転生したら吸血鬼の用心棒にされました   作:灰鳥

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少年は少女に応える

「という事で…」

「はぁ…」

レミリアとの朝食を終えて、数時間後、俺はパチュリーさんがいるという大図書館に来ていた。その理由はというとレミリアの言葉通りに強くなるために戦い方や魔法を覚える為だ。

「パチュリーさん、俺に魔法と戦い方を教えてください!」

「私だって暇じゃないのよ、それにあなたの腕は…」

「それなんですけど…しばらくこのままにしておいてくれませんか?」

「…は?」

「いやいや、俺は戻したいのは山々ですよ?でもレミリアが…」

「はぁ…」

「いや、本当に忙しいならいいんですけど」

「…ここにある魔導書なら返すなら自由にしていいわよ、ただし借りたらちゃんと元あった場所に戻す事、整理も楽じゃないんだから」

「ありがとうございます!」

「はぁ…」

 

遡ること数時間前。

 

「でも、具体的にはどれくらい強くなれば…?」

「そう…ね、その片腕のない状態でうちで1番の体術の使い手の美鈴とやりあえるレベルにはなりなさい。期限は…そうね、三週間よ」

「お嬢様…流石にそれは」

「出来なければ、治療を済ませてさっさとここから去りなさい」

「…本気?」

「本気よ」

レミリアの目は本気だった、だがそれは信じているようにも見えた。俺が短期間でそこまで成長できると。

「…善処します」

「それにそれぐらいでないと、間に合わないもの」

「…間に合わないって?」

「私の予知夢はそう遠くない未来を予見する事が出来るのよ、だからそう遠くないし、私を守れるようになるにはそれくらいでないと」

「頑張ります…」

 

 

「お嬢様、流石にあの条件はまずかったのはないですか?、いくらなんでも三週間で美鈴とやり合うようになるのは無理です、こと体術に関して美鈴に勝てる人間はそうそうおりません」

「だからよ、私の能力は美鈴が勝つと言ってるもの、ならまずはそれを覆して貰わないと」

「左様ですか…」

「さぁ、どうなるかしらね、咲夜」

「私は白夜を信じます」

「あら、随分と彼を気に入っているのね」

「気に入っている訳ではありません、白夜の魔力保有量、私も確認しましたがあれは常軌を逸しています、あれを使いこなす事が出来れば彼にも勝ち目はあるという事です」

「そうね、それに彼の能力も未だに分からないままだしそこは彼にかかっているわね」

 

「さて、どれだけ私を楽しませてくれるのかしら、白夜」

そう言って紅い眼を輝かせて、吸血鬼は笑みを浮かべた。

 

 

「うーむ…」

小一時間魔導書を眺めてみたものの、さっぱりわからん。まず読めんし、そこから意味が分からん。とにかくやるしかないのだあと3週間で俺の生死が決まる。

「あの…」

「ん…?」

俺が魔導書を前にして大きな壁にぶつかっていると、ふと声をかけられた。声がした方へ視線を向けると、そこには頭から羽を生やした少女がそこにはいた、少女は恥ずかしそうにこちらを見て言葉を紡ぎ出した。

「あの…あなたは」

「小悪魔と言います、この図書館でパチュリー様の助手を…」

「あー…」

「良ければ助力致しましょうか?、パチュリー様程ではありませんけどお力になれるかもしれません」

「ほんとですか!?」

あまりの嬉しさに思わず立ち上がってしまった。どうやら少しびっくりさせてしまったようだ、彼女、小悪魔は少し目を見開いて驚いていた。

「えぇ!?…は、はい」

「教えてください!ぜひ!出来ればこの本の読み方から!」

「は、はい」

 

 

 

 

 

 

 

それから一週間後

「あれを何とかしてちょうだい」

「…」

「すみませんでした!」

「こあもよ、あなたの責任なんだから責任取って何とかしなさい」

「いやでも…まさかあんなに熱心になるとは」

そこには本を取り、読んでは即戻し、また違う本を読む、いわゆる本の虫、虫と言っても動きの忙しなさは働きアリのそれだが。

ともかく、パチュリーは咲夜、こあの2人に実質的に説教をしていた、ほとんど呆れた感じの。

元を辿れば白夜を追い込んだのはレミリアなので2人は完全にとばっちりなのだがそれは恐らくご愛嬌なのだろう。

「…確かに魔導書の文字の大半を一日で覚えたのはすごいわよ、ええ…でもね、あんなに縦横無尽に忙しなく図書館の中を動かれたらこっちが集中出来ないわよ」

「私からも一度もう少しゆっくりでもいいのではと言ってみたのですが…」

 

