待ってくれていた方、更新を止めてから読みに来てくださった方
たいっっっっへんっっっっお待たせしました!
今年からまた更新していきますのでどうぞよろしくお願いします。
結局、あれから白石さんはホテルに戻ってからもプリプリしぱなしだった。
ご飯の時に大盛りのいくらが出てきた時には子どもの様な瞳になって、俺の分もあげると、口をほころばせていたので、そう長くは続かないと思いたい。
怒ってはいるけれど、嬉しいことは素直に喜びたい。そんな二極の感情で戸惑う彼女は見ているだけで心が癒やされた。まあ怒らせたのは俺でしかも理由の見当が付いてないんだけど。
「ていうか、どんだけ白石さんのこと考えてるのさ……」
怒った顔も喜んだ顔も頭から離れない。
『認めましたね?』
昨日の宮野さんの言葉が離れない。宮野ほんとうるさい。まじでうるさい。
その通りだよ。そうじゃなかったらこの状態は病気かなにかだろう。
夕食も終わり部屋に戻ってもなお、その迷走から抜け出すことは叶わなかった。
「なにいま白石さんって言った?」
「言ってない。おやすめ」
「はっはっは! 斬新な挨拶だな田中。どれ、昨日はいつの間にかいなくなっていたからな、今日こそは親友の俺が相談に乗ってやろうじゃないか! ま〜ったく、世話の焼ける友人を持つと苦労するなあ!」
自慢げに語るやつはどんな言葉でも自分の都合のいいように解釈する特殊能力を持っている。だから俺は無視を決め込む。
言いたいやつには言わせておけばいい。
「まあ美人なお姉さんに囲まれて嬉しいのはわかるよ? 俺だってあの立場なら喜んだだろうさ。でもな田中? それを見知った女子の前でやるのは男じゃあないのさ。例えどんな状況であれ男には我慢しなきゃならない場面てのがあってだな?」
間違えた。こいつを消す方が早かった。
「加藤、枕投げしようよ」
「まだ話は始まったばかりだぞ田中! ここから先は俺の経験を踏まえた他じゃ聞けないようなありがた〜い話がだな」
ギャーギャーと騒ぎ立てる志村に、俺は大人の対応をすべく、とびっきりの笑顔をつくる。
「今はそんなことより修学旅行でしかできないことをやろうよ」
「お、おお……なんだ急に」
「ごめん。今はまだ整理できてなくてさ、もう少し待ってほしいんだ」
「うおおおおお! 田中! 俺にできる事があったらなんでも言ってくれ! 愚痴でも振られ話でも!」
「振られる前提は酷いだろ」
コイツの頭は大丈夫だろうか……。加藤でさえ呆れてるし。
「い、いやこれはつい言葉が思いつかなかっただけで!」
「慌てなくても大丈夫だよ志村。俺たちは友だちじゃないか」
「た、たなかぁ……」
「田中が成長しているだと……!」
「じゃあ志村、加藤。やろうっか」
「おう! 望む所だぜ!」
空気が一変し、意気揚々と枕を構える二人。
「じゃあルール決めようか」
「ルール? 枕投げにいるか?」
枕投げは大人数なら大量の枕が飛び交うだけで面白いけどこの部屋には三人だけ。つまり明確なルールがないとすぐに冷めてしまうだろう。
「簡単だよ。最初にダウンした人が負け。じゃあ、よーいどん」
「ぐふぇ!?」
言うと同時に俺の枕は遠心力を帯びて志村の腹へと吸い込まれてる。
「あ、これじゃあ枕投げじゃなくて枕しばきだね。まあやることは変わらないしいいか」
「た、たなか……どうして……っ!」
「ちっ。しぶとい」
せっかく人が楽に逝かせてやろうとしてるのに。
「加藤助けて! 田中の目が人殺しのそれだ!!」
「んー、でもお前が悪いしなあ」
「友だちを裏切るのか! チクショー! 彼女まで作りやがって! 俺に味方はいないんだ! うわーん!」
男の泣き喚く姿ほどみっともないものはない。
「ていうか加藤、彼女いたんだね」
「あー、お姉さん達から逃げる時に吐いたウソだよ。そう言うと大半の人は諦めてくれるし。ていうか志村は俺と毎日部活だからわかるだろ」
「そんなイケメンテク使う時点で十分裏切りだよこんちくしょう!」
「お前はどうしてほしいんだよ」
「うるせー! 枕しばきだったな。それじゃあ俺も遠慮なくお前らをしばいてどぅふ!!」
「加藤、ナイススイング」
「田中もやるじゃん。正直枕を投げれるのかさえ疑ってたぜ」
「なんだろね、火事のなんとかかも」
俺たちは志村という今は屍の上でグータッチを交わし、友情を深める。さらば志村。お前のことはあと五分ほど忘れない。
志村が動かなくなったところで俺の気は少し晴れた。
「動いたら疲れた……飲み物買ってくる」
「いってらー」
そう答える加藤は未だに志村をしばき続けていた。加藤もストレスが溜まってるのかな。
昨日と同じ廊下にたどり着いた俺は腹を引きずり腕と膝を交互に地面に擦り付け、摩擦で熱くなっても前へと着実に進んでいく。
(まさか途中で体力が切れるなんて)
自販機まで残り数メートルというところで、電源プラグを引っ込ぬいたように俺は崩れ落ちた。
予想できなかったことではない。俺が枕をフルスイングなんてどう考えてもおかしいんだから。
引き返そうにも、こうなった状態ではきっと部屋まで戻ることは叶わず、翌日には遺体となって発見されることだろう。推理小説か。
「あともう少し……!」
しかしいま、その想像は無へと帰す。
なんと俺は自販機にたどり着くことに成功していた。
さあ栄養系のゼリーを買おう。それで明日まで保つはずだから。
「っ!」
しかしその目的が果たされることはなかった。
「財布忘れた……っ!」
ズボンのポケットをいくら探っても出てくるのはチリばかり。
あ、もういいや、なんかめんどくさい。
全てを諦めて四肢を放り出す。どーにでもなってしまえ。
しかしどうしてだろうか。希に諦めてみると別の解決方法がパッと浮かんだりする。
見上げる視線の先には暗くなった通路を赤く怪しく、さながらホラー映画のように照らしている物体がある。言うまでもなく非常ベルのアレである。詳しい名前は知らない。
「いやいやいやいや……いや?」
アレ押したら、ひょっとして助かるんじゃない?
結局PCを新調することはできなかったのでiPadにキーボードをつけるという無理矢理な形になりました。
これが打ちにくいのなんの……
使いこなすにはまだまだ時間がかかりそうなので更新スピードもあまり期待しないでください。
誤字脱字あればお願いします。