田中くんはけだるげをやめない   作:早見瞬

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お久しぶりです。なんやかんややっていたら一ヶ月も空いてしまいました。だれだよすぐに終わらせるって言ったの。


今回はキレが悪かったので二話連続更新です。僕の筆の弱さがよく分かる回です。


田中くんの推理ミス

「で、来てしまったわけだが」

「そうだね。どうしようか」

 俺たちは担任の脅迫、もといお願いにより教えられた白石さんの家まで来ていた。そして立ち尽くしていた。

「どうしたもんかなぁ」

「こういうのって太田慣れてるんじゃないの? 女の子の友だち多そうだし」

「いやいや、話す間柄は多いが家まで行くような仲は流石に越前くらいなもんだ。しかも中学の頃までだ」

 理由はいたって単純。二人とも女子の家のインターホンを鳴らすという、男子にとってはかなり勇気が求められる状況だからだ。

 

 

「しかし頼まれたのはお前なんだしここは責任を発揮するところじゃないか?」

「なに言ってんのさ。俺に責任感なんてあるわけないじゃん。それに太田の方が多少なり慣れはあるんだからここは太田の方が……!」 

 二人して押し付け合いをしてかれこれ何分経過しただろう。

「仕方ない、このままでは埒があかない。あまり時間をかけすぎて夕飯の準備の時間に割り込んだら申し訳ないしない」

「そうだね。じゃあじゃんけんでいこうか」

 太田の気づかい所が白石さんではなく、母親だということは置いといて。

「じゃあいくぞ」

「「じゃーんけーん」」

 

「あら、お客さま?」

 

 雌雄を決する戦いに声が割り込む。二人で声の方向をみると、そこには一人の女性が立っていた。

「えっと……?」

「その制服うちの子と同じ高校よね? うちになにか用なのかしら?」

「あ、はいそうです。大田と言います。こっちは田中。白石さんの友だちで今日はプリントを届けに来ました」

 やっぱり白石さんのお母さんだった。ゆるっとふわっとした雰囲気がどことなく彼女を彷彿とさせる。

 ていうかやっぱり慣れてるじゃん。

 

 

「わざわざありがとう。そうだ、せっかくだから上がっていって」

 優しくお茶を勧めてくれる白石ママ。

 けど白石さんは風邪を引いているわけだし、そこに上がり込むというのはさすがに気が引ける。決して白石さんに会う覚悟ができていないとかそんなんじゃない。

 大田も同じことを考えていたのかパチリと目が合う。

「せっかくですが、白石さんも病気ですし……」

「ちなみに昨日作ったケーキがたくさんあるのだけれど」

「おじゃまします!」

「太田……」

 お菓子を出されたらこいつはもうだめだ。

 

 

「おじゃまします」

「はい、どうぞ」

「た、田中くん!?太田くん!?」

「あ、白石さん。おじゃまします」

 靴を脱いだところで、2階から降りてきた白石さんと出くわす。

 ゆったりとしたパジャマを着る彼女はいつもとちがう華やかさと柔らかい雰囲気が溢れていた。

「あなたのために来てくれたのよ」

「へ!?」

 なんか致命的に言葉が足りてない気がする。

 ていうかもしかしてあまり怒ってない? いや油断するな、俺はこいうところでハズレを引くタイプだ。

「あの、俺たちプリントを届けに来ただけなんですけど」

「ていうか私寝間着! 着替えてくる!」

 要件を聞かずに二階へパタパタと上がっていく白石さん。

「そそっかしい子ね。じゃあリビングに行きましょ」

 

 

「あ、トイレ借りてもいいですか?」

 プリントを渡してそのまま帰るつもりだったから、我慢していたのをすっかり忘れていた。少し恥ずかしさはあるけど、ここでやらかすのは人として死ねる。

「いいわよ。一階のは壊れているから、二階のを使ってね。場所も見れば分かると思うわ」

「ついでに白石にプリントを渡してきたらどうだ? ここまできて渡すのを忘れたなんてあったら俺たちはケーキ食べただけになってしまう」

「それもそうだね。じゃあすいません、ちょっと行ってきます」

 

 

「ふう、すっきり」

 二階に上がるとすぐにトイレの場所はすぐ見つかり、惨事に至ることはなかった。至ったら死ぬ。

「白石さんの部屋は、ここかな」

 ドアに飾られたプレートは名前はないけど、とても可愛らしくていかにも白石さんって感じだ。そのとなりにはなんの変哲もないドアが一つ。きっとお父さんかお母さんの部屋なのだろう。あるいは両方か。

「白石さん、田中だけど今大丈夫?」

『田中くん!? ちょ、ちょっとまってね!』

 あまりドアの近くに立ってると危ないのですこし離れていよう。となりのドアくらいまで下がれば十分だろう。

「お、おまたせ!」

「っ!?」

 勢いよくドアが開いた。俺の後ろから。

 

 

「ほ、ほんとにごめんね! 大丈夫?」

「いや、あんなところに立ってた俺が悪いから……」

 彼女の部屋にあげてもらい応急処置を受ける。ドアがぶつかった後頭部と、こけた拍子にぶつけたおでこの二カ所だ。

「お母さん、けっこうメルヘンな趣味なんだね」

「なんか、かわいいものならなんでもって感じなの。ごめんね、誤解させちゃって」

「もういいよ。それより白石さん、風邪はいいの?」

 彼女からは病気という印象を受けなかった。

「へあ!? う、うん!一日寝たら良くなっちゃった!」

 この焦りよう。やっぱりそうなのか。

「まあ俺も莉乃がいなきゃ毎日やるだろうしなぁ」

「? なんのこと?」

「ううん、きにしないで」

 日頃頑張ってるんだからたまにはしても良いと思う。ずる休み。

 




もう新キャラは出さないつもりでしたが、白石ママは都合上仕方なかったんです……。
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