妹の配信に入り込んだらVTuber扱いされた件   作:江波界司

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祝総アクセス数140万件突破!
もはや怖い!

今回は書こうかずっと悩んでたような話。
好き嫌いが分かれるかも……

【!ご注意】
今回にはシリアスな描写や表現が含まれます。
予めご配慮のほど、よろしくお願いします。



#はじめの一言

【夜桜ゲームズ】魔王vs兄妹vsサイコパス【サイサリス・夜斗・グランツ、春風桜、甘鳥椿、兄者】

 

「夜ッ桜ッゲームズ!!!」

「「いえ〜い!!!」」

「だから、なんでこの番組テンションおかしいんだよ」

 

 コメント:vsダークライ

 コメント:vsまたしても何も知らない大泉洋さん

 コメント:つばきちのゲームセンス気になる

 コメント:テトリスやんの?

 

「今回は、ぷよぷよvsテトリス通称ぷよテトだぁ!」

「いえ〜い!アタシね、結構強いよ〜?」

「ツバキもテトリスなら負けないッスよ」

「やる気十分だな!まぁ?オレは二刀流なわけだが」

「兄者先輩はどうなんッスか?」

「両方やったことはある。テトリスの方がシステム的に有利だろうけど」

 

 ぷよぷよvsテトリス。

 2大パズルゲームの異種格闘技戦だな。

 ぷよぷよは連鎖、テトリスはひたすら消してダメージを稼ぐ。

 ゲームの構造上、テトリスはホールドがある分攻めに事欠かない。

 逆にぷよは色によっての運がある分、どうしても動けないタイミングがある。

 その辺、ダメージ量の調整はあるが、基本はテトリス有利だろう。個人の意見だが。

 

「総当りにして、後半はリスナーの参加も入れてくぞ!」

「さっき抽選したやつあるから〜。ちょっと待ってね、今出す〜」

「最初は、ヤトっち先輩と桜先輩ッスね」

「何気にこいつらやり合うの初じゃねぇの?」

「確かにな!夜桜ゲームズじゃしたことないし」

「んじゃいこ〜」

 

 コメント:夜桜勝負

 コメント:夜斗だろうな

 コメント:夜斗はテトリス

 コメント:定石

 コメント:姫ぷよなんな

 コメント:まぁ姫だし

 コメント:体がぷよぷよ

 コメント:ライン越えで草

 コメント:解釈一致

 

「手加減はしねぇぜ……おう!?」

「え、はっや!桜先輩速くないッスか!?」

「こりゃホントに気が抜けねぇな!」

「あー、愚妹はぷよぷよなら速ぇぞ」

「兄者先輩とずっとやってたとかッスか?」

「まぁ、ちょくちょくやってたな昔」

「相手が相手なだけに、経験値高そうッスね」

「あれが速いのは上手いからじゃないけどな」

「え?」

「あいつは何も考えてねぇ」

「え……」

 

 コメント:姫ェ!

 コメント:姫つよい!?

 コメント:いや、あんま配置うまくない

 コメント:定石も何もないな

 コメント:これ色見て条件反射で落としてるだけじゃね?

 コメント:とりあえず並べて消えたらラッキーってか

 コメント:5連鎖w

 コメント:なぜいけるw

 

「なにぃ!?本当に適当なのかよこれ!」

「ほぼ運で消してるからな。下手に定石で固めるより厄介だ」

「いつ攻撃くるか分かんないッスし」

「本人すらな」

「いえ〜い勝てる〜」

「舐めんなぁ!」

「え、うっそ!負けたんだけど〜」

「オレのテクならこんなもんよ!」

「解説の兄者先輩、敗因は何ッスかね?」

「愚妹の場合、配置が適当だからダメージに対応できねぇんだよな」

「なるほどッスね」

 

 コメント:諸刃の剣

 コメント:捨て身

 コメント:悪あがき

 コメント:メガンテ

 コメント:さよならパイセン

 コメント:後半自爆技で草

 

 続いては、愚妹と甘鳥。

 甘鳥はテトリス派らしいが、確かにちゃんと上手い。

 八重咲といい勝負しそうだな。

 

