妹の配信に入り込んだらVTuber扱いされた件   作:江波界司

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#ブラザー・ブレット

 五月病という不治の病をご存知だろうか。

 一般に新年度の新しい体制や関係に着いていけず、ストレスから無気力性の体調不良を起こしてしまうことを指す。

 だが、ストレスの原因は決して新しい生活だけではない。

 ゴールデンウィーク。

 4月末から5月上旬にかけて存在する長期連休だ。

 冷静に考えて、二週間弱もの間好き勝手に生活していて、次の日急にお仕事モードに切り替わるわけが無い。

 ましてゲーマーやオタクの朝は遅い。

 夜明けと共に床につき、正午を過ぎて目を覚ますなんてのはザラだ。

 6時起きだと?それは寝る時間だ。

 別世界のラスボスで、宙に舞う電気ネズミを奈落へとたたき落とす。

 

「つーわけでそろそろ寝るわ」

「何がどういう訳かまったく分かんねぇな!というか勝ち逃げすんな!」

「夜斗、うるさい。もうお眠だから、深夜に叫ぶと近所迷惑だろ」

「午前6時は朝だと思うが……」

 

 眠いならそれはもう夜と同義だ。

 夜斗がこんな時間でも元気なのは単純に生活サイクルがぶっ壊れてるだけだ。

 夕方に寝て日が変わる頃に起きるとか変則すぎると思うがな。

 そういえば今日は午後から用事があったっけ。

 まぁ、流石に起きれるだろう。

 タイマーをセットしてベッドに入る。

 6時間寝れば人は活動できるもんだ。

 

 それから約3時間後に愚妹に叩き起されたことを表記しておく。

 無論シバいた。デコピンで。

 お前の朝飯など知らん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【誇りをかけた闘い】最強の兄妹・姉妹対決!開戦!【春風桜、紅上桃、音無杏、兄者】

 

 コメント:まさかのコラボ

 コメント:ついに姉御が来た

 コメント:なんの対決w

 コメント:兄者に勝てる気しない……

 

「おはる~!姉御となっし~が来たよ~!」

「こんなしー、音無杏だよー!」

「いえ~い!」

「元気いいのなお前ら」

「その方が助かるわ。さぁ、どっちがP.Sの姉にふさわしいか、決めよか!」

「ふぅあぁ……」

「やる気あんのか!」

「ぶっちゃけねぇよ」

「なんでやねん!」

 

 コメント:本場のツッコミ

 コメント:あくびw

 コメント:兄者舐めきってるw

 コメント:煽りスキルカンスト

 コメント:試合は既に始まってるw

 

 眠みぃんだよ。

 今日魔剤も入れてねぇし。

 つーかこんな予定もあったわな。

 マジで興味無さすぎて忘れてたわ。

 ゴールデンウィークの記憶、ほぼス〇ブラのタイマン戦しかねぇし。

 

「落ち着こう姉御。これもきっと作戦だから」

「なるほどな。怒らせて判断を鈍らせようって魂胆か」

「いや、普通に眠い」

「だからなんでや!まだ昼やぞ!」

「お昼ってご飯食べると眠くなるよね~」

「確かにな。それはそうやわ」

「対応の差が激しいな」

「アンタが言うか」

「むしろ全員にこうだが?」

「それはそれでどうやねん!」

 

 コメント:ころころ変わるな姉御

 コメント:歳下には基本優しいのが姉御

 コメント:兄者も歳下では?

 コメント:敵には厳しい姉御

 コメント:さすが釘バットが似合う女

 

 物騒な二つ名が見えるが。

 それはもうヤンキーかヤクザの類だろ。

 怖いよ。

 今すぐ国家権力にすがり付いてやろうか。

 

 本日のゲームはご存知『遊び大戦』

 多種多様なゲームで勝利数を競えるやつだ。

 今回は2on2のチーム戦にするらしい。

 曰く、妹のフォローが上手い方が勝つ!だそうだ。

 運ゲーになったら愚妹の独壇場だと思うがな。

 

「まずはリバーシや!」

「チーム戦じゃねぇのかよ」

「えっと、手番を交互に打っていくレギュレーションにします」

「フォローってのはそういう事か」

「うっしゃ~、やろ~!」

「お前、一回全部目閉じて打てよ」

「なんで〜!?」

 

 その方が強そうだからですが何か。

 俺達が黒、向こうが白でゲームが始まり、順当に盤面を埋めていく。

 

「てか、普通に強いな」

「悪いけど、このゲームはウチら、相当やり込んでるからな」

「二人でよくやるからね」

「なるほどな」

 

 コメント:兄者チーム劣勢?

