反骨の赤メッシュがでろっでろに甘えてくるんだけど 作:コロリエル
分かったから、時間下さい。
あ、それはそれとして、お気に入り200件ありがとうございました。
姉御肌、と呼ばれる人物に心当たりは無いだろうか。
下手な男よりも漢気に溢れ、困った時は相談にも乗ってくれ、いざとなったら立ち上がってくれるような人。
お姉さんと姉御。同じ立場の人物を指す言葉なはずなのに、想像する人物像は大きく違う。
それが、姉御。
Afterglow最後の一人、宇田川巴も、『お姉さん』と呼ばれるよりも『姉御』と呼ばれる方が似合う人種だ。
Afterglow内で最も頼りになる人で、バンドの精神的支柱と言われれば、彼女の名前を出す人が大半では無いだろうか? 男の俺でも頼ることあるもん。
それを彼女も自負しているのか、相談事頼まれ事は積極的に協力してくれようとするし、困っている人を見たら取り敢えず声を掛けるなど、非常にいい人だ。今更だけど、俺の幼馴染良い奴ばっかじゃねぇか。
……さて、そんな良い奴、宇田川巴だが……情に厚い一面も持ち合わせている。
俺と蘭が恋人同士になったと聞いた時、それこそ池ができるほど涙を流しながら喜んでくれたのが彼女。そこからもらい泣きしまくって、最終的には六人全員で大号泣してしまったのはいい思い出だ。
しかし、それ以来巴はヤケに俺と蘭の関係を気にするようになってしまい……。
「おい亮! あんまり蘭を甘やかすなよ!」
「一回バチ置けって。蘭が起きちゃうだろ」
ものごっつ厳しい。特に俺に。蘭にはそんなに。エコヒイキって奴だろうか? そんな名前の人居そうだよね。江古 日生みたいな。サッカー漫画の重要人物の名前はエゴだが。
現在は、蘭の歌詞作成の手伝いのために、蘭の部屋に俺と巴がお邪魔しているところ。先程蘭の親父さんがお茶を出しに来てくれた。仲間になりたそうにこっちを見ていたが、蘭が一睨みしたら寂しそうに帰っていった。不憫過ぎる。
そして今。蘭は気分転換と称して俺の膝に頭を乗せて昼寝をしていた。これで甘やかしているなんて言われた日には、俺の蘭に対しての行動の八割が『甘やかしている』判定になってしまう。
ガバガバすぎる。RTAの『この先全部ノーミスならお釣りが来る理論』と同じ位ガバガバ。再走要求だけは辞めとけ。走者が精神的にやられるか、もう既にやってるかの二択だから。
「っでもよぉ……来れる日は確実に羽丘まで迎えに来てるし、休みの日はほぼ確実に会ってるし、二人っきりだと……そのっ……あんなことやこんなことばっかしてるしっ!」
「まて巴。まるで見てきたかのように言うな。そこまでヤってない」
「『そこまで』って事は、ヤってるのはヤってるってことだろ!」
揚げ足取られた。不覚。
まさか巴に一本取られてしまうとは思ってもみなかった。猪突猛進な面もあるが、意外と頭が回ったりするのだ。
しかし、それでもまだまだウブなのか、その表情は些か赤い。何故か知らないが、幼馴染み四人がまだまだ変わらないままと言うのが嬉しい。果てしていつこの反応が見れなくなるか、見ものである。
見れないのに見ものとは、これ如何に。
「まぁ、落ち着け……誰だって好きな人のことは甘やかしたくなるもんだろ?」
「いーや! 時には厳しく接する必要もある! このままだと蘭、亮が居なきゃ生きて行けなくなるぞ! 独り立ちさせるために、ちょっとは離れさせた方がいいはずだ!」
確かに、それはそれで大問題と言えば大問題。永遠を誓うつもりは勿論あるし、一生を掛けて幸せにすると心にも決めている。
しかし、物事には必ず終わりがあるからこそ『物事』なのだ。時の流れが無ければ、万物は存在する価値がない。
俺にも、蘭にも、終わりが存在する。関係では無く、人生の終わりが。
終わるために生きていると言っても、過言では無いのだ、人生というものは。死ぬために、生きている。絶対と言えるものが少ないこの世の、数少ない『絶対』。
俺も、蘭も、『絶対』死ぬ。
「いや、蘭が死ぬまで俺生きてるし」
「愛ぃ!!」
だったら、それを受け入れた上で、蘭よりも長く生きる。そうすれば、蘭の人生から『俺』が居なくなるという事はありえない。
重いと思ってくれても構わないし、自分でも重いと思っている。
それでも、それくらい蘭のことを支えたい。
「いや考えてみろよ。お前だってあこのことは甘やかしたくなるだろ?」
「うぐっ……」
巴にとっての最愛の妹である、あこの名前を出すと、露骨に視線を泳がせる巴。
巴だって、可愛い可愛い妹のためなら、多少折れてでも甘やかしたくなるのだ。実際問題、あこって滅茶苦茶可愛がりたくなる。人懐っこいし、すぐ凄いって喜んでくれるし。
以前それであこの頭を撫でたら、露骨に蘭が不機嫌になったので、蘭の前ではやらないようにしているが。
「た、確かにあこの事はちょっとは甘やかすけど!」
「ちょっと?」
「ちょっと!」
「この前テストの点が良かったからってコンビニのスイーツ千円分も買ってあげてたのも?」
「ちょっとだ!」
「Roseliaに加入してライブ成功させた時に、ファミレスでパフェ食べさせてあげてたのも?」
「ちょっとだ!」
「ダンス部の練習終わりに頭撫でてジュース買ってあげてるのも?」
「ちょっとだ!!」
甘すぎる!
