妹の配信に入り込んだらVTuber扱いされた件   作:江波界司

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ありがとうございます!
強くなれる理由を知りました。
文を書いて進みます。

今回は日常回です。
配信なしでお送りします。
書きたいものをテンション任せに書いたので不安もありますが、
この作品は細かいことを気にしたら負けです。
ほのぼのとして下さい。




#男性VTuberの日常

「もう帰りかー?」

倉元(くらもと)、何か用か?」

 

 明日が土曜だと思うとテンションが上がるよな。

 本日の営業も終了ってとこで片付けてたら、同期に会った。

 

「飲み行かねー?」

「先約がある」

「へー、隅におけねーな。彼女か?」

「まさか。ゲーム仲間だ、と思う」

「なんだそら」

「……そういや、お前VTuber好きだったよな?」

「まーなー。なに、ついにこっち側に来たかー?」

「いや、違うが」

 

 別にVTuber見てないし推してない。

 なんなら出てるなんて言えないし言いたくない。

 

「ならどーしたよ?」

「いや、VTuberのスパチャ読みってあるだろ?あれ嬉しいんかと思ってな」

「そりゃ嬉しいだろー。推しに名前呼ばれんだぜー」

「でも偽名だろ」

「十分だってー。お前もプレイヤーネーム呼ばれたら自分だって思うだろー?」

「あぁ、なるほど」

「おれは名前呼ばれたくて必死よ。おれは誰とだって戦えるっ」

 

 その努力の結晶たるスパチャがプリンに錬成されてる可能性があるのか……。

 まぁ本人がいいならいいけども。

 

「色々見てるけどさー、プリズムシフトって事務所の四天王が最高なんだわ」

「へぇ」

「特に夜斗と姫……ああ、春風桜なんだけど姫って呼ばれててさー」

「おん」

「いやー、二人のいじられキャラが鉄板なんだわー」

「ふーん」

 

 やべぇよ、こいつあの二人推してんのかよ。

 いいの?お前の給料、プリンとゲームに等価交換されてるよ?

 

「ん、まて、四天王って言ったよな?」

「ああ、あと二人はなー、八重咲紅葉と吹雪菫っていってさー」

「……へぇ」

「お前アニメ見るよな?八重咲はアニメとかめっちゃ好きだし、一回観てみろよー」

「あー、気が向いたらな」

 

 観る、どころか会ってんだよな……。

 まぁリアルで会いたいのとはまた違うのかもしれんが。

 しかしあの四人、四天王とか呼ばれてたのか。

 偶然知り合ったのが偶々四天王ってどんなんよ。

 俺は主人公か何かか。

 しかし統一性のないメンツだな。何基準だよ。

 なんだろ、ヤバさか?

 

「でなー、四天王の創設者の兄者ってのがまた良くてさー。ゲームがめっちゃうめぇのよ」

 

 うわー、俺のせいだったー。

 偶然にしてはできすぎだと思ったけども。

 つか俺、創ってはないだろ。

 リスナーが勝手に言ってんだろうな。

 マジで俺は巻き込まれて配信に出てる感じだし、俺は悪くないよな?

 

「スパチャといえば、もうすぐボーナスだなー。お前何に使うー?」

「決めてねぇな。倉元は?」

「推しに貢ぐに決まってんだろー」

「まぁそうな」

「ゲームとか買わんのー?」

「最近忙しくてやる時間が取れなくてな」

「そうなのかー。荒野戦争一緒にやってみてーのになー」

「お前確か全国ランカーとか言ってなかったか?」

「まぁなー。やりたくなったら言えよー」

「暇になったらな」

 

 暇か。

 最近はどっかのバカな妹のせいで、一人でゲームするってことが減った。

 たまには黙々とやりたくもなる。

 俺は元々ソロプレイヤーなわけだし。

 イキってもないしイキリトでもないからな?

 まぁ、人とやるのも悪くはないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つーわけで帰宅だ。

 今日は四天王さんに配信はないからオフだ。

 いや、仕事でもないんだけども。

 夜斗が夕食含めて遊びに来ると言ってたな。

 材料は買ってくるって言ってたが、何食わす気だ?

 あいつの作る料理はあんまり食いたくないが……。

 

「たでーまー」

「あ、おかえりなさい、兄者くん」

 

 ドアを閉めた。

 多分音を置き去りにした。

 ……何事だ?

 何故ドアを開けたらスミレさんがいる?

