反骨の赤メッシュがでろっでろに甘えてくるんだけど   作:コロリエル

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どうも、インターンシップ行ったり病気やったり(流行りのやつではない)資格の勉強したりオリ作書いたりしてました。死ぬかと思いました。

猫カフェ、中編です。


猫カフェと赤メッシュ 中編

 

 猫カフェ。

 

 それはお店の中に居る猫たちと触れ合うことが出来る店。保護団体や保護活動を行う個人が迷子になった猫や捨て猫などを保護し、里親を見つける活動を行う場合もある。 一般的には、通常のカフェに数匹の猫が放し飼いにされており、利用者はそこで飲食したり猫とふれあって時間を過ごす。

 

 店によっては男性客のみでの入店を断っている所もあるらしく、これは出会い目的の客の入店を防ぐ目的のため……というのは、ネットの情報。いいよねネット。例えるなら深さ十センチ、広さ太平洋といった感じだ。伝わってくれ。

 

 今回俺と蘭が向かう猫カフェは、オープンしたばかりということもあって中々繁盛しているようだ。

 

 

「何回でも言うんだけどさ、亮って時々暴走するよね。今回なんて友希那さんの口車に完全に乗せられちゃってるじゃん」

「それはもう大変申し訳ないと思っているが、蘭には言われたくない」

「あたし、そんなに暴走してる?」

「してるしてる。ついこの前も市ヶ谷さんや若宮さんの前で……」

「……してるね」

 

 

 これまでの俺と蘭の日常を知っている人ならば、俺と蘭がどれだけ暴走してきたかを嫌という程見てきただろう。

 

 ファミレスで蘭が覚醒し、やまぶきベーカリーでメロンパン蘭に萌え、顔面落書き状態で街を爆走し、一瞬の内に横浜にワープし、親父さんは猫耳カチューシャ。

 

 凡そ暴走していないとは、とてもでは無いが言えないだろう。

 

 そうかなぁ、と腕組みをして考え始める美竹さん。猫カフェに行くということを伝えていたからか、普段はショートパンツなどを好んで履く彼女が、スリムジーンズにTシャツという格好。まだまだ暑いからか、以前親父にやってもらったようなショートポニテで涼しげな雰囲気を醸し出していた。

 

 

「ま、今回は外だからあんまり迷惑かけられないけどな」

「いきなり甘やかしたりしないでよ? あたし溶けるよ」

「お前は雪だるまか。ってか、どんな脅しだ……心配しなくても、お前を甘やかすのは二人っきりの時か、身近な人の前でだけだ」

 

 

 どろっどろに溶かしてやろうかコノヤロウ。俺は世界で一番蘭を溶かすの上手いぞ。だって、蘭を溶かせるのは俺だけだからな。

 

 なんて、色々な意味であまりにも酷すぎる事を考えたが、グッと飲み込む。これから二人で仲良く猫カフェを楽しむのだ。ギスギスしたくなどない。

 

 俺はポケットに入れていたチケットを取り出す。使用期限内であることを確認。

 

 

「んじゃ、行くか。いいか? 蘭隊員。今回の目的はあくまでこの猫カフェの調査だ。間違っても猫たちに骨抜きになどされないように。それでは、ミッションを開始する!」

「……いえっさー」

 

 

 あまりにも冷たい蘭の返事を聞き遂げ、俺は扉のドアノブに手を掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──一時間後──

 

 

 

 

 

 

 

 

「もー、ノイくんってば、くすぐったいって……」

 

 

 溶けてた。

 

 俺にしか溶かせない存在であるはずの反骨の赤メッシュが、既に溶けていた。

 

 地べたに座った彼女の膝の上には、真っ白でふわふわの毛を持ったにゃーんちゃんが鎮座しており、蘭のお腹に頬ずりしていた。更に、右脚には黒い細身のにゃーんちゃんが、左脚には三毛猫がそれぞれ擦り寄っており、見事ににゃーんちゃんにまみれていた。

 

 頬が緩み、完全ににゃーんちゃんにでれっでれの美竹さん。おいこら反骨の赤メッシュ。俺のなけなしの独占欲返せよ。

 

 

「……蘭、お前……そんなにあっさり堕ちるなんて……!」

「いや、亮に言われたくないんだけど。あたしより猫寄ってるじゃん。地の文もにゃーんちゃんになってるし」

「俺は堕ちてない! ってか、地の文言うな!」

 

 

 にゃーんちゃんがビックリしないよう、小声で叫ぶ。

 

 入店して料金を支払って、腰を下ろした瞬間、いきなりにゃーんちゃん達が襲いかかってきた。

 

 完全に虚をつかれた俺は、そのまま床に仰向けに倒れ込むこととなり、それからまる一時間、にゃーんちゃん達の尻に敷かれ続ける羽目になった。入れ代わり立ち代わり、総勢二十匹。

 

 他のお客さんたち、並びに店員さんたちも爆笑する始末。床が全面カーペットであるとはいえ、そろそろ腰やら背中やらが痛くなってきた。にゃーんちゃんって結構重いのね。

 