 コメント:序盤は少ない方が強い

 コメント:愚妹が毎回荒らすw

 コメント:トータルでバランス取れてて草

 コメント:姫(デバフ要員)

 コメント:実質ハンデでは

 

 リバーシは2手3手先を読むゲームであり、相談無しでチーム戦をすると戦略の相違や実力差で大きく盤面は荒れる。

 まして愚妹はほぼ何も考えてない訳で、相方の作戦に乗るってのも出来ない。

 なんだこのマゾゲー。

 今度夜斗にもやらせてみようか。

 

「そろそろ終盤やけど、大分差ついたんちゃうか?」

「まぁ、角二個取られてるしな」

「サクラちゃんが危ないところに置くから」

「え、アタシのせいなん~?」

「よく分かったな」

「兄者~、あとよろしく~」

「ぶん投げんな。ぶん投げんぞ物理的に」

「怖っ~!」

「お、お兄さん……」

「なら、そろそろ決めよか!」

「ま、そうだな」

 

 コメント:まずは一勝か?

 コメント:パスじゃねこれ?

 コメント:え?

 コメント:は?

 コメント:なんかおかしい

 コメント:姫のプレイが変わった?

 コメント:後半姫上手くない?

 コメント:これは代わったか?

 

 代打ちはしてない。

 それはルール違反だからな。

 

「は!?うそやろ!?」

「負けた?二個差!?」

「いえ~い!勝ちぃ~!」

「バカのせいでギリギリだったけどな」

「有り得へんやろ!ほぼ勝ち確の盤面やったぞ!」

「まぁ、重要な石は守ってたしな」

「アンタ、一体何したん……?」

 

 さっきも言ったが、リバーシは先読みのゲーム。

 もっというなら、相手の石をどこに置かせるか誘導するゲームだ。

 それは味方にも言える。

 愚妹に戦略性はないが、一つ勝つための思考は存在する。

 それが、一番多く返せるところに置くという超初心者的思考だ。

 ならばそれを踏まえた上で愚妹の手番もろとも誘導すればいい。

 

「愚妹が置く場所含めて計算しただけだが」

「だけだが、って……」

「いやいや、不可能やろ!」

「雑なAIくらいには忠実に動くからなこいつ」

「……AIってなんだっけ~?」

「人工知能だよ」

「あ~、シリのやつ~」

「その発音だと別モンになるからやめろ」

 

 コメント:ヤバすぎるw

 コメント:兄者強えw

 コメント:この人何言ってんの?

 コメント:化け物

 コメント:化け物?違うこいつは魔王だ

 コメント:姫のデバフあってこれかよw

 

 まずは一勝。

 負けたチームがゲームを選べるルールなんで、音無が次を決める。

 チーム戦が出来るものということで、エアホッケーとなった。

 

「これ、ウチ得意やで」

「姉御強いから任せるね」

「おう!任しとき!」

「愚妹、ゴール前でうろちょろしてろ」

「なんで~?」

「お前が守り、俺が攻めな」

「あ~おっけ~!」

 

 コメント:五本先取

 コメント:期待

 コメント:姉御の腕が見もの

 コメント:ネット対戦で五連勝できるくらいには強い

 コメント:チーム戦何気に初めて見る

 

「んじゃいくぞー」

「棒読みやな」

「……はい?」

「1ー0な」

「は?え、何が起きたん!?」

「バウンドさせて打っただけだが」

「いやいや、なんでウチらの隙間そんな的確に通せんの!?」

「フレームのところに柄あるだろ?それ基準に打てば大体狙えるぞ」

「いやいや……」

「いやいやいやいや、無理やろそんなん!」

「え、先行ってそれが定石じゃねぇの」

「聞いたことないわ!」

 

 コメント:ガチ勢w

 コメント:前までは遊び大戦慣れてないとか言ってたのに

 コメント:兄者絶対やり込んできてるw

 コメント:だいぶ前につばきちとアホほどやってたからな

 コメント:勝負になるかこれw

 

 まぁ先手くらいしか基本使えないしな。

 更にいうと油断してる相手にしか効かない。

 まぁ打ち得の手だからやらない理由はないけど。

 乱打戦は流石というか、ちゃんと反応してくるな。

 チーム戦なのもあって中々崩せない。

 

