妹の配信に入り込んだらVTuber扱いされた件   作:江波界司

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祝総アクセス数70万件突破!
いつもありがとうございます!

このすば!
ってことで今回はそういう回(圧倒的説明不足)
いつもに増して会話が多いです。


#この素晴らしい誕生に祝福を

「兄者〜誕プレちょうだい〜」

「何がいい?ビンタ?」

「なんで!?」

 

 誕生日。

 正味、うちではそこまで大袈裟なお祝いはしない。

 夕食にケーキが出るのが精々だ。

 一方というか、対してというか、VTuberはこういうのこそ盛大に行われる。

 この前も愚妹が凸待ちしていた。

 

 さて、俺もそのVTuber式のお祝いを体験してから少し経った。

 ライバーですらないのに全国のファン(?)から祝われるという中々にイカれた儀式が過ぎ。

 俺はP.S社長さんに呼び出され、何故か愚痴と文句を言われ、受け取るものを貰い、その帰りである。

 

「あ、兄者さーん!」

「大声で手を振りながら俺を呼ぶな八重咲」

「兄者さん、会社に用事ですか?」

「色々な。そっちは配信か?」

「実は、アニメをつくってました!」

「へー」

「信じてないでしょう!」

「信じてる信じてるー」

「それはそうと、その荷台に積まれた大量の荷物は一体?」

「誕プレ、なんだそうだ。車が埋まるかと思ったわ」

「引くくらい貰いましたね……」

 

 まぁそうな。

 けどね、その理由の一端はお前らにあるからな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 契約ではないが、基本的に俺の配信参加は週末に限られている。

 じゃないと仕事に差し支えるからな。

 正確には金曜の夜から日曜の昼まで。

 その日は予定がなかった。

 愚妹を含む全員から打診がなかった以上、寝るに限る。

 仕事から帰り、飯を食ってすぐに俺はベッドにスリープした。

 

 ……。

 …………。

 ……………………。

 

「「いえ〜い!兄者(さん)ハッピーバースデー!!!」」

 

 ……。

 12時である。

 

「は?」

「兄者〜、誕生日だよ〜!」

「いや、は?」

「ほら!今日の主役ですよ!」

「待てお前ら、何が起きてる。……そしてそのカメラはなんだ」

「は〜い、ってことで兄者ど〜ん!兄者の誕生日配信始まってるよ〜」

「始まってるよーじゃねぇよ」

「えっと、とりあえず状況整理します?」

「そうしてくれ」

 

 そういや誕生日だったっけ。

 しかし日付変更と同時に来るか普通。

 そしてなんでこいつらがここに居てこんなことしてる。

 頭回んねぇ……。

 

「今日は兄者さんの誕生日です」

「おん」

「でね〜、どうせならサプライズしよ〜ってことになって〜」

「言っとくけど、まだお前らの口からサプライズしか出てないからな」

「寝起きドッキリすることになってね〜」

「キング・クリムゾンしたぞおい」

「キング・クリムゾン!はっ!?……それで、早朝にみんなで押しかけるのは迷惑だろうって話になりまして」

「ジョセフしてないから。あと配慮の方向がおかしい」

 

 コメント:いえーい!

 コメント:誕生日おめでとう

 コメント:5000円 もってけ

 コメント:2000円 ほらよ

 コメント:4567円 誕プレ贈る

 コメント:勢いがやべぇw

 

 何故説明聞いてんのに謎が増える……。

 あとスパチャがエグい。

 チャット欄めっちゃカラフルになってるんだけど。

 てかまて、今みんなって言ったか?

 

「まさかとは思うがこれ以上──」

「いえーい!兄者ー!誕生日おめでとーう!」

「おめでとう!」

「次から次へと……」

「パイセンと夜斗くんおそい〜」

「わりぃわりぃ。こっちの準備に手間取ってな」

「準備?」

「はい、兄者くん」

「……──マジか……」

 

 コメント:パイセンキタ━━━━ !!!

 コメント:嫁の帰宅

 コメント:ケーキか?ケーキなのか?