 しかもエプロン姿で包丁持って。

 帰る家間違えたか?

 混乱中に向こう側からドアが開けられた。

 

「えっと、ごめんなさい?」

「なんでいるんですか」

「誘われて……」

「なるほど。じゃあ、その右手に持ってる凶器と装備してるものは一体?」

「あ、うん、キッチン借りてたの。でね、車の音で兄者くんが帰って来たのは分かったんだけど、他の皆が忙しそうで出迎えれそうになかったから……」

「慌てて出て来たから包丁を持ったままだったと」

「うん、迷惑だったよね……?」

「うっかりどこでもドア開けたかと思いましたよ」

「あ、ドラ〇もんのあれね」

 

 どうでもいいが料理中に手が離せるのか。

 他のみんなはゲームでもしてて手が離せなかったってことだろう。

 

「俺の部屋に集まってんのかよ」

「春ちゃんが広いからって。あ、それでね、私も止めたんだけど──」

「あ、兄者さん!おかえりなさいです!」

「狭い部屋に大勢で……」

「いえ〜い、勝ち〜。あ、兄者おかえり〜」

「誰だ企画者は。夜斗だけのはずだぞ」

「夜斗くんが呼んだって言ってたよ〜」

「え、さく──痛っ!いやオレが悪かった!兄者、ギブ!ギブだって、タップしてる!頭つぶれる!!!」

 

 夜斗にはアイアンクローで勘弁してやった。

 そしてスミレさんはキッチンに戻った。

 まぁ呼んでしまったなら仕方ない。

 流石に5人も集まると狭いが、飯を食う位ならできなくもないだろう。

 

「で、なに食うんだ?」

「ああ、それはな。皆で一品ずつ作って食おうと思ってな」

「なるほどな。それでスミレさんが今作ってると」

「そういうこと」

「けど先に作ったの冷めないか?」

「確かに一人一人だと時間くうか……」

「こんなこともあろうかと!わたしこんなものを持って来たんですよ」

「紅葉ちゃん、これクジ〜?」

「二人一組になって一組一品にしませんか?」

「面白そうだな!」

「さんせ〜」

「なんだそのぐら〇ぶるシステム」

「さすが兄者さん!」

 

 目をキラキラさせんな。

 まぁ異議もないし、クジを引いた。

 俺と夜斗、愚妹と八重咲チームだな。

 夜斗と愚妹が組まなかったのは運がいい。

 

「ところで八重咲は料理できんのか?」

「任せて下さい!」

「そうか。じゃあ、頑張れ」

「え、それってどういう……?」

「みんな、できたよー」

「パイセンの料理だ〜」

「卵焼きか!美味そうだな!」

「冷めても美味いしな」

「うん!自信作だよ。それで、次は誰の番なのかな?」

「八重咲と愚妹です。時間もあれなんでペアでやることにしました」

「あ、そうなんだ」

「そういやさ、桜って料理できんの?」

「逆に聞くが、できると思うか?」

「いや……え、全くとか言わないよなさすがに」

「まぁそれなりにはできるんだが……」

 

「ちょ桜ちゃん!?なんで鍋に油入れてるのっ!?」

 

「……なんか、紅葉の叫び声が聞こえたんだが」

「そういうことだ」

 

 あいつはたまに、いや大体よく分からんことをする。

 で紆余曲折あって作り上げる。

 その上高確率でやらかすからな。

 食えるもんが出てきたら大当たりだ。

 この前とか、生姜焼きがただの炭素だったし……。

 あとは八重咲の頑張り次第ってとこだな。

 

「二人とも、大丈夫かな……?」

「五体満足で帰って来て欲しいですね」

「料理中に心配することかそれ!?」

「つか、何作るとかは聞いてないのか?」

「あ、八重ちゃんはハンバーグだって言ってたよ」

「愚妹は?」

「紅葉の手伝いだろうなー。桜は材料買ってないし」

 

 それもそうか。

 というか、一人一品なら愚妹はなに作るつもりだったんだか。

 

「……なぁ、兄者。腹減ったし、先にちょっとつまもうぜ?」

「卵焼きか?まぁ結構量あるしな。スミレさん、いいですか?」

「うん、もちろん!食べて食べて」

「「いただきます」」

「どう、かな……?」

「…………」

「……うまいです」

「ほんと?よかったぁ」

 

(おい、これ卵焼きだよな?なんでチョコの味がするんだ?)