「うりゃ~!」

「サクラちゃん、めちゃくちゃな動きしてない?」

「というかさっきから全部弾かれとるんやが?」

「エ〇ルの先読み対策みたいなもんだ」

「狙わなければ読まれないってこと……?」

「お、ワ〇ピースは履修済みか」

「新世界前までなら……」

「あー、あるあるだな」

「うおおお!」

「うりゃ~!」

「というかマンガ読むのか?」

「アニメ勢、です……」

「リアタイか?」

「あ、いえ……というか、OPの曲目当てみたいなところがあって」

「あー、名曲多いしな」

「そう!そうなんですよ!」

「敬語とタメ語ぐちゃぐちゃだな」

「のぉぉぉ!」

「とうりゃ~!」

「あ、ごめんなさい」

「いや、いいが。個人的にはエ〇エスロビー辺りの曲好きなんだよな」

「分かります!サビ前からの入りが特にいいんですよね」

「あの一呼吸置いて盛り上がる感じな」

「そうそう!」

「そうりゃぁぁぁ!」

「ぬぉぉぉ~!」

 

 コメント:温度差w

 コメント:超熱戦

 コメント:こころのちず

 コメント:あれ好き

 コメント:ジャンプシーン好きよ

 コメント:姉御と姫が荒ぶっとる

 コメント:姫鉄壁で草

 コメント:鉄壁の姫

 コメント:アイアン・メイデン

 コメント:拷問器具やんけ

 

「というかさっきから何の話しとんの!?」

「好きな曲の話だよ」

「姉御ってアニメとか見ないのか」

「あんま見ぃひんな。有名なワンシーンとか知っとるくらいやわ」

「へぇ」

「興味無さそうやな!」

「いや、今まさに興味をなくしたところだ」

「何もフォローできとらんで!?」

 

 何だかんだエアホッケーは持久戦になった。

 愚妹がほぼ弾くのでこっちの失点はないが、姉御と音無がちゃんと守るせいで中々点が取れん。

 結局、20分くらいかけてようやく俺が五点取った。

 

 次のゲームはヨット。

 五つのサイコロを3回まで振り直し、その出目を競う。

 1から6までの出目が何個あるかの数を見る役と、ストレートという階段状に揃える役がある。

 点数は役を作った時の出目の数で、6の役で出目が三つ出ていたら18といった具合だ。

 で、その中でも特に強い役がヨット。

 同じ出目を五つ揃えるもので、最大点数は50とかなりでかい。

 まぁそうそう出ないがな。

 

「あ、ヨット~」

 

 ……そうそう出ないはずなんだが?

 

「3のヨットだから、15点か」

「いえ~い!ヨット~」

「いきなり出るんか」

「凄いよね、サクラちゃんの運って」

「いや、3の役に入れとけ」

「え、なんで~?」

「お前ならまたヨット出しそうな気がする」

「さすがにそれは……」

 

 コメント:否定できないw

 コメント:いきなり強すぎる

 コメント:運ゲーで姫に勝つの無理では?

 コメント:バグの域

 

 このゲーム、フォローも何も無いんだがいいのだろうか。

 まぁ戦略的な話はできるのでその辺で手を打つということになった。

 そして、音無が5のヨットを出した。

 

「マジか」

「やば~、すご~」

「やったー!」

「ようやったアンズ!」

「実質2連続ヨットなんだが?」

「熱戦やな」

「あ。兄者~ヨット出た~」

「お前らちょっといい加減にしろよ」

 

 コメント:ヤバいヤバいw

 コメント:まるでヨットのバーゲンセールだな

 コメント:おかしいおかしいw

 コメント:出すぎだろw

 コメント:バグってるってwww

 

 本来ヨットなんてそうそう出るもんじゃない。

 ポーカーの4カードくらいはレアだぞ。

 なのになんでこの2人、ヨットで殴りあってんの?

 ゲーム性崩壊してるだろ。

 もしくは誰かがものすごく不幸になってるかの二択。

 

 何だかんだあったが、三連続ヨットを決めた愚妹にはさすがに届かず、音無はトータル二回のヨットを引くも敗退した。

 いやそれもだいぶおかしいんだけどね?

