妹の配信に入り込んだらVTuber扱いされた件   作:江波界司

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涙出てくるよ。





#食戟のライバー

「兄者〜お腹空いた〜」

「ポットん中にお湯あるぞ」

「カップ麺飽きた〜!スパゲッティ食べたい〜!」

「結局麺じゃねぇか」

「昨日もたぬき食べたじゃん〜」

「知らんがな。俺唐揚げ食ったし」

「アタシの分は〜!?」

「お前配信してたし、良くね?」

「いいわけないじゃん〜!」

 

 うちの両親は普段からよく家を空ける。

 ネグレクトってことではなく、シンプルな仕事で。

 何せ親父が芸術家だからな。よくあちこちに行ったり来たりしている。

 オカンはその付き添いというか手伝いだな。

 俺が就職するまではちゃんと専業主婦してたし、親父のたまにやるポンコツは家計に響くからな。

 しっかり見張ってくれ母よ。

 んで、今週も丸々親がいない。

 当然自炊となるが、愚妹はまぁ、あれだし。

 とりあえず生き残れれば問題はないだろう。

 

「兄者じゃん。お前はキッチンに立つな〜って言ったの〜」

「ちゃんと段階を踏んでからにしろって言ったんだよ。分かれどあほう」

「うわ〜うっさ!兄者うっさ!」

「食うなら手伝えよ」

「やった〜!あれ食べたい〜チーズの中に入ってるやつ〜」

「グラタンを所望かよ」

「それ〜!」

 

 スパゲッティ食べたいという感情はどこへ。

 いやまぁ、中に入ってはいるが。

 ちなみに愚妹は舌をヤケドした。

 お前、何歳だよ。

 冷ませよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【闇鍋】これが本当の地獄だ【サイサリス・夜斗・グランツ、八重咲紅葉、春風桜、甘鳥椿、兄者】

 

「夜斗、てめぇは俺を怒らせた」

「待て待て待て、兄者、話を聞け」

「俺は鍋が食えると聞いたんだ」

「鍋は食えるぞ!」

「このメンツで闇鍋はもう命の危険があるだろ」

「兄者先輩?それはどういう意味ッスか?」

「まんまの意味だサイコ女」

「酷くないッスかね!?」

「私もできれば来たくなかったですよ……」

「なんで今回被害者多いんだよ」

「兄者に嫌がらせしよ〜って話になったから〜」

「どストレートだな。お前ら覚えとけよ」

 

 コメント:騙されて呼ばれる兄者チョロい説

 コメント:信頼とか?

 コメント:このメンツに信頼があるわけねぇw

 コメント:嫌がらせ前提の闇鍋とか最悪じゃんw

 

 わざわざ事務所のスタジオに呼ばれた土曜午後。

 夜斗が企画者ということもあり、あまり警戒はしていなかった。

 メンバーもある意味いつも通りだし、雑談しながら鍋を囲むんだろうと。

 それが、このザマだ。

 俺はもうこいつらをどうすればいい。

 

「やだな〜兄者先輩。さすがにツバキ達も食えないものは入れないッスよ〜」

「入れたら自分も食べることになりますしね」

「唐辛子とかハバネロとかブート・ジョロキアとか持って来てねぇだろうな」

「……ヤトっち先輩、企画説明しましょうよ!」

「おい、返事しろ、てかこっち見ろおい」

「まぁ?企画はタイトル通りだし、今話した通りだ!ぶっちゃけ、兄者に半端な勝負で罰ゲームはさせられないからな。もうはなから罠にかけたって訳だぜ」

「いっそ清々しいほどのクズっぷりだなお前ら」

「今日はね〜、一人三つまで鍋に入れるのを持って来たよ〜」

「そうだ!闇鍋企画って伝えてなかったし、兄者はまともなものを持って来てそうだけどな!」

「当たり前だろ」

 

 誰が進んで食いたくないもの持ってくんだよ。

 闇鍋企画。

 何が入っているか分からない鍋を暗闇の中で食うだけのもの。

 シンプルにリアクションは取れるが、怖いわマジで。

 それぞれ持ち寄った材料はスタッフさんに渡してある。

 配信画面の片隅でモザイク状態の制作過程が配信中。

 材料を隠すためなんだろうが、なんかもう放送できないレベルの絵面になっているのではと疑ってしまう。

 

 コメント:嵐が来るぞ

 コメント:スタッフさんどんな気持ちで鍋作ってんのw

 コメント:やばいやばいw

 コメント:今何入れた?