 コメント:なんだよてぇてぇじゃねぇか

 コメント:またも全員集合w

 コメント:そら兄者の誕生祭だからな

 

 わざわざ用意してくれたのだろう。

 スミレさんから恐らくケーキの入った箱を受け取る。

 外装的に、市販のものではなさそうだ。

 見ると、夜斗とスミレさんがサムズアップしている。

 ……マジか。

 

「うぉ〜!ケーキだ〜!パイセンつくったの〜?」

「私と夜斗くんで作ったよ」

「めちゃくちゃ苦労したぜ」

「早く食べよ〜」

「その前に兄者、ほれ、言うことがあるだろ?」

「あー、うん、そうだな」

 

 コメント:パイセンのケーキ

 コメント:略してパンケーキ

 コメント:センス◎

 コメント:おい兄者そこ代われ

 コメント:おい夜斗そこ代われ

 コメント:おいケーキそこ代われ

 コメント:ケーキは分からんw

 コメント:嫁のケーキいいな〜

 コメント:ただし凶運の夜斗がアシスト

 

 ありがとうと、伝えるべきなんだろうが。

 しかし……ちょっと気になることが多すぎるんだよな。

 

「八重咲」

「なんです?」

「お前も参加した?」

「わたしは桜ちゃんを見張ることに集中してました」

「なんでこうなった?」

「気遣いの先輩と悪友の先輩ですし……」

「あの手は本当に正位置なのか?」

「流石に親指下には向けないと思いますけど」

「下手したら誕生日が命日になるんだぞ」

「……兄者さんと死ねるなら本望ですよ!」

「俺はお前にそこまで思えない」

「阿良〇木先輩!」

「うるせぇわ」

 

 コメント:草

 コメント:このメンツ料理できるのおらんのかw

 コメント:パイセンはそこそこできるぞい

 コメント:おつまみ自作するもんな

 コメント:けどたまにやらかすよな?

 コメント:夜斗も一緒に作ったんか

 コメント:あ……(察し

 

 いや、うん、嬉しいですよ?

 だからスミレさん。

 そんな、捨てられる寸前のチワワみたいな顔をしないでください。

 この人が基本的に料理ができるのは分かる。

 だが、たまに事故る。

 そして相方が夜斗だ。

 満月時の悪魔合体レベルで事故るだろこれ……。

 

「兄者、くん……?」

「食べますよ。ありがとうございます。とてもうれしいです」

「おいおい顔が笑ってねぇぞぉ」

「お前がいなけりゃ笑う余裕もあったかもしれんがな」

「安心しろ、食えんものは入ってねぇ」

「それは料理の大前提なんだよ」

「兄者〜、早く食べよ〜よ〜」

「先に食っていいぞ」

「マジっ!?」

「兄者さん、毒味は失礼だと思いますよ?」

「え、えぇ!?毒味っ!?」

「兄者ひどっ!!!」

「スミレさんは卵焼きの前科があるわけで」

「だ、大丈夫だからね!ちゃんと失敗しないように夜斗くんに見てて貰ったから!」

「手伝ってなかったのかよ」

「オレが関わったらとんでもねぇものができるかもしれないからな!」

「ついに認めたよこいつ……」

「冗談だ。オレがケーキつくれないだけだし」

「まぁ夜斗が手伝ってないなら大丈夫だろ」

「聞けっての!」

 

 コメント:仲ええw

 コメント:夜斗あなたはもう何もしないで

 コメント:料理だけはせんといで下さいよ

 コメント:ケーキをつくれ

 コメント:エヴァムーブ草

 コメント:兄者死んでも食え

 コメント:なんなら俺が食う

 コメント:飛ぶぞ

 コメント:死因がパンケーキなら本望

 

 見た目がまともなのが余計怖い。

 まぁあれだ、チョコが混入してたらそれはそれで美味いし。

 切り分けてもらったケーキを、一口大にして食べる。

 ……、…………。

 

