怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバース   作:特撮恐竜

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後編となります。
原作とほぼ違う上、長くなってしまいましたが見て頂けると嬉しいです。


バディゴー!(後編)

「嘘だろ・・・、あれって。」

 

『グオオオオオォォォォォッ!!!!!』

 

「ほ、本物の怪獣だーーーーーーーっ!」

「逃げろーーーー!!」

「皆さん、落ち着いてください!」

「係員がいますから、彼女達の指示に従って避難してください!!」

 

町に現れた本物の怪獣に怯え、逃げ惑う人たち。

日比谷公園に来ていた人々をGIRLSの制服を着た職員とアギラと眼鏡を掛けた銀色のメカニカルな獣殻に覆われたカプセル怪獣の怪獣娘『ウインダム』が誘導する。

そこにミクラスが合流した。

 

「アギちゃん!!ウインちゃん!!」

「ミクちゃん!ボク達と合流して大丈夫!?」

「うん、あっちは先輩達が対応してる!あれってどう見ても・・・・、本物の怪獣だよね?」

「そうだと思う。あんなに大きいし、口から火球を吐いてるし電撃を角から出してるし。」

「あれが本物の怪獣・・・。初めて見ました。」

 

3人は口から火球を吐きながら、銀座の町を破壊する怪獣『ヘルべロス』に視線を向ける。

大抵の怪獣娘にとって怪獣はGIRLSの記録映像でしか見たことがなく、直接見るのは初めてである。

そんな3人の『ソウルライザー』怪獣娘の変身を安定させ、暴走を防ぎ、携帯としても使えるデバイスに通信が入った。

 

 

 

 

場所は変わって、GIRLS東京本部司令室にて左右に分かれた赤く長い髪の風船をつけた友好珍獣の怪獣娘『ピグモン』が3人に通信をしていた。

 

「無事ですか!?アギアギ、ミクミク、ウインウイン!!」

『3人とも無事です!それよりもピグモンさん、・・・。』

「本物の怪獣が現れたことは把握しています!現場はどうなっていますか!?」

『怪獣が吐いた火球で多くの建物が破壊されました!今日のイベントに来た人たちは無事です。でも、どうして本物の『待ってください、怪獣の背中が赤く光ってます!』、ガッツ、レッドキングさん、ゴモたん、キングジョーさん、みんなーっっ!!!!』

『アギアギ!?ミクミク!?ウインウイン!?レッド達に何かあったんですか!!?」

『怪獣に立ち向かって、ごめんなさい、みんなを助けないと!!』

「アギアギ!?・・・アギアギ!?・・・・・アギアギーーーッ!?」

「みんなに何があったの!?」

 

黒が混じるピンクの長い髪とアンテナのような角と長い尻尾がつき、白と黒の獣殻に覆われた宇宙怪獣の怪獣娘『エレキング』がピグモンに聞く。

 

「レッドたちが怪獣に向かっていって、・・・・・・かなり最悪な状況になっています。」

「マガバッサーとマガジャッパを連れて、私も向かうわ。」

「お願いします。エレエレ。」

 

そう言って、エレキングは指令室を出ていった後で、ピグモンは呟いた。

 

「どうして、今になって本物の怪獣が・・・。ダメダメ、ピグモンがしっかりしないと・・・、皆さんどうかご無事で・・。」

 

時間を遡って、日比谷公園ではヒロキがヘルべロスに視線を向けて立ち続けていた。

 

「あれが本物の怪獣・・・。嘘だろ。あんなにデカいのか。」

「・・・ちょっと君。」

「でも、どうして、怪獣はもうとっくの昔に。」

「ヒロキッ!!」

「クララちゃん、何!?」

「何じゃないデス!!なんで立ったままなんデスか!?早く避難してくだサイ!!他の客はもう避難しまシタよ!!」

「えっ・・?あっ・・。」

 