 これがわんこに包まれていたのなら、それはもう昇天ものだっただろう。しかし、相手は俺の宿敵にゃーんちゃん。

 

 

「堕ちては無いけどさ、負けてるよね。間違いなく猫たちに」

「ぐっ……蘭が冷たい……!」

 

 

 ごろごろ、と気持ちよさそうに喉を鳴らすにゃーんちゃんを撫でながら冷たく言い放つ蘭は、どこかの悪役のトップに見えた。

 

 なんで悪の組織のトップって、膝ににゃーんちゃん乗っけてるイメージがあるんだろ。サ〇キ様位しか見たことない気がするんだけど。

 

 

「ここまで猫に好かれるお客さんは、そうそう居ませんよ? 凄いですね彼氏さん」

 

 

 蘭が注文していたアイスコーヒーを持ってきた店員さんが、俺の方を見て素直に感心した様子で口にしていた。

 

 

「あ、ありがとうございます……そうですね、自慢の彼氏です」

「もうちょっと別の場面で使ってくれんかその台詞。俺が居ない場所とかさ、猫に拘束されていない所でとかさぁ」

 

 

 尊厳踏みにじられてるんだけど。にゃーんちゃんに。自慢の彼氏。

 

 あ、物理的にも踏みにじられてましたね。いやーはっはっは……泣くぞこら。

 

 なんで敵対宗教の信仰対象に踏みつけられてるんですかね。これちょっとした宗教戦争が勃発するぞ。きのこたけのこ戦争位の規模のが勃発するぞ。

 

 

「ふふっ……あ、そうだ。この後ウチにテレビ局が来るんですよ。お昼の情報番組なんですって。写してもらったらどうですか?」

「この姿を全国放映しろと??」

 

 

 普段はあまり使わない?二連打を決めてしまった。芸術点に加算点だなこれは。

 

 ……いやほんと待ってよ。こんな姿芸能人に見られた挙句それを弄られ、その様子がお茶の間に届くんですよね? 絶対ネットの玩具じゃん俺。猫まみれ男参戦! みたいな。

 

 ってか、よくよく考えたら隣にいる女は反骨の赤メッシュじゃん。パスパレやRoseliaほどではないにしろ、かなり有名なガールズバンドのギタボじゃん。

 

 そんなのと休日に二人で出かけてる男? はっはっは、俺死んだなこれ。

 

 

「蘭。今すぐこの猫たちを俺の上からどかしてくれ! 生き恥を晒したくない! ってか、美竹蘭に彼氏がいるなんて話になったら、かなりめんどくさい!」

「おじゃましまーす……」

「彩さん、ちゃんと静かにするんですよ? 猫ちゃん達をびっくりさせないように」

 

 

 急いで俺の上からにゃーんちゃん達を下ろそうとする蘭だったが、どうやらテレビ局の人たちがやって来たようだった。

 

 気のせいだと思いたいのだが、何やらよく聞きなれた女の子の声が聞こえてきた気がする。具体的には、ピンク髪のドジっ娘ボーカルと、普段は眼鏡の機材オタクドラマーの声が。

 

 ……あぁ、来るタレントって、あなた達だったんですね……。

 

 

 段々と近付いてくる足音を聞きながら、この後待ち受けているであろう地獄に向けて覚悟を決め始める。お父さんお母さん、ごめんなさい。あなたの息子は、これからネットの玩具になります。

 

 

「それでは、失礼します……あれ、蘭ちゃん? 来てたんだ!」

「……あぁ、彩さんと麻弥さん……こんにちは」

「こんにちはっす! 今日はこのお店の取材に来て……って、その猫の塊はなんなんですか!?」

 

 

 まんまるお山に彩を、丸山彩。

 

 上から読んでも下から読んでも大和麻弥。

 

 最近人気を博してきたアイドルガールズバンド、Pastel✽Palettesのボーカルとドラムが、俺たちが居るブースへとやって来た。

 

 蘭たちは普段からよく利用しているCiRCLEで会うことも多い。俺はそこまで話したことは無い。

 

 本来であれば、大ファンである若宮イヴが所属しているバンドのメンバーと遭遇したのだ。嬉しいはずなんだ本来は。

 

 

「どーも、丸山さん、大和さん。いつぞやお会いした葉加瀬です」

「葉加瀬くん!? どうしてそんなに猫まみれなの!?」

 

 

 こんな猫まみれ且つ、恋人(それなりの有名人且つ男性ファンも居るバンドのギタボ)と一緒でなければ、の話だが。

 

 

 次回。

 

 俺、胃に穴が開く。

 

 

 




ご閲覧ありがとうございます。冷静に考えて、亮君ファンに刺されてもおかしくない状況ですよね。人気ガールズバンドのメンバーと知り合いで、しかもそのうちの一人と交際中。厄介拗らせオタクに刺されそう。

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それでは、また次回。
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