(スミレは基本的には料理できるけど、三回に一回やらかすんだ……)

(先に言えよ)

(言うタイミングなかっただろ!)

 

 ま、まぁ、独特な隠し味と思えば、食えなくはない。

 砂糖18gなんてレベルじゃないほど甘いが……。

 

 小一時間して、戦士達が帰還した。

 八重咲は、ボロボロだった。

 タンクとアタッカー一人でやったくらいボロボロだった。

 その目からは二度と愚妹と一緒にキッチンには立ちたくないという強い気持ちが感じられた。

 

「八重咲、おつかれ」

「桜ちゃんって、何なんですかね。ハンバーグって言った瞬間にチーズ入ってるやつって言うし……」

「作る前から難易度上げてきたのか」

「何故か卵と一緒に牛乳と上白糖を出してきたり……」

「それって、プリンのレシピ、じゃないかな……?」

「フライパンは出してあるのに鍋に油入れたり……」

「結局桜は何を作る気だったんだ?」

「もう、本当に、頑張りましたよ……」

「八重咲、おつかれ……」

 

 しかし、そんな愚妹の面倒を見ながらチーズINハンバーグを完成させた八重咲はすごい。

 少しは労ってやろう。

 ただ、その前に俺も大変なんだがな。

 

「で、夜斗。何を作るんだ?」

「前菜と主食が出たし、あとデザートだろ?」

「主菜な。デザートって……お前、作れるんだよな?」

「当たり前だろ。ホットケーキくらい作れるっての」

「それくらいなら安心だな」

 

 ホットケーキならそんなに時間はかからないだろう。

 フライパンも二つ展開できるしな。

 俺は、サラダとつまめるものでも作るか。

 ちなみに女子チームは先に食べている。

 さすがにチーズINハンバーグを冷めさせるのは八重咲に悪い。

 愚妹は悪い。

 

「フライドポテトは冷凍のがあるからそれで……」

「兄者、この火ってどうすればいい?」

「弱火にしろよ」

「いや、火っていうか炎なんだけど」

「弱炎にしろよ」

 

 ……いや、IHのはずなんだが。

 火加減はともかく炎加減はおかしくね?

 

「……なんでフライパンの上から火が出る?」

「いや、油かと思ってこれ入れたんだけど……」

「おい、その酒どっから出した」

「置いてあったんだよ。桜が使った後かと思ってたんだけどさ」

「結構高めのやつじゃねぇか」

 

 家のどこにこんなものが……?

 炎はさっさと消火して、デザートが完成。

 談笑しながらの食事だったため、メインディッシュが食べ終わる前にサラダを届けられた。

 八重咲には功労賞ってことで、コ〇ドギアスのポスターを一つ贈った。

 ザ・ビーストするくらいには喜んでたな。

 

「で、何故か酒があってホットケーキなのにフランベしててな」

「あ、お酒!忘れてた!ごめんなさい」

「パイセンお酒持って来てたの〜?飲みたい〜」

「未成年はジュースだ」

「えぇ〜」

「お前は水な」

「夜斗くん〜コーラ取って〜コーラ好き〜」

「酒、取ってきますよ」

「ありがとう兄者くん」

 

 何故か夜斗も付いて来た。

 

「なんだよ」

「あんまりスミレに飲ますなよ?」

「弱いのか?」

「いや、量は飲めるし意識もハッキリしてる」

「じゃあなんだよ」

「ただ規定量を超えると記憶が飛ぶ」

「そうか。気を付ける」

 

 即寝落ちすんのかな。

 ……とか、そんなことを思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふん……兄者くぅん……んっく……」

 

 絡み酒か……。

 しかもこれで記憶飛んでるとか、いや覚えてないだけ幸せか?

 

 あれから約2時間が経った。

 愚妹はこういうのが楽しかったらしく、はしゃぎ過ぎて疲れていた。

 八重咲も軽く6ビーストはしてたし、愚妹とのクッキングはさぞ効いただろう。

 今は二人して俺のベッドに寝かせている。

 夜斗は早々とダウンした。

 スミレさんの持って来た酒が結構強かったし、こいつは元からそんなに飲めんからな。

 今思えばあの忠告は遺言だったのかもしれない。

 

「兄者くんも……のもぉ……よ……?」

「飲んでますよ。コーラですけど」

「えぇ……ほらぁ、わらしがこれぇ……持って来たの〜……」

「はいはい知ってますよ」

「……何やってるんですか?」

「おお、八重咲起きたか」

「何イチャついてるんですか?」

「いや一方的に絡まれてんだけど」

「先輩ばっかりズルいです!」

「何を言って……」

 