「うん」

「どう、かな……?」

「うまいです」

「本当に?本当のホント?」

「今度は嘘じゃないっす」

「兄者さん、ケーキは好きですか!」

「スラムダンクは関係ないから」

「じゃあアタシも食べる〜」

「じゃあは酷くないか桜」

「夜斗くんは食べないの?アタシ貰うけど〜」

「食うから!」

「めっちゃフルーツ入ってますね!」

「色々入れた方が美味しいかなって」

「ゴッフッ……なん、だよこれぇ!?」

「なぜ夜斗が驚く」

「めっちゃ苦酸っぱい何かが入ってたんだが!?」

「あ、多分、グレープフルーツ……」

「グレープフルーツっ!?」

「パイセンの料理センスわけわかんね〜」

「お前が言うなお前が」

「夜斗さん、見張ってたんじゃないんですか?」

「目を離した隙にかよぉ……」

 

 コメント:相変わらずの夜斗

 コメント:実質闇ケーキw

 コメント:やっぱこうなるのか

 コメント:なんでグレープフルーツを入れようと思ったんだ……

 コメント:姫が作ってないだけマシ

 コメント:この時がずっと続けばいいのに

 

「どうでもいいが、ケーキ食って終了なら配信にする必要なくないか?」

「あ、忘れてた〜。ケーキ食べながらね〜、溜まったマシュマロ読も〜って思ってたんだよね」

「溜まったって、何がそんなに」

「兄者宛のやつ〜」

「そんなあるのか……」

「オレたちはコメンタリーだな」

「ですね」

「それじゃあ、早速いこっか」

 

 スミレさんが仕切るの?大丈夫?

 

 マシュマロ

『兄者さん彼女(嫁)は、いますか「オタク的意味」』

 

「だって?」

「いない」

「え〜、この人つまんなっ!」

「うっせ」

「推しとかいないんですか?」

「ちゃんとしたカップルで幸せになって欲しい派だ」

「よく分かんねぇが、兄者らしいといえばらしいな」

「じゃあじゃあ、兄者さん。好きなタイプは?」

「綾波レイ」

「「個人名じゃん!」」

「アスカじゃないのが兄者さんらしい気もしますけど」

「ごめん、誰か説明して欲しい……」

 

 コメント:嫁はパイセンだろぅ?

 コメント:ぽかぽかして欲しいんだな

 コメント:清楚系が好きと

 コメント:つまりパイセンか

 コメント:もう結婚しろよ

 コメント:本当に嫁にしてどうぞ

 

「次だね」

 

 マシュマロ

『吹雪菫のことをどう思ってる?』

 

「これを本人の前で言えと?」

「気になるちゃなるしなぁ」

「なんなら皆の印象聞いていきます?」

「あ、いいね〜。じゃあパイセンから〜」

「えぇ、なんか、緊張するね……」

「第一印象は、聖女?」

「なぜ疑問形」

「ちゃんと会って話した時じゃないなと思ってな。しっかり話したのって結局配信の時だったし」

「兄者さんの場合、会い方特殊ですもんね」

「じゃあさ〜、配信のときはどんな感じだった〜?」

「普通に大人しくて優しい人って印象。包容力があるってのか?」

「なんとなく分かるな」

「兄者さん!わたしの時はどうでした?」

「八重咲は……常識のある限界オタク」

「かなり好感触ですね!」

「どこが!?」

「紅葉ちゃんの印象ほぼ変わってなさそ〜」

「ああ、ほぼ変わってない」

「それ好感度上がってないってことじゃないですよね……」

「次はオレだな!」

「厨二ゲーマー」

「……だけ!?」

 

 コメント:八重咲ェ……

 コメント:初対面でほぼ本質見抜いてんの強い

 コメント:この人らキャラ濃いしな

 コメント:キャラってか本当にキャラか怪しいレベル

 コメント:これが素ならヤベー奴だろw

 

 ヤベー奴なんだよな……。

 

「最後は桜か?」

「これと初対面って、生まれたてなんだけど」

「それは第一印象っていうんですかね……」

「じゃあ今は〜?あんま興味無いけど」

「バカの上位互換」

「いえ〜い上位互換〜。……褒めてないよねそれ」

「よく分かったな」

「さすがに分かるから!」

「いやー伝わると思ってなかったわー見くびってたわー」

「兄者なめすぎ〜」

「桜ちゃん、多分それ皮肉……」

「つか、スミレさんは?」

「あぁ……顔隠して震えてんな」

「めっちゃ顔赤くしてそ〜」

「スミレさんって面と向かって褒められるの弱いですよねー」

 

