ギャル嫌いな俺の隣にギャルがいる   作:イチゴ侍

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誕生日おめでとう!


特別回
愛さんをしっかり愛さないとな


 俺の彼女が可愛すぎる。

 

 まさかこんな事を入れる日が来るなんて思ってもみなかったな。是非とも中学生の俺と高校生の俺に教えてあげたいものだ。

 

 とまぁ、そんな事はどうでも良くてだ。

 

 

「愛ちゃん今日も可愛いねぇ、ふひっ」

「ほんとですかー? えへへ、ありがとうございますっ!」

 

 ちょうど、お客さんの対応している彼女──宮下愛。あの子が俺の彼女である。

 金髪ギャルで、太陽みたいに明るい笑顔がチャームポイントで、誰隔てなく接してくれるその様は、まさにクラスに一人はいた男子を勘違いさせて傷つける古典的な女の子だ。

 

 そしてまた一人、その毒牙にやられた男がワンチャンを狙おうと目を光らせてやがる。

 

 

「ね、ねぇねぇ、これ……ボクのL○NEのIDなんだけど、受け取ってもらえるかな!」

「えぇ……っと、あはは……愛さんそういうのは」

「ど、どうしてさ!愛ちゃんはみんなの愛ちゃんじゃないか!ほら!受け取って!そして登録してくれよ!」

「だ……えっと、その……」

「はいはい、すいませーんね」

 

 誰隔てなく接してくれる、とは言ったが無理矢理気味なものには微妙な反応を示すのが俺の彼女です。

 そしてなんともまぁ、こういう時の対応に慣れてないせいか、めちゃくちゃ押しに弱そうな宮下愛状態になるのだ。

 

 そんなとこも可愛いんだけど……じゃなくて、とにかく手助けする為に俺が間に入って、愛に別のお客さんの対応に向かってもらえるように壁となる。

 

 

「な、なんだよ君……」

「ここでお手伝いさせてもらってる者ですわぁ。ところで……()()()()になんかご用意でしたか?」

 

 彼女に告白して、彼氏になってから分かったことだが、自分はかなり嫉妬深い性格らしい。こうして愛に無理矢理接触してくる輩は今もちょくちょくやってくる。

 それもそのはずで、いつの間にかスクールアイドルなるものを愛が始めていたのだ。その結果、当然ファンが出来るわけで彼女目当ての男が寄ってくる寄ってくる。

 

 もちろんファンが全員そうだってわけじゃない。中には愛がアイドルを始める前から愛を知っている人もいる。いわゆる古参な彼らは愛との距離感を大切にしてる為か、無理矢理近寄れば拒絶される事を知らない男とは違ってただただ見守る事に徹しているのだ。

 そういう姿勢だからこそか、お店に来れば「いつもありがと!」とか「今日も来てくれたんだ!」とか認知されるようになる。

 そういう人達とは俺も仲良くさせてもらっている。が、

 

 

「よ、呼び捨て!? き、君……愛ちゃんのなんなんだ?」

 

 それ聞いちゃいますか。しょーがないなぁー!

 

「あー、()()()()です」

 

 そう言うと男は、信じられないものでも見たかのような顔を浮かべた。普通の反応だろな。そりゃあアイドルに彼氏がいたと知れば一定層のファンは暴動を起こしてもおかしくないもんな。

 

 俺は畳み掛けるように男に小声で声をかける。

 

 

「……ここはみんなの憩いの場なんだ。あんまり空気を冷ますような事しないで欲しいんですわ。ナンパ紛いの事は他所でやってくれ」

 

 それと……と付け加える。

 

「……人の彼女にちょっかいかけておいてタダでは帰さねぇからな?」

「ひ、ひぃぃ!」

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

「毎度ありがとうございました!また来てくださーい!」

 

 あの男に大量にメニューを頼ませて、ガッツリと稼がせてもらった。美味い美味いと泣きながら食べて貰えたし、そのことをおばちゃんに話したらそりゃあもう喜んでいた。

 

 

「うーん! いいことしたなぁー!」

『いやいや!!』

 

 全員に突っ込まれた気がする。気のせいかな。

 

 

「兄ちゃん、ナイスだったぜ!」

 

 ばちーん、っと背中をはたかれた。やってきたのは常連のおっちゃんだ。

 

 

「流石は"愛トモ"のリーダーだ!」

「だからリーダーは他にいてだなぁ!」

 

 他にも愛のファン達から賞賛の声が上がってきた。あの場に居合わせていただけでも4、5人いたんかい。

 

 

「……やつの処遇はどうするか」

「……いいや、我々"愛トモ"内で消す、消さないなどという野蛮な行為はご法度だ。来る者拒まず、去るもの追わずだ」

「だな」

「しかし、愛さんとリーダーの平穏を脅かすのならその時は……」

 

「えーと、程々になぁ」

 

 一つのテーブルを会議のように使う男達が何かを話し合っていた。内容は怖いので聞かないでおこう。

 

 ちなみにさっきから出てくる"愛トモ"っていうのは、いわゆるファングループの名称だ。そして何故か、俺はいつの間にそのグループのリーダーだと思われているらしく、確かに所属はしているがリーダーになった覚えはもちろんない。

 

 ところで、そのファングループの発案者はというと、

 

 

「──うちの愛……俺の彼女……うぅ……そういうの、いきなり言うのずるいじゃん……」

 

 ぶつぶつと呟きながら悶えていた。

 

 俺の彼女は見た目はギャルでもかなり初心な奴で、真正面から褒められるとめちゃくちゃ照れるし、真正面から好きだとか、さっきみたいに独占欲丸出しなセリフを吐くとめちゃくちゃ悶える。ギャップ萌えが過ぎると思うんだ。

 

 ちょっと前までツンツン系だった俺は、いつの間にか宮下愛の限界オタクみたいになってるし……まぁ、色々吹っ切れたのもあるかな。

 

 

「ばーか、勇樹さんのばか……どうすんのさ、愛さんニヤケ収まらないよぉ」

 

 うーん、可愛い。

 周りも愛の雰囲気に当てられてほっこりしてる。さっきまでちょっとピリピリしてたのにもう空気が柔らかくなってるし。

 

「うぅ……もどれー愛さんの顔元に戻れ〜」

「そのままでいいんじゃないか?」

「……やだっ」

「えー、可愛いのに」

 

 こうすればまた可愛いのが見れる。そう踏んで仕掛けてみた。

 

 

「やだっ、この顔は勇樹さん以外に見せたくない……」

 

「勇樹さんがこうしたんだから責任、取ってよ」

 

 

 すぅ……。

 

 ね? 俺の彼女可愛いでしょ。




誕生日回!みたいなしっかりした回じゃないけど、こういうユルユルなのが書きたかったんだ……要望が万が一億が一あればまた書くかもです(未定)
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