妹の配信に入り込んだらVTuber扱いされた件   作:江波界司

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いつもありがとう。

そんな皆様に朗報です。
週一更新します。


#サマータイムライバー

 赤スパで殴られる、という表現を聞いたことがあるだろうか。

 現代語訳の局地とも言えるこの言葉を言い換えるなら、札束ビンタである。

 いわゆる投げ銭のスーパーチャットで規格外の大金を見せられれば、並の人間は脳が止まる。

 本来嬉しいはずの収入源で暴力を振るわれるという矛盾に理解が追い付かないのだ。

 そして俺は、まだ朝も九時前だというのに現在進行形で脳がコールドスリープしている。

 ちょっと遅くなったし泊まってけよと言う友人くらいの軽さで示された場所が、どう見ても庶民が選ぶことのないレベルのリゾートホテルだった時の気持ちを述べよ。

 まずこんなの日本にあったの?

 俺ここに泊まんの?

 ドレスコードとか無縁の私服で大丈夫なの?

 

「兄者〜早く入ろ〜」

「プールもあるらしいですよ!」

「流れるやつとかあるッスかね!」

「でっかい滑り台とかね〜!」

 

 なんで三馬鹿は平気そうなんだ?

 バカだから?

 真面目に考察するなら、アイツらは既に脳の整理がついているのだろう。

 今回のような大イベントは、当然の事ながらかなり前から企画準備がされている。

 準備期間の中で、本番に向けた緊張感や心持ちというものが整っていく。

 その息抜き目的も兼ねているであろうこの施設。

 演者の多くが楽しみとして認識しているのは想像にかたくない。

 あまりにも簡単にチェックインが済んでしまい、先に入っていた姉御達との合流にそう時間はかからなかった。

 

「来たみたいやな」

「今回ばかりは文句の二、三は言わせてもらいたいもんだがな」

「それは、すまんかった。ウチが思いっきり忘れとった身やから言い訳できんわ」

「音無と二人がかりで両方忘れるかね」

 

 そういやボスにも小言を言われたとかなんとか。

 あの様子だと煽って終わっただけの気もするがな。

 元々、この日に愚妹と音無を車で送る予定は入っていた。

 そのついでのように膨大な情報量を叩きつけられたのが数日前。

 もはや連れていくメンバーが増えていたことなど些事でしかない。

 確認と用意に時間を費やし、気が付けば当日となっていた。

 施設情報まで見てる余裕なかったな。

 

「今回のこと、伝え忘れたまんま帰って悪かった。ほんますまん」

「まぁ過ぎたことを今さらか。ボスに直接確認取れたし、来ちまったからな……」

「アンタからかけた時、ボスはどうやったん?」

「爆笑してたぞ。こっちの方がキレそうだったわ」

「本人からしたら、交渉に頼んだ二人がなんも言っとらんかった状態やからな」

「それこそブチ切れポイントじゃねぇのかよ」

「ウチらが想定外のことすると面白がんねんな」

「やっぱ頭おかしいだろあの人」

「誰の頭が、なんだって?」

「……世界一怖いご本人登場だな」

「アレって偽もんシバキ回すイベントやったんやな」

 

 奥のデカすぎる階段から降りて来たあたりが特にらしい。

 この人、絶対的に優秀だし怖いくらい成果を出すタイプであるんだがな。

 如何せん価値観がイカれてて共感しにくい超人感がある。

 自認は凡人だったけどな。

 今回にしても、この施設だけで相当な出費だろうに、メインは明日のリアルイベントだという。

 どっからそんな資金を調達したんだよ。

 いや、忘れがちだが、この事務所のライバーって業界でも上から数えた方が早い奴らばっかだわ。

 更に言うなら、他の大手事務所に比べるとライバーの人数自体は少ない、らしい。

 少数精鋭、故にロスも少なく安定しているともいえる。

 安定感とは程遠いメンツなのは無視しよう。

 

「私は暴力反対派の人間だよ」

「金の暴力を受けてる気分なんだが」

「純然たる心からのお礼の気持ちなんだけどね」

「赤スパで伝えんなよ」

「上限五万と一緒にしないで欲しいね。どうしてもと言うなら諸々の金額を教えて上げようか?」

「五万以上かかってる事が確定しただけで胃が痛てぇよ」

「安心してくれていい。君にはそれくらいの価値がある」

「つってるけど、今回俺は演者じゃねぇんだろ」

「だから感謝の気持ちだよ。日頃のね」

 