ヒロキはキングジョーの声で周りを振り返ると、すでに会場にいたレッドキング、ゴモラ、ガッツ星人、そして怪獣娘の幼馴染しかいないことに気付いた。

他の客に加え、ミクラスとザンドリアスとノイズラーも会場の警備をしていたアギラ達もいなかった。

 

「ごっ、ごめん。」

「怪獣が気になるのは分かるけどよ、自分の命は大切にしなきゃ駄目だぜ。」

「怪獣は私たちに任せて、君は避難所に行って。」

「折角、会えたのにこんなところで幼馴染と永遠の別れは嫌デスよ。」

「分かった・・・って皆さんは・・?」

「決まってんじゃん。あの怪獣と戦う。」

「マジですか!?」

 

ヒロキは驚いた。彼女達には戦わなければならない人類の敵がいることがヒロキもニュースを見ていたため知っていた。

しかし、今回はその人類の敵よりも更に脅威的である。いくら彼女達が怪獣の力を持っているからって戦えるような相手ではと思った。

 

「本気デス。戦わなければ、大勢の命が危ないデスから。」

「相手は本物の怪獣だ!!クララちゃんにいくら強力な怪獣の力があるからって・・・相手が悪いって!!」

「大丈夫デス!幼馴染のワタシを信じてくだサイ!!」

 

他の3人もヒロキに声をかける。

 

「キングジョーなら大丈夫だ。怪獣娘だからな。」

「君はおジョーの幼馴染なんでしょ?だったら幼馴染の君が信じてあげなきゃ。」

「そうですけど、あれ、なんで僕とクララちゃんが幼馴染だって知って。」

「さっきの会話聞いてりゃ分かるよ。ワタシたちは頑丈だから心配しないで。あっ、おーい、ザンちゃん、ノイちゃん!!」

 

他の客の避難誘導をしていたザンドリアスとノイズラーがやって来た。

 

「どうしたんスか、先輩達?」

「ちょうど良かったデス。ワタシの幼馴染をよろしくお願いシマス。」

「了解です・・・・・って、この人キングジョーさんの幼馴染なんですか!?」

「ハイ、今日久しぶりに会ったんデス。」

「災難でしたね・・・・楽しいイベントのはずだったのにこんな形になって・・・・・。」

「ザンドリアスちゃん、ノイズラーちゃん、ヒロキをお願いシマス。」

「ハイ!!」

 

彼女達は怪獣に向かっていった。ヒロキと二人の怪獣娘はそれを見送っていた。

 

「ほら、早く行きますよ!!」

「ししょー達は強いから大丈夫ですよ、それにあなたの幼馴染は強い、あたし達はすぐそばにいたから知っています!!無事だと信じましょう。」

「・・・そうだよな・・・。僕が信じなくてどうする・・・。」

 

呟いてヒロキは避難所に向かっていた。

 

 

 

 

「まずは、その口を封じないとね。」

 

ガッツ星人が分身して、ヘルべロスの頭に光線を放つ。その光線は対象を捕縛できる拘束光線だ。

火球を吐かせないために口を封じる作戦に出た。

続いてキングジョーの腰の一部のパーツが分離して、光線を放つ。

 

「オラァッ!!!」

 

レッドキングがヘルべロスの頭に拳を叩きつける。

ゴモラは尻尾を叩きつけヘルべロスを攻撃する。

しかし、

 

『グオオォォォッッ!!!」

 

ガッツの拘束光線はいともたやすく破られる。

 

「私の光線が効かないなんて。」

「この間のガタノゾーアの怪獣娘と同じくらい、いや、それ以上だぞ・・・・・これは。」

 

ヘルべロスは自分に向かってきた小さき者たちをまとめて始末しようと考えた。その背中を発光させ、背中の刃状の背びれから無数の光弾が発射された。

最初に銀座に降り注いだ光弾の雨と同じものが彼女達に襲いかかった。

 

「「「「なっ!!?」」」」」

 

