GOD EATER カスタマ   作:GREATWHITE

18 / 74
今回もバトルです。
いつもながらちょっと書いててクドイかな・・っていう内容になってます。
今回も良ければお付き合いください。


今日の日のさよならにタクトを 2

何度も金属が交差するような音が辺りに響き渡る。

センタードームを中心に羽のついた悪魔のような姿が三体、円を描いて旋回し、たびたびその円の中心へ直線的に突っ込んでいく。

が―

円の中心に光る一筋の光に弾かれ、火花を伴っては悪魔は離脱していく。

悪魔―シユウは苛立っていた。

飛ぶ事も出来ないこの人間が一歩もその場から動かず、執拗な自分たちの滑空攻撃をいなしていることに。

三体の内のリーダー格の一体が他二体を同時に滑空攻撃に移らせる。

 

「二体同時か・・来い!」

 

人間―エノハは前かがみに構え、爛々と光るオーラをたぎらせてその二体を凝視する。

しかし―

「!」

交差する直前、目の前の二体のシユウは二体同時に大きく羽を広げ、羽ばたいて後退。

「うわっと!」

羽ばたきによる風圧がエノハの体を一瞬硬直させる。

本能的に目を守ったエノハの次に目に映ったのは翼の先端にある両掌から巨大なエネルギー弾を放ったリーダー格のシユウ、その姿も巨大な火球にすぐに覆い隠された。

 

 

「・・」

エノハは目の前に迫る火球を無感動に眺め、体を思いっきりかがめて抜刀のような姿勢をとった。

しかし、現在は刀身で無く、盾を展開していた。

「返す!」

展開したシールドで思いっきり火球を叩く。そんな「違反バット」で火球は弾き返され、陽動役を担ったシユウ一体目がけて飛んでいく。

狙われたシユウはすんでの所でその火球を交わし、目標を見失った火球を唖然と見送る。

そして下手人を忌々しげに睨む。未だその場を一歩も動くことなく自分たちを翻弄する「たかが」人間を。

 

「惜しい・・」

何とも出鱈目である。

基本的に解放状態のエノハはアラガミにとって色んな意味で嫌な奴だ。

その「嫌な奴」は退屈そうにため息をついてこう言葉を続けた。

「・・。う~ん・・お互い「ここ」じゃあやっぱり出来る事限られてるな~」

人間の言葉は当然シオを除いてアラガミには解らない。が―

「だから・・終わらせるな?お前らも俺も大した引き出しはなさそうだ」

そう言ってにやりと笑う。言葉は解らずとも「挑発」と受け取るには十分な雰囲気を感じ取り、シユウ二体はリーダー格の指揮を待たず、再び滑空してきた。

 

―うし・・のってきた。

この時を待っていた。一気にエノハから余裕の表情は消える。

自分への敵の注目を外さない事。これが大事である。ドーム内に侵入され、そこで戦闘を行えば自然、ソーマも危険にさらされる為、彼も応戦せざるを得ない。シオの精神衛生上、それだけは避けたいというエノハの意図だった。

 

眼前に迫るシユウに向けて砲身を展開―アラガミバレットを放つ。

しかし、明らかにエノハの銃の展開は早すぎた。その所作に明らかな凶兆を察知しながら突っ込める程二体のシユウは自信家ではない。

先程の奇襲のように二体は急ブレーキをかけ、回避、後退しようと大きく羽を広げた。

しかし、エノハの砲身から構わず放たれたのは空中のその場でとどまる機雷タイプの弾頭であった。

エノハの目の前で三つの火球が横並びに整列し、シユウを捉えるどころか暴発すればエノハ自身がダメージを負う距離で滞空している。

・・・?

シユウには当然エノハの意図が解らない。

自分達を近づけなくしたつもりなのだろうか?程度の解答がシユウには浮かぶ。

しかし、その解答に反して次の瞬間

 

ガガガッ

 

機雷は爆発、三つの機雷全てが誘爆し、エノハのいたセンタードーム中心周辺に大きな爆発が発生する。

少し距離を離したシユウ二体は無傷のまま旋回しつつ、その光景を眺めた。

誤爆・・?

