妹の配信に入り込んだらVTuber扱いされた件

#俺がモテないのはどう考えてもお前らが悪い

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ありがとう……ありがとう……。

気が付けば前回から１ヶ月経っていた……。
まぁ丁度区切りだったもんで。
前回、結構シリアス混ぜてみたけど酷評なくてよかったな〜。
やっぱりふざけてるとついシリアスにしたくなっちゃう（笑）
ちょくちょく他のメンバーにも踏み込んで行く予定があったりなかったり。

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　リビングで金曜日特有のジブリ祭りを見ながらスマホを弄る。

　見飽きてんのになんか見ちゃうよな神隠しのやつ。

　ゲームじゃなくTwitterを流し見してるのは、まぁ気分だな。

「兄者〜何してんの〜？」

「んー、エゴサ？」

「え、なんで？」

「別に意味はないが」

「あ、パイセンになんか言われた〜？」

「特になにも。……つか、お前こそ何してんの？」

「お風呂入んの」

「上着ろ下穿け。なんで脱衣場までに脱いでんだよ」

　下着姿の愚妹に手近なバスタオルをぶん投げる。

　なんかギャーギャー言ってるが、さっさと風呂入れアホ愚妹。

　自分の家だし身内だからまぁ許せるが、もう少し気遣えっての年頃女子よ。

　別になんとも思わんけども。

『兄者』という存在がV界隈に出てから約10ヶ月。

　その存在はなんというか、人気Vの身内としてそれなりの知名度と地位をほこる……らしい。

　初期、なんて言うとベテラン感があるから嫌だが。

　ともかくその頃から比べると、いわゆるアンチというのもだいぶ減った。

　最初こそガチ恋勢なる過激派に陰でぶっ叩かれてたが、関係者俗に言う四天王の地道な活躍で鳴りを潜めている。

　自分が自分の意思で会っているから悪いのは自分、というような内容の話をしたのはスミレさんだったか。

　ありがたい話だ。

　気にしないようにしてるが、陰口を知れば気分も悪いわけで。

「兄者〜！シャンプー切れた〜！」

「知らねぇよー！」

「換えのやつとって〜！」

「お前のシャンプーがどれか知らねぇってのー！」

「ピンクのやつ〜！」

　ただまぁ、そろそろ俺も考えねぇとな。

　最近じゃ兄者単体で動くことすら出てきてるし。

　普通に考えて他の人のチャンネルに単独でコラボすんのおかしいよな。

　誰も居ない脱衣場の棚を見る。

　シャンプーとリンスインのやつ、計4種のピンクが並んでいる。

　だからどれだよ。

【兄者王】魔王に関する知識No.1決定戦【甘鳥椿、吹雪菫、サイサリス・夜斗・グランツ、春風桜、八重咲紅葉、兄者】

「おいてめぇらいい加減にしろよ」

「まぁまぁ、いいじゃないッスか〜。ほら、王座ッスよ王座」

「間違ってはないが、普通は玉座だろ」

「さっそく自己紹介してくッスよ〜。P.S三期生、甘鳥椿ッス。今回は進行兼プレイヤーとしてやってくッスよ〜。そして、まずはスミスミ先輩から！」

「夜分遅くにこんばんは。P.S一期生、吹雪菫です。今日はよろしくお願いします」

「パイセン、意気込み？だって〜」

「意気込み……えっと、優勝したらどんな願いも叶えてくれるらしいので、頑張ります」

「誰が神龍だ」

「次はオレ！同じく一期生、サイサリス・夜斗・グランツだ！まぁ？兄者と一番仲良いの多分オレだし？これは圧勝だな！」

「あ、はーい。次、桜先輩ッス」

「うぉい！？」

「おはる〜春風桜だよ〜。新しいマイク欲しいからがんばるよ〜」

「神龍にマイク強請(ねだ)んなよ」

「はい！P.S二期生、八重咲紅葉です！世界の半分、貰いにいきます！」

「魔王じゃねぇか。あとそれ参加賞」

「くれるんですか！？」

「持ってねぇよ」

　コメント：自己紹介から大荒れw

　コメント：またしても何も知らない兄者

　コメント：ダークライより遥かにラスボス

　コメント：サムネの兄者完全に魔王w

　コメント：【速報】兄者ついに神になる

　コメント：新世界の神定期

　コメント：死神の目初期装備

　コメント：存在チートで草

