【背中】3のお題   作:カオル06

1 / 3
お題投稿第1弾!

お相手はツナです。


遠すぎる背中は、見つめるだけが精一杯の愛の証

並盛高校屋上。

私はここから〝彼〟を見るのが日課だ。

『……』

 

「ちょ、二人とも落ち着いて!!」

その彼というのは――沢田 綱吉――10代目ボス。

 

『……今日も異変無し』

いつも彼を後ろから見ている。

周りから見れば、怪しいだろう。

だが、そんなのは気にしない。

〝10代目を守る〟

だって、これが、私が勝手に考えた任務だから。

 

 

 

彼を守る事に理由はない。誰かにそうするように言われたわけでもない。

あえて、理由をつけるとするのならば……好きだから。

彼が、好きだから。

 

 

彼はたぶん私に気付いている。

毎日のように私が見ているのだ。

超直感かなんか知らないけど、ふとたまに私の居るほうを見る。

そのときは、私が思わず隠れちゃって、首をかしげてるんだけどね。

〔キーンコーン〕

『あ……』

チャイムが鳴り、時間を見ると、昼休憩終わり10分前だった。

ずっと屋上に居て、彼を見ていた所為か、時間を忘れていた。

時計からさっき彼たちが居た場所に視線を戻すと、すでに彼たちは居なくなっていた。

どうやら、彼たちも教室に戻ったようだ。

私も戻ろう。彼も戻ったしね。

時間はまだ余裕だったが、居る意味もないので、私は屋上から出て、教室へ向かった。

 

 

〔教室〕

ドアを開けると一瞬だけ生徒の視線が私に向く。

でも、それは確認のためだけ、すぐに生徒達はお喋りに戻り、騒ぎ始めた。

私でなくても同じようになる。いつものことなので、気にせず席につく。

椅子に座ってから、教室を見渡す。

私の席は一番後ろの外が見える窓側という、私にとって中々良い席だ。

教室が見渡しやすい。

『……』

いつもの様に。周りにはバレない程度に教室を見渡す。

そして、ある一点で、停止する。

目線の先は沢田 綱吉。

彼とは同じクラスなのだ。

結構遠いが、私は目が良いからだろう。斜めという事もあり、表情も少し見える。

でも、さっきの楽しそうな表情とは全く違い、険しい表情だ。

『?』

何か遭ったのだろうか?

私は席を立ち、彼の席の横を通る。

横目で何をしているのか見ると、どうやら宿題のようだ。

次の授業は、数学。

そういえば、宿題が出ていたような。

あ、そうか。今日は彼が当たるのか。

あの先生は、中々癖のある先生で、当てる順番がだいたい決まっている。

しかし、見る限り、かなり間違えていたような……

そう思い、もう一度通る。

やっぱり間違えている。

 

『……それ、違う』

思わず、立ち止まり、声に出してしまう。

その瞬間、彼が驚いたように顔を上げた。

彼の大きな瞳がバッチリと私をうつす。

『あ、えっと……それ、ここから間違えてる』

しまった……そう思いながら、間違えている問題を指し教える。

教えていくと、彼の顔が恥ずかしさか何かで赤くなっているのに気付く。

でも、だんだん分かってきたのか、少し明るくなっていく。

『……分かった?』

「あ、うん。よく分かったよ。ありがとう」

『いや、ごめん、いきなり……』

「ううん! 助かったよ!!」

そう言う彼は笑顔だったので、少し安心した。

 

でも、それとともに、いつも後ろから見ているだけの私が耐えられなくなってくる。

なので、私は色々大変な事を口走ってしまった。

『あ、いや……それにしても、いつも獄寺君に教えてもらってるのに彼は?』

「あ、えっと……さっき、どっか行っちゃって……」

『そ、そっか……いつも、宿題やってきてるのに、今日は珍しいね?

 いつも、獄寺君や山本君たちと、家でやってきて……るの、に…………』

途中から思わず言葉が詰まっていく。

だって、普通、こんなこと知らないはずだろう。

「えぇっと……」

彼は驚いたような、困ったような表情をしている。

『あ……いや、今のは……その……教室でよく、言ってたから……』

正直、かなり苦しい言い訳だ。

わざわざ自分に関係ない話を聞くだろうか?

