妹の配信に入り込んだらVTuber扱いされた件   作:江波界司

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祝お気に入り12000件突破!
ありがとうございます!
テンション上がって更新です。

最推しアンケートを出したら一人がぶっちぎりの1位。
別にだからってわけではないんですが、その人も出ます。
そして久々の夜斗くん登場回。



#俺のライバーアカデミア

「兄者〜!がんばれ〜!」

「できるよ!!兄者くんなら!」

 

 隣から声援が飛ぶ。

 愚妹もスミレさんも、純粋な気持ちで応援しているんだと理解できる。

 危機的状況だ。

 今まで配信でゲームをしていて、ここまで追い詰められたのは初めてだ。

 銃声が鳴る。

 悲鳴が重なる。

 数秒後には生きているかも分からない。

 この世界で、俺は孤独だ。

 

「兄者〜がんばれ〜!」

「がんばって!兄者くん!」

 

 ああ、そうだな。

 俺は一人じゃない。

 ……一人じゃなかったはずだ。

 俺が孤独なのは──ここにいる二人のせいである。

 

 

 

 

 

 

 

 

【荒野戦争】夜桜ゲームズ 魔王軍vs魔王一派 【サイサリス・夜斗・グランツ、春風桜、吹雪菫、兄者】

 

「夜桜ゲームズ!!!」

「いえ〜い!」

「よくぞ来たなお前ら!現代に蘇りし魔王、P.S一期生のサイサリス・夜斗・グランツだ!」

「みんな〜、おはる〜。P.S二期生の春風桜だよ〜」

「そして、今回はこの二人を召喚するぞ!来い我が眷属たちよ!」

「誰がだよ」

「みなさん、こんばんは。P.S一期生、吹雪菫です」

 

 コメント:うおおお!!!

 コメント:オールスター感

 コメント:兄者ハーレムキタ━━━━━━(n'∀')η━━━━━━ !!!!

 コメント:兄者ハーレムは草

 コメント:愚妹をカウントすると兄者からしばかれるぞ

 コメント:誰か忘れてるな

 コメント:八重咲ェ

 コメント:豪華なメンツ

 

「ほら、兄者くん、挨拶しないと」

「あ、はい、兄者です」

「今回は、オレのリベンジマッチと行かせてもらうぜ!」

「夜斗くん、前は兄者に勝ててないもんね〜」

「一勝はしてんだよ!」

「前って、確かマ○オカートだったよね」

「成績は1勝16敗。まぁ?オレ全部2位だから完全な負けとも言えないけどな!」

「じゃあいいだろ……」

「そうはいかねぇんだ!」

 

 コメント:諦めが悪いぞエセ魔王

 コメント:やめとけ元魔王

 コメント:お前はもう死んでいる

 コメント:夜斗フルボッコで草

 コメント:ラスボス交代済

 コメント:兄者は裏ボス定期

 コメント:兄者に勝てるビジョン見えないんだよな

 

 ボロくそ言われてんな夜斗……。

 俺また何かやっちゃいました?

 

 今回のゲームは、『荒野戦争』。典型的なFPSだな。

 フィールド内で銃や弾、その他武装を手に入れて撃ち合うゲーム。

 ソロ戦の他にチーム戦があり、最大で5人まで組める。

 今回はトリオ、スリーマンセルでやるらしい。

 

「勝負は全国マッチにするぞ。10チーム内での順位で競う」

「チーム分けはどうすんだ?」

「普通なら2人ずつに分けるんだが、今回はタイトル通り魔王軍と魔王一派で勝負する!」

「その聞き慣れない団体はなんだよ……」

「今日はね〜、アタシと兄者とパイセンチームだよ〜」

「夜斗くんは一人で大丈夫なの?」

「夜斗くんのチームはリスナーに入って貰うって〜」

 

 夜斗のリスナーってことは、やっぱ強いんだろうな。

 スミレさんも呼んだのはこの構図にしても文句を言われないようにするためか。

 会話して連携が取れる利点を上手く使わねぇと。

 

 コメント:俺たちの出番か

 コメント:配下集合

 コメント:俺が俺達が魔王軍だ!

 コメント:魔王一派は妹とパイセン?