「ちゃんとTスピンできるんだな!」

「めっちゃ練習しましたからね〜」

「まぁ?これくらいやって貰わねぇと、勝負にならねぇからな」

「じゃまブロックじゃまなんだけど〜!」

「そういうゲームだっての」

「だって邪魔ブロックって名前ッスし」

 

 順当に、甘鳥の勝ち。

 さっき弱点晒したし、愚妹に勝ち目はねぇわな。

 次は俺と夜斗。

 久しぶりのテトリス勝負だな。

 

「兄者とか。こりゃ、本気で相手しねぇとな!」

「俺ぷよにしようか?」

「手加減とか考えんなや!負けた言い訳にする気かぁ?」

「煽りのレベルが低ぇ。ほれ、テトリスやんぞ」

「うっしゃぁ!」

 

 コメント:やっば

 コメント:うま!

 コメント:何これ世界大会?

 コメント:夜斗もちゃんと上手いんだな

 コメント:相変わらず兄者がやべぇ

 コメント:これ終わんの?

 コメント:未だ一本も取ってないんだが

 コメント:決着つくんか?

 

「……長い〜」

「めちゃくちゃ続いてますね」

「ね〜、暇なんだけど〜」

「いや、実況とか解説するんじゃねぇの普通。知らんけど」

「だって何してるか分かんないもん〜」

「オレと兄者の速度について来れるやつはそうそういねぇからな!」

「つばきち〜、そいやさ〜、前みんなでカラオケ行ったじゃん?」

「あ、歓迎会みたいなやつッスか?」

「そうそう〜、あれ楽しかったよね〜。またやりたい〜」

「ツバキもッス!またみんなで集まりたいッスね」

「ね〜」

「雑談始めやがったぞ!?」

「もう画面も見てねぇだろそれ」

 

 コメント:カラオケ?

 コメント:その話くわしく

 コメント:パイセンもいたんかな

 コメント:兄スミてぇてぇ期待

 コメント:画面がずっとエグい件

 コメント:絵面と話題の落差すげぇ

 

 カラオケか。

 そういや行ったな。先々週辺りか?

 甘鳥のデビューから一ヶ月くらいに、歓迎会と称して集まった。

 何故か俺まで。

 まぁ本人たっての希望だったらしいが。

 メンバーはいつものメンツ。

 アニソンと流行りの曲が交互に来る至って普通にカオスだった。

 途中からは、特にカオスだったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おれの歌を聞けぇ〜!」

「サキサキ先輩イエーイ!」

「兄者〜、この曲何のやつだっけ?」

「ライオン、マクロスのやつな」

「あ、分かんない〜」

「デュエットかぁ。あ、前に春ちゃんと八重ちゃん、曲出してたね」

「え、は?曲出すってなんだ?」

「結構あるぜそういうの。甘鳥以外は持ち曲というかオリ曲あるからな」

「あ、ねぇねぇ!ほら、春ちゃんの曲入ってるよ」

「ほぇ〜あるんだ〜カラオケすご〜」

「それだけ有名になったんだな!」

「マジかよ」

 

 本当にあった。

 歌手、春風桜とかコラ画像かよ。

 にしても、本当に意気投合してんな、この陰陽コンビ。

 アニメの話題が出来る数少ない友達なんだろう。

 八重咲にとっては。

 

「はい、兄者さん!次どうぞ」

「ん?次、スミレさんじゃなかったっけ?」

「はい、スミスミ先輩、どうぞ!」

「あ、うん、ありがとう甘鳥ちゃん。……え?」

「曲もバッチリ入れといたんで、ガッツリ歌っちゃって下さい!」

「いやおい、甘鳥お前何してくれてんの?曲、3年目の浮気?おいこらおい」

 

 半ば強引にデュエットが始まった。

 まぁ、本日の主役からのリクエストだし、一曲くらいは付き合うが。

 しかし選曲のクセあり過ぎだろ。

 お前は雪精か。

 あと、スミレさんがちゃんと歌上手いのが余計にアンバランスだわ。

 真面目に歌わなくていいですよこれ。

 