流石にこれは避けられない。そう感じた彼女達はせめてと腕で頭を守った。

しかし、光弾の雨は彼女に降り注がなかった。

彼女達の頭上を透明なバリアが守っていたからだ。

 

「ゼットン・・・・・・。」

 

黒い獣殻に覆われ、額に黄色い水晶がついた宇宙恐竜の怪獣娘『ゼットン』が張ったバリアに守られていたからだ。

 

「すまねぇ、助かった。」

「・・・遅くなってごめんなさい・・・。」

「大丈夫・・・、とは言えないな。これはかなりやばいよ・・・・。」

 

ガッツがそう言って、目の前の怪獣を見る。

ヘルべロスはまだ余裕といわんばかりに吠え、暴れている。

口から火球を吐き、背中から光弾の雨を降らせながら。

 

『グオオオォォォッ!!!!!』

 

 

 

 

ヒロキは避難所で怪獣と怪獣娘の戦いの様子を見ていた。遠くから見ても不利な状況だと分かった。

 

「クララちゃん・・・・・・。」

 

怪獣に立ち向かっていった幼馴染を考えたとき、

 

「健一ーーっ!?どこーーーーっ!?」

 

自分の母より10くらい下の女性が叫んでいるのを聞いた。周りの人たちが声を掛ける。

 

「どうしました?」

「小学生の息子がいないんです!!」

「何だって!!」

 

その会話を聞いた瞬間、ヒロキはその会話に割って入った。

 

「僕が探しに行きます!その子の特徴を教えてください!」

「君、本気か、怪獣が暴れているんだぞ!?」

「だからって、このままにしていいわけないじゃないないですか!!お子さんの特徴を、早く!!」

「えっ、オレンジのパーカーにリュックサックを背負っていて、リュックにはレッドキングのキーホルダーをつけています。名前は健一です。リュックに名札があるからすぐに分かるはずです。」

「分かりました。探してきます。」

 

ヒロキは外に飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

「こいつを食らいやがれ!!!」

 

レッドキングが怪獣に破壊されたビルの一部を頭に叩きつける。その体はヘルべロスの攻撃で傷だらけだった。レッドキングだけじゃない、ゴモラ、ガッツ星人、キングジョーもだ。

口からの火球と角からの電撃は避けやすいが、背中の突起から放つ光弾は雨のように降り注ぐ。

直撃を避けても、まわりに着弾した衝撃波や爆風に巻き込まれてしまうからだ。

それらが怪獣娘に確実にダメージを与えていた。

 

『グオオオオオォォォォォッ!!!!!』

「ダメだっ!!全然効かない!!」

「一体、どうすれば・・・・・・。」

「せんぱーーいっ!!!」

 

後ろを振り返るとアギラ、ミクラス、ウインダムが走ってきた。

 

「アギ、どうして・・・!?」

「仲間を放っておけないよ。」

「後はアタシ達が、おりゃあーーーーー!!」

 

ミクラスがヘルべロスに拳を叩きつけるが、微動だにしない。

 

「全然効きません!!」

 

ウインダムが額からのレーザーで攻撃するが、ヘルべロスは物ともしない。

 

「・・・・・なら私が・・・・。」

『グオオォォォッ!!!!!』

 

ゼットンが放つ火球でようやくダメージが与えられた。

今がチャンスだとアギラはピグモンに怪獣の攻略法を聞く。

 

「ピグモンさん、アギラです。ガッツ達は無事です。」

『本当ですか!?良かったです!?」

「あの怪獣はどうやったら倒せますか?GIRLSの記録なら怪獣の弱点もあるはずです!」

『・・・・・アギアギ、今銀座に現れた怪獣は今までに出現報告がない新種の怪獣です。だから、弱点も全く分かりません。』

「えっ・・・、それじゃあどうすれば・・・。」

 

 

 

 

アギラが怪獣をどうすれば止められるか考えていたその頃、ヒロキは逃げ遅れた子供を探していた。

 

