アークナイツ.Sidestorys Day After Day   作:Thousand.Rex

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にゃんにゃんはしない


にゃん にゃん にゃん

「~~~~♪」

 

ロドス・アイランド、訓練室

 

「「…………」」

 

鼻歌交じりに的に向かって乱射する一匹の猫

 

それを眺める二人の人影

 

「あの、あの子、どうしたんですか?」

「いえ、私に聞かれても……」

 

アドナキエルとジェシカが、声を小さくして話していた

 

特段なんという日ではない、普段通りの日常

強いて言うなら彼女の誕生日という事ぐらいしか二人の脳裏には浮かんでいない

それで機嫌が良いのか、説明こそつく、出来るのだ

 

「プレゼント渡したんですか?」

「はい、お菓子ですけど……」

 

だが、それではどうにも説明がつかない

彼女は既に数人からプレゼントを貰っている

親しい者からその手の祝い事を忘れぬ者まであらゆる人から貰っている

そして彼らも皆、同じように首を傾げた

 

機嫌が良すぎる、と

 

「あの、渡す前からああ、なんですよね?」

「はい……朝からずっと、あんな感じなんです」

 

祝ってもらえたから機嫌が良い、という現金な思想は彼女にはない

ならば誕生日を迎えたからご機嫌なのか? という疑問も出るが恐らく違う

そうであるならいつかのように言いふらしているはずなのだ、自分の誕生日だと

あの日の彼女もご機嫌の高みにいっていた

だが今回は違う、どうにも違和感がある、先日のような事象なら同じように言いふらしているはず

なのに今回はしていないのだ、誕生日だとは一言も話していない

同じような日に同じ行動をしていない、にも関わらずあの日以上に機嫌が良い

 

「……何があったんでしょうか」

「さあ……」

 

噂の主は今、スピンコックの応用で五連射に勤しんでいる、もはや人にできる限界を超えている気がする

 

「失礼します……おや?」

「あ、先輩」

「リスカムさん、どうもこんにちは」

「こんにちは、二人共どうしたんですか?」

 

超人的な技を二人で眺めているとリスカムが訓練室にやってきた

入るなりこそこそ話している二人に気づき話しかける

 

「何を見てるんです?」

「いや、リンクスちゃんが、ですね……」

「なにやら機嫌が良いんですよ」

 

言われて彼女も気づいたらしく、いつ弾込めしてるのかわからない勢いで連射しているリンクスに視線を向ける、持っている銃はハンドスピナーよろしく高速回転している

 

「まあ、確かにいつもより多く回ってますが」

「何か心当たりはありませんか?」

「……気にすることですか?」

「そうですけど……ほら、気になりませんか?」

「気にはしますが、なら聞けばいいでしょう」

「その、わざわざ聞くのもあれかな~って――」

「それもそうですね」

「え? ちょ、アドナキエルさん?」

 

リスカムの提案に躊躇うジェシカを余所に一人聞きに行くアドナキエル

特別失礼な行為ではない、ただジェシカには少々苦手な事だったのかもしれない

それとは対照的に動いたアドナキエル、その行動原理は興味か好機か、彼のみぞ知る

 

「やあ、リンクスちゃん」

「ん? アドナキエル、どうしたの?」

「いえ、少し気になることがありまして」

「わたし?」

「ええ、今日は随分、調子がいいようなので」

 

アドナキエルが彼女が使用していた的に目を向ける

人の形を模したそれには弾痕が残されていた、頭部に一か所だけ

 

「どうしたんです? 何かありましたか?」

 

彼女の腕前を考えると何故そんな痕跡なのか、疑う理由はないだろう

特別触れずに議題を口にする、それに対しリンクスは

 

「ううん、なんでもないよ!」

 

満面の笑みで答えてくる

 

「そうですか、それは良かった」

「うん!」

 

その返答を受け、特に追及することなく会話を終えてジェシカ達の元に戻ってくるアドナキエル

果たして彼が得た答えとは

 

「これはお手上げですね」

「「…………」」

 

諦めだった

 

「あの、もう少し聞こうとはしないので?」

「流石に根掘り葉掘り聞くのはどうかと思いまして。それに理由は何であれ、あんな笑顔を見せてくれるならきっといいことなんでしょう」

「……そう、なんですかね」

「間違いではないですが……」

 

そのままアドナキエルは自分の使っていた的へと戻っていく

どうやら彼の中では解決したらしい

 

