GOD EATER カスタマ   作:GREATWHITE

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日常編です。
ちょっと今後とあるお話を追加してみようかなと思います。時間はかかるかもしれませんがそれまで短編によろしければ付き合ってください。


カスタマ 短編集 4

1.

 

「・・・」

エノハは休憩所の自販機を前に佇んでいた。目の前の光景に閉口せずにいられない。

商品欄の大半をピンク色のラベルを施された一つの商品が席巻している。

そんな中細々と残されていた他の商品にはほぼ例外なく「売り切れ」のランプが点灯していた。

このクソ暑い異常気象の中にありながら「おしるこ」すらない。

残るは一部の人間から絶大な支持を得ているゲテモノ飲料「冷やしカレードリンク」と・・それを遥か上回る衝撃をアナグラに短期間で提供した「コレ」だけである。

 

(さぁ・・貴方はどうするんですか?エノハさん?やることは・・一つ、でしょう?)

―・・死んでもこのボタンだけは押さん。

 

これだけは。「初恋ジュース」だけは。

 

コウタの罠にはまってアナグラ全体が一斉に阿鼻叫喚の地獄絵図に陥ったのがつい先日のことだった。

榊が停電まで起こして研究開発したこのジュースで起きた事象はある意味テロ行為だった。

その最初の犠牲(毒味役)にされたのがコウタである。その形容しがたい強烈な味によって洗脳されたコウタは一斉にその悪意をアナグラ中に振りまいた。

彼自身も自分にいきなり訪れたあまりに理不尽な仕打ちを共有する巻き添えが欲しかったのだろう。

例えアリサに本気ではたかれようと、ソーマにブッ飛ばされようと彼は「初恋ジュース」の布教活動を続けた。

これで完全に嫌われないあたり彼には人徳があると言える。

彼の涙ぐましい布教活動によって話題になった「初恋ジュース」に怖いもの見たさとアホなチャレンジ精神を発揮した連中が次々とこの物体に挑戦しては自分の若さに苦い思いをするハメになった。

 

「初恋ジュース」

 

榊の壊滅的なこのネーミングは図らずもこの商品の主な効能を表すこれ以上ない名義となった。

 

エノハは早急に事態を察知し、要領よく回避していたが先日コウタに一服盛られた。エノハの自室の飲料水が野暮用を終えて戻ると一式入れ替えられていたのである。

疑いもせず、覚悟も無い。何気なくいつものように勢いよく喉に入れた瞬間だった。

 

―・・・・!!!!!?・・くっ・・くそ!!!!「これ」だ!!やられた!!!

 

甘い、苦い、渋い、辛い、酸っぱい、痛い。

 

エノハは自室でじたばたとのたうち回り、三十分後にようやく解放されると同時にかつて無い怒りの表情でコウタを探して部屋を後にし、彼を見つけるや否や捕縛。

コウタの指の関節が反対方向にどこまで曲がるかを試した。

激痛の中でも「あはは。痛いよ~」と笑っている壊れたコウタに何とも切ない、やるせない感情がエノハを包んだ。

 

―そうだ。コウタも犠牲者なんだ。畜生。

涙が止まらない。主に初恋ジュースのアホみたいな酸味のせいで。

 

しかし一方で彼の頭の中の「彼」は・・

 

(なんですかコレは!おいしい!すごく美味しいです!!コレ!)

と能天気にはしゃいでいた。

それから事あるごとにレンはエノハに「コレ」を飲む事を執拗に要求するようになって今に至る。

 

 

(い・い・じゃ、ないですか!!は・や・く飲んでく・だ、さいよ!!!)

―い・や・だ!!

 

脳内でまるで揉み合う様にしてエノハとレンの葛藤は続く。しかしエノハは一人。傍目には怪しい人である。

 

「・・エノハ・・?」

そこにリッカが現れた。

 

「・・げ!」

「・・。私で良かったら相談に乗るよ?最近暑い日が続いているし疲れてると思うんだ・・だから・・ね?・・。それじゃあ」

可哀そうなものを見る目でリッカはエノハを一瞥。購入した「冷やしカレードリンク」を片手に去って行った。

 

(あ~あ・・リッカさん行ってしまいましたね。エノハさんがもたもたしてるから)

―・・・。

 

立ち尽くすエノハの傍らの自販機の「冷やしカレードリンク」に「売り切れ」のランプが灯る。

 

 

2.新人襲来 2 

 

