反骨の赤メッシュがでろっでろに甘えてくるんだけど   作:コロリエル

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どうも、滅茶苦茶久しぶりですね。公募用の作品書いたり就活したりしてたらこんなに空いちゃいました。おまたせしましたすごいやつです。

リハビリも兼ねてとりあえず一話。梅雨、相合傘、いいですよね。


相合傘と赤メッシュ

 

 

 梅雨。

 

 それは日本が日本たる最たる理由にして、日本人の中でも数多くの人間が頭を悩ませる時期。梅雨前線が日本の近くに停滞し、雨の日が増える厄介な時期。雨って嫌だよね。濡れるし肌寒いし湿気がうざいし。

 今日だって、朝起きて歯を磨いて、蘭を出迎えるまではまだ雨は降って居なかった。しかし、今はゴリラゲイウ、じゃなかったゲリラ豪雨。今日もまた洗濯物は乾きにくそうだ。

 

 やっぱり、俺は青空の方が好きだ。灰色の空を見たって明るい気分にはなれない。どうしても気分ってのは落ち込んでしまうものだ。

 

 

 

「まぁ、そんな時でも世界で一番可愛い俺の彼女を抱き締めちゃえばどうってことないんですけどねー」

「どんな時でもぎゅってして欲しいんだけど……」

「二十四時間三百六十五日、俺の胸は蘭のために存在しているよ。蘭がぎゅーってしたくなったら例え火の中水の中草の中森の中、土の中雲の中ひまりの胃袋の中、どこにでも駆けつけるさ!」

「……それ、あたしひまりに食べられてるよね?」

 

 

 

 ひまり、ピンクだしぷにぷに(モカ談)だし、実質桃色ピンク玉みたいなものでしょう。だったら人くらい丸のみにできる気がする。コピーしたらあのピンク髪に赤メッシュが入るのだろうか。

 なんてクッソどうでもいいことを考える土曜日の午後二時。晴れの日だろうが雨の日だろうが雪の日だろうが関係なく、休みの日は家でのんびりすることが多い俺たちは、いつものように俺の部屋でのんびりとしていた。

 

 違うことがあるとすれば、梅雨であるということだけだ。それ以外は俺たちが大好きな『いつも通り』だ。

 

 

 

「ところで……蘭、傘持ってきたのか? 今日この後家で用事あるとか言ってなかったか?」

「あー……持ってないや。亮、今すぐ車の免許を……」

「無免許でいいなら今すぐでも運転できるが? 基本的な動作はバイクと変わんねぇし」

「それは絶対駄目。悪いことは悪いんだよ?」

「……哲学かよ」

 

 

 

 この子、見た目の派手さに反して中身がひたすらいい子過ぎる。見た目だけならヤニ吸って酒飲んで遊び歩いていても何も文句は出ないだろう。いや駄目なんだけどさ。

 実際の美竹蘭は根っこからにじみ出るほどのいい子。いい子過ぎてこの前親父さんの誕生日を忘れかけてて泣きそうになっていた。

 

 そんな蘭だ。無免許運転なんて絶対にさせてくれないだろう。

 

 

 

「というわけで、亮傘貸してほしいんだけど……」

「んー……別にいいけど、俺もちょっと外出る用事あるんだよなぁ……送ってくぞ」

「え? でも今日亮のお父さん、『今日傘一本しかないんだよねぇ』って言ってたけど?」

「なんで家にある傘の数が日によって違うんだよ……」

 

 

 

 大方、俺と蘭に相合傘させるための策略だろう。今頃、うちの両親は俺が慌てふためいていると思っているのだろう。

 だが、俺も今までの俺ではない。むしろ親父とお袋には感謝している。外ではくっつきたがらない蘭を合法的にくっつかせる効率的な方法だ。

 

 さて、あとはスマートに立ち上がって蘭を誘うのみである、が……俺の思春期マインドは8ビートから16ビートにテンポアップ。今更相合傘程度でドキリンコするこの心臓が恨めしい。ドキリンコって名前の人、居そうだよね。土岐 凛子みたいな。