「おーーーーーい、健一くーーーーん!!!駄目だ、聞こえないのかな・・・。」

 

有楽町の方に顔を向けたとき、地面に落ちたリュックを見つけた。リュックにはレッドキングのキーホルダーと「健一」と名前が書いてある名札があった。

 

「これ、リュックだよね?ってことは近くにいるかもしれない。」

 

建物の近くまできた時、「助けて」と叫ぶ声が聞こえた。

ヒロキは声のする方向に向かって走り出した。

 

「大丈夫かい!?」

「お兄ちゃんは・・・!?」

「君のお母さんに頼まれて君を探しに来たんだ。僕と一緒にお母さんの元へ帰ろう。」

「待って、まだ怪我した猫が取り残されているんだ!!」

「えっ!?」

 

健一を見つけたヒロキが少年の指さす方向に目を向ける。

すると怪獣に破壊され落ちてきた瓦礫の隙間に猫が閉じ込められていた。瓦礫に挟まれているのか、血が出ていた。

 

「まずい。早く助けないと!!」

 

ヒロキは瓦礫をどかそうとする。まずは自分の手でどかせる瓦礫から手をつけ始める。

 

「危ないから、君は離れてくれ!!」

 

健一はうなずく。しかしここで大きい瓦礫が出てきた。

 

(これはどうする・・・・。どうすればどかせる。漫画ではてこの原理でこういうものをどかしていたけど・・・、実際はどうなんだ。・・・やるしかないか。)

 

「何か、硬くて丈夫な棒みたいなものはない。」

「ちょっと待ってて、すぐに探してくるから。」

 

猫は生きてはいるが弱弱しく泣いている。

 

「頑張ってくれ、絶対に助ける!」

『おい、本当に助けるのか、今ならまだ逃げられるぞ!!』

「またか、何を言っているんだ、目の前で苦しそうにしている命がいるんだ!!どんな命も見捨てていいわけないだろ!!ここで見捨てて逃げ出したらカッコ悪いし、あの子の気持ちを踏みにじることになってしまう!!そうなったら、僕は一生後悔する!!だから、絶対に助ける!!!」

「お兄ちゃん、これなんかどう?」

 

健一が鉄パイプを指差しながら戻ってきた。

 

「ナイス、これを使おう。」

「うん!」

 

(小さな命の為に体を張れる、やっぱり、こいつとなら・・・。)

 

「よし、助けた。お母さんのところへ戻ろう!」

「うん!」

 

その時、ヘルべロスが角から放った電撃がヒロキの上のビルに直撃した。

ヒロキは健一を突き飛ばした。瓦礫から小さな命を抱えた少年を守るために。

 

「うわあああぁぁぁぁぁ!!」

「えっ、お兄ちゃん、お兄ちゃーーーん!!」

 

 

 

 

 

 

 

『ヒロキ、おい起きろ、ヒロキ!!』

「まだ聞こえてくる、もしかして、僕はもう・・・。」

『目を開けろ、ヒロキ!!』

 

ヒロキが目を開けると周りが赤いオーラに包まれた不思議な空間にいた。

 

「何だ、ここは!?」

『お前の心の中だ。』

「また聞こえる、君は一体誰だ、姿を見せてくれ。」

『いいぜ。』

 

ヒロキの目の前でい光が集まって人型になっていく。そして光が晴れると明らかに人間ではない声の主がいた。

ヒロキは驚いていた。それは銀色が目立つ少しの赤が混ざったカラーリングに赤鬼のような角、そして胸に丸い水晶があった。それはまぎれもなく、

 

「う、嘘だろ?君はウルトラマンだったのか?」

『ああ、そうさ。』

 

実はヒロキの夢の中には出てきたウルトラマンは7人だけではなかった。

彼らがトレギアと呼んだ仮面の巨人の罠にはまった後、3人のウルトラマンが現れた。

目の前のウルトラマンは夢の中で筋肉質な赤と黒のウルトラマンと青い後ろに伸びたトサカが特徴のウルトラマンと一緒にギンガ達の前に現れた。

 

