最近、乃木若葉の師匠だとか一部(2525)で言われているから滅亡寸前の四国にメロンニーサンを送り付けてみたお話   作:アルクトス

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※鎧武外伝 グリドンvsブラーボまでのネタバレを含みます。

 皆様、お久しぶりです(お久しぶりすぎ)
 ふと鎧武外伝を見て、2525でKMNライダーの動画見てたら緑の弾幕に遭遇したので初投稿です。







人類最強の男

「……ここは、何処だ」

 

 

 などとボヤいて、男は冷静に自らが置かれた状況を分析する。

 ――ふと、意識を弛めた一瞬だった。

 辺りの景色が、その一瞬で全て切り替わっていた。

 

 

「確かに俺は先程まで港にいたはずだが……」

 

 

 男の名は《呉島貴虎》。

 七年前、世界を蝕もうとした《ヘルヘイム》の侵略から人類を救うべく戦い、そして今も尚戦い続けている男だ。

 景色が切り替わる寸前にも、貴虎は世界に残されたヘルヘイムの脅威、それに魅入られた悲しき女の計略を寸前にて打ち砕いた。

 

 

「あの女が、自らの死後に発動するようなトラップを仕掛けていた……ということか」

 

 

 迂闊だった、と言わざるを得ない。

 巧妙に城乃内秀保の秘書という立場を得て、その裏でヘルヘイムの変種を悪事に利用してきた女だ。

 自らの死をトリガーにしたトラップを伏せていたとしても不思議はない。

 

 

「しかし、ここは何処だ。ヘルヘイムの世界ではないようだが?」

 

 

 周囲の光景は、深い森……という訳では無い。

 至って普通の公園のような場所だった。

 

 

「……いや、普通ではないか」

 

 

 背後を見やると、そこには城らしき建物があった。

 かつてそんな異世界に飛ばされたこともあったが、今回の件も似た類のものだろうか。

 

 

「丸亀城……か?」

 

 

 以前、四国に《クラック》――ヘルヘイム世界と現実世界とを繋ぐゲート――が開かれた際に一度訪れたことがあった。

 あの頃は凌馬と……いや、下らない話だ。忘れてくれ。

 

 

「しかし、ここが異世界でないとして、俺は何故四国に転移させられたんだ?」

 

 

 と、そこで貴虎は視線を下ろす。

 丸亀城の方から、巫女服を纏う年端も行かぬ少女が、ゆっくりと、そして着実に貴虎へと向かってきていた。

 

 

「呉島貴虎さん、ですね?」

 

 

 少女は、薄く微笑を湛えると、貴虎の名を確認するように呼びかけた。

 

 

「……君は?」

 

 

 ――ひやり、と首筋に汗が伝う。

 その少女の纏う雰囲気……オーラとも呼ぶべきものが、一般の少女の『ソレ』ではなかったのだ。

 しかし少女は、そんな貴虎の警戒心を汲んだ上でも、その穏やかな微笑を崩すことはない。

 

 

「上里ひなた、と申します。神樹様の神託により、貴方を迎えに来ました」

 

 

 淑やかな仕草で頭を下げる少女。

 対する貴虎は、混乱を深めるばかりだ。

 

 

「俺の迎え……? いや、その前に『神樹』とはなんだ? 迎えということは、俺をここに招いたのは君たちか?」

 

 

 耳慣れない『神樹』という固有名詞。

 迎えという言葉から察せられるに、貴虎を呼び寄せたのは目の前の少女か、それに近しい者だ。

 語気を増し、鋭く詰め寄る貴虎に対しも、少女はにこりと微笑んでみせる。

 

 

「順番にご説明しますね。ですが、ここで立ち話する訳にもいきません。腰を据えられる場所まで、案内します」

 

 

「……わかった」

 

 

 ――少女が敵であるにせよ、味方であるにせよ、話を聞く価値はある。

 そう考えて、貴虎は先導する少女について行くことにした。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「何!? 既に大半の人類が滅ぼされているだと!!」

 

 

 丸亀城内、その会議室のような一室へと通された貴虎は早速とひなたと名乗った少女から、事の経緯についての説明を受け始めた。

 ――何故貴虎を呼ぶに至ったのかについてを。

 

 