「白夜、もう少しゆっくりでもいいのではないですか?」

「何言ってるんですか咲夜さん、あと2週間で美鈴さんに勝てるレベルになれなきゃここを追い出されるんですよ!?、俺には現状ここしか居場所がないんです、おこがましいとは思いますが、居候の立場維持のためしっかり足掻かせて貰います!」

「は、はぁ…」

 

「…と」

「まさか、白夜がああいうタイプの人間だったとはね」

「小悪魔さーん!すこしいいですかー!」

「あ、はーい!…すみません行ってきます」

「もうこの際いいわ、あと一週間でしょう?それくらい我慢するわ」

と、パチュリーは呆れた声でそう言った。パチュリーに礼をすると咲夜は本の虫、そして質問の鬼と化した白夜に困り果てていた小悪魔の「助けてください」という必死の視線の訴えを受け取り、仕方なくそちらへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

悩んでいる俺と小悪魔さんの所へ紅茶を持った咲夜さんが「少し休憩なさっては?」とお誘いを受けたのでそれに乗じて小悪魔さんも「そうしましょう!ね!白夜さん!」と言われたので流石に疲れが溜まっていたのもあってその提案を了承し、一度魔導書を片付け紅茶を飲んで一服している。

ちなみにパチュリーさんは先程の所から微動だにしていない、ちょっと魔導書を戻しに行ってはまた新たな魔導書を読んでいる。

「どの魔法を主軸に戦うか…ですか?」

「そうなんですよ…、小悪魔さんにある程度教えて貰って魔導書の内容は理解出来たんですけど、何をメインに据えて戦うかって言うので少し…いやかなり」

「結界術式ではダメなのですか?、すごく理解が早かったじゃないですか」

「それもいいんですけど、身体強化と併用して更に結界術式を行使して戦闘すると魔力消費が激しいと書いてあって、俺の魔力量が多いのは分かっているんですけど、それでもやはり継戦能力に欠けるというか…」

「状況によって使い分けるというのはどうですか?例えば短期決戦で決着をつける場合は身体強化に回す魔力の割合を増やして、結界術式に回す魔力の割合を減らして接近戦で片をつける、長期戦になる場合は身体強化に回す魔力の割合を極力減らして、相手の攻撃を結界術式で受けるというスタイルとか」

「使い分け…そうか、そういう使い方もありますね」

「それに結界術式は様々な発展、応用も効きますし私は結界術式と身体強化を状況によって併用、使い分けるのがいいと思います」

「そう…ですね、そうします」

そう言って俺はぐびっと紅茶を飲み干し、むせた。

「…大丈夫ですか?」

むせている俺を気遣うように咲夜が顔を覗かせる。

「はい…変なとこ入っただけなんで」

恥ずかしい、ぐびっと紅茶を飲み干して、「よし!やるか!」って言うつもりだったのに。

「とにかくここで魔法の特訓しだすとあれなんで、外で特訓してきます」

「はい、お気をつけて、あまりご無理をなさらぬよう」

「がってんです!」

俺は咲夜さんと小悪魔さんに別れを告げ、図書館を出て紅魔館の外へと出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

魔導書に書かれていた魔法の発動方法は簡単に言えば主に2つ、一つ目は魔法陣を形成し魔法を行使する。

二つ目は詠唱を行い、魔法を行使するというもの。

魔法陣式は複雑で扱いが難しいものの、応用が聞き道具に仕込んだり、身に付けるものに仕込むことが出来るため、利が効く。

反対に詠唱式は魔法の行使に必要な動作が発生前の詠唱と、相応の魔力と当人のイメージ力によるため、素早くかつ簡単に発動する事が出来る。

咲夜さんにこっそり聞いた感じだと、美鈴さんは武闘派で近接攻撃でガンガン攻撃を仕掛けてくるタイプである事が分かっているので、考えた作戦としては詠唱式の魔法を駆使して、身体強化を使用して美鈴さんの動きについて行きつつこちらも隙があればナイフを駆使した攻撃を、そしていざと言う時の為に事前に用意しておいた魔法陣指揮の魔法の切り札を切る。

恐らくこれが一番いいのだろうか、武闘派の美鈴さん相手に近接で挑むのは少々骨が折れるが恐らく美鈴さん相手に遠距離から一方的に魔法を放つような闘いでは何かを理由をつけて勝ったとしても追い出されかねない。

相手の土俵の上で相手のルールに乗っ取り、勝利する。

 

今回の戦いにおいて勝敗はそこまで関係はないように見える、要するに紅魔館において俺が必要であるとアピール出来ればいいんだ。

でも…最初から負けるつもりは毛頭ない。

俺は膝を叩いて立ち上がり、休憩をやめて魔法の訓練に没頭した。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、そこから時は過ぎて美鈴さんとの戦いの日がやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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