『お前の中に7年間ずっといたんだ。』

「ええっ?7年も、なんで、どうして?」

『話は後だ。今はヘルべロスを何とかしないと。』

「そうだ、なんで怪獣が現れたの!?地球から怪獣は絶滅したはずなのに!?」

『その話も後だ。お前の力を貸してほしい。今の俺は肉体が維持出来ないんだ。』

「肉体が維持できないって・・・、どうするんだよ!?」

『だからお前の力を貸してほしい。お前と一体化すれば俺はこの星で戦える』

「僕と・・・。でもどうして・・?」

『お前は危険な状況でも命を助けようとする勇気と命を絶対に見捨てない正義感を持っている。お前のような勇敢な地球人の協力が必要なんだ。』

 

ヒロキは少し考えた。今、目の前のウルトラマンに力を貸せば、確かに暴れている怪獣『ヘルべロス』を倒せるだろう。しかし、ウルトラマンになればもう二度と後戻りは出来ない戦いに巻き込まれるような予感がした。

しかし、幼馴染もヘルべロスに苦戦し、今は傷だらけだ。また頭の中に健一とその母親や自分の家族、そしてモデルをやっている怪獣娘の幼馴染の顔が思い浮かんだ。彼らを守れるなら・・・。

ヒロキは答えを決めた。

 

「分かった。君に力を貸すよ、一緒に戦おう、ウルトラマン。」

『そうこなくっちゃな、ヒロキ!』

 

 

 

 

 

 

 

ヒロキは気付いたら、瓦礫のすぐ隣にいた。健一が話しかける。

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫、健一くん、避難所の場所は分かる?」

 

健一が首を縦に振り、頷く。ヒロキは笑みを浮かべ、話しかける。

 

「お兄ちゃん、ちょっとやることが出来たから、先に逃げてくれ。」

「分かった。お兄ちゃん、名前は。」

「そう言えば言ってなかったね。僕はヒロキ、白鳥ヒロキ。」

「ヒロキお兄ちゃん、また会おう。」

 

健一は猫を抱えて、避難所へ走っていく。ヒロキはヘルべロスを見据える。

その時、ヒロキの右腕にブレスレットが現れ、夢で見た3人のウルトラマンがつけていた手甲と同じものに変化した。

 

「これって・・・。」

『タイガスパークだ。それに俺をかざして、俺になれ!』

「これでウルトラマンに・・・。」

 

ヒロキの左手はさっきのウルトラマンの顔がついたキーホルダーが握られていた。

ヒロキはタイガスパークの下部にあるレバーを引いた。

 

『カモン!!!』

 

「光の勇者、タイガ!!」

 

キーホルダーを左手で持ちタイガスパークが付いた右腕を左手の前に重ねた。

右手でキーホルダーを持ち直した後、力強く握り、タイガスパークに光が集まる。

 

『叫べヒロキ、バディゴー!!!』

 

「バディィィゴーーーー!!!」

 

キーホルダーを持った右手を上に掲げる。

一点の光から銀色が目立つカラーリングにウルトラマンNo6と呼ばれるあるウルトラマンを思わせる角をしたウルトラマンが右手を前に伸ばして巨大化する。

伝説のウルトラマンといわれるウルトラ6兄弟の一人の血を引く息子にして『光の勇者』の異名を持つウルトラマン、その名は

 

『ウルトラマンタイガ!』

 

「シェアッ!」

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあああああああ!!!」

「うわあああああああ!!!」

 

ゴモラと加勢に来たミクラスが悲鳴を挙げながら、吹っ飛んだ。

ヘルべロスに戦いを挑んでいた怪獣娘は傷だらけになって倒れていた。もう立ち上がる気力も出ないくらい体力を消耗していたのだ。

ヘルべロスは背中を赤く光らせる。彼女達にとどめをさすために。

ゼットンはバリアを張ろうとした、仲間達を守るために。

 