 この世界の現在から三年前の事だという、西暦2015年の7月30日に世界は唐突に『バーテックス』という《頂点》の名を与えられた化け物に、蹂躙された。

 ――何故か。

 それは、天の神が人が神の力に近付きすぎたことを怒ったのが原因だという。

 人が神に近付く、とは一体どういうことなのか。

 原因は分からない。ただ結果として残ったのは、人類の生存圏は――既に日本以外に残されていないということ。

 そして、その日本すらも四国と一部地域を除いて、壊滅しているという。

 

 

「残された人類……私たちは、天の神に抗う道を選びました」

 

 

「そうして創られたのが」

 

 

「はい。それが『大社』です」

 

 

「そして、天の神に抗う力というのが……」

 

 

「『勇者』と、それを導く『巫女』というシステムです」

 

 

 ――まるで、《ユグドラシル》と《アーマードライダーシステム》だ。

 貴虎は端的にそう思った。

 余りに似すぎている、とも。

 

 ヘルヘイムという滅びを前に、たとえ少しでも多くの人類を生かすべく立ち上がったのが、ユグドラシル・コーポレーション。

 そして、人類がヘルヘイムに適応すべく作られたのがアーマードライダーシステム。

 

 天の神がもたらす破壊を前に、数少ない人類の生き残りを守護するべく立ち上がったのが、大社。

 そして、神の力を宿した武器に見初められた心清らかなる少女が勇者。

 

 状況に多少の差異はあれど、多くは違わない。

 目の前に迫る『滅び』に対し、抗おうとした結果が今であることに変わりはない。

 

 

「……それで、俺は一体何をすればいい?」

 

 

 呼び出された理由については、それで納得をつけた。

 勿論、何かの罠ということを有り得るだろう。

 しかし、貴虎はその選択肢を確信へと至らすことができなかった。

 目の前に座る少女の目が、あまりに真摯だった。その声が、あまりに必死だった。

 信じる理由には、それで足りるだろう。

 ならば、と貴虎は少女――ひなたに、己がなすべきことを問うた。

 

 

「っ……ありがとう、ございます!」

 

 

 貴虎の言葉に、ひなたは心の底から喜ぶ様を見せた。

 ――それはひなたが貴虎に初めて見せた、年頃の少女らしい姿だったと言えるだろう。

 

 

 

 

 

 ひと間を置いて、貴虎はひなたから『己がなすべきこと』についての説明を受けた。

 

 

「なるほど、俺は対バーテックスへの戦闘指南役として呼ばれたわけか」

 

 

 その他にも細々としたものが提示されたが、これらに関しては無視してもらっても構わないとの事。

 内容の吟味は後々行うとして、指南役とはどういったことをすればいいのか。

 貴虎がその疑問を口にする前に、ひなたが何を急ぐのか、矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。

 

 

「私たちには、当然ですがバーテックス……つまり、対未知への経験が足りていません」

 

 

「確かに、俺は元の世界でヘルヘイムという未知の脅威に対して、戦ってきた経験がある」

 

 

 経験とは、それ即ち武器だ。

 知っていれば、対応ができる。事の度合いに違いはあれど、それは変わらない。

 

 

「はい。その経験を、恐らく神樹様は見出されたんだと思います」

 

 

 ――神樹、その名を再び聞いた。

 この世界において、神と崇められている存在且つ、貴虎をこの世界に呼び出したらしい超常の存在。

 

 

「……上里、すまないが『神樹』とは何かについて、教えて貰えないだろうか?」

 

 

「あっ……すみません。私としたことが、一番大事なことを説明するのを忘れてしまっていました」

 

 

 余程、話を急いていたと見える。

 ひなたの身に纏う服装から、彼女は神樹を信仰する神職の人間であるのは明らかだ。それが自らの主神についての説明を疎かにするだろうか。それ程の事態が迫っている、ということなのかもしれない。

 内心焦りのようなものを感じながら、貴虎はひなたに話を促す。

 

 

「いや、問題ない。……それで、教えて貰えるか?」

 

 

「はい。神樹様とはーー」

 

 

 

 

 

 そうして、貴虎に神樹についての知識がもたらされた。

 

 

「なるほど、地の神の集合体……それが神樹か」

 

 

 貴虎の頭の中で一気に情報が動く。

 地の神ーー日本神話における国津神が、神樹の正体である。つまり、大社とはそのまま大国主神を祀る『出雲大社』のことを指すのだろう。であるならば、神樹が顕現し守護をするのは本殿がある島根を含む中国地方でなければおかしい筈だが……いや、『かつて出雲大社は徳島にあった』。そんな記述を何処かで見た記憶がある。興味を覚え、その情報について調べたこともあった。