　コメント：神は神でも死神やんけ

　コメント：兄者の人外化が止まらないw

　本当にまたしても何も知らねぇよ。

　だから企画説明をしろよ事前に。

　で、何、兄者王？

　お前ら兄者のこと祭り上げ過ぎだっての。

　冗談は置いといて。

　今回はクイズ企画らしい。

　設問はそれぞれプレイヤーが持って来ている。

　んでその質問に俺が答えて、プレイヤーがその答えを予想。

　一番俺の答えに近いやつに点が入る。

　尚、配点は俺の独断と偏見で決めていいらしい。

　……全員0点にして企画潰してやろうか。

「で、優勝したら兄者先輩に何でも一つお願いを叶えて貰います」

「お前よくこの企画作れたな」

「え、何でッスか？」

「俺のメリット皆無だし、なんなら参加すること自体がデメリットじゃねぇか」

「大丈夫ッスよ。ちゃんと最下位には何でも命令できるルールッス！」

「だからメリットになってねぇっての」

「まぁまぁ、お互い無茶なことはしないってことでやりましょう」

「帰りてぇ」

「早速いきましょう！」

「最初は私からだね」

　質問

　吹雪菫『犬派？猫派？』

「随分と無難なやつ来たな」

「2分1で点入りますね。スミレ先輩、自信あるんですか？」

「前にね、話したことあるんだ」

「これよ、一人三つ質問持ってきてるけど、全員自分が答えわかるやつ持って来てんじゃねぇのか？」

「まぁそうッスね。だからこそ、他の質問でも点取らないと勝てないんッスよ」

「なるほどな！」

「あ〜、どっちなんだっけ〜」

　愚妹、スミレさん、八重咲が猫派。

　夜斗と甘鳥が犬派だな。

　確かにそういう話をしたことないと完全に2分1だなこの質問。

　点数は、正解者にそのまま1点ずつかな。

「答えは、猫かな。どっちかつーと」

「ええ！？兄者先輩、犬じゃないんッスか！？」

「なぜ驚く」

「だって、兄者先輩ドSじゃないッスか」

「よしもういいぞ黙れ」

「シャケくんいるもんね」

「何となく、猫派は桜だと思ってたぜ」

「なんか前そういう話したけど〜なんかどっちもって言ってた気がする〜」

「正直、わたしもここは勘でした」

「どっちも嫌いではないしな。世話が楽な方を選んだ」

　コメント：シャケって誰？

　コメント：猫

　コメント：猫なのにシャケw

　コメント：ドSは犬好きそう

　コメント：兄者は猫にもSなんだきっと

　コメント：兄妹なのに勘で当てる姫

　質問

　夜斗『一番ハマったゲームタイトル』

「これはオレ以外当たんねぇだろ！」

「夜斗くんずる〜」

「はっは！そういうゲームなのだよ！」

「え〜、わっかんねぇ〜」

「甘鳥、素出てんぞ」

「兄者さん、ヒントくださいヒント」

「ヒントってもな。あー、当時はゲーセンでやってたかな」

「アーケードゲームですね！」

「兄者何してたっけ〜。わかんない」

「桜、結構兄者知識薄くねぇか？」

「普通じゃない〜？」

　夜斗『鉄拳5』

　スミレさん『ストリートファイター』

　八重咲『ギルティギア』

　甘鳥『ストII』

　愚妹『てっけん』

　意外と割れたな。

　あと格ゲーで固定されたのは、まぁそうなるか。

　コメント：ストII

　コメント：ギルギア

　コメント：鉄拳

　コメント：太鼓の達人

　コメント：beatmania

　コメント：REFLEC BEAT

　コメント：maimai

　コメント：格ゲーか音ゲーと予想

　コメント：敢えてのクレーンゲーム

　コメント：当時はだから家庭用でもやってた説

　コメント：ウメハラが近付くやつ

「鉄拳5だな。全キャラ10連覚えるまでやったわ」

「ほれみろぉ！」

「いや前に話したし」

「そういう企画だからいいだろ！」

「むしろ鉄拳当てた愚妹がすげぇよ」

「そ〜いや昔兄者とやったな〜って。めっちゃボコられた記憶ある」

「鉄拳……ごめん、私わからない」

「いやいや、よくストII出しましたよ」

「それしか知らなかったから」

「私はもうネタに走るしか思いつかなかったです。番数まで分からないですし」

「ニコニコネタだろそれは」

「くぅ……ツバキ全然正解出ないッス……」

「まぁ、こういう質問は付き合いの長さ出るしな」