その時だった。

光の巨人ーーーウルトラマンーーーが現れたのは。

 

ウルトラマンタイガが高く飛び上がり、燃え盛る銀座の町に着地する。着地と同時に炎が消え、怪獣娘を含む多くの人々がそれを見ていた。

タイガはヘルべロスの前で倒れていた怪獣娘達をその手に抱え、安全な場所に下した。

 

『これで彼女達も大丈夫だ。』

(良かった。間に合って。さて、後は・・・。)

 

タイガは目の前のヘルべロスに向かって構えた。

 

「シュアッ!!」

 

怪獣のいなくなった地球で光の戦士の戦いが再び始まろうとしていた。

 

 

 

 

「あれって、第一次大怪獣時代に現れて、怪獣との戦いに力を貸してくれたっていう・・・!!」

「間違いないわ。過去の記録にはないけど、あの巨人もウルトラマンよ。」

「ふえええ、本物の怪獣だけじゃなく、ウルトラマンまで・・・。」

 

エレキングが青い獣殻に覆われ、翼の付いた風ノ魔王獣『マガバッサー』と青いおかっぱヘアーのビキニに近い獣殻の水ノ魔王獣の怪獣娘『マガジャッパ』を連れて、キングジョー達の手当てをしながら目の前の光景を見る。

 

「本物のウルトラマン、マジかっけー・・・。」

「痛い痛い痛い、よそ見しながら手当するのやめて、包帯をきつく締めすぎて逆に痛いから!」

「あっ、ごめんなさい、ミクラス先輩。」

「あのウルトラマンは一体、「その名はウルトラマン、ウルトラマンタイガ。」えっ?」

 

怪獣娘達が振り返ると白と黒の服を着た青年が立っていた。

ヒロキがぶつかった青年だ。

 

「彼はある伝説のウルトラマンの実の息子さ。どうやら、この地球に流れ着いていたようだね。」

 

「ウルトラマン・・・タイガ。」

 

全員でタイガを見上げる怪獣娘達。

しかし、ふと振り返れば、さっきの青年が消えていた。

 

「い、いない。」

「今の人は一体・・・。」

 

 

 

 

 

 

タイガとヘルべロスは睨み合っていた。ヘルべロスが尻尾で先行をかける。タイガはバク転で刃が付いた尻尾の一撃を回避した。再び構えるタイガ。

 

ヘルべロスの背中が光った。怪獣娘達を苦しめた光弾の雨を放つつもりだ。ヘルべロスの背中から破壊光弾が雨のように発射される。

 

『スワローバレット!!』

 

ウルトラマンの光線技で有名なスペシウム光線の構えの逆を取って放たれた光弾が、ヘルべロスの背中からの光弾を全て撃ち落とす。

 

(町への被害は避けたね!)

『今度はこっちから行くぞ!!」

 

ヘルべロスへ向かって駆け出し、飛び蹴りを放つ。そのまま顔に右フック、回し蹴りを放つ。

そのまま飛び上がって、チョップを放つもヘルべロスも腕で受け止める。

ヘルべロスは両腕を振り回す。これを避け、頭を掴んで投げ飛ばす。

 

「シェアッ!!」

 

倒れたヘルべロスの背中に連続でパンチを叩きこむ。しかし、ヘルべロスが起き上がり、タイガが倒れる。

起き上がったタイガは再び頭を掴んで投げる。起き上がったヘルべロスに正面から連続で再びパンチを叩きこみ、ドロップキックをお見舞いした。

 

ヘルべロスが角から電撃を放つも腕で受け止める。その時、胸のカラータイマーが点滅し始める。

 

「胸のランプが点滅してる!!」

「確か資料によれば、ウルトラマンは地球で活動できるのは3分間だけだとあったわ。」

「ええっ、それじゃあ・・・もうウルトラマンは限界ってことですか!?」

 