 まぁ、貰えるものは貰っておくか。

 あまりにも贈り物がデカすぎて受け取りの体力消費がとんでもない。

 100マイルで金塊を投げ付けられた気分だ。

 幸か不幸か、ここは宿泊施設である。

 せっかくなので大いに休ませてもらおう。

 高い部屋とか落ち着かなそうだな……。

 やっぱ俺だけその辺のビジネスホテルにして貰えません?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 荷解きを済ませ、本当に一人用か疑いたくなるサイズのベッドで大の字になる。

 柔らかすぎて逆に寝れねぇかもなこれ。

 ようやく一段落つき、異形な光源を眺めながらふと思う。

 ──VTuberのリアルイベントってなに?

 冷静に考えて欲しい。

 アイツらってバーチャルの存在で売ってんだよな?

 そんなのが質量をもった壇上で何をすんだよ。

 リアルな姿を見られた時点で全員アウトじゃん。

 鉄仮面でも付けるってか?

 ライブパフォーマンスって意味では、歌える人材は確かに多い。

 しかし、解散時刻を見るに開催時間ほぼ一日。

 歌うだけなら出張P.S歌謡祭って名目でもいいはずだ。

 わざわざフェスを謳ってるってことは他にも何か催があるってことなんだろうか。

 考えても仕方のないことをグダグダと反芻していると、入口をノックする音が聞こえた。

 

「来たか」

 

 何をするんだという話をするなら、現在の俺自身にも同じ疑問が向けられる。

 予定にない泊まりで、事実上の旅行先。

 我ながらそういう趣味がないのもあって、こういう時どんな行動をしたらいいか

 分からないの、となってしまう。

 その為、早めに助っ人を呼んでおいた。

 

「兄者!ス〇ブラやろうぜ!」

「夜斗よ、お前が同じ人種で助かるわ」

「バカでけぇテレビ付いてるしな!やるしかねぇだろ!」

「そのキャリーケースの中身、それだけじゃねぇな」

「食料もちゃんと買い込んだぜ!」

「お前はそのまま永遠の男子高校生でいてくれ」

「褒めてるのかそれ!?」

「絶賛だろ」

 

 流石は庶民代表の魔王様。

 こういう時、頼りになるぜ。

 俺も荷物の中からコントローラーを出し、移動させたテーブルの上に菓子類をばらまいた。

 手が汚れない小分けタイプを選ぶ辺り──プロやな。

 高級ホテルでこういうことをするのは一種の冒涜な気もするが、こういうところは防音も完璧なはずだ。

 心置き無く、殴り合わせて貰おうか。

 

「兄者もやる気満々じゃねぇか!」

「そら暇つぶしも持ってくるだろ」

「そっちは準備するものとかねぇか!」

「むしろ、お前こそこんな事してていいのか?」

「自由時間の方が多いんだ。リハも後でするけどな!」

「そもそもお前らのリアイベって何すんだ?」

「それは企業秘密だな!」

「左様で」

「つか兄者はスケジュール表とか貰ってねぇのか?」

「なんにも。まぁ関係ないといえばそれまでだが」

「ボスが何企んでるか気になるな!」

 

 なるほど、夜斗を口止めしてるのはボスか。

 直属の上司というか社長だし、なんのヒントでもないな。

 公式サイトでも開けば一般公開されている情報は見れるかもしれない。

 歌うかは知らんが、セトリとかな。

 ただそこまでして調べるような気も起きない。

 

「俺が出る訳じゃねぇしいいんだがな」

「意外だよな!」

「意外じゃねぇわ。俺をこういうイベントに出すってのが、かなりイカれた発想だからな?」

「けど兄者、ボスに確認取ったんだろ?」

「イカれた行動をしかねないのがお前らだからな」

「確かにそういう奴らばっかだな」

「なんで自分が除外できると思ってんだ」

「まぁ?今回は俺たちの活躍を楽しんでなってことなんだろ!」

 

 楽しむも何も、会場に入れるかという話ではある。

 チケットは売れてるだろうし、席数が決まっている以上当日入場ができるもんでのないだろう。

 キャンセルがゼロではないとしても望み薄だ。

 そもそも望んで見ようとも思わんしな。

 P.SとかVTuberのファンかと言われれば違うし、友人の付き添いでもないイベントにわざわざ一人で参加する気にもならない。

 フェスが終わるまでぶらり旅でもしようか。

 それも慣れんがな。

 