ヘマをしたのか・・?

 

そんな相手の間抜けさを嘲る感情が徐々にシユウ二体に「差し込みかけた」時だった。

 

ザス・・

 

変わりにシユウの内一体の脳天に「刺し込まれた」のは未だ爆発の光を身に受けてわずかに光る刀身であった。

滑空状態のシユウの体はその一撃でピンと硬直する。

わずかな意識の中で自分に何が起きたかを理解できる前に彼の意識は閉ざされた。

今わの際、彼が見た光景は「生臭い」まっ暗闇だった。

 

刀身の持ち主―エノハはシユウの脳天を貫いたのち、そのまま刀身を捕食形態へ。

シユウの頭部を喰らい、ゴキンとへし折る。

ただへし折ったのではない。へし折った方向が重要である。突然指令部位を失ったシユウの硬直した体は滑空状態のままである。羽ばたかないので上昇はさすがに出来ないが緩やかに下降ぐらいは出来る。体重移動を図ればある程度の左右方向修正も可能だ。

飛行機の様な翼のある鉄やカーボンファイバーの塊が例えエンジンが停止してもしばらくの間飛行できるのはこの為だ。機体自体を空中でスライド―つまりグライドさせることが構造上可能だからである。今、エノハを背に乗せている絶命したシユウは丁度この状態だ。

滞空時間はくらぶるべくもないがほんの少しの時間でいい。

「あそこ」にいる幸運にもエノハへの嘲りが「差し込んでいる」状態のもう一体のシユウの元へさえ辿り着ければいい。

異変に気付いたリーダー格のシユウが発した部下のシユウへの注意の声は少し遅かった。

部下のシユウが振り返るとそこには眼前に迫った味方の遺体とその上に乗る人間の姿。しかし既に空中衝突は避けられないコースに達していた。

 

衝突と同時、エノハは仕留めたシユウの体を蹴って乗り捨てる。

そして空中で揉み合いのようになったシユウ二体に向け、容赦なくアラガミ弾を発射した。

今度は火球タイプである。体勢を崩されたシユウに避ける術はない。

着弾。

シユウ二体は爆散して炎の筋が花火の「しだれ柳」のようにエイジス上空を再び赤く染める。

 

そのアラガミバレットの反動を利用し、エノハはセンタードームに何事も無かったかのように着地した。

 

たった二歩。

機雷型のアラガミバレットへ飛ぶ。これがまず一歩。

自ら爆発させた機雷の爆風をシールドで受けて跳躍、爆発に気を取られているシユウの上を取る。

一体を上から奇襲、刺殺したのち、それの背に乗って滑空、油断したもう一体にそのまま接触、その背を蹴る。これが二歩目。最後にアラガミ弾を見舞い、爆散させ、元の位置に着地。

 

たったこれだけで同胞二体が仕留められた。

残された一体、リーダー格のシユウはセンタードーム中心に何事も無かったかのように居座るエノハを茫然と見ていた。

 

大勢は既に決まっていた。

 

―敵う相手じゃない。

シユウの気後れ―そんな逡巡をエノハは見逃さなかった。

 

ドン!

 

再びセンタードーム頂上よりアラガミバレットを残ったシユウに向けて発射。その銃声に反応し、気を取り戻したシユウは回避行動に移る。

全力で回避行動、旋回。が、今回のエノハが放ったアラガミバレット・・二発の火球はホーミング軌道を描いてシユウを追尾していた。

しかし追尾性能は比較的緩い。避けられない程ではない―

 

タァンッ

 

・・・!???

シユウの視界がぐらりと歪む。彼の頭を強烈な衝撃が射抜き、体はまともに飛行の水平姿勢を保っていられない。

こんな時に!?何が!?

