アークナイツ.Sidestorys Day After Day   作:Thousand.Rex

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やまねこのおかんがえ
早とちりはやめましょう


ある日のロドス

 

「えーと……これで提出するものは終わり、と」

 

バニラは一人、報告書の整理をしていた

基本的には訓練課程の確認とその成果、あとは簡単な体力測定の結果など

特別困るようなものはない、せいぜい教官のしごきが辛いぐらいだ

今日は思ったより早く終わり、提出も終わってしまった

この後どうしようか、ペットの世話でもしようかと考えている所に事は起きた

 

「……ん?」

 

近くから何か聞こえる、誰かの話し声、どこかで聞いた馴染のあるもの

周りを見る、ここはどこだったか、そして気づく

 

「今日、あの人いるのかな」

 

そこは応接室の近くだった、今日はあそこの使用予定はない、ならあの人災がいるかもしれない

 

「一応、挨拶すべきかな……」

 

正直彼のことは苦手だ、どこか飄々としていてさらりと問題発言し、さも当然のように尻を触ってくる、ダメ男の典型例である、にも関わらず先輩二人は彼を信頼している、何故だろう

確かに腕は立つ、頭も回る、そして仲間の命を優先する、相手をすべて屠ることだけ見逃せばオペレーターとしては最高だ

ただ人間性がかみ合わない、あのセクハラに耐えられない、これが正規のオペレーターならドクターかアーミヤ辺りに言えばいい

だが問題がある、彼はロドスに雇われている訳ではない、勝手に来てるのだ

 

「どーして皆何も言わないんですかねー」

 

バニラは一応彼の後輩にあたる、もうBSWを辞めてる人だが

礼儀としてあいさつはしておこうと応接室の扉に近づき

 

「フランカ先輩?」

 

声の主に気づく、聞きなれた声が聞こえる、それと一緒にストレイドの声が小さく聞こえる

なんとなく耳を当て、二人の会話を聞いてみる

 

「――ちょっと――――むう――」

 

「休んでちゃ――――手を動か――」

 

「……?、何してるんだろ」

 

何やら言い合っている、その割には声が小さい、そのまま盗み聞く

 

「――あなたの――――大き――」

 

「悪い――――もうすこ――力をいれて――――」

 

「…………んん?」

 

怪しい気配がする、フランカの声も少し吐息が混じってる気がしなくもない

 

「……こう?」

 

「ぐっ! ……ああ、そんな感じで続けてくれ」

 

どこか困惑しているフランカの声と何かに悶えるストレイドの声

 

「これは、まさか……」

 

個室、男女、二人っきり

 

「せっ…………せっ…………セッ……!」

 

何も起きない、いや、彼が何もしないわけがなく

もしもの可能性が頭をよぎり、体が動く

 

バァン!

 

「センシティブ警察です!! 淫らな行為はお辞めてください!!」

 

「わあっ?!」

 

「あ?なんだそりゃ」

 

扉を思いっきり開く、ドアが派手にぶつかる

その音に驚いたのかフランカが叫ぶ

 

「何よバニラッ?!いきなり大声出して・・」

 

「ってあれ? どういう状況です? これ」

 

「こっちが聞きたい、どうした金ヴルちゃん」

 

だが中では不祥事など行われてはなく、それとはまた別の奇妙な状況だった

 

「いや、その……これは、どうしたんです?」

 

「どうしたって……なにがよ」

 

「先輩、どうしてストレイドさんの背中に乗ってるんですか?」

 

何故かフランカがストレイドの上に乗っていた

 

「見てわからんか、この由緒正しき肩揉まれの体制を」

 

「肩もみでは」

 

「俺は揉まれてる側だから揉まれが正しい」

 

ストレイドはソファの上で腕を組んでうつ伏せになり伸びている

その背にフランカが跨る形で乗っている、そして肩のあたりに手をあてている

 

「何故こんなことに?」

 

「別に、なんだか辛そうにしてたから揉んであげましょうかって言ったのよ」

 

「で、お言葉に甘えた」

 

言いながら手に力を籠める、体重を乗せて肩のツボに手のひらを押し付ける

 

「おー、これぐらいがいいなあ……」

 

「ふっ!……ぐぅ……んっ!」

 

「ぐお……むう…………ふぅ」

 

フランカの体が揺れる度ストレイドが悶えている、気持ちいいらしい

 

「あー……リンクスだと力が足りねえから新鮮だなー」

 

「ねえ、ちょっと凝り過ぎよ、あなた」

 

「仕方ねえだろ。ここにいない時は俺は一人なんだよ。肩もみはおろか肩叩きもしてもらえない」

 

「まったく、ならもう少し頻繁に来なさい」

 

「なんだ、会いたいか」

 

「そういうことじゃないわよ」

 

「仲のよろしい事で」

 

