反骨の赤メッシュがでろっでろに甘えてくるんだけど 作:コロリエル
……はい。どうも、イブです。まぁーこんな日にこんな小説投稿サイト使ってる人なんて居ないでしょ!はっはっは! え? ボク?
はっはっはっは。○すよ?
という訳で、クリスマス回です。季節めっちゃ飛ぶけど、気にしたら負けです。
クリスマスって、ぶっちゃけなんなのだと言う気持ちが大半だったりする。
宗教に疎い日本人が、何故イエスさんの誕生日だったかの記念日を盛大に祝うのか。お前らの神は八百万の神様だろう?
実際問題、俺だって子供の頃はクリスマスめちゃんこ楽しみだった。普段は食べない豪華な料理が机に並び、ケーキに顔を埋める勢いで食らいつく。サンタとの寝る寝ない起きてる起きていないの駆け引きを一晩した後には、枕元に新作ゲーム。
最の高に決まっている。一年間いい子で過ごす気にもなる。
じゃあ、最近はどうなのだ? と言われてしまえば、実は返答に困る。
『これそもそもキリスト教における重要な日なんだよなー』という感覚に陥った瞬間、手放しで楽しめなくなった感が否めない。
ここぞとばかりにクリスマス商戦に挑む親御さんや、稼ぎ時と言わんばかりに馬車馬の如く働くつぐの親父さんに涙がほろり。
つまるところ、俺は大人になってしまったのだ。クリスマスを無邪気に楽しむことが、もう既にできない。なんとも寂しい話だ。
「という訳で蘭サンタさん。早くその紙袋の中のサンタ服着ような? すっげぇ際どいの持ってきてるってのは知ってるからな」
「いや、楽しむ気満々じゃん。ってか、なんでバレてるの……」
クリスマスイブイブインマイルーム。
クリスマス当日はなんか違う、イブはボロクソCiRCLEでクリスマスライブとの事で、俺と蘭はひと足早いクリスマスイベントを終わらせようと集まっていた。
めちゃくちゃノリノリで俺の部屋にクリスマス料理を用意し、そのまま出かけて行った両親に最敬礼。
俺の部屋で一通り料理を楽しんだので、クリスマスのメインイベントとしゃれこもうと、俺はキメ顔でそう言った。
「そりゃあ、その衣装を用意してくれた奴らから」
手に持ったスマホをひらひらと振る。映し出された画面には、とある人物とのチャット。報酬にやまぶきベーカリーのパンを二十個ほど買わされたが、その甲斐はあっただろう。
それを見た蘭は、それはそれは盛大なため息。ついで冷めた目。
おっと、折角のクリスマスにその顔は宜しくないんじゃないかお嬢様。いやクリスマスじゃないし、なんならイブでもない。当然、若宮でもない。この前のグラビアめっちゃ良かったですハイ。蘭には内緒だが、個人的にイヴちゃんの大ファンですハイ。羽沢珈琲店に入り浸ってる理由の内の一つだったりする。
「……亮さ、去年はクリスマスそんなに楽しみじゃないって言ってたよね? なんで今年はそんなにテンション高いの……」
「蘭と二人っきり。街がなんかソワソワしてる。俺もソワソワ。QCD」
「QEDね」
普段は脳内で済ませる小ボケも、今日は口からするする出てしまう。あまり過ぎると、蘭がうんざりするので程々に。
ちなみにQCDというのは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字を取ったもの。製造業に置ける重要な三本柱らしい。ソースは親父。
製造業だけに関わらず重要だから、心のノートにメモっといてくれ。頭のノートじゃないから注意しな。
それはさておき、しっかり持ってきているということは、蘭だって楽しもうとしているのは明白。と言うか、この話を持ち出した時は明らかに喜んでいた。
それが今日は、どことなく上の空。話も若干噛み合わない。なんとも歯痒いが、こーゆー時は蘭が頭の中でグルグルグルグル考えを巡らせている時。
その内素直に話してくれると確信しているので、あえて触れない。
「……今年はさ、こ、こっここここここ、恋人同士じゃない?」
「……お、おう」
『ニワトリかっ!』と突っ込まなかった俺を褒めて欲しい。付き合い始めてからもうすぐ一年だと言うのに、未だに『恋人』だとか『彼女』だとか『彼氏』だとか言う単語を口にする時、決まってニワトリになる。
顔赤くしながら恋人と恥ずかしそうに言う蘭。天使だよ。俺に天使が舞い降りたんだよ。き○ら系かと思ったら想像以上にガチでビビったとは、俺のお袋談だ。深夜百合アニメ見てる母親ってヤバいな。