 コメント:嫁だろ

 コメント:いつの間に入籍したん

 コメント:主に姫のせい

 コメント:セリフ読み罰ゲームの回

 コメント:スミレお義姉ちゃん

 コメント:姫がお義姉ちゃん呼びしたやつなw

 コメント:あれは草生えた

 コメント:とんでもねぇマシュマロ送ったやつおるなw

 

「よし、やってくぞ!ルーム貼るから、至急集まれ配下共よ!」

「夜斗、ノリノリだな」

「これなら勝てる、って言ってたもんね〜」

「兄者くん、私足を引っ張っちゃうかもしれないけど、ごめんね」

「大丈夫ですよ。二人で頑張りましょう」

「兄者?アタシは?アタシもいるよ〜?」

「大丈夫だ。お前には何も期待してねぇ」

「こんのっ!クソ兄者っ!」

「叩くな……」

 

 コメント:二人で頑張りましょう

 コメント:二人で頑張りましょう

 コメント:二人で頑張りましょう

 コメント:告白してるやん

 コメント:告白は草

 コメント:兄スミてぇてぇ

 コメント:ガチ恋雪精がキレるぞ

 コメント:パイセンは聖女なので問題なし

 コメント:雪精のマナーの良さは聖女ゆずり

 

 ぶっちゃけると、このゲームそんなに得意じゃない。

 というかあんまりやったことがねぇ。

 高校時代に2ヶ月くらいはプレイしたが、PCのスペックが足りなくて引退してんだよな。

 今のなら普通にできるかもしれんが、格安パソだとどうも反応が鈍いんだよあれ。

 

 一応リーダーってことで、着地地点や降りるタイミングは俺に一任されている。

 愚妹とスミレさんを連れて、ダイビング。

 まずは無人の住居を散策して武器を調達だな。

 

「兄者くん、スコープと銃を合わせるのってどうするんだっけ?」

「え?」

「兄者、これどーやって拾うの?」

「は?」

「兄者!やばい!なんか人来てる〜!」

「ちょ、え、まさか未プレイとか言わねぇよな」

「ごめんね兄者くん。私、前に一回枠でやっただけで……」

「アタシは初めてやる〜」

「正気か?」

 

 コメント:初心者二人と魔王

 コメント:ビギナーしかいないの草

 コメント:夜斗チームはほぼガチ勢

 コメント:配下の中でも精鋭来てるぞ

 コメント:これはひどいw

 コメント:パイセンどれくらいできる?

 コメント:基本操作覚えてるくらい

 コメント:姫は?

 コメント:論外

 コメント:初見プレイはやべぇw

 コメント:なんでこの企画出たんだw

 

 ほんとだよ。

 マジかこの愚妹。

 マッチングできてるってことはチュートリアルやってるはずなんだが、飛ばしたのか……?

 このゲームはチームが全滅した時点で負け。

 生き残った場合はキル数と生存ポイントで競うわけだが。

 敵は9チーム27人。ビギナーが生き残れる世界じゃねぇ。

 コメを見る限り、夜斗は本気で倒しに来てんだろうな。

 戦力的に勝てる気がせん。

 贅沢はいわないが、せめて俺と同じくらいのやつがもう一人は欲しかったわ……。

 

「今からお前に戦い方を教えても間に合わん。とにかく走り方のコツを教える」

「アタシも銃撃ちたい〜」

「俺がお前を撃つぞ」

「……アタシ走る〜!」

「スミレさん。今から武器渡すんで、マークしたポイントまで行って貰えますか?」

「うん、分かった。この建物の頂上でいいんだよね?」

 

 最小限必要なポイントをそれぞれ教える。

 愚妹には弾に当たらない移動方法。

 スミレさんには狙撃のコツ。

 

「移動は覚えたな。よし走れ遊撃隊長」

「兄者〜!?なんかめっちゃ撃たれてるんだけどォ!?」

「教えた通り走れ。足を止めるな。お前の実力なら逃げ切れる」

「春ちゃんって、そんなに上手なの?」

「運も実力の内です」

「ギャァァァ!!!」

 

 コメント:姫が暴走しとるw

 コメント:圧倒的ビギナーズラックw

 コメント:なんで当たらねぇんだよ

 コメント:地味に木に隠れながら逃げてんだよな

 コメント:これ初プレイでできる姫ヤバいのでは?

 コメント:アドバイスしただけでこれをさせる兄者がヤバい

 コメント:つかこれ囮じゃね?