 コメント:とりあえず赤い何かは入った

 コメント:パイセンはおらんの?

 

「スミレさんは、スミレさんは置いて来ました。この戦いには付いて来られないので」

「ギョウザ扱いかよ」

「スミレさんの場合、闇鍋に適さない何かを持ってきかねないんですよ」

「あの人は本気で何入れるか分かんねぇな。愚妹以上に」

「兄者、アタシが何持って来たか分かるん〜?見せないよ〜にしてたんだけど〜」

「どうせ菓子類だろ」

「え……なんで分かんの……キモ」

「おいこら単細胞、マジで持って来やがったのかよ」

「お?面白そうだな!んじゃスタッフさんが鍋作ってる間に、予想とかしてみるか!」

「愚妹が甘味、甘鳥が辛味で確定したけどな」

「「全部じゃない(ッス)よ!」」

「他がどれだけマトモでも元取れねぇよ」

「一周回ってバランス取れたりしてな!」

「夜斗、お前はぐちゃぐちゃのプリン唐辛子を添えてを美味いと思えるか?」

「……地獄か」

「地獄だよここは」

「夜斗先輩は、何持って来たんですかね?」

「おお、兄者、予想してみろよ」

「……何でもいいわ」

「それは企画として成り立たねぇんだが!?」

「多分、全部お前が処理するだろうし」

「どんな確率だよそれ!」

「ヤトっち先輩ならやりかねないッスね」

「あ〜わかる〜」

「お前らオレを何だと……」

「読めねぇのは八重咲だな」

「わたしは、結構真面目に持って来ましたよ」

「それはどっちの意味だ」

「我が身可愛さと言えば伝わりますかね?」

「安全地帯が増えたのは朗報だな」

 

 コメント:プリン入ってる前提は草

 コメント:料理センスない三人がヤバそう

 コメント:甘鳥は?

 コメント:得意料理カップ麺の女

 コメント:シンプルにヤベェ奴

 コメント:しれっと毒盛ってそう

 コメント:道連れやんw

 コメント:闇鍋に毒は確殺

 コメント:兄者「俺毒効かない体質なんだよね」

 コメント:魔王に即死は効かない定期

 コメント:人間辞めてて草

 

 ちなみに俺の食材は牛肉、ネギ、白菜。

 どうせ全員肉類持って来て中身タンパク質の塊になると思ってたんだがな。

 あてが外れたにも程があるっての。

 暫く雑談で繋いだ後、スタッフさんがゆっくりと鍋を持って来た。

 愚妹の担当マネさん。

 蓋をしてるからアレだけど、狂気の凶器一歩手前みたいなブツをよく笑顔で運べるな。

 毒されたんかな。

 もう一刻も早く休んでくれ。

 

「さてと、電気も消えたところで、食ってくか!」

「お前のそのテンションの高さはどっから出てくんだ」

「今日こそ泣いてもらうぜ兄者!」

「もう泣きたいから。なんなら今すぐ帰りたいから」

「ささ、兄者先輩、ツバキがわざわざ盛って差し上げましたよ〜」

「わーよくもやりやがったなクソアマー」

「口悪くないッスかね!?」

「はぁ……もう覚悟決めるか。どうせ死ぬなら全員だ」

「なんか、毒とか入ってると思ってないッスか!?」

「……ん。ん、んん。豆腐、か?」

「当たりです!多分!」

「八重咲、よくやった。本当に」

「兄者さんもよく引けましたね」

「多分俺史上最もお前に感謝してる」

「それはもうちょっとして貰ってもいいんですけど」

「それはそうと、これ何鍋だ?」

「闇鍋じゃないの〜?」

「いや、出汁というか、ベースの味が分かんねぇんだよ」

「吸ってみればいいじゃないッスか」

「やだよ。現時点でだいぶ不味いんだよ」

「あー、一応醤油ベースらしいぞ!」

「甘いが。ものすごく甘いが」

「確実にプリンが溶けてますよねこれ」

「他に何を入れた愚妹」

「アタシ〜?ポッチーくらいしか甘いの入れてないよ〜」

「さもそれが普通かのように言うな」

「ツバキは甘くなるようなものは入れてないッス」

「夜斗は?」

「オレもだな」

「となると八重咲だが」

「グラップラーの気分になってください」

「ほう、炭酸抜きコーラですか……じゃねぇよ。返せよ俺の感謝」

 