 コメント:照れスミレてぇてぇ

 コメント:いいぞもっとやれ

 コメント:声入らないの助からない

 コメント:兄者パイセンが発狂するまで褒めてみて

 コメント:マシュマロ読めそうにないw

 

「じゃあわたし読みますねー」

 

 マシュマロ

『人生で一番やらかしたと思った事』

 

「これ俺宛か?」

「順番に言ってくかぁ」

「はい!桜ちゃんと台所に立ったこと!」

「どういう意味だぁ〜!?」

「まんまだろ」

「オレは、あれだな、台パンしてガラステーブル割ったこと。あれで乗ってたモニターがおしゃかに……」

「きついなそれ」

「桜ちゃんは?」

「え、なんだろ〜、フィギュア落として首折っちゃったやつかな」

「桜もフィギュアとか持ってんだな」

「ううん、兄者のやつ。とりあえず接着剤で直したけど、めちゃ怒られたな〜って」

「それは誰でも怒るよ」

「愚妹」

「え、何……」

「お前、自分じゃなくて猫のせいって言ってたよな?」

「え……あ、あ!だからね、アタシがちゃんとしてなかったからシャケくんが……」

「で、本当は?」

「……はい、アタシが落としました……棚にぶつかりました……」

「オキニっぽいパーカー全部メルカリ出しとくわ」

「待っデェェェ!ぞればぢがうじゃん!!!」

「安心しろ。俺は嘘泣きぐらいで許すほど人間できてないから」

「ごべんなざいィィィ!!!」

「めっちゃいい笑顔でエグいこといいますねこの人……」

「兄者を怒らせると、怖いな……」

 

 コメント:そのパーカー言い値で買おう

 コメント:6000円 よこせ

 コメント:8500円 あとプリン

 コメント:10000円 足りるか?

 コメント:30000円 俺んだ

 コメント:オークション始まってんの草

 

 別にそこまで怒ってはないけどな。

 単純に教訓がないとこいつはまたやらかしかねんだけ。

 

 その後もいくつかマシュマロを消化して幕を閉じた。

 スミレさんが復帰したのは爆弾マシュマロから5分後くらい。

 ちなみに俺のやらかしたことといえば、半年前に配信に乱入してしまったことだな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今思えば、恐らく人生で一番派手な誕生日だった。

 誕生日会ってのは初めてだったし。

 ただ、さぁ、全国配信でやることかよ……。

 

「あの配信のせいで事務所に大量の誕プレが贈られたんだと」

「そんなことが……。あ、送って貰ってありがとうございます」

「別に。ところで、社長さんに聞いたんだが」

「ボスから?なんです?」

「事務所の冷蔵庫がプリンまみれって何があった」




はいマシュマロ頂きました。
ご馳走様です。
そして新キャラ、シャケ(飼い猫)が登場!
(とくに活躍する予定はない)

Q.なぜ猫なのにシャケ?
A.愚妹が命名。理由は「シャケが好きだから」

Q.パイセンの一番やらかしたなって思うことは?
A.配信切り忘れて酒飲みしたこと。以降、酒入り配信がシリーズ化。


ところで、この作品のいい略称ってない?
ってことで募集してみる。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=255142&uid=229168

感想、高評価、誤字報告、マシュマロ、ファンアートありがとうございます!
ええんやで。
兄者以外も描いてくれて(強欲)(傲慢)(色欲)(怠惰)

マシュマロ募集↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253518&uid=229168

ファンアート募集↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253648&uid=229168



追記
略称は『妹件』に決定しました。
応募ありがとうございます。

第三回 あなたの推しは?

  • 春風桜
  • 八重咲紅葉
  • 吹雪菫
  • サイサリス・夜斗・グランツ
  • 甘鳥椿
  • 音無杏
  • 紅上桃

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