反骨の赤メッシュがでろっでろに甘えてくるんだけど   作:コロリエル

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どうも、資格試験一週間前に小説書いてるアホがいるらしいっすよ。おまけに、スマブラでWiiFitトレーナーで初VIPを達成したアホが居るらしいですよ。

頑張れ、明日からのボク。

あ、前回間違えて「前編」ってつけちゃったけど、間違いでした。間際らしいことしちゃってごめんなさい。



へにゃへにゃになってる赤メッシュ

 Afterglowの作詞は、基本的に蘭が担当している。新曲の話がバンド内で出た時だけでなく、日常的にノートを広げてうんうん頭を悩ませている。噂によれば、授業をサボって屋上で考えることもあるとか。そんなんだから不良少女って言われるんだぞ。

 蘭が作詞している姿は、傍から見ていて非常に面白い。アイデアが出なくなると部屋中をウロウロしだしたり、突然和服に着替えて花を生け始めたり、突然ギターをかき鳴らし始めたり。

 俺はよく分からないが、やはり無から一を生み出すのは大変なのだろう。みんなもオリジナルの作品を生み出している人間は褒めてあげような。

 

 

 そう。褒めてあげような。

 

 

「亮……あたしやっぱりダメかも……」

「だーいじょうぶだって。お前がダメじゃないのは俺がよぉーく知ってるから」

 

 

 さもないと、こんな感じでへにゃへにゃになってしまう。

 

 次のライブへ向けた新曲制作の真っ只中。蘭ちゃん、いつも以上に苦戦していると幼馴染たちから聞いてはいたものの、どうやら俺の想像以上に追い詰められていたらしく、部屋に入った時、蘭はベットの上で三転倒立していた。写真を撮るのは忘れなかった。こんな姿、Afterglowファンが見たら発狂モノだろうな。

 

 今蘭は、いつも通り胡坐した俺の上でだいしゅきホールド。彼女の背中をぽんぽんと撫でつつ、ゆらゆら揺れす。

 どうでもいいけど、『だいしゅきホールド』って名前を一番最初に発明した人は天才だと思うんだよね。天才は居る。悔しいが。

 

 

「しかし、あれだろ? 今回は普段みたいに感情のぐわぁって奴が無い状態での作曲なんだろ? それで苦しんでる……と」

「そう……なんか、書けないんだよね……」

 

 

 蘭はどちらかというとその時々の感情を書き殴るタイプの作詞スタイル。つまるところ、感情の起伏が無いとびっくりするくらい筆が動かない。

 皆も『Y.O.L.O!!!!!』は聴いただろう? あれがマジでいい例。蘭の感情が正にしろ負にしろ、振り切れていた方がいい曲が書ける。今現在、蘭はそんなに振り切れてない。むしろ幸せと青春謳歌中。精神衛生上は良いが、クリエイターとしては死活問題。

 

 ひまりから『感情ぐちゃぐちゃにしてきて!』と言われたが、どうやってぐちゃぐちゃにすればいいのか。

 

 

「なぁ、蘭。お前ちゃんとインプットしてるか? 曲聞くなり映画見るなり……アウトプットしすぎてなんかが不足してないか?」

 

 

 昔どこかで聞いたことがある。クリエイターの方々はアウトプットする量をはるかに上回るほどのインプットをしていると。若かりし頃はただひたすらにアウトプットし続けて、枯れて、スランプにまで陥ってしまったとそのクリエイターは語っていた。

 最近、蘭が何かの作品に触れている所をあまり見ない。かなり枯渇しているのでは無いだろうか? 何かは知らないけど。

 

 

「……確かに、最近上がった曲しか聞いてない……」

「ほらぁ」

 

 

 俺の肩に顎を乗せていた蘭が、顔を上げる。その表情は腑に落ちたのか、先程までのしわくちゃピカチュウみたいな顔から一変。天啓を受けたかのような明るい表情。

 しかめっ面も可愛いが、やはり蘭には暗い表情よりも明るい表情の方が可愛い。

 

 よし、とりあえず第一段階突破。スランプに陥り始めている人間って、大体負のスパイラルに入っちゃってるからな。一発好転させる方向に持っていくことができれば、かなりやりやすい。

 

 後は蘭に色んな曲聞かせたり、映画見たりすればどうとでもなるだろう。

 

 勝ったぜ。

 

 

「それじゃ、手始めになんか他のバンドの曲聞こうぜ? AtoZあたりどうだ?」

「それ、完全に亮の趣味じゃん……」

 

 

 スマホの音楽アプリでも購入し、初回限定版CDに通常版も三枚購入済み。俺の部屋の若宮イヴゾーンは着実に拡大していた。それの三倍以上のAfterglowゾーンもあるよ。

 蘭にばれたら殺されるんじゃないかと、最初はこそこそと隠れてグッズを集めていたが、あっさりとバレた。

 

 が、『その程度いいじゃない。むしろ隠されてる方がやだ』と言われてしまったので、しっかり飾ることにした。毎日恋人と推しの顔を見て目が覚める一日は中々素晴らしいぞ?