「……サンクタの人達って、何を考えてるかわからないです」

「同意はしますが、誰も彼もああではないでしょう」

「……エクシアさんは?」

「戦闘中にアップルパイと叫ぶ以外は、楽しい人です」

「エグゼキュターさん」

「彼は至って真面目な人です。暗い雰囲気こそありますが」

「アンブリエルさん」

「多少フワフワしてますが、年相応の無邪気な人です」

「モスティマさん」

「…………ノーコメント」

「ストレイドさん」

「いつか神罰が下ればいい」

「…………」

 

辛辣な一言の後、角を明滅させる先輩を見て押し黙るジェシカ

恨みはまだ募ったままらしい

そしてふと、ひらめきがジェシカに訪れる

 

「あ、もしかしてストレイドさんがらみじゃありませんか?」

「何がです」

「リンクスちゃんの機嫌が良いのって」

 

ストレイドの名を出しようやく可能性に行きつく

確かに彼女が機嫌が良い時は彼が大体関与している

先日もなにやらチョコをくれたとかで大喜びしていた

ならば今回も同じ理由だろうか、例えば彼からプレゼントを貰った、とか

 

「リンクスちゃん、ホントにストレイドさんのこと好きですよね~」

 

頬に手をあて我が子を見守るように微笑むジェシカ、慈愛とはこれを言うのだろう

 

「…………」

 

だがそれとは逆に押し黙るリスカム

 

「どうしたんですか?」

 

それに気づき、問いてみる

 

「……今日、応接室は使用予定があるんです」

「はい」

「確かであれば、午前午後の両方で」

「はい」

「そういう時は、彼は決まって訪れません」

「はい」

「……なら、プレゼント自体は贈られている可能性は低い」

「……はい……?」

「…………リンクスは、知らない、かも……」

「…………?」

「……あー、うん、えー……」

 

何かの答えに行きついたのか、一人、苦い顔をするリスカム

 

「ジェシカ、私はこれで失礼します」

「?…………はい、お疲れ様です」

 

そのまま早足で訓練室から出ていくリスカム

先ほど来たばかりで出ていった事に多少の疑問を覚えつつも思考をリンクスに戻す

現時点で彼女の有頂天に疑問を持つのはジェシカ一人になってしまった

別に必要性のあることではないが気になることは気になる

 

「ねえねえリンクスちゃん」

「なあに? ジェシカ?」

 

好機に負けて聞いてみる

 

「今日、何か良いことでもあったの?」

「ううん、無いよ!」

「それにしては、絶好調だけど」

「ん? 気のせいだよ」

「そう? ああそうだ」

 

そして確信を得ることになる

 

「ストレイドさんからは、何を貰ったの?」

「まだ貰ってないよ」

 

………………

 

「と、いう事で」

 

「第一回! リンクスを悲しませないでどうやったら真実を隠したまま喜ばせられるか作戦会議を始めます!!」

 

「長い長い」

 

リスカムの長い開始宣言のもと始まった作戦会議

この場に集まっているのは五人

リスカム、フランカ、ジェシカ、ブレイズ、ドクターである

 

「まあ誕生日を祝ってもらえないのは悲しいよねー。わかるよー私」

「ブレイズは立場が立場だからな、仕方がないさ」

「エリート同士じゃないとダメって制約厳しすぎない?」

「私に言われても困る。決めたのは――」

「ケルシー先生と、昔のドクター君だね」

「……すまない」

 

ちなみにCEOはこの状況には気づいていない

一つの部屋に男一人女性四人、ドクターの明日はどうなるのか

それは置いといて

 

「リスカム、ストレイドは来てないのよね」

「はい、現時点では来訪は確認できていません」

「……そう、すでに時計は三時を回っているわ。厳しいわね……」

「ああ……リンクスちゃん、可哀想に……」

「ドクター君、この様子を見てどう思う?」

「とても微笑ましい、一人の少女の為にここまで動けるとは……感動した」

「そうだよねー、リンクスちゃんは愛されてるなー」

 

かくして集った戦士たちは状況の確認を始める

 

一、時刻は絶対、彼が来訪する可能性に縋ることは許されぬ

 

二、笑顔は絶対、命を賭して守り、輝きを曇らせぬ事に魂を燃やせ

 

三、秘密は絶対、一時の羞恥はよい、だが手段を選ばず必ず秘匿せよ

 

「以上です」

「ええ、とても大切よ」

「はい! 特に二つめが大事です!」

「だそうだ、ブレイズ」

「うんうん、良い心掛けだね!」

「まったくだ」

 