眼帯とマントを着けた雷巡のセリフが脳内に流れる。改二になってエロ方面に成長しなかったのは偉大な判断だったと思う。
もしくは、『あまーーーーーーーーーーいっ!』か? 今をときめく高校生にはどちらの方が通じるんだろうか? どっちも伝わらなさそうだけど。
「時には厳しく言ってやるのも、姉の務めだ! それは分かるだろう?」
「あぁ、分かるよ……だが、俺がずっと蘭のそばに居たがる理由は、別に甘やかしたいってだけじゃない」
俺のセリフに、目を丸くする巴、すぅすぅと気持ち良さそうに寝息を立てる蘭。
寝息を立てて寝られるほど、安心している。この事実が何よりも重要なのだ。
「例えばさ……もしあこに手を出そうとする不届き者が居たとしたら?」
「そりゃあ……こうでこうでこうっ!」
バチを三連続で振り回す巴。そもそもなんでバチ持ってるんだ。
……うん、動きが完全に伝説の勇者の弱攻撃だ。とりあえずバイ〇ルトかためるかザ〇キか会心の一撃のどれか撤廃してくれ。宇宙人の方のピンク玉じゃ勝てねぇ。
と言うか、巴の弱攻撃が早すぎる。バチの先が早すぎて見えない。超人高校生ロボットが振った投げ竿の先端の速度くらいでてそうだ。
つまるところ、殺意ゴリッゴリ。あこに近寄るものは、全て滅する。そんな勢いだ。
「そうだ。蘭を近寄る不届き者から守るために、俺は蘭のそばに居るんだ。蘭だって、俺が居ない時は夜しか寝られない筈なんだ……だから、ちょっとでも一緒に居てやるんだ……寂しさを埋めるために」
「そうか……そんな理由があったのか……確かに、アタシも似たような理由であこと一緒に居るや……」
一応言っておくが、俺は何も間違ったことは言ってない。
大丈夫なのか、巴。将来『ウグイス真理教』みたいな怪しい宗教団体に入信しないかだとか、『これを使うと一ターンに二枚ドローできる』とか言う怪しい壷を買わされないだろうか。
幼馴染みはそこが心配です。
「よしっ! その心意気、しかと見届けた! しっかり蘭の枕を頑張ってくれ!」
「……巴、さっきからうるさい」
「あ、起きた」
何とか巴を言いくるめたところで、先程まで寝息を立てていた蘭が、不機嫌そうにむくりと起き上がる。
普段から声のボリュームが工事現場な巴。興奮したりするとパチ屋の中になる。
パチ屋の中で寝れるぜ! って奴、何人いるんだろ。の〇太とし〇ベヱとカビ〇ンくらいじゃないか?
つまるところ、蘭はパチ屋の中では寝られない、という事だ。
……あれ、なんか違う。
「確かに、パチ屋……じゃない、巴、声でかかったもんな」
「おい今なんて言った?」
「……バチ屋?」
「『ハ』に付いてるの『゚』だったろ!」
「うるさいって言ってるじゃん!」
「「ごめん」」
この後、ご機嫌ナナメな蘭の機嫌を取るのが非常に大変だったことを、ここに示す。最終的には、某動物好きのおっさんを脳裏に浮かべながら撫で殺した。
「……あれ? そもそも蘭って普段から護身用に剣山持ち歩いてなかったか?」
尚、巴が『何かがおかしい』と気付いたのは、この出来事の一週間後の事だった。
ご閲覧ありがとうございます。これでアフグロは全員終わりましたね。次は、一回蘭とのサシ書いて、アフグロ外の人物に行きますかね。
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それでは、また次回。
追記
一万UAありがとうございます。