 コメント:誘撃隊長

 コメント:誘撃隊長www

 コメント:2600円 身代金

 コメント:800円 身代わり金

 

「ねぇ兄者くん。春ちゃん、大丈夫なの?」

「あんな訳分かんねぇ動きを予測して撃つのはほぼできないんで大丈夫です」

「ちょ、兄者〜!?助けてよ!今当たった〜!」

「急所さえ避けりゃそうは死なん。スミレさん、東側に敵がいるんで狙って下さい」

「うん、頑張ってみる」

 

 走りながらの撃ち合いは初心者には難しい。

 逆にいえば停止射撃なら当てられなくもない。

 スナイプ用の銃とスコープで、スミレさんには高所から敵を狙ってもらう。

 撃ったら隠れるのヒットアンドクローズ戦法。

 敵はいい的になっている愚妹が引きつける。

 俺の役目はこの二人を守りつつキルを稼ぐことだ。

 

 コメント:既に3チームが脱落

 コメント:夜斗チームが強いな

 コメント:兄者がうめぇ

 コメント:3キル目

 コメント:何気に連携取れてんのヤバ

 コメント:姫の回避率がはぐれメタル

 コメント:はぐれ姫タル

 コメント:逃げる一択w

 コメント:パイセン初キルおめ

 コメント:パイセンキルとったー!!!

 

「スミレさんナイスです」

「うん!ありがとう」

「スミレさんがいて良かったですよ本当に」

「そ、そんなに?そこまでじゃ、ないと思うんだけど……」

「いやいや、十分に上手いですよ。俺がカバーするんでどんどん撃って下さい」

「あ、ありがとう……あ!でも兄者くんが死んだら負けちゃうから死なないでね」

「了解です」

 

 コメント:流石は夫婦

 コメント:てぇてぇ

 コメント:早く式を挙げろ

 コメント:10000円 結婚資金

 コメント:5000円 結婚資金

 コメント:入籍してるの前提で草

 コメント:結構戦えてるな

 コメント:これなら勝てるのでは?

 

 悪いが、そんなに甘くない。

 愚妹が逃げられるのはあくまでも遠距離戦だから。

 中距離になったらほぼ確実にヘッドショットの餌食だろう。

 俺もできるだけ近付く前に倒してはいるが、スミレさんと愚妹を両方守りきるのは不可能だ。

 いずれは生き残った強チームに潰されるだろう。

 どうにか対策立てねぇとな……。

 

「え……!?」

「スミレさん?」

「私、死んじゃった……?」

「裏から狙撃されたのか?普通に上手いな」

「ごめんなさい兄者くん」

「俺の方こそ守れなくてすみません。仇はとります」

「うん、頑張って!」

「うっしゃ!まずは一人!」

「やっぱ夜斗か」

「ナイスだぜ首切りクリオネ!」

「お前じゃねぇのかよ」

「オレの配下はクソ強ぇんだよ!」

「そうか。とりあえず、首切りクリオネは俺が殺す」

 

 コメント:パイセンー!

 コメント:姫より先にやられるとは……

 コメント:クリオネくん逃げて超逃げて

 コメント:嫁を撃たれて兄者ブチ切れ

 コメント:本気の魔王が来るぞ

 コメント:兄スミてぇてぇ

 コメント:魔王と配下では分が悪い

 

「愚妹。適当なとこに隠れてろ」

「走んなくていいの〜?」

「2チームに囲まれてんだ。蜂の巣になりたくなかったら動くな」

「はい〜隠れたよ〜」

「一人でオレらに勝てるってか?」

「いや、俺はクリオネを潰せればそれでいい」

「オレは眼中にねぇってか!」

「兄者〜!がんばれ〜!」

「できるよ!兄者くんなら!」

 

 建物を使いながら射線を切る。

 夜斗チームは俺狙いだろうし、乱戦にするのも無理そうだな。

 ならせめて、スミレさんの仇はとる。

 

 コメント:兄者無双

 コメント:クリオネぇ!

