今回も宜しくお願いします。
pc不調の為、携帯端末で投稿させて頂いているのですが果てしなく面倒くさいですね!
これ!!
おかしい。最近どうも皆に無視されている気がする。
「お疲れ様でした。リーダー」
「じゃあ...」
「...」
事務的、無愛想、無言。可愛くない部下三人をエノハは見送った。
原因は解りきっていた。
先日エノハの自宅にて今回の事件の収束の労いを込めて食事会を行った。
初めて招き入れた友人達に振る舞われる母ーアメノの料理は文句なく大評判であった。
しかし..だ。
嫌な予感はしていた。客人達が満面の笑みで料理を頬張る姿を眺める父ーイワナの顔に。何かを企む顔だった。
「ま。今日はここでゆっくりしていけや」
腹が埋まって動けない連中に優しく客間に案内していく。
失敗した。失敗した。失敗した。
ぬわにが何でも彼らを帰してあげるべきだったのだ。
先日エノハの労働力を見てGEの基本能力を知ったイワナがこうすることは予想出来た筈なのに。
「よしお前ら昨日は散々飲み食いしたぶんきっちり働いて貰いますかね?」
翌朝のイワナの第一声はそれだった。
「.....!?」
一同声もでない。
「いやぁ此方も方舟事件のせいでゴタゴタしててよ?人手が足りなくて困っていた所にお前らが来てくれて大助かりってもんよ!くっ...、俺はいい息子とそのいい仲間達を持てて本当に幸せだよ...」
ーしまった。親父はこういう奴だった。
世界を救った英雄達を自分の所の事後処理の保険に利用したのである。
天下の極東支部の隊員と他数名は抜き打ちで理不尽な強制労働を余儀なくされた。
働かざる者喰うべからず。
世の中にただはない。
その教訓を胸にエノハを恨めしそうに見る彼らにエノハは返す言葉が無かった。
その日以降のエノハの孤立ぶりはアーク計画から戻って来た連中の負い目を少し和らげるという意外な効果を生んだ。
何故この世界を救った英雄達の中心になった人間が総スカンを食らっているのかが彼らに解る筈もなく、孤立し寂しそうにしているエノハに
ーま、まぁお前も頑張れや...。
と、心配される始末である。
しかし、人の上に立つ人間とはこういうモノなのだろうか。
本人が意図していなくとも自然と集団を取り持つイレギュラーを起こせる運。それがエノハには在るのかも知れない。
そして一方で先日の強制労働に不運な巻き添えを食らった連中もその事に関して全くの非難の感情だけを覚えたわけでもなかった。
自分たちが普段何気なく摂取している食物がどういった過程で作られ、育てられていくのか。
職業上殺す、奪う、食らうを繰り返す彼らにとっては新鮮な体験であったことは間違いない。
これから何かを産み、育てる彼らにとって体験して損はないはずだ。
が、
やはり納得はいかないので取り敢えずエノハに当たろう。
というのが彼らの共通認識である。
「リーダー荷物持ってください」
「エノハ。ジュース買ってきて」
「...ほれ。腕立てもうワンセット」
「回復は自分でお願いね」
「エノハくん!この素材を調達してきてくれたまえ!私の道ら...いや!人類の未来の為に!」←NEW!!
部外者も巻き込んで続く。エノハへの執拗な八つ当たりが。
ーうう...皆隊長を何だと思ってるんだ...。
ぐすぐす。
「止めてよ。女々しいなぁ」
リッカは落ち込むエノハに心底うざそうにそう言った。
同じ技術者として既にイワナと意気投合していた彼女だけが唯一エノハに対する対応はマトモであった。分野は異なるものの、技術者として極東屈指の第一人者に既に一目をおかれる辺り流石はリッカである。
「アメノさんの美味しいフルコースに翌朝イワナさんのサプライズ!レトロな農耕機の調整、片や最先端技術のアラガミ防壁のメンテ!はぁ..有意義な一日だったわ~♪」
「...喜んで貰えて何より」
2.