「なぁ兄者、ノックする音聞こえね?」

「気のせいだろ」

「いや明らかにこの部屋だぞ!」

「お前以外の来客予定はないんだが」

「ならルームサービスか!」

「待て、開けんな」

「なんでだよ」

「大体こういう展開で出てくんのは殺し屋か人の姿をしたバケモノだ」

「昨日なんの映画見たんだよ!」

 

 事前説明で聞いた限り、勝手に来るタイプのサービスはなかった。

 貸切ではないが、このフロアはP.Sの関係者で固まってるはずだし、部屋を間違えていることも考えにくい。

 あるとしたら、トラブルか。

 悩んでいる間に、スマホの通知が鳴る。

 

 LIME

 

 八重咲『あけろ』

 

 あ、ちゃんとバケモノだったわ。

 てか怖ぇよ。

 なんで敬語忘れるくらいブチ切れてんの?

 これ以上放置すると何されるか分からんし、開けるか……。

 

「兄者さん何してるんですか!」

「それはこっちのセリフだけども」

「プールあるって言ったじゃないですか!」

「あれお前らの日常会話じゃねぇの」

「自分に言ってなくても!そんなの聞いたら普通行くでしょ!」

「行かねぇだろ。知り合いいるなら余計に」

「メインヒロインの水着イベントスキップとか正気ですか!?」

「その肩書き持ってる知り合いはそもそもいねぇわ」

 

 この歳でプール行っても楽しめるかといえば微妙なんだよな。

 健康維持で泳ぐくらいしかやることが思い浮かばない。

 それに、水着イベントねぇ。

 ガキの頃、そういう時はとにかく褒めろ、とかおねじさんに散々言われたんだよな。

 今思うと正しい教えなんだろうが、それが原因で避けるように立ち回る癖がついてしまった気がする。

 めんどくさいし世辞を言うのも嫌だしで拒否感が強いんだよな。

 それはそうと八重咲のやつ、やたらとテンションが高ぇな。

 夜斗も普段と比べるとそれなりに浮き足立っている気もする。

 クソデカイベントの直前だし無理もないか。

 

「つか俺水着持ってねぇし」

「水着なら、確かプールの近くで売ってたぞ」

「今そんな話はしてねぇんだよ」

「してたよな!?」

「兄者さん、少しはわたし達の気持ちも考えて下さいよ」

「まぁそうだよな。流石のお前らでも緊張はするよな」

「そうです。今日のために頑張って来んですから」

「……待て、本番は明日だよな?」

「頑張って絞って来たんですよ!」

「水着イベントじゃなくてリアルイベントの準備をしててくれよ」

「そっちはノリでどうにかなります」

「夜斗。お前んとこの後輩、こんな事言ってるぞ?」

「おう!同意見だな!」

「てめぇらプールに沈んでこい」

 

 頼むから頭を冷やしてくれ。

 空元気か、緊張でおかしくなっていると信じたい言動だ。

 残念ながら通常運転だろうな。

 思い返してみると、愚妹もダイエットをしていたかもしれない。

 直接見てはいないが、ランニング用の靴が出しっぱなしだったな。

 最近特にプリンの摂取量が増えていたのは、そのストレスも原因の一つだろうか。

 カロリーの収支がどうなったかは本人のみぞ知るってな。

 

「兄者さん。埋め合わせの件、忘れてませんか?」

「この前配信出たろ。しかも進行役付きで」

「あれは全然コラボ依頼の範疇ですよ」

「俺としてはアレで貸し借り無しのつもりなんだが」

「プライベートの埋め合わせはお仕事とは別枠です!」

「配信はプライベートカウントしてんだよ」

「てめぇの血はなに色だぁ!!!」

「世紀末のゴロツキ並の酷いことをしたか俺?」

 

 このままだと死兆星が見えかねんな。

 八重咲に関してはここに来る前からテンションが振り切っていた。

 それに方向性はやや間違っているが、本番に向けた準備という点には俺も思うところがある。

 なにより、真の本番は明日だ。

 今日の調子が響くこともありえるし、メンタルケアはできるだけして方がいいだろう。

 なんでリゾートホテルに来てまでそんなことを考えているのか。

 まさかボスが俺を呼んだ理由ってコレじゃねぇよな。

 