 コメント:首切りクリオネさんが兄者にキルされました

 コメント:3対1でキルとるのが兄者

 コメント:とはいえ劣勢

 コメント:さすがに分が悪い

 コメント:夜斗とスナイプ常連配下相手じゃキツそう

 

 ぶっちゃけきつい。

 そもそも夜斗が上手いし、配下(リスナー)も手強い。

 一応経験者のスミレさんが先にリタイアして、残るは戦力外の愚妹のみ。

 

「兄者〜がんばれ〜!」

「がんばって!兄者くん!」

 

 奮戦した方じゃないですかね。

 この戦力差は、頑張ったくらいじゃ覆らん……。

 

「うっしゃあ!兄者倒したぜ!オレの勝ちだ!」

「さすがにきついか……」

「泣きの一回、やってもいいけどぉ?」

「──…………いいのか?」

「勝ったって事実は残るわけだからな!」

「──…………ひとつ聞きたいんだが、お前いつ勝ったんだよ」

「いやいや、あとは桜一人だし。さすがに負けるわけ──」

 

 コメント:!!!

 コメント:!?

 コメント:夜斗が死んだ?

 コメント:姫がやったのか?

 コメント:姫って今日初プレイだろ

 コメント:窓の外からヘッドショットできるわけなくね?

 コメント:ビギナーズラックか

 コメント:夜斗チーム全滅したぞ

 コメント:運いいってレベルじゃねーぞ

 コメント:明らかに狙ってやってる

 

「いえ〜い、勝ち〜」

「嘘だろ……桜がこんな上手いわけなくねぇか」

「ああ、俺の妹がこんなに上手いわけがない」

「兄者くん、今のはズルだと思う……」

「スミレさん。ルールで決まってないならこれは合法です」

「お前ら何しやがった!?」

「アタシのアカで兄者が撃ったんだよ〜」

「はぁ!?」

「バレなきゃイカサマじゃねぇんだよ」

 

 汚ぇとか言うなよ?

 最初からフェア性の欠片もねぇ試合なんだし、これくらいは寛大な魔王様(笑)なら許してくれるだろ。

 

 コメント:きたねぇw

 コメント:だがなダービー定期

 コメント:これだけ不利な勝負だしいいんじゃね?

 コメント:むしろよくやったわw

 コメント:兄者にはこれがあるんだよな

 コメント:番外戦法

 コメント:撮れ高は完璧

 コメント:さすがは兄者

 

「ちくしょう……もう一回だぁ!」

「泣きの一回?」

「いや今のはノーカンだろ!」

「勝ちは勝ちだっての。もう一戦するなら条件がある」

「条件?」

「愚妹はお前のチームな」

「アタシのこと何だと思ってんの兄者ァ!」

「足手まといのバカ」

「うなァァァ!!!」

「珍しい鳴き声してんな」

「私も足手まといじゃなかった?」

「そんな。スミレさんがいなかったら最初から諦めてましたよ」

「え……で、でもほら、私すぐに撃たれちゃったし」

「次は絶対に俺が守ります」

「あ、うん……よろしく……」

「てめぇらイチャついてんじゃねぇ!」

「兄者ぶっ飛ばす〜!」

 

 コメント:もっとイチャついてもろて

 コメント:想定の倍褒めるの草

 コメント:照れスミレてぇてぇ

 コメント:リア充を撃て夜斗!

 コメント:戦力半減

 コメント:見張られてたら残機2戦法も使えないだろうしな

 

 この後、夜斗と愚妹に配下が一人加わっての勝負となった。

 こちらのチームにも一人をリスナー枠で募集。

 試合はほぼ拮抗していたが、狙撃スキルが開花したスミレさんとリスナーが奮戦したおかげでどうにか勝った。

 夜斗とタイマンしたら普通に負けだったな。

 ナイスサポートです、スミレさん。

 

 ところで、最速で枠に入ったリスナーの名前が『やえさき』なのは偶然だよな。

 

 




ご愛読ありがとうございます!
パイセン人気が半端じゃない。
過半数取るとか何もんだよ(笑)
そして姫……。
おかげでアンケート回というメタもいい所の話が思い浮かんだり……。

感想、高評価、誤字報告ありがとうございます。
主に前二つは私のモチベに繋がります。

追記
マシュマロ募集中です。
詳しくは活動報告にて。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253518&uid=229168

第三回 あなたの推しは?

  • 春風桜
  • 八重咲紅葉
  • 吹雪菫
  • サイサリス・夜斗・グランツ
  • 甘鳥椿
  • 音無杏
  • 紅上桃

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