「ん..?」
エノハは立ち止まる。
「どうかした?エノハ」
コウタがのぞきこむように歩みを止めたエノハにそうたずねた。
「いや、なんでも」
「その顔で「何でもない」は無いだろ?」
「...ちょっと神機が、な」
「マジで..?」
違和感がする。まるで連結のうまくいってない金属同士がかすかにすれあうような感覚。耳ざわりな感触。
おまけに心なし重いような気もする。
「困ったときはーだね」
「...そうだな」
「帰ろうぜ。今日は避難民の誘導だけの任務でよかった」
屈託なく笑うコウタの笑顔にエノハは少しだけ安心した。
「成る程」
神機を腕輪に接続したまま不安そうにスキャンされるエノハから出されるデータを読み取ってリッカはそう呟いた。
「解ったんですか?リーダーの神機の不調の原因..」
アリサを初めとした第一部隊全員がその場で情報を共有していた。
「異常なし。以上」
「...ダジャレですか?」
予想外のアリサの返しに
「ち、ちがわい」
とリッカは返す。
「解説のソーマさん。どうでしょう今のは」
「...30点。かなり甘めでな」
「だーから違うって!んんっ!とりあえず異常はなし。けど...異変があるね」
「その違いは?」
サクヤは冷静に言葉を返す。
「変質、いえ、成長しているんです。急激に。それをきっかけに故障ではなく支障があらわれているんです。丁度成長期の子供みたいに成長で服が着られなくなるのと似ています。神機の生体部分の成長に成長しない機械部分が追い付けなくなるんです。締め付けがきつくなれば当然神機も嫌がりますから」
「成長痛みたいなものか」
ソーマの言葉にリッカはこくんと頷く。
「あぁーあれ辛いんだよね」
「...。ふっ」
ソーマはコウタを足の爪先から頭頂を見て、少し吹き出した。
―お前に成長痛があったのか?
「おお!?やんのかコラ!!」
「....ハイハイ。で、リッカちゃん?」
「はい?」
「神機整備士として貴女の意見が欲しいのだけど」
「...」
リッカは押し黙る。そうここが問題だ。
「個人的な私の意見としては今は彼にゆっくりしてもらいたいのが本音。色々とここに来て間もない彼に押し付けちゃった駄目な先輩の意見としては」
エノハの神機の急激な成長に度重なる戦闘、補食が影響しているのは間違いない。だからせめて小康状態に落ち着くまで無理をさせたくない。
それはサクヤだけでなく、第一部隊、そしてリッカの共通意見ではあるがー
「止めてもエノハは「出る」と言うと思います」
「そうね。同感だわ」
そこには理由があった。
アーク事件以降、極東地域のアラガミの数の極端な減少が確認。比較的平和で穏やかな日常を提供してくれた存在が判明した。
当然平和の使者等ではない。
交戦したジーナ、ブレンダンの手練れ二人をして「倒せる気がしない」と言わしめた怪物が極東地域のアラガミの生態系を文字通り食い荒らしていたのである。
その名はーハンニバル。
炎を操る不死の竜帝。
極東最大戦力の第一部隊ーエノハに白羽の矢が立つのも当然と言えた。
いち早くコアを回収し、このアラガミの不死の謎を解かなければいずれ少なくない犠牲が発生するのは確実である。
案の定、第一部隊にハンニバル討伐の任務がアサインされたのはエノハの神機の不調が判明したこの日の僅か三日後であった。
リッカがその時点のエノハの神機に最適の調整を行ったものの、交戦中の補食行動による神機の肥大化にまでは対応出来なかった。
結果コアの回収には成功したものの、短時間で回復、再生したハンニバルの強烈な一撃からコウタをかばったエノハの膨張した神機はとうとう破損。
エノハも衝撃で浅からぬ手傷を負い、彼をつれて第一部隊は撤退を余儀なくされた。
強力な新種の現出。極東支部最高戦力の戦線離脱。そんな激動のなか新章は幕を空ける。
「ん...?」
リッカは神機整備室の端末ディスプレイをのぞきこみながら優しく微笑む。
ーどうしたの?...。キミもエノハのことが心配?大丈夫だよ。きっと...。
それはむしろリッカが自分自身に言い聞かせるような言葉であった。本人も自覚の上の。
彼女は案外逆に今この目の前の存在に慰めてもらったのかも知れないと苦笑いした。
そこには主を喪い次の適合者を待ち続ける嘗てのリンドウの愛機がたたずんでいた。
お疲れ様でした。
新章も宜しければお付き合い下さい。
バトルは少なめにすると思います。願望ですが...。
WCはやっぱ良い...。...。はっ!?