 

何が起きたかという彼に浮かんだ疑問―それは決して解消されることはなかった。

追尾してきた二つの火球が体勢を崩し、急激に飛行速度を緩めたシユウを難なく捉える。

一発、二発と続けざまにに命中、爆散した。

同じような光景がまたエイジスの空中に映し出された。

ひらひらと力無く火の玉が筋を引いて落ちていく。

 

「どうも」

『い~え❤』

エノハの礼に対してサクヤの陽気な声が無線から響いた。

 

 

『緊急事態です!!』

無線回線から緊迫したヒバリの声が聞こえる。

「どうしたの」

『・・大型種上陸!ボルグカムラン・・ヴァジュラに・・クアドリガも・・!』

『いずれ来るとは思っていたけど・・』

『やっぱそうなる・・?』

『そうですよね・・意志が統一されているんですもん。都合良く大型だけ来ないってことはありませんよね・・』

サクヤ、コウタ、アリサの緊迫した声が無線に響く。

『・・そしてこの反応は・・。・・?データベースに・・ない!?すいません!確認作業をします!』

「・・・いや。ヒバリちゃん大丈夫」

『エノハさん・・?』

「こっちで視認した」

 

エノハは目で「そいつ」を追う。既に「そいつ」はエノハの目の前にいた

シユウに比べるとより空中戦に特化した種であるサリエル種・・

―それも新種だな。

普通サリエル種の意匠は美しい女神の姿をしている。しかしそいつは明らかに「男性」の意匠を取りこんでいた。

後にアイテールと名付けられるサリエル種の上位種である。

人間が常に畏怖と敬意を失わせない神々しさを持っている。

煌々と光り輝く白く美しい男性の神像には大多数の人が「神」と言えばどういう姿をまず思い浮かべるか・・をあからさまに象った意匠である。

 

エノハは辟易した。今更と言えば今更だが今回は「過程」があった。

守るべき存在のはずの「人間」と闘ってその未来を奪い、先程「悪魔」を殺し、今度は「神」と対峙するのかと。

 

全てが自分たちを拒むのか。

 

人も、悪魔も、神も、この星ですらも。

 

アイテールが攻撃を開始する。

エノハの立ち位置を取り囲むように複数の光弾が展開された。

―やべぇ。逃げ場ないかも。

光弾は全て一筋の光線に代わり、矢継ぎ早にエノハの立ち位置に散弾のように降り注ぐ。

 

センタードームの頂上から発される破壊音と光に下の防衛ラインを死守する三人が振り返る。

「エノハ!?おい!大丈夫か!?」

コウタは叫ぶ。だが返事が無い。

「おい!ウソだろ?おい!?」

『・・大丈夫』

 

エノハは降り注ぐ光線をいなしながらドーム天井に空いた穴から下へ、天井にぶら下がっている状態だった。

―奴は俺を仕留めたかどうか接近して確認に来るはず・・その時が・・

 

ドン!

 

「!」

突然エノハの斜め横三メートル地点で複数の光線が束になり、天井を真下に向かって突き破ってすぐ消えた。

アイテールは光線を打ち上げ、真上から収束、高密集させ撃ちおろしている。

さしずめ「モグラたたき」状態である。

―・・慎重な奴だな。

エノハは無線を手に

「・・すまん。こっちは少し時間がかかりそうだ」

『・・了解!』

『・・おう・・気をつけろよな!!』

『任せといてください!』

 

部下たちの声は頼もしいがやはり彼らも連戦で大きく精神、体力を削られている。

小型中型に続き、大型種の上陸、おまけに新種の参戦と正直ノヴァの触手の破壊どころではなく、戦闘の対応に手一杯だろう。おまけにお得意の逃げる事は今回に限っては絶対に許されないと来ている。

 

圧倒的劣勢の戦況にさすがに嫌になる。そこに立てつづけにエノハを狙った「モグラたたき」の音が響く。

「・・・くそ」

 

 

 

 

『・・お困りの様子ね』

 

突然無線から今まで話していた誰とも違う妙に艶めかしい女性の声が響いた。

「・・その声・・ジーナさん!?」

『あら・・・一発で当ててくれるなんて嬉しいわ?エノハクン?』

くすくすと耳をくすぐるような声がエノハの耳に届く。

『では・・極東支部第三部隊ジーナ・ディキンソン。これより第一部隊の援護に入ります・・』

 

『おーい。面白そうな事やってんな~?お前らばっかヒバリちゃんにいいとこ見せてんじゃねーよ』

「タツミさん!?」

『おっし!極東支部防衛班隊長・大森タツミ!地球とヒバリちゃんを防衛しちゃうぜ!!ヒバリちゃ~ん見ててね~』

たった二フレーズの間に「ヒバリちゃん」を三回も連呼するあたり間違いなくタツミである。

ヒバリの声が無線を通らない。絶句しているのだろう。

 

『あははははは!楽しそうな事やってんじゃないの。私も混ぜなさいよ!すべて焼き払ってあげるわ!』

―・・・誰!?