しかも、私と彼の席はかなり離れている。

普通にしていたら、話など聞こえない。

なのに、聞いているのだ。かなり怪しいだろう。

 

「……桐咲さん」

しばらくすると、彼が何か確信したような目で私を呼んだ。

『は、はい……』

「今日の放課後……ちょっと良いかな?」

嫌な汗が頬を伝うのを感じた。

でも、ここで断るわけにもいかず――

『……分かった』

 

その後の授業内容なんて、頭に入ってこなかった。

 

 

〔放課後〕

『……』

正直、すぐにでも帰りたかった。

彼が獄寺君の一緒に帰ろうというお誘いを断っているのを見ると更に帰りたくなる。

 

もう少しねばってくれ、獄寺よ。

そんな思いも空しく獄寺君は残念そうに教室を出て行く。

「……」

彼が黙ったままこちらを向く。

私は不自然に目を逸らす。

 

「……あの……桐咲、さん」

『!!』

いつの間に、目の前に来たのだろう。

「とりあえず、さ……移動、しない?」

『あ、えっと……はい』

 

 

〔屋上〕

何故、ここなんだ。

よりによって、私がいつも居る、ここ。

まさか、いつもここから見てるのを知って……?

ま、まさかな。偶然だよ……

「……あのさ」

『?』

「君、だよね? いつも俺を見てるの……」

『あー……えっと、見てるって言うか、その………………見てますね』

なんと言い訳しようか。

そんな考えは彼を目の前にしてあっさりと消え去る。

私はすぐに言い訳することをやめ、正直にそう言う。

「やっぱり……時々、視線を感じてた、っていうか……」

それ、間違いなく私です。

『……』

「……やめてほしいんだ」

『え?』

「その、毎日監視されてるみたいで……気味悪いっていうか……」

『あ、べ、別に、監視とか、そんなものじゃなくて……』

「で、でも! 俺からすれば……嫌なんだ」

『……』

少し大きい声でそう言われ、黙り込んでしまう。

守るはずが、負担になっていた。

当然か。そりゃ、毎日見られてるなんて思ったら、怖いよね。

彼は、ボスなんだし、私みたいなのが居たら、警戒しちゃうよね…………

「あの、だから……やめてくれ」

『…………分かった』

今の彼を見たら、嫌だなんて言えない。

見たことない、冷たい目……

「……それだけだから」

そう言い、私の横を通り過ぎて、屋上から出て行った。

『……』

情けない。守れてない。守るどころか……不安な思いをさせてしまった。

『……っ』

やめないと。また迷惑かける。何か違う事をみつけないと。

彼より大切と思える存在を……今度こそ守ること。

『……うっ……うぅ……』

そんなの、いないよ。そんな人、もう出てこないよ。

だって、大好きだった。ツナ君の事が大好きなのに……

 

 

数分後――

『……』

かなり、泣いた気がする。目が痛い。

……部活は、まだやってる。

何時間も経ったように思ったけど、ほんの数分だったんだ。

帰らなきゃ。

でも、なんだろう……動く気になれない……もう少し、ここで休んでいこうか……

 

 

「……ねぇ、もう終わった?」

『!?』

突然、上から声がした。

驚いてそちらを見ると、あの雲雀 恭弥さんがいた。

雲雀さんは上から飛び降りてくる。

「……ずいぶん長かったね」

いつから居たんだろうか。ずっと……?

彼との話も聞かれたのだろうか?

『えっと……』

「……桐咲 カオル。沢田 綱吉と同じクラスだね」

『……』

どうして、あの雲雀さんが、私なんかの名前を知っているんだろうか。

風紀を乱したり、そういう彼の目にとまるような行動はしていないはず。

「君、よくここに来るよね?」

いつも居たのかな?

『まぁ……はい』

「沢田 綱吉を見るために……ね」

『……っ』

鋭い目が私を見る。

何故、いつもココに来ていたのかさえ分かっていたんだ……

ツナ君に関わろうとしていたから、私のことを調べた……?それとも単なる興味とか……?

いや、雲雀さんがそんなことでわざわざ調べるとは思えない。ならいったい……

「君、何で彼をいつも見てるの」

『別に、理由なんて……』

守るため。なんて言えない。守れてないもの。

「……で、君強いの」

『……は?』

「君のすばやさには前々から興味がある」

『す、すばやさ……?』

何を言っているんだ、この人は。

強いだとか。すばやさだとか。

「君は強くなりたくないの」

『別に、強くなんて……』

あ、でも、強くなれば、見てるだけじゃなくて、傍で守れるのかな?