この作戦行動における重点は、いかに彼女に悟られずに騙すかの一点に尽きる

元々リンクスは聡い、とても幼い子供とは思えないほど頭が回る

それは即ち、この作戦の成功率の低さを同時に表していることになる

 

「騙して悪いがは好きではありませんが、これも全て彼女の為……」

「ええ、あの子の笑顔、踏みにじらせはしないわ!」

「ストレイドさん、あなたの名を騙ること、卑怯とは言いませんね」

「これで失敗して、結局何も出来なかった―、ってことにならなきゃいいけどねー」

「だが、この熱意が、善意が、彼女を活かす……」

 

だがそれは彼女達には関係ないのかもしれない、各々が闘志に燃えている

これはそれだけ愛情を向けられているという証拠でもあるのだが

 

「ではまず、大体の目標から考えましょう」

「ええ、といっても答えは簡単、彼に代わって贈り物をするだけよ」

「はい、そしてストレイドさんからという名目で渡す、実にシンプルです」

「で、事の経緯を後で話して、ストレイド君に口裏を合わせてもらう、と」

「ああ、それで解決はするだろう。口に出すだけなら簡単だ、問題は……」

「あの子の、周囲への洞察力です」

 

リスカムの言葉に全員が頭を抱えだす

そう、リンクスは元々周りをよく見ている

狙撃手として育てられたのもある、もとよりその手の素質が高かったのもある

彼女は周囲の細かい変化を見逃さない、それはこれまでの関わりではっきりしている

ならばそれにどう対応するか、それが一番の問題である

 

「こうして動き出している以上、我々は自然体で彼女に接することは出来ません」

「そうね、あの子の事だから不自然に思って聞いてくるわ」

「答えにこそ行きつくことはないでしょうが、勘繰られることは確かです」

「……難しいな」

 

この場にいる面子は‘彼女を騙す‘という前提で動くことになる

その思想がある以上、必ず行動に微かな齟齬が出るだろう、それは一流のペテン師でさえも完全に消しきることの出来ない小さなミス

本来なら気にも留めずにスルーするだろう、だが彼女は違う、気づくのだ

このロドスで一二を争う無邪気さを見せつけてきながら獰猛な獣のように視線を配る

それがリンクスという少女、この戦いは最初から下り坂なのだ

 

「まず私達、あの子が何を欲しいか知らないよ?」

 

そしてもう一つの問題、リンクスが何を欲しがっているか

この場にいるものは皆、思い思いの物を渡した後の人物だ

そんな人がいきなり対象に何が欲しいか聞けばまず気づかれる

 

『どうしてそんな事を聞くの?』

 

きょとんとした顔で聞いてくる様が各自の脳裏に浮かぶ、そんな顔を見せられて平気な表情は決してできないだろう

 

だがここで自慢げにリスカムが動く

 

「その点に関しては問題ありません、手は打ちました」

 

お~! という歓声が周りで上がる

そしてリスカムは指を鳴らしとある人物を呼びつける

 

「バニラ! 出番です!」

 

ガチャ

 

「あの、これは何の集まりで?」

 

一人のヴイーヴルが入ってくる

手段とは彼女の事、バニラに聞きに行ってもらうという事だ

 

「ええ、これなら行けるわ」

「リンクスも流石にバニラに警戒はしないでしょう」

「そうですね、もう変な人認定されてますから」

「……傷つくなー」

 

バニラに碌に事情説明はせず、ただ聞きに行ってもらうという事

事前に自分たちの存在は伏せろと言い聞かせたうえでやれば怪しまれることはない

何よりリンクスの中ではバニラはもう『変なペットを飼ってるおかしな人』状態なのだ

仮に怪しまれても、まあいいか、で済む可能性が大きい

 

「ではバニラ、報告を」

 

そして行動は、すでに終わっている

 

「……リンクスちゃんの、欲しいものですよね?」

「はい、何と言われましたか」

「…………」

「バニラ? どうしたの?」

「難しい物だったの?」

 

周囲の熱い視線に何とも言えない困り顔で接するバニラ

一言、彼女が漏らす

 

「……って」

「え?」

「…いって」

「はい?」

「無いって、言われましたが」

「……なんと?」

「いや、だから、無いって」

 

「「「…………」」」

 

「……無い、そうです」

 

「「「はああああああああああ!?」」」

 

「うわ、うるさい……」

「うーん……これは想定外だね」

「これでは動くに動けないな」

 

