今回もよろしければお付き合いお願いします。
戦闘開始より二時間前―アナグラ
「教官!」
「ん・・どうした?タツミ・・」
エントランス前で新種ハンニバル捜査の方針、活動報告書を淡々と受け取っていたツバキにタツミは走り寄る。
「エノハがあの新種のハンニバルの細胞サンプルを提出していないって本当ですか!?」
「・・確かだ。アイツらしくないボーンヘッドだと私も訝しげに思っていた所でな・・まぁ奴を追跡した斥候部隊がじきに遺留物を回収して帰還後早速解析することになっているのでさしたる問題視はしていなかったが・・それがどうかしたか?」
「・・・教官!」
「うん?」
「俺の神機は奴の攻撃を直接受けました・・微量ですが恐らくは・・」
二時間後・・解析は終了した。
バン!!!
教官―ツバキは神機整備室のドアを乱暴に開け、息を切らしながら駆け付ける。
「・・・」
そこには無言の覚悟を携えた真っ直ぐとした眼でツバキを見る凛と佇むリッカの姿があった。
「・・・!」
そのリッカを一瞥した後、ツバキは各神機を立てかけている固定機を睨む。そこから綺麗にエノハの、そしてリンドウの神機が無くなっている事を確認し、
「・・・バカ者が!」
そう呟いた。
それと同時、エントランスでヒバリがエイジス内から発された高エネルギー反応をハンニバル侵食種と断定、そして驚愕のあまり手が止まってしまったのはまた同時だった。
「この腕輪認証データは・・・エノハさん!!!」
遅い。
何もかもが遅すぎる。
これから準備、対策、そして何よりも新たに判明した事実に対する「心構え」を連ね、あの場所に赴くには時間がかかり過ぎる。
そんな時間など永遠に近いほど長い。
永い時間だ。
今更どれだけの焦燥や早い決心、覚悟、迅速な用意を以てしても月まで徒歩で歩いていくようなものに等しい。
極度に時間の圧縮されたあの「場所」に置いて。
あの場所
―エイジスドーム
「おおおああっ!!!」
大振りの真帝の右炎刀の薙ぎをエノハの右手に携えた神機が火花を纏って弾き飛ばした瞬間であった。剣閃が巻き起こした烈風が両者の円周状に巻きあがり、一切の埃、チリが侵入できない空間が出来上がる。
その中心で金属のすれ合う音、弾ける音が断続的に響く。
風圧で巻き上げられ、両者の空間に立ち入ろうとした身の程知らずの床の破片があっという間にサイコロ大以下のチリに変わる密度である。
ガ、ガガガガガッ!!!!
一拍おいて真帝がスッと右炎刀で突きの構えを取る。
同時にエノハは左手のリンドウの盾を展開、突きに備える。お構いなしに真帝はその上から強烈な撃ちおろしの右突きの切っ先を赤い神機に突きさした。
ギン!
「!」
(・・・いなして!貫かれます!)
恐らく「出て来て」いれば苦悶の表情を浮かべているであろうレンの苦しそうな声が響き、咄嗟にエノハは盾の上に在る真帝の突きの切っ先を滑らせ、左へ受け流し、弾く。同時に
ガゴン・・
右手の自らの神機を銃形態に変形、真帝のいなされた事による崩れた体勢の上半身右側に
コオッ・・!
凍りつくような放射の冷気を浴びせる。包み込むような冷気のカーテンを浴び、真帝は一瞬ひるんだものの、
ピィンッ!
軽快な風切り音を残して真帝はそのカーテンを真一文字に手刀の返し手の様に切り裂いた。
!
しかし一緒に切り裂くはずのエノハの姿はそこになく、真帝の経験則が上方向にアラートを鳴らす。既に目端で跳躍した影を捉えていた。同時、
ぎり・・
流線形の上体をひねる様に溜めた。
「・・!?」
(危ない!)
ぎゅるん!
真帝はまるでかつての爬虫類、クロコダイルが水中で獲物を引き裂く際行う死の回転―通称デスロールを敢行。
その回転に二本の炎刀を付け加え、木材を直線に切る回転式ノコギリの刃のようにして空中に居るエノハに向けた。
キン、キキキン!
そのあっという間にミンチにされる刃に向けエノハも応戦。両手の刀身、盾を駆使し何とか安全圏の空中にはじき飛ばされる。
「くっ!」
ガコン・・
そして弾き飛ばされたと同時、右手側を銃形態に変形。
ド、ド、ドン!