「兄者、得点はどうすんだ？」

「夜斗と、愚妹も1点やるか。結構惜しいし」

　コメント：パイセンフォローする兄者てぇてぇ

　コメント：鉄拳派かぁ

　コメント：この人何言ってんの？

　コメント：全キャラコンボ覚えるってやばい？

　コメント：10連覚えるだけなら割とできる

　コメント：多分兄者は全キャラマスターレベル

　コメント：覚える→感覚でノーミスで確実に繋げられる

　コメント：全キャラ極めてるな

　コメント：博識ニキ多くて草

　コメント：兄者が優しい？

　コメント：姫がおまけもらった

　俺は普通に優しい。

　あと、そんな大したもんじゃないっての。

　当時学生だし。

　音ゲーはbeatmaniaが一番やったかな。多分。

　親父もゲーマー気質だったから、ゲーセン行くって言ったら速攻で札渡して来たんだよな。

　今思うと家計が心配だわ。

　質問

　八重咲『初恋（二次元）は？』

「何その答えにくい質問」

「これこそわたしの得意分野です」

「人の性格を科目扱いすんのやめろ」

「アニメキャラかぁ。ダメだ全然分かんねぇ」

「これは、あれッスね！あれッスよね！」

「前に配信で言ってた、かな？」

「あ〜、パイセンありがと〜」

「あ、ヒントになっちゃった！？」

「言ったっけか。覚えてねぇ」

　答えは、全員揃って『綾〇レイ』。

　何これ怖い。

「なんで知ってんだよ」

「皆正解してます！？深読みするかと思ったんですけどねぇ……」

「これしか分かんない〜」

「私も……」

「オレもー」

「くっ……豊富な知識が徒に……」

「結構有名じゃないッスか？配信でも話してましたし」

「初恋とは言ってなかったんですー！」

「初恋ってのがあってるかも分かんねぇけどな。一番古くて好きな子ってだけで」

「そうなんッスね。まぁ初登場が包帯グルグル巻きのボロボロ担架ッスもんね」

「都度都度俺を鬼畜なドSに仕立て上げようとすんな」

「いやいや、ツバキもグッと来たんで分かるんッスよ」

「一緒にすんなサイコ鳥」

　コメント：つばきち怖い

　コメント：ドSコンビ

　コメント：Sは打たれ弱い

　コメント：兄者は反撃するけどな

　コメント：全反撃

　コメント：兄者はプロレスのプロだから

　コメント：わざと殴らせてからムーンサルト決めるスタイル

　コメント：ダメージ交換理不尽w

　質問

　愚妹『今までリアルに付き合った人数』

「完全に悪意があるだろ」

「え〜ないよ〜」

「お前俺に得点決定権があるの忘れてねぇか？」

「……すぅ────」

「どうしよう……なんだか答えるのが失礼みたいな気がする」

「変に同情しないでください。別に気にしてはないんで」

「兄者さん、すみません」

「謝る意味がわからん」

「兄者、悪い」

「よし表に出ろ。無料で顔面整形してやる」

「兄者先輩、今からツバキと付き合ったことにすれば答え変わるッスよ！」

「お前に至っては何言ってるか分かんねぇわ」

　全員、『0』

「まぁ、ゼロなんだが」

「兄者、涙拭けよ」

「だから気にしてねぇっての。ただ、全員迷いなくゼロ出すのがなんか嫌だわ」

「兄者くん、ごめんね」

「いや、まぁ、いいですけど。とりあえず愚妹をマイナス2極(ごく)点にしとくんで」

「2極点って何っ！？わけわかんない〜」

「10の48乗だ」

「分かんない〜！！！」

「日常生活でまず聞かない単位ですね……」

「これ罰ゲーム枠確定じゃないッスか？」

　コメント：マイナス2極点は草

　コメント：姫負けたな

　コメント：点数のインフレ

　コメント：兄者を怒らせた姫が悪い

　コメント：いじめギリギリの質問やろ

　コメント：ライン超え

「つか、全員答え揃うの多くねぇか。もうちょい質問考えて出せよ」

「次はツバキッスね。これはもう、ツバキ以外答え出ないかもッスよ」

　質問

　甘鳥『一番得意な声優の声真似は？』

「随分と範囲が狭ぇな」

「実質ツバキとサキサキ先輩の勝負ッスよ」

「うはぁー！悩むー！」

「めっちゃ効いてんな」

「声優分かんない〜」

「無限択だなこれは」

「えっと、なんだったけ……」

「パイセン、分かんの〜？」