 

 

「こんなこと言うのもあれだけどさ、AtoZ聞いて何かアイデア浮かぶと思う? アフグロと曲調全く違うじゃん」

「それもそうだなぁ……」

 

 

 蘭が電波系ソングを歌う世界線。もしかしたらどこかには存在するのかもしれない。見てみたくない? 蘭が曖昧三センチとかノリノリで歌う姿。

 さて、却下されたとなると何がいいだろうか。ルミナス? きゅ~まい? ゼッタイ? しゅわりん? TITLE IDOL? ぎゅっDAYS?

 

 どれを掛けようかとプレイリストを眺めていると、こんこん優しくノックされる扉。

 

 一瞬でセパレートした俺と蘭は、ローテーブルを挟んで二人で正座。机の上に広げっぱなしになっていた勉強道具に向かう。

 

 その状態で、蘭は入室を許可する。この間僅か二秒。

 

 

「おお、蘭。それに亮君。ちょっと息抜きしないか? レンタルビデオ屋で映画借りてきたんだが」

「親父さん……プライ〇会員ならまずはプラ〇ムビデオ見ましょうよ……」

 

 

 入ってきたのは、最早淳レギュラーと言っても過言ではない、蘭の親父さん。手には大手のレンタルビデオ屋のレジ袋。

 

 この親父さん、最近Amaz〇nの月額会員になった親父さん。未だに使いこなせてない模様だった。

 

 最初は怪訝そうに親父さんを見ていた蘭だったが、いいタイミングだったことに変わりはない。

 

 

「……分かった。丁度いいとこまで進んだし」

「……! そ、そうか! それじゃあ、先に行ってるな!」

 

 

 久しぶりに蘭と映画を見れて嬉しい親父さん、まるでお預けされていた餌を与えられた子犬のように表情を明るくさせていた。

 最近、親父さんが蘭との距離を詰める努力をしている。涙ぐましいものがあるが、そのどれもが若干斜め上だったりしてきた。しかし今回は、タイミングが良かったこともあり、上手くいきそうだった。

 

 うっきうきで部屋から出て行った親父さんを見送った後、生暖かい目で蘭を見つめる。

 

 

「……何」

「いやぁ、何も?」

 

 

 蘭から若干冷たい目で見られたが、親父さんと蘭が仲いいと、俺も嬉しい。ゆくゆくは二人とも幼かったころのように素直に話せるようになれればいいなぁ、と思いながら、親父さんが待っているであろう部屋に向かうため立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────三十分後────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああっ!?」

「なああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?」

「ぐえぇ……ぶだりども、ぐるじい……っ!!」

 

 

 画面一杯に映し出される、アイスホッケーの面を被り右手に斧を持った大男。最早説明不要のホラー映画界のカリスマ、ジャイソンさんである。

 

 そう、このくそざこ親父が借りてきた映画というのが、あの有名な『十二日の木曜日』。何作もシリーズが公開されている名作だ。

 

 なんでこの人はそんな映画借りてきたんだよ。せめて今話題の無限列車にしとけよ。色んな意味で丸く収まったろうが。俺の心の中の彼もよもやよもや言ってるよ。

 蘭と親父さんに挟まれた俺は、二人から飛びつかれて腹やら胸やら首やらが完全に締め付けられていた。蘭はいい、親父さんはガチでやめろ。

 

 まだ三十分だぞ。こんな調子で持つのか。

 

 

「いやぁあああああああああああああああああああああああああああああっ!!?」

「だあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!?」

「うごぉ……っ! じ、じぬ……! じぬっで……!!」

 

 

 かくして、三人にとって色々な意味での地獄が、あと一時間続くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 余談だが、今回の顛末と後の『6番目のAfterglow』騒動、その二つの経験から生み出された曲があの『Hey-day狂騒曲(カプリチオ)』だったとか。親父さんはいつも通り、二週間ほど口を聞いてもらえなかったらしい。オチに便利だな親父さん。

 

 

 




ご閲覧ありがとうございます。カプリチオ好きな人かなり多いと思うんですよ。それだけです、今回の話の作成秘話。

感想、評価、お気に入り登録してくれると、資格試験を八割で突破します(応援してください)。

それでは、また次回。
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