑える。

ここに来た時、「ご夫婦ですか?」と言われた。

それを、否定しなかったのを思い出す。

 

「...布団、ひんやりして気持ち良い」

「なら良かった。さっきより、顔色戻ったね」

「そうか?茹でお竜さんはレアだから、よく見といた方が良いぞ」

「はいはい」

 

元気が出て来たことにとりあえず安心すると、電話をかけることにした。

 

「リョーマ、どうかしたのか?」

「いや、布団が一組しかないから。もう一組借りられないか聞いてみるよ」

「でもリョーマ。枕は、ちゃんと2つあるぞ?」

そう言って、枕をぽんぽんと叩く。

「いや、それはね...」

「一緒に寝るの、嫌なのか?」

「それは、まずいって言うか」

「なんでだ?風邪引いた時、一緒に添い寝しただろ?」

 

確かに添い寝はしたことはあるが、流石に一晩も一緒の布団では寝られない。

 

「いやいや、一緒には寝られないよ」

「...リョーマが嫌じゃなかったら、一緒に寝たい」

「えっ」

「...お竜さんと寝るの、嫌か?」

 

お竜さんは、熱っぽい赤らんだ顔でこちらを見ている。

さっきまで頬撫でていた手が、急に汗ばむ。

なんだか、顔が熱い。

まるで、僕まで湯に茹だってしまったようだーーー。

 

 

(後編に)つづく!




というわけで、今回は初めての前後編で温泉です。

坂本さんがこのフラグをどう掻い潜るのか。
それともお竜さんか粘り勝ちするのかーーー。

寒くなって来たので、温泉行きたいですねぇ...。

次回の更新は来週になりま〜す( ̄∇ ̄)ノシ

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