 俺の正面には夜斗が寝ている。

 その奥にはベッドがあり、愚妹と八重咲が寝ていた。

 八重咲が起きて、その手にはグラスが一つ。

 夜斗の前にあったグラスがない。

 寝起きでグラスを取り間違えたとしたら……。

 

「お前、飲んだな」

「なんですか!先輩は特別ですか!嫁ですか!」

「とりあえず落ち着け八重咲。そのグラスを置こうか」

「わたしはずっと友達ポジですか!ツンデレ幼馴染青髪負けヒロインですか!」

「お前自分でも何言ってるか分かってねぇだろ……」

「こっちはアタックしてもネタ扱いだし!ゲームしたらいじわるだし!」

「わかったわかった、聞いてやる聞いてやる」

 

 夜斗も中途半端に残すなよな……。

 そっからは八重咲のよく分からん文句を聞き流す時間だった。

 八重咲が力尽きた頃には、スミレさんも寝落ちしていた。

 そして誰もいなくなった。

 

「兄者〜、おつかれ〜」

「起きてたのか?」

「んん、さっき起きた〜」

「そか」

 

 こいつら交代で起きる約束でもしてたのか?

 ベッドから起き上がる気はないらしいが。

 

「兄者ってモテるんだね〜知らなかった〜」

「モテねぇよ。二人とも酔ってるだけだろ」

「うわ〜そういうとこだよ兄者〜」

「うるせ」

「ま〜、兄者の事好きとか聞いたら引くけどね〜」

「同感だ。そういや、お前のこと推してる知り合いがいるんだよ」

「そうなん?どう思った〜?」

「引いた」

「だよね〜知ってた〜」

 

 ったく、うぜぇやつ。

 ……お互い様か。

 客が全員寝たし、お開きだろう。

 

「片付けるぞ。手伝え」

「は〜い」

「お前は飲むなよ」

「分かってるよ〜。兄者こそ悪いことしちゃダメだよ〜?」

「するかっての」

「酔ってるパイセンとか可愛くなかった〜?」

「ギャップ萌えには慣れてんだよ」

「なにそれ〜」

「つか、二人に酔ってた時のこと言うなよ?」

「え?なんで〜?」

「可哀想だからな」

 

 二人とも、うっかり死んじゃいそうだからだよ。

 こんなんあったら俺でも死にたくなるし。

 被害者だもんな。

 

「お前、あとで皿洗いな」

「なんで〜兄者やってよ〜」

「今日の主犯はお前と夜斗の二人だろ」

「え、なんで分かったの!?」

「ほう」

「あ……ねぇズルい〜!」

 

 結局、全員泊まりになった。

 八重咲とスミレさんは愚妹の部屋、夜斗は俺の部屋に寝かせた。

 

 今日一番はしゃいでたのは愚妹だしな。

 何となく察してはいた。

 二人を直接呼んだのは夜斗だろうが、相談無しにするほどあいつはバカじゃない。

 ヤベー奴ではあるが。

 言い出しっぺは愚妹だろうな。

 おかげで二人分の黒歴史を生み出す結果になったじゃねぇか。

 ……まぁ、たまにはいいか。

 デコピンで勘弁してやろう。

 

 




料理、全員集合、泥酔とやりたいことオンパレードでお送りしました。
次にお前は『酔いスミレてぇてぇ』と言う!
兄者は理性の化物でしたね。

Q.どうやってIHでフランベするの?
A.愚妹が荒らしたキッチンにはティッシュもありました。そして運悪くそれがフライパンの中に……

更新遅くなるかもとか言いながらの更新でした。
マシュマロ募集に貼られたリクエストとか見ちゃって書きたくなったんだもん。
ファンアートまで描いてくれる方々がいるんだもん。
逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ。
まぁこれからは本当に忙しいので、本当に遅くなりますが……。

感想、高評価、誤字報告、マシュマロ、ファンアートありがとうございます!
励みになります。

マシュマロ募集↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253518&uid=229168

ファンアート募集↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253648&uid=229168

第三回 あなたの推しは?

  • 春風桜
  • 八重咲紅葉
  • 吹雪菫
  • サイサリス・夜斗・グランツ
  • 甘鳥椿
  • 音無杏
  • 紅上桃

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