だがその報告はもれなく希望を打ち砕いたのだった

 

「バニラ! ちゃんと聞いたのよね!」

「聞きましたよ」

「そんな……そんな訳が……」

「え? でもまだ貰ってないって言ってましたし……」

 

あまりの予想外な展開に動揺を隠せない三人

そこに、来訪者が訪れる

 

「あれ? みんな、なにしてるの?」

「「「ギクゥ!!」」」

 

リンクス本人がやってくる

 

「どうしたのリンクスちゃん、ここは今会議中だよ?」

 

ブレイズが適当な言い訳で対応する

 

「あ、ごめんなさい。バニラが変な事を聞いてきたから気になっちゃって……後をつけてきたの」

「ああ、うん、そうだよね」

「「「…………」」」

「策士、策に溺れるとはこういう事か」

 

一人上手いことを言っているドクター

その男にリンクスが視線を向ける

 

「あ、ドクタードクター、ちょっといい?」

「ん? ああ、なんだ?」

 

「レッドさんって、いま会える?」

 

………………………………

 

「こんにちはー! ケルシーせんせー!」

「ああ、リンクスか」

「「「…………」」」

「すまないな、いきなり大所帯で押しかけて」

「……君もいるのか」

 

 

一同はリンクスに続いてケルシーのラボに来ていた

そこには自身のデスクで何かの書類と睨めっこしているケルシーと

 

「……ん」

 

近くの椅子で足をブラブラしながら暇を持て余している狼がいた

 

「レッドさん、こんにちはー!」

「リンクス、こんにちは」

 

特段警戒することもなくレッドに近づき抱き着くリンクス

 

「……親しいの?」

「ううん? あんまし話さないよ?」

「リンクス、滅多にここ来ない」

 

尻尾を立てながらレッドに抱き着いているリンクスに疑問を抱きつつ用件を聞く

 

「それで、どうしてここに?」

「あ、それはね?」

 

するとリンクスが離れ、レッドが布に包まれた何かを上着から取り出す

 

「包み、ですか?」

「中身は何です?」

「武器」

「何?」

「凶器」

「いや、言い換えろって事じゃないから」

「……じゃあ、危ない物?」

「……まあ、いいかな、それで」

 

取り出した包みを持ち、リンクスの前でレッドがしゃがむ

 

「リンクス、受け取れ」

「うん」

「でも、ちゃんと聞く、カラス、言ってた。取り回しは、注意」

「はーい」

「……うん、受け取れ」

 

彼女にしては珍しい体制で話すさまを見ながら事の成り行きを見守る

リンクスは受け取るやいなや包みを剥がし中身を取り出す

 

「……ナイフ?」

「そーだよ?」

 

それは専用の鞘に入った、サバイバルナイフだった

 

「……綺麗、ですね」

 

ただその刀身は、碧く輝いている

 

「リンクス、許可は出たから調べさせては貰った」

 

刀身を抜きとり輝きを楽しんでいるリンクスにケルシーが話しかける

 

「とりあえずそれは、ただの源石剣だ。それ以上の何かではない」

「うん、知ってるよ」

「なら、それがどれだけ危険な物かはわかっているな」

「わかってるよ」

「くれぐれもそれで自分を傷つけるようなことはしない事、誤って自身を切ってしまったならすぐに言う事。それは強力な武器であると同時に感染源だ、取り扱いには注意しなさい」

「はーい!」

 

ケルシー曰く、ただの源石剣

碧く輝く短剣は、少々希少な源石を用いただけの剣なのだ

 

「レッドさんに会いに来た理由は、これですか?」

「うん、そーだよー」

 

なぜここに来たのか、その理由はコレらしい

レッドとあまり関わりのないリンクスが急に彼女に会いたいと言った時は驚いた

用件こそわかったがもう一つわからないことがある

 

「あの、そのナイフは何ですか?」

 

これは、何の為の物なのか

 

「えっとね、ストレイドに頼んだプレゼント」

「……彼に、頼んだ、ですか?」

「うん、あんまり話せないんだけどね、これはストレイド経由でしか貰えない物だったの。

本当はもっと長いんだけど……わたしが振るには重いからって言ってサイズを調整したのを用意してくれたの」

「なら、どうしてそれをレッドさんが?」

「当日ここに来れないからって、レッドさんに預けておくから誕生日になったら取りに行けって」

「「「…………」」」

「アフターケアはバッチリ、って事だね」

「ふむ、私も何か、アーミヤに用意すべきか……」

「そうだな、他の女性にうつつを抜かしていないでもっと彼女に注力すべきだ」

「……ケルシー? どうして私の足を踏み抜いているんだ?」

「フン…………」

「あの、結構痛い……」

 