「ま、君の意見なんてどうでも良い」

そう言い、なにやら物騒なものを持っている。

いったい、どこから?

と、いうか……この状況やばい?

『あ、あの、私……』

「うるさいよ……!」

そう言うと、すごいスピードでこちらに向かってくる。

そして目の前に来ると武器の……トンファーだろう……それを振り上げる。

『!!』

ギリギリのところでそれを避ける。

危ないな……今日は厄日なのか?

「……」

彼を見ると、不機嫌そうな、でも、少しおもしろそうに口角を上げている。

『あ、あの、わ、わた、私……か、帰り、ます』

出来るだけ、焦ってるように、おどけてみせる。

早く、普通ということを認知させないと。

この人、やばい。

「待ちなよ。君は僕が強くしてあげる。毎日放課後、ここで待ってるよ」

『私……来ません、から!!』

そう言い、屋上から出て行く。

 

もう、なんなの……意味が分からない。

いきなり現れて、攻撃してきて……でも、雲雀さんと戦えば強くなれる……

 

いやいや、やめてって言われたんだよ……強くなっても、意味無いじゃん。

もう、諦めた恋だし、ね。

 

 

〔数日後〕

『……』

あれから、私は彼を見なくなった。

何にもない日々が続いた。

 

ただ……なんとなく、放課後、屋上に行ってしまう。

そのおかげだろう。強くなった気がする。

意味無いのに。今更、強くなっても…………何やってんだ。

 

「お、落ち着いて、ね!?」

彼の声が聞こえてくる。

思わずそちらを見てしまう。どうやら獄寺君と山本くんが何か言い合っているようだ。

いや、獄寺君が一方的に何か言ってるのかな? 山本くんは笑っているし。

『……』

楽しそう。

「……」

『!!』

彼と目が合う。

私は逸らしちゃったけど。

また、見てた……ダメだな。彼とは、出来るだけ同じ場所に居たらダメだ。

そう思い、私は足早に教室から出て行った。

「……」

 

 

〔放課後〕

「今日も来たんだ」

『……どうも』

「今日こそ、君を咬み殺す」

『……』

なんだろうな。雲雀さんとこうして戦うのが、楽しく感じている。

雲雀さんは強い。技をすべて避けれるわけじゃない。

でも、何度も立ち上がるからだろう。彼はその度怒ったような嬉しそうな……

「……」

『……』

私は避けるしか術がない。

でも、反撃をしたいわけじゃないから良い。

「君も中々しつこいね」

『あなたのおかげで、強くなりましたから』

「でも、まだまだだよ」

『……分かってます………………!!』

何だ……?

「?」

急に立ち止まった私を見て、雲雀さんも止まる。

『……』

嫌な予感がする。

彼に、何かが……

『……行かないと』

「?」

『……守らないと』

「何?」

『すみません、今日は失礼します…………危ない』

「……ハァ、仕方ないね」

『ありがとうございます!!』

そう言い、私は早々に屋上から出て行く。

正直、雲雀さんが戦闘を途中でやめてくれるなんて思ってなかったから、驚いた。

 

 

走っていると、まだ遠いが、見慣れた彼の後姿が見える。

いつも一緒に居る獄寺君たちと楽しそうに歩いている。

その姿を見て、安心する。

その後に少し高いところに上り、周りを見渡す。

『……!!』

居た。持っているものは……銃?

銃口は彼に向けられている。

危ない。嫌な予感はこれだったんだ。

『……』

まだ、間に合う。

あ、でも……私は、彼に……いや、そんなこと考えてる場合じゃない。

大切な人が、危ないんだ。

助ける以外の選択肢はない。

 

そう思い、私は一気に走り出す。

まだ、彼たちは気付いていない。

当然だ。いくら彼でも、あの距離から狙われたら……気付かない。

遠すぎる。

でも、撃たれてから気付いたんじゃ、遅い。

なんて、絶妙な距離なんだろう……この手のプロなんだろうか。

っていうか、何私さっきから余計な事考えてるんだろうか……

こんなこと、考えてる場合じゃないのにね……

『……っ』

周りが見えない。彼しか見えない。遠いのか近いのか距離感が上手くつかめない。

『……ツナくん!!』

〔バァン〕

私の声と、銃声がほぼ同時に聞こえた気がする。

すべてがスローモーションのような……変な感覚……

 

『うっ……っ』

ハッとしたときには、背中に激痛。

でも、まぁ……胸よりはマシか……

もう、銃声は聞こえない……相手は逃げたんだろうな。

 

薄れていく意識のなか、また余計な事を考えている私。

そんななか、私の大好きな彼の声が聞こえる。

心配してくれてるの? 嬉しい……

私、守れた、よね……

 

 

 

 

 

 

『……っう……ん』

あれ……私、生きてるのかな? 死後の世界?