「イエーイ!兄スミてぇてぇ!」

「感想が完全にコメント欄じゃねぇか」

「この流れだと、オレ達でデュエットか?なぁ桜」

「え、アタシそういう曲全然知らないんだけど〜」

「オレもレパートリーは多くないが」

「じゃあこれなんてどうッスか?」

「どうって、もう入ってんじゃねぇか!えっと……?」

「高音厨音域テスト〜……?」

「頑張って下さいね、先輩方!」

「「ァァァァァァァァァァァァ!!!」」

「アッハハハ」

 

 鬼かよ。

 喉裂けそうな声出してるし。

 その後も、ふざけながら楽しみながらのカラオケが続いた。

 忘れそうになるが、愚妹もちゃんと歌上手いんだよな。

 ボイトレとかも行ってるらしいし、そりゃ上達もするわな。

 ちなみに俺は人並みだ。

 下手じゃないが上手くもないと思う。

 

「あれ?つばきちは〜?」

「さっき、飲み物取りに行くって言ってたよ」

「俺も何か持ってくるかな」

「お、兄者、オレのも頼む」

「何がいい?」

「コーラでいいぜ」

「おーけー、コーヒーだな」

「話聞いてたか!?」

 

 グラスを受け取ってドリンクバーに向かう。

 で、甘鳥を見つけた。

 って、何かあったのか?

 

「おいおいおい、溢れてんぞ」

「……え?あ、あぁ!すみません、ボーッとしてました」

「大丈夫かよ。疲れたんならお開きでもいいと思うぞ」

「そんなそんな。楽しくてちょっと、トランス状態だっただけッスよ」

「それはそれで危ねぇ状態じゃねぇのか」

「あははは。でも、やっぱり皆さん面白い人たちッスよね」

「そうだな。バカなことさせたら日本一取れそうだ」

「辛辣ッスね」

「まぁな」

「ドヤ顔ッ!?」

 

 自分のグラスに、リアルゴールドを泡を調整しながら注ぐ。

 既に開始から三時間が経過してるし、エネルギー補給しねぇとやってられん。

 アイツらのテンション基本おかしいからな。

 ……にしても、らしくないな。

 

「どうしたよ。悩みがあるなら聞くが」

「え?……何ッスか突然」

「いや、疲れてそうだからな」

「あー、いや、まぁ、そういうことはないッスけど」

「的外れだったか」

「そんな。ただ、なんか、ツバキはやっぱりあの人たちとは違うんだな〜ってちょっと感傷に浸っちゃったというか」

「あいつらと?そうか?」

「ほら、ツバキってキャラ薄いじゃないッスか」

「ちょっと何言ってるか分からんが」

「三期生の中で一人だけ人間ッスし、先輩達みたいな変なことないッスし」

「そうか?」

「アニメとかも色々勉強したッスけど、やっぱり本物には敵わないッスし」

「それは努力の方向がおかしい気もするが」

「だから、ちょっと語尾キャラ目指してみたりもしたんッスけどね」

「……それ俺のアドバイスじゃないよな。やめろよ素人の言葉真に受けんの」

「最近、ちょっと登録者数も止まっちゃったんで……とか、そんなこと思っちゃっただけッスよ」

「そうか」

 

 そういや、存外悩みの多い職業だったな。

 なら辞めればとも思うが。

 作り笑いするくらいなら、逃げるべきとも思うわけで。

 

「まぁ、お前がそこまでつまんない奴とは思わんけどな」

「アハハ、ありがとうございます」

「いや、世辞とかじゃなく。つーか、それ楽しくないだろ」

「え?」

「別に我慢とかする必要ないだろって思っただけだ。やりたいようにやればいいんじゃねぇの」

「ツバキは結構、やりたいようにやってるッスよ?」

「でもどっか遠慮してんだろ。じゃなきゃ他の人とか比べることもないだろうし」

「……?」

「本当に好きなことしてる時は、周りなんて見えねぇもんだ」

「あ……」

「それに相手はあいつらだろ?なら遠慮も容赦も要らねぇよ」

「アハハ……そう、ッスか?」

「ああ。あいつらはアホだしポンコツだし陰キャだし厨二だし、馬鹿だしアル中だし情緒不安定だし非常識だが」

「めっちゃ言いますね」

「だけど、何やっても笑って許す奴らだ」

「……」

「だから好きにやってみろよ。その方が、合ってると思うぞ」

「好きにって、いいんッスか?めちゃくちゃにしますよ?」

「あいつらも好き放題やってた方が人気も出たし、楽しそうだからな」

「……そう、ッスね確かに」

 