彼が思ったよりもしたたかだったこと、予想外の人脈で手を回していたこと

他にもあるだろう、彼女たちは今、何とも言えない疲労と脱力感に襲われていた

 

「リンクス、ハッピーバースデイ」

「うん、ありがとうレッドさん!」

「……いい子」

「えへへへ……」

 

かくして奇妙な作戦行動は終わりを告げる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、いう訳だ」

 

「わかった、やっておく」

 

「悪いな、赤ずきん」

 

「問題ない、お前が助けた子、待てばいい」

 

「ああ、それで結構。アイツは言われたことは愚直に守るからな、不必要な接触はしないだろうさ」

 

「それは、それで、寂しい」

 

「なんだ、人肌は存外好きか」

 

「うん、リンクス、モフモフしたい」

 

「そうさな……尻尾は毛並みは綺麗だが、触り心地は滑らかな方だった」

 

「……むう」

 

「だがまあ、頭を撫でてみろ、思った以上にモフってる」

 

「楽しみ」

 

「そうかい」

 

「……なあ、カラス」

 

「ん?」

 

「カラス、どうして、リンクスを助けた」

 

「別に、ただの偶然だよ。不条理が重なった結果さ」

 

「そうか」

 

「ああ、偶然だ。俺はそう思っている」

 

「そうか」

 

「だが……そうだな、あの日、俺はきっと見たんだろう」

 

「…………」

 

「酷くか細い、切れてしまいそうなモノだった。

手繰り寄せてしまえばプツリと千切れてしまいそうな、光の糸」

 

「リンクスは、それに、値する」

 

「そうだ、同時にあれは、繋ぐことの出来る糸だった。人によってはよすがにするような、淡く、妖しい光だ」

 

「リンクスは、何者にでもなれた?」

 

「ああ、導き手によってはきっと、聖職者にも、人殺しにもなれただろう。

そして繋いでいただろう、あらゆる者との邂逅を」

 

「それは、可能性の話。今は、違う」

 

「確かにな、赤ずきんの言う通りだ。アイツは正しい位置に座している。その糸を繋げるべきとこに立っている」

 

「お前の、おかげ」

 

「違う、俺じゃない。お前達がやったのさ、お前達、方舟の連中がやったんだ」

 

「…………」

 

「謙遜ではない、俺では正しく導くことは出来なかった。いつかの様に殺していただろう」

 

「だけど、ここに来たのは、お前の意思」

 

「いいや、それも偶然だ。あのタイミングで大騒ぎに巻き込まれてくれたお前達がいたからこうなった」

 

「チェルノボーグ」

 

「よくわかったな、あれがなきゃ、今もアイツは俺の傍にいただろうさ」

 

「……カラス」

 

「なんだ」

 

「SWEEP、来い」

 

「嫌だ」

 

「……そうか」

 

「勘違いはするな。俺は人を大切に思うようなことはしない、今更それは許されない」

 

「なら、どうして助けた」

 

「……なんてことはない、眩しかったのさ」

 

「…………」

 

「あの淡い光が、あの夜、輝いて見えた。ただ一人残ったアイツが」

 

「生き残り、だから」

 

「そうだな、それもあるんだろう。ただ、それだけでは説明できないな、困った困った」

 

「……暖かい、光、だったか?」

 

「……いや、随分寂しい光だった」

 

「…………」

 

「とても細く、儚い、それでも、暗い荒野で月明かりよりも眩しく光っていた」

 

「その光が、何者だとしても?」

 

「その光が、たとえ未熟なモノだとしても」

 

 

 

「あれは正しく、月光だった」

 

 

 




ブレイズさんの第二スキルを特化三にしました

うん、それだけです、はい

ところでハーメルンの機能なんですけど
いつの間にゆかりさんが音読する機能が付いたんで?
懐かしのCOMボイスが頭をよぎる、良い声です

後ブルアカやったんですよ、ちょっぴり
思った以上にDivisionしてた
そして盾持ちのキャラがいつかの私を彷彿させる(D3-FNCで遊んでた人)
2だと脆くなったからなぁ……盾
でもリスカムみたいに盾と銃火器の人を見るたびまた盾を持ちたくなる


ホシノがほしいの
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