 徳島には、今上天皇が皇太子時代に参拝なされたという『八鉾神社』がある。そこがかつての出雲大社だったという話だ。

 かの話が真実であったのだろう。実際に神樹はバーテックス侵攻の際には、徳島に顕現した。

 ――なるほど、と貴虎は深い思考の海から帰還する。

 

 

「……そして、その神樹は適正ある少女に力を貸した」

 

 

「はい。それが――勇者です」

 

 

 勇者。神によって選ばれ、人類を守護するために命を賭して戦う少女たち。

 

 

「勇者となるには、清らかなる少女でなければ……か」

 

 

「……神話の時代より、神が心を許すのは無垢な少女だけでした」

 

 

「なるほど……」

 

 

 ――居た堪れないな、とは貴虎は口にできなかった。

 この言葉は、命を懸けて戦う勇者達に対する侮辱にしかならないものだ。

 

 

「ーー呉島さん」

 

 

「……何だ?」

 

 

 改めて、ひなたが貴虎に願う。

 乞うように、望むように、求めるように。

 

 

「改めてお願い致します。どうか、勇者達を導いて下さい」

 

 

 願われて、乞われて、望まれて、求められてーー貴虎の返答に迷いはなかった。

 

 

「わかった。引き受けよう」

 

 

 

 

 

 

「それで、俺は指南役と言うことだが、勇者達との接触はいつになる?」

 

 

「今すぐに、と行きたいところですが……生憎、もう時間がありません」

 

 

 ひなたが手元に置いたスマホに目をやる。

 

 

「時間?」

 

 

 何が起こると言うのか。貴虎がそう問う前にひなたが、その『何か』を察知し、鋭く叫ぶ。

 

 

「――来ます!!」

 

 

 同時に、ひなたの手元のスマホから警報音が鳴り響く。

 不協和音の交じった独特の音色は、独特の緊張感を貴虎に与える。

 

 

「なんだ!?」

 

 

「バーテックスの、二度目の侵攻です」

 

 

「何!?」

 

 

 驚くと同時に、説明を急いでいた理由はそれか、と貴虎は納得する。

 不完全な情報で戦うことになる危険は、無知の状態以上のものだと知っていたからだ。

 

 

「間もなく、周囲の時間が止まります。そして、辺りの景色が突然切り替わると思います」

 

 

「切り替わった世界、『樹海』では背後の神樹様を守護してください。もし斃されるようなことがあれば世界は終わりです」

 

 

 残された時間は少ない。警報音が鳴り響く中、ひなたは貴虎へ矢継ぎ早に情報を託す。

 

 

「樹海では、恐らく勇者達が戦っているはずです。対応する術はお持ちと伺っているので、勇者達の援護をお願いしま――」

 

 

 と、そこでひなたの言葉通りに時間が止まった。

 どうやら時間停止には勇者と貴虎以外が巻き込まれるらしい。会議室の外を見てみると、羽ばたく鳥たちが空中で制止していた。

 

 

「なるほど、時間が止まるとはこういうことか」

 

 

 まもなく、貴虎の視界が白く染る。

 暴力的なほどの白色の光が晴れると、ほの甘い果実のような香りと樹木の香りが鼻をくすぐる。

 目を開くと、周囲は極彩色の樹木に覆われた異世界へ変異していた。

 

 

「そして、これが樹海」

 

 

 辺りを窺うと、瀬戸内海側であった付近に空を埋め尽くさんばかりに広がる、200には届かないほどの影が捉えられた。

 

 

「……あれがバーテックスか」

 

 

 ひなたに渡された資料でも見たが、生で見ると思った以上に醜悪な存在だった。

 雪だるまを横倒しにしたような、言葉の上では可愛らしげな風体とは違い、人間より遥かに巨大な体躯に、伸びる触腕と巨大な口のような器官からは、それが常識外の存在であることを証明してきている。

 

 

「数が多いな。消耗は抑えたい……ならば」

 

 

 2本所持するベルトのうちから、貴虎は『戦極ドライバー』を構え、腰元に装着する。

 懐からロックシードを取り出すと、解錠スイッチを弾き、元の世界同様にクラックが生成されたことを確認すると、貴虎は静かに呟く。

 

 

「変身」

 




貴虎は表面は現実のみを見つめるリアリストですが、部下以外には恵まれた男と言われるくらいにはお人好しで理想を追い求める人なので、多分中学生の女子に必死に頼み込まれたら断れない(確信)
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