「はぁ……夜斗、準備しろ」

「お、行くのか?ちなみにオレも水着はねぇぞ!」

「つーわけで俺らの分、買ってから行くわ」

「兄者さん……」

「泳ぐ気はねぇが、顔見せるくらいはしといた方がいいだろうしな」

「じゃあ先行ってますね!ドタキャンしたらそのハード、コントローラーごと沈めますから!」

「やめろ!これはオレのだ!」

「二言はねぇからさっさと行け」

 

 わざわざ高層から(くだ)り、予定にない出費をしてから屋内プールへ移動する。

 念の為に着替えは多めに用意するタイプで助かった。

 パーカーっていつでもどこでも着れて便利だよな。

 入ってすぐに、透明な壁から差す陽の光に眩しさを感じた。

 てか、広いな。

 中央のプールは当然デカいし、プールサイドには名称不明な割によく見る面積広めのチェアがある。

 これぞリゾートって感じだな。

 いくつか並んでいるそれらでくつろぐ二人には見覚えがあった。

 黒いビキニ姿の姉御と、赤めのパレオを着たボスである。

 サイドテーブルにはなにやら飲み物まであるし、どこの休日セレブだろうか。

 

「ようモモ!それとボス!」

「夜斗と、兄者くんもか」

「演者は分かるが、社長さんまでくつろいでていいのかよ」

「メリハリは大事だよ。休憩時間は全力で休むものさ」

「二人が来るとは思っとらんかったな」

「兄者に連れられて来たぜ!」

「社会人として社交辞令を言いにな。二人とも似合ってる」

「ふふっ、それはどうも」

「社会人として最初の一言は伏せとかんかい」

 

 実際、身長もあってスタイルのいい二人は遠目に見ても目立っていた。

 社交辞令とは言ったが、誇張も嘘も言ってはいない。

 思った以上に人がいないため、プールのド真ん中にいるバカ二人はすぐに見つかった。

 水で全身は見えないがそれぞれ愚妹はピンク、甘鳥は白を基調としたもの着ているようだ。

 バカは三人寄らなければならないのか、代役の夜斗が早くも入水している。

 楽しそうでなによりだな。

 

「他のメンバーは来てねぇのか?」

「アンズもスミレも、こういうとこは苦手やからな」

「君とあまり交流のないメンバーなら、チラホラ来ていたよ」

「そういや紅葉はおらんな」

「八重咲に呼ばれて、てか脅されて来たんだが」

「彼女なら、あの柱の影に隠れてるよ」

「いつの間に来たんや……」

「どんな索敵能力してんだよ」

 

 姉御も俺もこのエリアを探していたのに気が付かなかったぞ。

 やはり陰の者は気配を消せるんだな。

 てっきり愚妹達と一緒に来ているものだと思っていたが、俺らを引きずり出すための別行動だろうか。

 二人には義務も済ませたし、長居する理由もない。

 歩き故の遠回りで対岸まで移動し、目的の場所まで辿り着いた。

 しかし探していた人物はこちらの気配を察したのか、きっちりと柱に姿を隠している。

 

「呼び付けた張本人がドタキャンかよ」

「いや、あの……調子乗ってすんませんでした……」

「いつもに増して情緒が乱高下してんな」

「その、わたしも熱に浮かされたと言いますか、だいぶ狂ってたと思いますんで……」

「お前は大体いつもとち狂ってるから安心しろ」

「いつも以上に狂ってたんですよ!もう周りとか見えてなかったんですって!ほんとすみません!」

 

 周りねぇ。

 さっきまで俺がいた位置のちょうど向かい側のここは、鏡写しにプールの様子が見えている。

 入口の近くにいる姉御とボス、水中で戯れるバカ三名もしっかりと確認できた。

 周りがよく見える位置だな。

 

「この前の天Vな。実は結構真面目に練習してたんだわ」

「そ、そうなんですか。珍しい、ですよね、多分?」

「大会に向けて、みたいなのは全然しねぇからな。我ながら珍しいと思う」

「……そうですよね」

「んで改めて、継続的に何かを頑張るってのはしんどいな」

「兄者さんでも、そうなんですか」

「むしろ俺はそんなにしない方だ」

「あんまりそうは思いませんけど」

「ともかく、それで思ったことがあるんだがな」

「なんですか?」

「結果はどうあれ、頑張ったってところは評価してもらいたいもんだな」

「兄者さんは、結果も出してるじゃないですか」

「偶々な」

 