 甘鳥はグラスを両手で握って俯いている。

 その水面に、一滴の雫が落ちた。

 下手に笑うより、その方がよっぽど楽になるだろう。

 

「先に戻るぞ。落ち着いたら戻ってこいよ」

「……はい」

「あ、夜斗のドリンク頼むわ。コーラが欲しいらしいから、最高においしいやつ入れてやれ」

「……はい」

「……ああ、あと」

「何、ですか?」

「──お前も十分やべぇ奴だからな」

「……兄者先輩、その言い方はずるいッスよ」

「何がだよ。んじゃな」

「はいッス!」

 

「……ほんと、ずるいですよ……兄者先輩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ。兄者おかえり〜つばきちは〜?」

「めっちゃドリンク悩んでたな」

「兄者、オレのドリンクは?」

「忘れた」

「何故に!?」

 

 それから数曲挟んでからだ。

 

「ただいま戻りました!ヤトっち先輩、ドリンク、コーラッスよね?」

「おお、ツバキ、サンキュー。……コーヒーじゃねぇよな?」

「まさか、そんなことするわけないじゃないッスか」

「……匂いも、ちゃんとコーラだな。よし、サンキュ──あんっっっま!?」

「ちゃんとコーラッスよね?」

「どこがだ!?明らかにコーラの甘さじゃないんだが!」

「ありったけのガムシロ入れといただけッスよ」

「糖尿なるわ!!!」

「つばきち?なんか目赤くない?」

「え?あ、さっき、兄者先輩に泣かされたんッス……」

「兄者?何したの〜?」

「え、兄者さん?」

「兄者くん?泣かせたの?甘鳥ちゃんを?」

「おいこら甘鳥、夜斗に毒盛れとは言ったが爆弾を持ち帰れとは言ってねぇ」

「貴様の差し金か兄者ぁ!!!」

「あっははは!!!」

 

 本気で笑ってんな。

 ったく、やべぇ奴だわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、俺の勝ちだな」

「ちくしょぉぉぉ!Tさえ来てればぁ!」

「罰ゲームなんだっけ?フルマラソン?」

「設定してねぇし!つかそんな走れねぇよ!」

「んじゃ次は俺と甘鳥だな」

「負けない、とか言えないッスねこれ……」

「安心しろ。死なない程度にボコるだけだ」

「鬼ッス!というかツバキ、今日は兄者先輩に何もしてないッスよ!?」

「カラオケの分。ポンコツ共の誤解解くのにどれだけ時間を無駄にしたか」

「時効じゃないッスか!」

「実刑判決だ」

「いぎゃあああ!!!」

 

 宣言通り、残り二行の盤面を押し付けまくった。

 それはそれで楽しいだろう。

 見てる側は。

 

 コメント:つば虐いいぞ

 コメント:兄者に勝るものなし

 コメント:次は夜斗戦か

 コメント:つばきちめっちゃ煽るやんw

 コメント:夜斗も煽るから

 コメント:つばきちの煽り芸前より磨きかかってる

 コメント:先輩に対する遠慮がないw

 コメント:夜斗が舐められてるだけでは?

 

 夜斗と甘鳥の一戦は終始煽り合戦だった。

 少しでも有利になったら煽り、不味くなったら命乞いする。

 夜斗がぷよだったし、結構競ってたな。

 

 ちなみに、甘鳥以上の煽りをして来た愚妹はボコボコにした。

 そして愚妹は、リスナー戦を含め14連敗という偉業を成し遂げた。

 




はい、重い。
私がシリアスを書くと結構こうなるので避けてたんですけどね。
たまには書きたいじゃないですか。
これでつばきち人気が出たら御の字。
次回からはちゃんとふざけます。


Q.つばきちは兄者のこと好きですか?
A.大好きです。

Q.この作品のヒロインチョロくない?
A.みんな過去に色々あったのでチョロいです。


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第三回 あなたの推しは?

  • 春風桜
  • 八重咲紅葉
  • 吹雪菫
  • サイサリス・夜斗・グランツ
  • 甘鳥椿
  • 音無杏
  • 紅上桃

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