どうやら杞憂で済んだらしい、早とちりはよくない、なんとなく扉を閉める

何だか拍子抜けしてしまい空いてるソファに座る、そうしてなんとなく眺めている

 

「……ふう、これぐらいでいいでしょ」

 

「ああ、随分軽くなった。やはり持つべきは可愛い後輩か」

 

「気持ち悪いこと言わないで、寒気がする」

 

「照れるなよ、もっと可愛く見えちまうぜ」

 

「…………ホント、仲いいですね」

 

終わったらしく肩をぐるぐる回しながら立ち上がる、入れ替わるようにフランカが彼のいた所に座る

結構満足げな顔をしていた、和むようなそんな顔、この人でもそういう事があるのか

 

余談だが鳥は肩のあたりをマッサージされるのが意外と好きらしい、小鳥を飼っている人はくすぐるような感じで揉んであげよう、気持ちいいと軽く鳴いて知らせてくれる

 

「いやしかし、かなり楽になった、何か礼でもしてやるかね」

 

「いいわよ別に」

 

「まあまあ、一宿一飯の恩とかいうだろ。何かやらせてくれ」

 

「……別にやってもらうような事、ないのよね」

 

「む、そうか……ああならこうしよう」

 

そういってフランカの肩に触る

 

「なによ」

 

「別に、同じことをやり返してやるだけだ」

 

「……肩、揉んでくれるって事?」

 

「そ、ほら横になるといい」

 

手をワキワキさせながら言う

 

「……あなたに、体を預けろと」

 

「なんだ、不安か」

 

「そうに決まってるでしょ。肩をもむと見せかけて胸とか揉むつもりでしょ」

 

「しねえよ、純粋なお返しのつもりだ、これは」

 

変わらずワキワキさせながら言う、信用させる気ないだろ

だがまあわざわざ口で言ったということはホントなのだろう、彼女もそう考えたのか

 

「ホントにしない?」

 

「しないしない」

 

「乱暴しない?」

 

「ダイジョブダイジョブ」

 

「……急に盛ったりとか……しない?」

 

「しつけーな、平気だって」

 

何度か確認を取り

 

「そう、なら、えっと……ストレイド」

 

「ん?」

 

「その、優しく……して、ね?」

 

バァン!

 

「しゃっ! しゃんP!! 駄目!! 絶対!!」

 

「きゃあっ?!」

 

「またか」

 

「わたしを混ぜないでください」

 

今度はジェシカが扉をブチ破ってきた

 

「不誠実です!! ちゃんと心に決めた人と二人……きり……で……?」

 

「その? は俺のだよ、ジェシカ」

 

「あなたもどうしたの、そんな慌てて」

 

「ジェシカ先輩、その気持ち、お察しします」

 

反動が残った扉が戻っていく、綺麗に閉まる

どうやらバニラと同じ勘違いをしたらしい

 

「すいません、早とちりでした……」

 

「別に、怒るような事じゃない」

 

「逆に何と勘違いしたのよ」

 

「…………逆に何故勘違いした理由がわからないんですか」

 

「「?」」

 

二人そろって?を浮かべる、もういいや

 

さらに余談だが鴉は一度番いを決めた場合他の鴉に目を向けることはまずない、どこかの誰かと違って誠実です、ヤッタネ

 

「まあいいか、じゃ、そこに横になれ」

 

「はいはい、まあ見張りがいるし平気よね」

 

「あの、これは何をやろうとしてるの?バニラちゃん」

 

「肩もみです、ただの肩もみです、はい」

 

「肩もみ?」

 

「経緯を話すのが面倒なので聞かないでください」

 

「そう?ならまあ、いいや」

 

ジェシカがバニラの隣に座る、フランカは先ほどストレイドが座っていたように横になる

 

「……むう」

 

「どうした、微妙な顔して」

 

「いや、さっきまであなた、ここに寝てたなって思って」

 

「それがどうした」

 

「あなたの匂いと温もりが残っているのに気がついちゃって」

 

「やめろよ、興奮するだろ」

 

「私の妄言だったわ、忘れてちょうだい」

 

ストレイドが近くに立ち袖をまくる、そしてフランカの肩に手を伸ばす

 

「これぐらいでいいか、力加減」

 

「……ん、もう少し強くていい」

 

「あいよ、じゃあこうか」

 

「……ええ……それぐらいで」

 

フランカの声が少しくぐもってる、結構上手いのか

バニラとジェシカはその様子を二人で見守る

 

「んー、おらっ」

 

「……く、うん…………」

 

「「…………」」

 

何も言わずに見守る

 

「よいしょ」

 

「……はぁ……んく……あ……」

 

「「…………」」

 

とりあえず見守る

 

「ふんっ」

 

「……はぁ……ん……うぅん……はぅ…………」

 

「「…………」」

 

 

 

「てい」

 

「はぁ……んっ!」

 

「「!?」」

 

なんかエロい声でてきた

 