「~♪」

ご機嫌そうな顔でアリサはエントランスを駆け抜けていく。ステップも軽やかだ。

「ん~?どしたの~アリサ?」

後頭部で両手を交差させながらコウタはそんな彼女を呼びとめる。

「あ、コウタ。これが喜ばずにいられますか!んふふふふ・・」

「え・・何!?ひょっとしてバガラリーの失われた3387話がみつかったとか!?それは喜ばずにいられないね!!」

「・・貴方基準で考え過ぎです。・・それに3387話って一体どんだけ無駄に続いてるんですか・・・あれ」

「ん~・・それじゃあ・・ああ!ひょっとしてとうとう部屋片付ける事が出来たととか!?」

「うぅ・・それを聞かないでください。どうせ未だに極東に来て以来開いていないロシアからの段ボール箱がありますよ!ふんだ!」

「えぇ~それも違うの?それじゃあ・・あ。料理が上手くなったとか!?」

「い~え!!ええ私はイチョウ切りも短冊切りもまだ出来ませんよ・・火を使えばお肉も焦がすし、出来るご飯は水っぽいし、塩とお砂糖も間違えますし(etcetc)・・・」

 

「ってワザとでしょ!!コウタぁ!!」

「えぇ!?理不尽に切れるなって!!殆ど自爆なくせに!」

 

「じゃなくて!後輩ですよ後輩。アナグラに今度新人が配属されるんです!」

「へぇ・・あ。そう言えばアリサってここじゃまだ一番新しい隊員だったね。後輩出来るの初めてかぁ。解るなぁその気持ち。嬉しいよね!」

「そうそう!ホントに嬉しいんです。はぁ・・私も「先輩」と呼ばれる日が来るんですね・・」

「・・あれ?俺は言ってもらった記憶無いぞ?」

「この世には例え先輩であってもそう呼ぶにはあまりにも厳しい人物が存在するのです。悲しい事に・・」

「ひっでぇ・・」

 

「と、言うわけで・・そこらへんの情報は既に整備士のリッカさん、もしくはオペレータのヒバリさんに情報がある程度行ってると思うんですよ。だから聞いてみようかなって」

「おお!いいね!聞いてみようか!新人の子か~。・・・可愛い女の子ならいいな~」

―今度は可愛くておまけに可愛げがある子で。

コウタはそんな風に思い、「前例」の目の前の少女を見る。

―・・ノーモア前回!!

いくら可愛くてもあれはもう勘弁だ。今度こそは理想の可愛い新人の女の子との甘いやり取りが欲しい。

普段なら勘のいいアリサにあっさりそんな考えを気取られてしまうのだが・・

「いや私の勘が告げています。多分男の子ですよ!」

どうやら今は違う所に勘が働いているらしい。

 

「うっし!それじゃあ確認しに行こうぜ!!外れた方がジュースおごりな!?」

「望むところです」

なんだかんだ言いつつもこの二人は仲がいい。

 

「お疲れ様です!アリサさんにコウタさん。何か任務をお探しですか?」

いつも通り丁寧な口調でヒバリは二人に頭を下げる。

「いや。今日はヒバリさんに聞きたい事があってさ」

「はい?何でしょう?」

「今度ウチに配属される新人さんのことなんですが・・ヒバリさんにはもう情報が入ってるかなって思って・・」

「ええ。確かに前所属の支部から資料が回ってきましたよ」

「一足先に教えてもらう事って・・出来るのかなー・・なんて」

「いいですよ。許可も出てますしね」

ヒバリはにこりと微笑んで手元の端末のリストを開く。

さて・・

果たして男か。

それとも女か?

 

「配属されるのは・・男女各一名のお二人ですね。おまけに二人とも新型の方です」

 

―そう来たか・・!

二人は賭けとしては一番面白みのない結末に渋い顔をした。

「え、あの・・」

ヒバリはその二人の所作を見て戸惑う。何か自分は間違えた事を言っただろうかと。

 

―う~ん・・。あ、でもでも!めくるめく甘い後輩の女の子との神喰い生活の路が絶たれたわけじゃない!

コウタは気を取り直す。

―「先輩」と呼んでくれる可愛い後輩が二人に増えただけじゃないですか!ここはポジティブに行きましょう!

アリサも気を取り直す。

 

「あ、いや何でも無いよ」

「そ、そうですか?」

「ええ!あ~早く来ないかなぁ新人さん!ウフフフ」

「そうですね。お二人とも私と同年齢だそうなので仲良く出来たらいいなぁと思っています!」

 

ヒバリは最高の笑顔でそう締めくくった。

 

「そーそー。ん・・?」

「え・・?」

 

ヒバリ―17歳

 

「先輩」と呼ばれたい二人―共に15歳。

 

「・・・」

「・・・」

 

 

 

 




GE世界は結構上下や年齢に関しては緩いからな・・。年齢設定みたら「・・おいおい」ってなる所多いし。2なんか特に。

今回もお付き合いありがとうございました
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