まだはっきりとしない意識のなか、私は周りをキョロキョロと見渡す。

『……どこ?』

自分の部屋ではないし……

〔ガラッ〕

『?』

「あ、起きたの!?」

『……誰?』

「俺だよ! 沢田 綱吉!! 分かる!?」

『沢田……綱吉……………………!? いっ……』

驚いて勢いよく起き上がる。

でも、体に痛みが走り、倒れ込む。

「ダメだよ。まだ寝てないと……」

『私……ここ、どこ?』

「ここは、並盛病院だよ。覚えてない? 桐咲さん、俺を庇って……」

『……あぁ、銃で撃たれたんだ』

「そんなアッサリしたもんじゃないから!!」

『あ、う、うん……』

「……良かった。目覚ましてくれて……」

そう言う彼の顔は本当に安心したようで。

『えっと……沢田君、怪我……ない?』

「お、俺は大丈夫。桐咲さんが守ってくれたから……」

『……そっか』

守れた……毎日雲雀さんと戦ってすばやさ上げといてよかったかも。

「それにしても、なんて無茶するんだよ!!」

『!!』

「ほんと、心配したんだから……何のために俺……」

『さ、沢田君……?』

「俺、桐咲さんをまき込みたくなかったから、やめてって言ったのに!!」

『え……』

どういうこと? 沢田君は、私のことが迷惑であんなこと言ったんじゃ?

まき込みたくなかった……?

「誰かが傷付くのなんて見たくないのに……!!」

『……』

あぁ、彼はやっぱり、優しい人だ。

だから、私、君が好き。

そんな優しい君が。

『沢田君……私、これでも裏の人間だよ』

「!?」

『だから、いつかは、こういうことに……』

「え、う、裏……? じゃぁ、えっと、マ、マフィアっていうこと?」

『そ……そうだね』

「えぇー!?」

『……ボンゴレのボスなんだから、もう少し警戒心を……沢田君!?』

彼を見ると、固まっていた。そんなに意外だったのだろうか……

「桐咲さんがマフィア桐咲さんがマフィア桐咲さんがマフィア……」

ブツブツと呟く沢田君は少し……いや、かなり変だ。

『沢田君……大丈夫?』

「だ、大丈夫じゃないよ!! ……あ」

『……』

相当混乱しているのだろうか。

ツナ「……まぁ、他とは違う感じはしてたけど……もしかして、俺を見てたのって……」

『……ま、守れたら……と、思って……単独行動だけど』

私、顔赤くないだろうか。恥ずかしい。

「……ありがとう。でも、あまり無理はしないで……ほしいな」

『?』

「さっきも言ったとおり、傷付くのは見たくないし……」

『……分かった。無理はしない。だから、これからも君を後ろから見てても良い?』

「……まぁ、それくらいなら……で、でも、一緒に、居ない?」

かなり、嬉しい。でも、それじゃ、今回のようなことがあると気付けないから。

『ありがとう。でも私は後ろだよ』

 

 

 

並盛高校屋上。

私はここからツナを見るのが日課だ。

『……異変無し』

ただ、前と違う事は……

「……」

『あ……』

彼がこっちを向いて、手を振ってくれる。私も振りかえす。

彼を守っているって実感できるところ。

彼が、笑顔を私にも向けてくれる事。

 

 

 

いつでも見守ってるから。

遠い背中。でも前よりは少し近い気がする。

いつか、この思いが届いたら、そしたら、君の隣を歩きたいな。

 

 

 




やっと終わったー!!短編にしては長い?大丈夫?
また途中から意味が分からなくなっていく………
雲雀さんなんで出てきたの!?
題名『遠すぎる』っていう、何か悲しそうな感じなのに、悲しくない!?
むしろ幸せになってないか!?
まぁ、良いか。BAD ENDは嫌いなんだ☆
ってことで!!
読んでくれたかたありがとうございます!!
これから、もっと頑張りますのでよろしくお願いします!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。