 コメント:バキネタ助かる

 コメント:地上最強の生物兄者

 コメント:兄者勇次郎

 コメント:鍋に入れたらただの砂糖

 コメント:そら甘いw

 コメント:愚妹が挑むには高すぎる壁

 

「オレらも食おうぜ!……うあがァァァァァァ!!!」

「辛そうなのに当たったな夜斗」

「ハバネロッスね多分」

「やっぱ入ってたな」

「ブート何とかは近所に売ってなかったんッスよ」

「売ってなくてよかったよほんとに」

「ハバネロも良くねぇェェェ!」

「あ、お肉〜うま〜」

「早く食わねぇと肉が無くなる」

「でも一口の勇気めっちゃ要りますよねこれ」

「……ん、ん?……あの、これ、噛み切れないんッスけど」

「なんだ、モツとかか?」

「いや、あの、ガム?ッスかこれ?」

「あ、ガム入ってるよ〜」

「なんてもん入れてんッスか!」

「お前が言うな」「人の事言えねぇだろぉ!!!」

「これ、バナナ入ってますね」

「あ、それオレだ!」

「不味いです。普通に不味くてリアクション取りにくいです」

「ダメ出しされてないかオレ……」

 

 コメント:うわぁ

 コメント:地獄絵図

 コメント:カオス

 コメント:救いのない闇のゲーム

 コメント:何この地獄

 コメント:しんどいw

 コメント:材料出てくる度笑うわ

 

 その後も、何故か殻ごと入れた卵(愚妹のせい)や塊のまま入った生姜(甘鳥のせい)が夜斗に回った。

 殺意すら感じる。

 八重咲の入れたピーマンは運良く愚妹に当たり悶絶。

 暗闇じゃなかったらハイタッチしてたかもしれんな。

 夜斗の入れたらしいマシュマロは溶けて無味無臭だった。

 あとはゴーヤも入れたんだと。

 自分で食ってたけど。

 甘鳥の残りひと枠は芯ごとトウモロコシ。

 ……食えないもの入れてんじゃねぇか。

 こうして、今回はおそらく夜斗の1人負けで配信が終了した。

 まぁ、シンプルに鍋が不味かったから全員負けではあるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人三品ともなると、一つの鍋には入り切らない。

 ってことで、それなりに材料が余ったらしい。

 後でスタッフが美味しく頂くと思う。

 ただ、俺としてはせっかくの牛肉を食いそびれるのはあまり嬉しくない。

 肉、卵、豆腐、コーンもあるし、キッチンを借りて即席だがハンバーグを作った。

 材料が余りもんで人数分作った結果、お子様ランチサイズ。

 ま、口直し程度には良いだろう。

 

「兄者って、やっぱ料理できんだな!」

「ハンバーグだ〜いえ〜い」

「兄者先輩の手料理とかレア過ぎッスよね!」

「兄者さん、ありがとうございます」

「おお」

 

 味見がてら、口に放り込む。

 まずまずの出来だな。

 欲を言うなら玉ねぎが欲しかった。

 代わりと言っちゃなんだが、俺以外のにはハバネロ入れといた。

 

「「「「辛ァァァァァァァァァ!!!」」」」

 

 お粗末。




前回の感想欄で落ち葉さん達が最高にテンション上がってたな笑
Good90以上の感想とか初めて見ました(個人作品比)
あそこまで推してもらうと作者としても嬉しくなりますよ。
甘鳥が兄スミ推すから八重咲の負けヒロイン弄りがしやすくて楽しいんすわ。
虐待プレイ最高!(どんどんやばくなる主)


Q.ifルートとか書かないの?
A.書いた瞬間負け確になるのやじゃん

Q.ライバーの歌唱力ってどんな感じ?
A.八重咲→技術的、表現力的に上手い。
パイセン→声がいい、ちゃんと上手い。
愚妹→基本ができてて声が独特。たまに歌詞間違える。
甘鳥→癖強め。ボイトレ通い始めで伸び代あり。
夜斗→中の上。
兄者→表現力がある上手さ。イケボ。


感想、高評価、誤字報告、マシュマロ、ファンアートありがとうございます!
そろそろクソマロネタも出そうかなと思ったり。

マシュマロ募集↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253518&uid=229168

ファンアート募集↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253648&uid=229168



第三回 あなたの推しは?

  • 春風桜
  • 八重咲紅葉
  • 吹雪菫
  • サイサリス・夜斗・グランツ
  • 甘鳥椿
  • 音無杏
  • 紅上桃

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