 

 

 

「んー……ま、いっか。亮、相合傘しよ」

「…………ん?」

 

 

 

 俺が脳内で様々な思考を巡らせていた時にそんなセリフを聞いたものだから、俺の脳みそは蘭の言葉を把握するのに時間が掛かってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「亮、もっと寄って。濡れちゃうでしょ?」

「あ、うん……」

 

 

 

 ざあざあと、二人で入るには少し小さめの傘を雨が叩く。大雨、というほどではないけど傘なしで歩くなんて論外な降水量。

 そんな中、俺と蘭は一つの傘に身を寄せ合って歩いていた。肩と肩とは完全に密着。ただでさえお互い薄着なこともあり、彼女の体温が伝わってくる。

 

 ……何度でも言うけどさ、別に彼女と触れ合うのが初めてって訳じゃない。実際問題ついさっきまで俺の部屋で抱き合ってた訳だし、ちゅーもぎゅーもやって来たよ。

 

 ただ、蘭は外ではいつもの『反骨の赤メッシュ』。くっついてくるどころか、手を繋いだことすら少ない。そんな彼女が、ゼロ距離密着。

 

 マジで親父お袋ありがとう……帰ったら風呂掃除と洗濯やっておくから……!

 

 

 

「しっかし、梅雨ってのは嫌なもんだな……湿気凄いし、濡れるし」

「そうだね……でも、あたし結構梅雨好きだよ?」

 

 

 

 ──蘭は、傘を持っている俺の手に自分の手を重ねた。

 再び心臓が高鳴る。やはり、慣れない。普段と少し違う彼女の行動に、どうにも翻弄されてしまう。

 

 

 

「そ……うなのか?」

「うん。だって……傘のおかげで、周りから見られにくいから」

「……あー、なるほど」

 

 

 

 恥ずかしがり屋な蘭らしい。付き合い始めてからそれなりに長くなってきたのに、傘で顔を隠されてないと恥ずかしい。

 

 逆に、これさえあれば蘭は外でも(室内に比べて控え目とはいえ)寄り添ってくれる。

 

 これは、ちょっと、いやかなり嬉しい。

 

 

 

「……そういうことなら、俺も梅雨大好きだな」

「……やっぱり、亮はあたしに外でもくっついて欲しいの?」

「んー……本音を言えばそうだけど、外でくっつかない分部屋でいっぱいぎゅーってしてるからな。蘭が苦手なら、無理には言わないさ」

「……そっか」

 

 

 

 道を行く人が少ない昼下がり。俺と蘭は、言葉少なに歩みを進める。

 

 その空気が、これ以上ないほど心地よかった。

 

 

 

「あれー? 蘭とりょーくんだー。おいっすー」

「ちょ、モカ! 邪魔しちゃダメだよ!」

「亮。今すぐコンビニ行って傘買ってこよう。お金は出すからさ」

「そんなに相合傘してるとこ見られたくないのかよ!?」

 

 

 

 ──そんな雰囲気は、偶然たまたま遭遇したモカとひまりの声により霧散してしまった。

 

 俺と蘭が、 なんの気兼ねなく相合傘できるようになるまで、ここから三年の年月を必要となるとは、この時誰も知らなかったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで亮よ。相合傘はどうだった?」

「……傘が一本から二本になったよ」

「……えっと、酒飲む?」

「俺は未成年だ……」

「亮……今日はあなたの好きな唐揚げにしましょうか」

「あざっす……」

 

 

 

 その後、中々に落ち込みまくった俺を励まそうとする親父とお袋の姿が、葉加瀬家にはあった。

 

 

 




ご閲覧ありがとうございました。まじで、どうやって書いてたか分かんなくなっちゃってました。ちょっとずつ感覚戻してかないとなぁ。

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それでは、また次回。
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