「・・すいません新人の方ですか・・?配属早々こんなことになって申し訳ない・・」

『え~エノハさんひどいです・・カノンです・・台場カノンです・・』

「え・・あ・・そう・・」

―あーこれが噂の・・。

 

『呆けてないで指示くれるかしら?第一部隊隊長さん?上陸まで一分ってとこなんだけど』

ジーナの落ち着いた声が響く。

「り、了解。上陸後ツーマンセルでアリサにカノンさん、コウタとタツミさんのペアで。ジーナさんとサクヤさんは遠距離スナイプで他グループの援護、・・詳しい状況は合流した第一部隊各員とヒバリちゃんに聞いてください」

『・・貴方は・・?』

「・・ちょっと厄介な奴がいましてね。っっと!!・・コイツ片づけたら直ぐに」

ジーナの無線にアイテールの一撃が天井を貫く音が混ざり、ジーナは大体の状況を把握する。

『了解・・』

「・・有難うございます三人とも」

『・・礼なら帰ってリッカに言いなさい。帰還早々の私達に必死で頭下げて・・神機も短時間で完ぺきに整備して私達を貴方達の援護に送り出してくれたんだから』

 

極東支部―神機保管庫

 

「は~・・ここ入って以来一番働いたな~今日は。頭がパンクしそう・・」

リッカは座イスの背もたれにぐてぇと体を預け、そうぼやいた。

「後は・・帰りを待とうか。・・皆が帰ってきたら起こして・・ね・・?」

主の居ない神機達を眺めながらそう呟いてリッカは深い眠りにつく。

その寝顔は「やれることはやるだけやった」。そんな満足そうな顔だった。

後は・・

 

―俺たちの仕事だ。

 

穴から自ら顔を出した「モグラ」は目のくらむ神々しい光を放つ「神」の意匠を象った怪物を睨む。

 

「悪魔」は元々人の一面を表し、ある意味で人の堕落を戒める存在。

 

「神」は人の心を信仰で支え、新たな一歩を踏み出せる切欠を与える心の拠り所。

目の前の姿だけを騙った己以外すべての者を受け入れない連中とは違う。

 

そして「人」。

今はっきりと形を成して自分たちの確かな力になってくれる者が新たにここに現れ、そして例えこの場に居なかろうと自分達を支えてくれる存在が海を越えた先にも確かに存在している。

 

最後に「星」。

確かに彼らは今の世界を、そして人間を拒んでいるのかもしれない。

しかしそれでも自分たちを認め、今の自分たちを好きだと言ってくれる星の「一面」でもある少女―シオ。天使の様な彼女が今必死で自分たちの為に闘い、踏ん張ってくれている。

 

全てに拒まれてなどいない。

世界は時に人を突き放し、世界は時に人を受け入れる。

 

 

 

 

 




サリエル種とのバトルを入れようと思ったのが運のツキだった。おかげでバトルがさらに無駄に長くなってしまう・・。さらっと終わらせたい話だったのに・・。
シユウのアラガミバレットはゲーム原作の三種類をエノハが「用途に合わせて使い分ける事が出来る」という独自の設定を入れています。爆炎玉、機雷、連玉の事ですね。
シユウ種のアラガミバレットは使ってて気持ちのいいのが多いので個人的に好きなんです。

ジーナ、タツミ、カノン・・地球居残り組はこれで全員でしたっけ・・?

今回も長々と失礼しました。

5月29日追記

Ver1,4が来ましたね。おまけに防衛班の追加ストーリー配信決定。
・・他の作者様も様子見のご様子。もしくはプレイ中かな?
少し自分も様子を見てみたいと思います。面白い設定、新アラガミなんか来たらいいですね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。