「昨日、たまたま切り抜きで見た気がするんだけど、名前がね……」

「んん……？そんな話したことあったか？」

「私も分からないから当てずっぽうだよ」

　おぉ、コメ欄が男性声優の名前で埋め尽くされてる。

　というか、だから得意な声真似とかねぇっての。

　こっちが答えんのに困るわ。

　リア友に披露するってことも今までは無かったし、評価がムズい。

　自分で得意とか言うのが余計にキモいし。

　メンバーの答えは、愚妹が『杉田』

　夜斗『大塚〇夫さん』

　甘鳥が『櫻井〇宏さん』、八重咲が『福山〇さん』

　スミレさんが『サクライさん』

「八重咲のは、ルル〇シュのってことか」

「そうです！めちゃくちゃ候補多くて悩んだんですけどね」

「俺的に、『櫻井〇宏さん』かなって思ったんだけどな」

「えぇ！？なんでですか！？」

「いや、お前のリクエストが多かったから、上手かったのかって思ったんだけど」

「だぁぁぁくっそぉぉぉ！」

「そんなにかよ」

「兄者先輩なら、そう考えると思いましたよ！」

「謎の推測力発揮してんな甘鳥」

「……夜斗くん、誰〜？」

「ああ、クラ〇ドのか！なるほどなぁ」

「当たっちゃった、のかな？」

「えぇ！パイセンすご〜」

「兄者くんが声優さんの話してるの、これしか思い出せなくて」

「甘鳥とスミレさんに1点追加で」

「イエーイ！こっから追い上げるッスよ〜」

　コメント：確かに

　コメント：兄者全部上手いで

　コメント：話し方が上手い

　コメント：個人的にはルル〇シュすこ

　コメント：また声真似配信して欲しい

　コメント：声真似RPGでゲーム配信希望

　コメント：兄者V適正ありすぎ

　コメント：パイセンこれ当てるのやべぇw

　コメント：さすが嫁さん

　だから、そんな凄いもんじゃねぇんだっての。

　あとこの企画、想像以上に答え当たるの怖いんだけど。

　いや、こいつらが分かるのはまだいいよ。

　なんでコメントもそこそこの的中率してんの？

　数打ちゃ当たるにしては当たり多くない？

　アンチどころかファンが増えてんじゃなかろうな。

　……甘鳥のことを考えると否定できねぇ。

　ゲームは全15の質問で幕を閉じた。

　甘鳥と愚妹が失礼という理由で減点はあったが、基本的に点数はそのまま正解数になってる。

　スミレさん9点。

　八重咲7点。

　夜斗7点。

　甘鳥8点から減点5。

　愚妹10点で、減点は2極3点。

　強制参加させられた神龍はまた大仕事を抱えなければならない。

　優勝したスミレさんと、今度晩酌配信に付き合うことになった。

　……いっそ潰すほどコールしてみるか。

　愚妹の罰ゲームは配信内では決めず保留。

　後日、Twitterを一日甘鳥に使わせるということにした。

　俺が下手にいじってファンが消えたら流石に申し訳ないし。

　あいつならうまくやるだろう。

　その日、愚妹のTwitterはおびただしい数のいいねとリツイートを獲得した。

　たった一つの投稿。

　そこには、大きめでサイズの合っていない灰色と黒のTシャツを身にまとい、頬を赤らめる春風桜と一言。

『おに……兄者に内緒で借りちゃった♡』

「ぬァァァぁぁぁァァァぁぁぁァァァぁぁぁ！！！」

　常人では発声不能な愚妹の咆哮が響いた。

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というわけで今回はなんて事ない兄者の日常（？）回でした。
つばきちがちゃんと馴染めてる感じが出てたらいいなと。


第一回、推しアンケートの投票ありがとうございました。

春風桜 695票
八重咲紅葉 2894票
吹雪菫 5562票
夜斗 1161票

圧倒的ヒロイン力の差を垣間見ました。
第2回アンケートには兄者と甘鳥も追加しました。
相変わらずパイセンが強い（笑）
そしてつばきち、ちゃんと人気やで。
先輩2名……。



感想、高評価、誤字報告、マシュマロ、ファンアートありがとうございます！
これがうれしいんだ。
いつかクソマロも有効活用したいなと思ってたり。

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