「ちょちょちょちょ!!ストレイドさん?!何をしておいでで?」

 

「ん?いや、肩揉んでるだけだが」

 

「へ?え?フランカ先輩?」

 

二人でストレイドを止めにかかる、だが彼は特別何もしてない、見ている限り本当に肩をもんでただけだ

意味が解らない、何があったのかフランカの様子を見る

 

「先輩、なにが――」

 

「……あ……もう、おわり……?」

 

「先、ぱい……?」

 

状況に気づいたのかフランカがこちらを向く、だがおかしい

 

「どうしたんです?」

「……ん、ストレイド……まって」

 

なにやら呂律が回ってない、それどころか動きが鈍い

 

「どうした、様子がおかしいが」

 

「……ストレイド、もっと……」

 

「あん?」

 

「もっとぉ……してぇ…………」

 

その目は恍惚としており表情は蕩けている

 

「え? え? 何したんです!?」

 

「いや、肩もみをだな」

 

「どうやって!?」

 

「こうやって」

 

そう言って揉んでいたであろう手を見せる

握りこぶし、親指だけ立てている

 

「指圧でグイッと」

 

「え、それだけ?」

 

「それだけ」

 

「まってぇ……もっと気持ちよくさせてぇ…………」

 

フランカがストレイドの腕を掴み縋りつく、ご執心らしい

 

「……これは、中断した方がいいな」

 

「え、あ、はい、そうですね」

 

「そしてベッドルームにゴーだ」

 

「駄目です!!」

 

状況がわからない、さすがに嘘をついてるようには見えない

どうすればいいのか慌てていると

 

「そういやあいつもこうなったな、腰が砕けて立てないとか言ってたっけ」

 

「え? 誰がです?」

 

「リスカム」

 

直後、ノックが響く

 

「ストレイドー」

 

「失礼します、ドクターが呼んでいました……ん?」

 

リンクスとリスカムが入ってくる

 

「おお、丁度いい、フランカを剥がしてくれ」

 

「あれ?フランカどうしたの?」

 

「いやその、なんだか変なことになってて・・・!」

 

「いかないでぇ……もんでよぅ……せつないの……」

 

「あわわわわ……!」

 

「…………これは」

 

状況を理解したのかリスカムがストレイドのもとに行く

 

「あなた、さっき何をしました」

 

「いや、肩もみをだな」

 

「……肩もみ、どうやって」

 

「こうやって」

 

先ほどのように指を立て、ひっついてるフランカの肩を押す

 

「あぁんっ!」

 

「こんな感じ」

 

「……なんてことです」

 

頭に手をあて困った顔をする、心当たりがあるらしい

 

「……私、前に言いましたよね」

 

「何を」

 

「マッサージの類をあなたはしていけないと」

 

「あ?…………ああ、言ってたな、そういや」

 

「え、どういうことです」

 

「リスカム先輩、何が起きているんですか?」

 

リスカムが未だ夢心地のフランカを剥がして肩に担ぐ

 

「彼女は医務室に連れていきます。ジェシカ、一応付いて来てください」

 

「え? は、はい」

 

「俺はどうする」

 

「あなたは何もせずドクターのもとに、呼ばれていました」

 

「……まあいいか。じゃ、フランカは頼んだ」

 

「頼まれました」

 

リスカム、フランカ、ジェシカ、ストレイドが消える

残されたのはバニラと、リンクス

 

「……え?」

 

「あっ、そういうことか」

 

「何が?」

 

一人事態を理解したリンクスに答えを聞いてみる

 

曰く、彼はリスカムからマッサージの類を禁止されていること

なんでも彼の特殊な体術の癖が影響して指圧など一点に集中する力の入れ方に特化してるらしく、そのせいで恐ろしい腕前になっているとか

過去にロドスでリスカムがやってもらった時、同じように動けなくなったとか

この御業に関してストレイドの知人からこう名付けられている

 

ゴッドフィンガー

 

それはあらゆる肉体を快楽に導く神を冠する秘術

これの持主は、大体自覚がない




『デトロ!!開けろイト市警だ!!』

本来の元ネタです、そしてそのまま早とちりを続けて毎度おなじみリスカムブローで終わらせるつもりでした、ですがその時とある声が私のPS4から流れてきたんです

『ゴオオォォォォッドオォォフィン○アァァァァァァァァ!!』


偶然って恐ろしい

ちなみに事実上の一発目かつサブタイトルがサブタイトルなのにリンクスが最後にしかいないという状況ですが

これはこんな感じのお話ばかりです、下ネタばかりじゃないことを祈ってください



どうでもいい話を一つ、私、BSWの面子で話を書いていますよね
なら、BSWのキャラが好き、という結論に至りますよね、ええ四人とも性格が面白いので好きです
じゃあ、どのキャラが一番好き?と聞かれてどう答えるか









ナイトメアです

グロリアではありません、ナイトメアです

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