ヘルべロスが口から火球を放つもチョップで切り裂く。火球はタイガの後ろで着弾し、爆発した。

 

タイガはタイガスパークを装備した右手を天へと向けた。両手を重ね、手を腰の位置まで持っていく。

虹色のエネルギーがタイガに貯まり、左腕を上に、右腕を下に支えとして両腕をT字に組んだ時、そのエネルギーは光線となって爆発した。

タイガが父であるウルトラマン『タロウ』から受け継いだストリウムの名を持つ必殺技、その名は

 

『(ストリウムブラスターッッッ!!)』

 

必殺技は直撃したもののヘルべロスはまだ倒れていなかった。

予想外の事態にヒロキは慌て始めた。

 

(やばいよ!!必殺技が効いてない!!)

『焦るな、オーブレットを使え!』

 

その瞬間、夢に出てきたウルトラマンの一人、カラータイマーがOの字になったウルトラマンがタイガに自身の力を宿したブレスレットを渡したビジョンが浮かんだ。

ヒロキはタイガスパークの下部にあるレバーを引いた。左手に銀河を渡る風来坊ウルトラマン『オーブ』の力を宿したブレスレットが現れた。

左手を右手に重ねた時、オーブレットから光がタイガスパークに集まる。

 

『オーブレット、コネクトオン!!」

 

タイガにオーブのビジョンが重なり、ストリウムブラスターと同じ構えをとる。両腕をT字に組んだO字の波導が展開され、ストリウムブラスターにオーブの力が加わった。

 

『(スプリームブラスターッッッ!!)』

 

オーブの力でパワーアップした必殺光線に耐えられず、ヘルべロスは大爆発した。ウルトラマンの勝利だ。

爆発の中から小さな光がタイガの中に入ってきた。

ヒロキをそれを掴んだ。光は指輪になった。ヘルべロスの顔が入った黒いオーラを放つ不気味な指輪に。

 

(これは・・・。)

『ウルトラマンの力を感じる・・・。』

 

戦いが終わったことを確認するとタイガは空に飛び立っていった。

 

「シュアッ!!」

 

 

 

 

 

 

それをみつめる一人の男がいた。ヒロキと日比谷公園で会い、怪獣娘達にタイガのことを教えた白と黒の服を着た青年だ。

 

「良き旅の終わり・・・。そして・・・始まり・・・。」

 

その男『霧崎』の影には人間ではない異形が写っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に僕があの怪獣を・・・。」

『どうやらこの星は俺がいなきゃ、駄目みたいだな!』

「なんだよ、随分と偉そうなウルトラマンだな・・・。」

「ヒロキお兄ちゃーーん!!」

 

ヒロキとタイガが話しているところに健一がやって来た。

 

「健一くん、あの猫は?」

「命に別状はないから大丈夫だって。」

「そうか、良かった。」

「あの猫、うちで飼うことになると思うけど、いい?」

「いいんじゃない。小さな命を助けようとした君ならきっと大丈夫だよ。だから自信を持って。」

「うん!!」

「健一ーーっ!!」

「お母さんが読んでるから、もう行くね。ありがと、ヒロキお兄ちゃん。」

 

健一は手を振って母親のところへ戻る。その際、健一の母親に頭を下げられた。

2人は笑顔で去っていく。

 

『見ろよ、俺達が守った笑顔だ。元気でなーー!!」

「(そうか、僕達が守ったんだ)元気でねーー!!」

 

ヒロキはあの少年の笑顔を守れて本当に良かったと感じていた。

そして、この人達のような笑顔を守れるよう強くなりたいと思っていた。




次はタイガ第2話が原作です。




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+????)

ヒロキが子供の頃、心を通わせた小さな怪獣。その怪獣との悲しいの裏には、奴の影が蠢いていた。俺たちと切っても切れない因縁を持つ蒼き巨人。奴の名は。次回!

怪獣娘×ウルトラマンタイガ


トレギア


この世界は矛盾に満ちている・・・。

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