 

 その後もかなりの量のゲームをやった。

 神経衰弱は愚妹の適当な札にどうにか合わせて勝利。

 愚妹を2手目にしとけば運ゲーに持ち込めたかもというのは考えないでおこう。

 

 ボクシングは一発当てたら後は逃げ切りを決め込んで勝った。

 殴ってくる姉御はほぼチンピラだった。

 

 ヒットアンドブローは四色の玉の位置あてゲームで、手番を移す度にヒントが出る。

 攻めすぎると相手に取られるという駆け引きの発生するゲームのはずなんだが、愚妹が初手で当てたせいで完全なクソゲーと化した。

 

 ……とまぁ色々あったが、結局15ー0で勝ち越した。

 これで寝れる。

 さっさと配信閉めてくれ。

 

「完全にぼろ負けや……」

「姉御、これは仕方ないと思う。相手がおかしいよ」

「……せやな。なに?フレームて?」

「運ゲーしたらサクラちゃんに絶対勝てないし……」

「兄者さ~、いつの間にこんなやり込んだん~?」

「いや、定期的に配信でやらさせられてるだけだが」

「そんなやったっけアタシ~?」

「主に甘鳥のせいだな。俺があんまやった事ないゲームなら勝てる理論で勝負吹っかけて来てた」

「あ~そゆこと~。で、負けた~?」

「いや、全勝」

「うわ~」

 

 コメント:さすが兄者

 コメント:毎回罰ゲーム受けるつばきち

 コメント:恥ずかしボイスまとめ出てたレベル

 コメント:こりないつばきち

 コメント:まだつばきちブロックされてんのかな

 

「ああ、せや。アンタ、ツバキのLIMEブロックしたまんまちゃう?」

「え?あー、そういやそうか。最近音沙汰ねぇなとか思ってたが」

「忘れとったんかい!」

「兄者ひど~」

「ちゃんと反応してやんな。それと──」

「あん?」

「しゃあないから認めたるわ。アンタが、P.Sの兄者や」

「いや認めなくていいんだが」

「遠慮せんでもええて」

「遠慮じゃなくて純然たる拒否だが」

「けど、ウチも諦めた訳ちゃうで。P.Sの姉御の名、取り返したるからな」

「いや取らんし。今すぐにでも返すし。てかもう勝手に名乗れよ」

「いつかリベンジしたる!それまで預けとくで!」

「だから要らねぇつってんだろ」

 

 話を聞けや。

 この人ほんと、突っ走りだしたら止まんねぇなおい。

 まためんどくさい奴と知り合ってしまった。

 しかも今後も関わる気満々とかどうなの?

 そろそろお祓いでも行こうかとすら思えてくる。

 女難の相とか出てねぇか俺。

 ろくな女性と知り合わねぇんだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。

 

『速報:公式にP.Sの兄者になる』

 

 案の定、某サイトはお祭り騒ぎだ。

 今思うが、なぜ俺は勝ったのだろう。

 普通に適当にやって負ければ良かったものを……。

 あぁ、あれだ。

 きっと寝不足でまともな判断ができてなかったんだな。

 何となくゲームして何となく勝ったんだなきっと。

 つまり寝不足だったことが全ての要因であり、俺は悪くない。

 以上の仮説より、寝不足の原因たる愚妹と夜斗は極刑に処すべき。

 QED。

 

 ブロックを解除した甘鳥のアカウントで2人の黒歴史を晒した。

 

 

 

 

 




兄者win(それはそう)
毎度とばっちりを受ける夜斗、お前の不運を呪うがいい。
黒歴史の公開ーブラック・ブレットー

なっしーと姉御、今回はとにかく兄者と配信で絡んで貰いました!
二人の深堀は次回以降です。
乞うご期待!

Q.姉御のV姿は?
A.イメージはにじさ〇じのア〇ジュ・カトリーナさんと樋〇楓(でろ〇ん)さんを足して÷2

Q.公開した黒歴史は?
A.夜斗→『中学に考えた魔法詠唱』(普段の会話で聞いた)
愚妹→『例の-1点のテスト』

Q.前に社長から直々に「ウチはヤベー奴等の集まりだから(超意訳)」って言われてたのに、なんで兄者は常識人だと思ったんだ?
A.さすがに四天王クラスがそうゴロゴロいるわけないと思うじゃん




感想、高評価、誤字報告、マシュマロ、ファンアートありがとうございます!
生きがいです。

マシュマロ募集↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253518&uid=229168

ファンアート募集↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253648&uid=229168


第三回 あなたの推しは?

  • 春風桜
  • 八重咲紅葉
  • 吹雪菫
  • サイサリス・夜斗・グランツ
  • 甘鳥椿
  • 音無杏
  • 紅上桃

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