「だ、だから……どうすればいいか分かんなくって……恋人同士のクリスマスって、なんだろう?」
「あー……分かる」
どことなく、空回り感があったのは俺も同じ。
だって、これまで何回も『蘭と二人っきりでクリスマス過ごしたい』と思っていた。
それが急に叶ってしまったのだから、頭の中はずっとエマージェンシー。人の夢は儚かったんじゃ無かったのかよ、とイケメン先輩が脳裏に過ぎる。
叶えた夢は夢じゃないから、儚くないってか? はっはっは、千聖先輩連れてくるぞ
コノヤロウ。
「恋人……恋人……ちゅーする?」
「とぶねー」
ちゅーする? と言っておきながら身体はばっとすしざんまい。身体はぎゅーを求めている。いやまぁ、するけど。するけども。
苦笑いを一つ。そのまま蘭の近くに座ったまま寄り、腕を引いてそのまま抱き留める。
「うりうりー。蘭は可愛いなぁー」
「ちょっと、髪乱れる……」
口では憎まれ口、表情は満更でもなさそう。
誤解されがちだが、(俺の前では)表情豊かだから考えていることは実に分かりやすい。今なら、『もっと』だ。
ほっぺぷにぷに。背中さすさす。心臓とくとく。
最初の頃のように心臓ばっくんばっくんにはならない。今のこの関係が、蘭の言うところの『いつも通り』になってきたのだろう。
まだまだ時間が足りてないけど、心地いいことに変わりはない。
「……亮だって、かっこいいのに、あたしばっかりずるい」
「そりゃあ、恋人の前ではかっこいい俺で居たいし」
なんて、口先だけ。実際俺が蘭と話す時は、決まって素で話している。
飾った俺でなくとも、蘭なら好いてくれる。
そんな根拠の無い自信が、勘違いなんかでなく事実であるのだと、この一年で確認してきたのだ。
だから、信じられる。蘭のことを、心のずっと奥の方、蘭のような真っ赤なバラを一輪刺した花瓶に誓って。
情熱的だろう? それでこそ蘭に相応しい男になれると、勝手に思っている。
「……でも、かっこいい亮には慣れてきた……かな。まだドキドキするけど」
そう言いながら俺の胸に顔を埋めてくる。呼吸がくすぐったくて、心地いい。
俺が悪意を持っていれば、今ここで蘭の嫌なこと、傷付くことを平気で出来てしまう。
俺がそんなことをするわけが無い。
そう信じられている。だからこそ、俺に身も心も捧げてくれている。
「あー……そっか、俺もうプレゼント貰ってたんだな」
「……? どういうこと?」
これ以上の存在が絶対に現れないと、冗談抜きで言いきれる相手と特別な日を二人で過ごすことができる。
これがプレゼントでないと、誰が言えようものか。
これ以上は、何も要らないだろう。
最も、蘭には言ってやらないが。だって、さすがにクサすぎると思うもん。
「……よく分からないけど、折角準備したんだから受け取って欲しいな」
「んあ……まぁ、そうだな」
この日のために、お互いに必死こいてプレゼント探しに奔走したのだ。俺のそんなセンチメンタルモードなんて直ぐに放棄。
名残惜しいが蘭から離れ、引き出しの中から小さな箱を取り出す。わざわざラッピングしてもらった小さな箱。込めた気持ちが大きすぎて、入り切っているか怪しいところだ。
しかし、それは蘭も同じだったようで、小さな箱から溢れんばかりのものが込められているのが見て取れた。
「ほい。二日早いけど、メリークリスマス」
「うん。メリーくりしゅましゅ」
「なんて???」
噛みましたよね今。普段はあんなに滑舌良いのになんでこんな時だけ噛むんですかあなた。
締まらない。実に締まらない。
完全にやらかした蘭ちゃん、恥ずかしさのあまり撃沈。もっと恥ずかしいこといっぱいしてるはずなのに、本当に可愛いヤツめ。
「……見ないで……」
「いやー……いいオチついたな。うん」
「メリークルシミマスってとこ? いい趣味してるね、怒るよ?」
「アンタコロースってか? 物騒だなおい、愛してるぜ?」
クリスマスなはずなのに、甘さの欠けらも無いけど。
まぁ、甘いのはケーキだけでいいかと、どこかギクシャクした恋人としての初めてのクリスマスイブイブは、緩くのんびり過ぎていった。
ま、それはそれとしてヤることヤったんですけどね皆々様。
サンタコス蘭、めっちゃ可愛かった。でかしたモカとひまり。
ご閲覧ありがとうございます。サンタコス蘭は、皆様のパッションで想像して下さい。ってか、誰かイラスト描いて(こら)。
感想、評価、お気に入り登録等して頂けると、一人でケーキ食べます。
それでは、また次回。