ギャル嫌いな俺の隣にギャルがいる   作:イチゴ侍

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未体験

 服屋を後にした愛と勇樹は、次なる目的地に向かい店内を歩いていた。

 

 

「ふんふふ〜ん♪」

「……ほんとに良かったのか?」

 

 袋を両手で抱いている愛。先程の店で購入した商品が入っていて、誰が見てもとても大切そうにしていた。

 

 

「ん、何が?」

 

 ピタッと鼻歌を止めると、勇樹の方を向いて首を傾げた。

 

 

「いや、試着して気に入って貰えたんなら良かったんだけどさ……俺が決めたからって気使ってたり……」

「してないよ! ほんとにイイって思ったから買ったんだし」

「なら良いんだけどさ」

「(勇樹さんが選んでくれた……ってのも決め手だったけどね)」

「(……さっきからずっと袋抱いてるけど、ほんとに気に入ったんだなぁ)」

 

 想い人が選んでくれたという事をまた思い出し、より一層袋を抱きしめる力を強める愛。しかしその真意に気がつくことも無く勇樹は、真っ直ぐと前を見て歩いていた。

 

 

「次はどこ行くんだ?」

「えっとね、勇樹さんってゲームとかよくやる方だよね?」

「まぁー人並みには」

 

 などと口にする勇樹だったが、頭の中では家に積み立てているゲームソフトの情景が浮かんでいた。それ以外にも途中で投げ出した物から、クソシナリオだという理由で二度と手をつけてない物まである。

 その他にも様々なジャンルのゲームに手をつけているため、ある程度は経験があった。

 

 

「なら、ゲームセンターのゲームとかも得意だったりしない?」

「格ゲーとかはあんま自信ないけど、シューティング系とかなら……」

「そうそう!そういうやつ!」

「好きなのか?」

 

 愛の性格からして、こういった類の物にはあまり触れないものだと思っていた。少し前に一緒に某大乱闘ゲームをした際にも、ゲーム類は初めてだと話していたのを勇樹は覚えていた。

 

 

「んー、()()()()好きって言うわけじゃないかな」

「今は?」

「そ、最近仲良くなった子がそういうの好きらしくて、だからあたしもやってみたいなーって思ったの」

「へー、宮下らしいな」

 

 そうかな、と照れくさそうに笑う愛。それは親しい人が良いと思ったものを共有したい、知らないままにしておきたくないという愛の性格故の行動だった。

 勇樹も一度味わっていたため、これは協力するまで帰してくれない、と半ば諦め気味に事を察していた。

 

 

「でね、お願いなんだけど……」

「いいよ」

「へ?」

「一人だと不安だから、一緒にやってくれってお願いだろ?」

「うん!」

 

 元々、今日は一日愛に付き合うという契約の元で勇樹は動いていたため、その内容の一部でしかなかった。

 

 しかし──

 

「(女子とゲーセンとか……エロゲーやアニメの中だけだと思ってたけど、まさか俺がそれを体験するとはなー!これってあれか?陽キャリア充の鉄板ストーリーとかなんだろか)」

 

 契約だの、一部だ、などと少し冷たい印象持たれるかもしれないが、勇樹は内心かなり舞い上がっていた。

 

 

「しかし宮下も凄いよな。友達の、しかも最近なったばかりの奴の趣味にも触れるのか」

「もちろん!愛さんがこれまで触れたことの無い世界をその人は知ってるって思ったら、愛さんも見てみたい!って思っちゃうんだ」

「──宮下がアイドルとかになったら大変そうだな」

 

 ポロッと口から出た言葉だった。

 

「アイドル?」

「いや、アイドルって必ずファンがいるだろ?もし宮下がアイドルになったらファン一人一人のその世界?ってのを見たがるんじゃないかなーって」

「うー、でもアイドルって、夢を与える仕事だーってテレビでやってたよ?だからファンのみんなが見てる夢を一緒に見るんじゃなくて、みんなが見る夢を与えてあげなきゃ」

「……プロの方でしたか」

「いやいやいや! 愛さんは極々普通の女子高生だし!」

 

 バシバシと勇樹の背中に無意識にボディタッチを食らわす愛。そんな急な接触にまたもや意識を持ってかれる勇樹だったが、流石に今日は慣れてきたのか表情には出なかった。

 

 

「でもアイドルかぁ……」

「お、もしかして興味出てきた?」

「ううん!そうじゃないんだけど……見てくれてるみんなを巻き込んで楽しんじゃうような、そんな身近なアイドルとかがあたしには合ってるかも〜って」

「あーお祭りの踊りとかそうじゃん。宮下やってんの去年も見たし」

「え!? 見てたの!? 嘘!」

 

 去年の夏、お祭りの盆踊りにて、皆が踊る中心で堂々と踊っていた愛を勇樹は見ていた。その日だけは大学の友人と回ることになっていたため、愛と共にいなかったのだ。結果、愛は知らず知らずのうちに勇樹に見られていたということになる。

 

 

「毎年ながら上手いもんで」

「見てたなら言ってよ……後から言われると恥ずいし」

「照れてんの?」

「……少し」

「嘘つけやい」

 

 袋に顔を押し付け隠そうとする愛。その仕草で、すぐさまバレた。

 

 

「あ、ゲームセンター着いた!ほら、勇樹さん行こ行こ!」

「誤魔化したな……」

 

 勇気は腕を引っ張られたまま、ゲームセンターコーナーの中へと入れられた。

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

「宮下ァ! あと残弾いくつだ!」

「あと……3!……え、3!?」

「常に弾補充忘れるな──来るぞッ!」

 

 二人は見事にハマっていた。

 勇樹はまだしも、愛も少し触れてからというものノリノリである。それが勇樹のテンションに合わせてかそれ以外かは定かではないが、勇樹としては楽しんでもらえてるという現状にホッとしていた。

 

 

「うぉぉおりゃりゃりゃりゃ!!」

「弾幕薄いぞ!なにやってんの!」

「てかこの蜘蛛デカっ!?流石に愛さんこれは気持ち悪い……」

「(ほんと偶に()()()んだよ、でっかいのがさ……)わかるわぁ……」

 

 二人協力プレイものを遊びまくり、時には狭い個室で肩が密着するほどの距離で遊んでドキドキしたり……。

 

 

「あー!もう少しで取れそう!」

「絶対に取るからな……もう後戻りは出来ねぇんだ」

「ゴクリ」

「ここだぁぁぁ! 落ちろよぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 UFOキャッチャーのぬいぐるみを取るために一喜一憂したり、他にもレースゲームから某達人からダンスゲームetc……ほぼ全てを網羅したのでは?というほど遊び尽くしていた。

 

 

「取れた!」

「「イエーイ!」」

 

 二人して喜びハイタッチする様はどこか、青春真っ只中の同い年の男女カップルのように見えていた。

 

 二人のデート(?)はまだまだ続く。

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