なるべく田中くんワールドを崩さずに昇華していきたいです。
温かく見守ってくださると幸いです。
静かな朝。
さえずりを奏でる小鳥。
ふわふわと揺れるカーテン。
外の木から落ちる木漏れ日。
最高に気持ちの良い布団と毛布。
「……そっか、ここが天国。とうとう俺の人生終わったんだ……」
「終わってないわよ、お兄ちゃん」
「……ああ、莉乃。ここはいい所だよ」
妹の莉乃の顔がぼんやりと見える。俺とよく似ている。
「死んでもいないのに勧誘しないでよ。ほら、起きてっ」
今まで俺を満たしてくれていた天国が一変、冷たい場所になってしまった。ここが地獄か。
「ほら、朝ご飯冷めちゃう」
「……莉乃、布団回収はやめて」
「だめ、お兄ちゃん起きないもん」
目きちんと開くと俺は床に落ちていた。莉乃が布団を引っ張ったせいで落ちたんだろう。
「ホットココア入れてあげるから」
「ん、ありがと」
妹に手を引かれる兄というのはどうかと思ったけど、気にしてもどうにもならないからいいか。
「はい、ホットココア」
テーブルに座ると俺を連れ出した餌のホットココアが置かれる。
「おのれ……次は負けない」
今は三月の終わり。日差しは温かくても空気は少しひんやりとしている。そんなときにホットココアなんて出されると動かざるを得ない。
「お兄ちゃんもうすぐ二年生でしょ。しっかりしないと」
「莉乃はもうすぐ高校生だけど、昔からしっかりしてるよね。えらいえらい」
「……ふふっ」
莉乃は昔から俺の面倒をよく見てくれているしっかり者。褒められるのには弱かったりする。
「四月から高校かぁ。早夜と高校離れちゃった」
「莉乃なら新しい友だちすぐできるよ」
「ちなみに太田さんも急な転校とかないの?」
「八つ当たりしないで」
太田というのは俺の親友にして嫁(予定)。
「ていうかそれだと早夜ちゃんも遠くに行っちゃうよ?」
早夜はそいつの妹。二人も親友らしい。
「うっ。それは思いつかなかった」
抜けている所はやっぱり兄妹なんだと思う。
次の日
「おはよ、太田」
「おお、久しぶりだな田中。元気だったか?」
校門前で大木の様な男と出会う。俺の以下略。
「まあまあ」
「この時期は気候も安定していてとても過ごしやすいが、風邪にかかると治りにくいからな。気をつけるんだぞ」
太田はいつも俺の事を気にかけてくれる。はやく嫁に来てくれないだろうか。
校門をくぐったところで予鈴のチャイムが鳴った。
「っ! まずい、急ぐぞ田中!」
急ぐぞと言いながら、俺はすでに太田の脇に抱えられている。ああ、まじさいこう……。
「……だれもいないね」
「ああ、今日が土曜日や日曜ではないということは確かだが……」
太田タクシーのおかげで本鈴には間に合ったと思ったけど、いざ教室を開けて見ればそこには生徒の姿はなかった。あるのは綺麗に整えられた机だけ。
「どういうことだろう?」
「うーむ、これは……あ、そういうことか!」
「なにかわかったの?」
急に手を打つ友人に驚きながらも聞いてみる。説明してもらおうじゃないか、この難事件の真相を。
「俺たちは今日から二年生になったんだ」
「ああ、そういえばそうだね」
「ということはクラスは変わっているはずなんだ。そして一年は登校日が違うんだ。」
「…………あ」
そして肝心の二年のクラスでは俺と太田は別々になった。
莉乃の八つ当たり恐るべし。
小説を書くときはずっと詰めて書いていたので空白行の使い方がおかしいかもしれません。
おや? と思ったら是非教えてください。よろしくお願いします。