砂糖を吐いてもらえるようになりたいですが、道は険しい……。
「ししょー! 一緒にご飯をたべましょー!」
「あれ、宮野さん。越前さんとは食べないの?」
「えっちゃんは今日お休みなんです……。だから一緒に食べましょー!」
昼休みになって、一番前の席に座っていた宮野さんが僕の元へとくる。
宮野さんは俺のけだるさを気に入り勝手に弟子入りしてきた元気な女の子。身長がかなり低いしこの天真爛漫も相成って同級生ということを忘れさせる。
「太田と約束してるから、一緒でいい?」
「もちろんです! 太田君とは一年生のとき以来会っていないなので楽しみです!!」
この子、全ての言葉に「!」が付いてる……。二年生になっても台風みたいな子だ。ていうか台風そのものかもしれない。
「あ、あともう一人いい?」
「どなたです?」
よし、いま「!」を回避した。
「白石さん。一緒にお昼たべない?」
「…………え、ええ!? 田中くん!?」
数秒遅れて、かなり驚いた反応が返ってくる。そんなに意外だったかな。
「え、えええと、あの! 私でよろしければ!」
「大丈夫? 他の人と約束あるなら」
「全然平気! 行こう!行きましょう!」
回避したはずの「!」がまたしても登場……。みんな元気いいなあ。
「おお、白石と宮野も一緒か。なんか今日は珍しいな」
「みんなと一緒にご飯食べたり遊んだりってなかなかないですからね~」
四人全員が珍しくお弁当を持ってきていたので、集合場所は屋上。一足先に来ていた太田がレジャーシートを広げていた。
「太田くん、いつもこんなの持ち歩いているの?」
「いや、これは知り合いに貸してたのをさっき返されてな。丁度いいから広げたんだ」
「さすが太田くんです! すごいです!」
屋上に吹く春の風がやたらと気持ちいい。日差しは雲の隙間から時々こぼれてくる程度だから暑くも寒くもない。
「さすが……俺の好きな気候……わか、って……」
「まあこの気持ちよさは認めるがここに来たのはあくまで飯を食う為だぞ、田中」
そうは言っても眠いものは眠い。春眠暁を覚えずとはまさにこのこ……ぐぅ。
「た、田中くん起きて。ご飯食べないと午後の授業もたないよ?」
「残念だが、こうなった田中はもう起きないな」
「せっかくみんなでご飯なのに……」
「そーだ! こんなのはどうですか?」
みんながコソコソと相談しているのがなんとなくわかる。イタズラの計画でもしているのだろうか、残念。俺はまだ落ちていない。
『えー! そんなのできないよ!』
『大丈夫です! これなら田中くんもイチコロです!』
『確かにあいつはそういうの好きそうだからなぁ』
聞こえてると知らずに……。まあ宮野さんはともかく白石さんと太田には世話になっているし、ちょっとくらいおもちゃになるくらいいいか。
「ねぇ、田中くん起きて」
白石さんが眠ってる態の俺にひそりと耳打ちしてくる。
かなりこそばゆいし、良い匂が風に運ばれてくる。顔が崩れてしまいそうだ。
「起きないと……えっちなこと、しちゃうよ?」
「っ!?」
「おお~すごいぞ白石。その状態の田中を起こせたやつは初めてだ」
「白石さんすごいです!」
やんややんやとはやし立てる二人。イラッとするけど、心臓の鼓動が異常なほどに跳ね上がる。
「太田、こういうの、もうやめて……」
きっと次は心不全で死んでしまう。
「すまん。つい楽しくなってしまった」
「私もちょっと反省です。まさか白石さんが乗ってくれるなんて思いもしなかったものですから」
「そうだな。白石も変な事をやらせて悪かったな」
「ごめんなさいです……」
反省する二人。しかし白石さんからの返事がない。
怒った、とか? いやいや、実行してそれはないか。
「……ほああ! 気絶してます!」
「「なんで」」
結局俺はお昼を食べれなかった。
えっちゃんはまだ動かせる自信がなかったので風邪を引いていただきました。
閲覧ありがとうございました。次回も読んで頂ければ幸いです。
誤字報告いただきました!ありがとうございます!