 あの時のことを偶然とまでは言わないが、勝負は時の運とも言われる。

 実力が拮抗した相手ならば、実力以外の何かが決め手になるなんてのはよくある話だ。

 大会のような場面で勝ち負けにこだわる事も時には必要かもしれない。

 けれど世の中には勝敗で語れないものも少なくない。

 そんな時、そこに至るまでの過程をないがしろにされるのは、頑張った者にとって気分の良いものではないだろう。

 

「そんな訳でだ、頑張ったヤツのことはちゃんと褒めてやりたい」

「……結果が良くなくても、ですか?」

「そりゃな。俺が同じ立場ならそうして欲しいからな」

「それなら…………わたしの努力も褒めてもらえ、ますか?」

 

 柱の影から姿を現した八重咲。

 俯きがち立つ彼女は、フリルの付いたオレンジの水着を着ていた。

 頑なに目を合わせないのは自信の無さからだろう。

 

「似合ってるな」

「……結果のこと言ってるじゃないですか」

「努力が結果に伴ってんだから、結果ごと褒めるだろ」

「…………あ、ありがとう……ございます……」

「さて、と。イベント消化したし、戻るわ」

「あ、はい……」

 

 メンケアは上手くいったかね。

 名誉のために先取りで弁明するが、嘘も世辞も言ってない。

 おねじさんの教えを抜きに、俺の意見を率直に述べたつもりだ。

 てか、この状況って、ナチュラルに異常だよな。

 リスナーに露呈したら、俺が焼かれた挙句に断頭されねぇか?

 一応、俺からの一方的な距離感はビジネス抜きの純粋な友人関係なんだが。

 いや、異常なのは今更か。

 俺の立ち位置も、愚妹と甘鳥からプールに引きずり込まれそうになるのも、夜斗を身代わりに脱出しているのも、普通はありえない。

 なんでこんなことになってしまったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 泳いだ後にすることと言えば、当然ス〇ブラ大会である。

 前言撤回、当然ではない。

 だから俺の部屋に集結しないでくれ。

 

「兄者先輩!結局ツバキは水着姿をちゃんと褒めてもらってないッス!」

「褒められるような行いをしてねぇだろ」

「アタシも〜!棒読みでかわいいかわいいって言われて終わった〜!」

「いや、お前に関してはマジで言われる方が嫌だろ」

「うん」

「おい紅葉!オレの菓子食い尽くす気か!?」

「ひはひぶりの甘いものらんです!」

「リスみてぇになってんぞ!」

 

 文字通りな大乱闘の最中、複数の人物からメッセージが届く。

 内容はどれもほぼ同じで返信するまでもないような事が書かれていた。

 

「お前ら、もうすぐリハやるから降りて来いだとよ」

「は〜い」

「ボスからッスか?」

「いや、お前らのマネージャーから」

「なぁ兄者。なんでオレらのマネの連絡先持ってんだ?」

「成り行きとしか言えねぇな」

「というかなんで兄者さんの方が先に連絡来てるんですかね」

「P.Sの保護者枠だからじゃねぇか?」

「甘鳥ー、このハード捨ていいぞ。プールに」

「いいんすか!」

「いいわけねぇだろ!!!」

 

 

 

 




どうも、江波界司です。
お久しぶりですね。
書き溜めはしない主義とか言ってなかったか?
あれは嘘だ。
といいますか、書き溜まってしまったのが正しい表現でして。
大長編のつもりで書いたら本当に長編になったので分割しました。
なんなら今回ですらいつもより長めですし…。
そんな訳で、普段やっていなかった予約投稿を使ってみました。
きっちりした時間に出すのも悪くないですね。
それではまた来週。



マシュマロ、妄想募集↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253518&uid=229168

ファンアート募集↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=253648&uid=229168

高評価、誤字報告、コメントもできればよろしくお願いします。



第三回 あなたの推しは?

  • 春風桜
  • 八重咲紅葉
  • 吹雪菫
  • サイサリス・夜斗・グランツ
  • 甘鳥椿
  • 音無杏
  • 紅上桃
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