そこから奇妙な弾頭を四発、それを何故か真下に居る真帝に向けてではなく空中に向けて放つ。
ポンポンと花火の様に打ち上がったそれは・・重力の重さに負け、大粒の雨粒の様に振ってきた。
丁度回転を止め四つん這いで地響きを立てて着地した真帝の両手、両足に向けて。
ドン、ドン、ドン、ドン!
真帝の両手、両足、各部位に器用にすべて目標に落下、着弾。
!!!!
四肢全ての支えを失った真帝はべチャリと腹ばいに倒れこんだ。
真帝はまだ自由の利く頭を起きあがる際の亀の様に目一杯後頭部側にねじり、今度は完全に砲身を真帝の頭に向け、撃ちおろそうとするエノハの姿を確認。
ガアツ!
火球を放つ。
ドォン!!
空中で大爆発が起きる。
しかし、コレは苦肉の策だった。今度は自らエノハに隠れ蓑を与えてしまった事を念頭に置いて真帝は次の対応を考えねばならない。
何せ今のエノハには銃身展開していても敵の攻撃を防げる盾がある。重装甲、高機動力の戦車を相手にしている様なものだ。
とりあえず今の火球がどれほどの効果があったかを確認する為、見上げていると―
・・!ガァツ!?
黒い煙を裂き、小馬鹿にしたようにもう一発のオラクルの弾が重力の方向にポトリと落ちてきて、真帝の頭部に着弾。まるでコントの金ダライのように真帝の頭をがくんと揺らした。
「残念」
グル!?
ガクンと下がった真帝の眼前には既に着地したエノハが上体を限界まで捩じっていた。
「・・っはぁっ!!!」
その溜めの姿勢から一気に左手、右手の順で両刀を斜め上に振り上げ、真帝の顎を跳ね上げる。
第三段階解放時の現在のエノハの力は凄まじいものがあり、真帝の巨体を浮かせ、真横に吹っ飛ばすほどの剣閃であった。もんどりうって真帝の巨体が吹き飛ばされる光景は異常である。
跳ね上げられた体を何とか体勢を整え、エノハを見据えたまま真帝は着地する。
「まだ!喰らえ!」
エノハは着地した真帝の頭部目がけ再び発砲。
その弾頭を首を捻って真帝はひょいと躱す。しかし―
「よし・・」
(かかりましたね)
エノハ、そしてレンは笑った。
グアゥ!?
避けたはずの弾頭が真帝の背後で球体になっており、それが時間差を伴って爆発。全く無警戒の背後の衝撃を浴びて真帝は片膝をつき、両手で上体を支えながら頭を垂れる。
そこに間髪いれずエノハの強烈なエノハの右手神機刀身の横殴りの斬撃、左リンドウ神機の振り上げによって顎を真帝は跳ねあげられる。
・・・!!!
全く反撃の機会を掴めぬまま真帝は最後に
「・・・・っらっ!!!」
ズドン!
エノハの力任せの切り下ろしでエイジスドームの床に頭から叩き伏せられる。バスターソードのチャージクラッシュに匹敵するその威力に真帝は悶絶しながらクレーターの中に頭部をうずめた。
さらなる追撃が続く事を再三頭部に受けた強烈な衝撃でふらつく頭の中で真帝は確信。
後手後手の苦肉の策をとった。
(・・!エノハさん離れて!)
―ぅっ・・!
レンの言葉に内心で頷くように応え、エノハは瞬時に距離を離す。
真帝の体を中心に広範囲の地面が既に彼の技―影炎によって黒く埋め尽くされていた。
ゴウッ
範囲外にエノハが逃れた瞬間、猛烈な黒い火柱があがり、真帝ごと広範囲を焼き尽くす。
「・・無茶するなぁ。自分だってただじゃすまんだろ。これじゃ」
(ですね・・)
火柱が収束したのち―
彼らの予想通りエノハの攻撃で受けた浅からぬダメージの上に自らを焼いた業火の衝撃を受け、ふらつきながら真帝は這い出すように煙を裂いて現れた。
自分を叱咤するように首を振り、再びエノハを見据え構える。
ダメージを負ったことはありありと感じ取れるがしかし―
グルル・・
再三の猛攻を受け、エノハの力をまざまざと見せつけられても真帝は楽しそうであった。
肩と首を回しながら状態の確認を行う。戦意がありありと見てとれる。
口を手でぬぐう動作などが確認され、妙に人間くさい挙動を取ることが有名なハンニバル種であるがこの個体は特にその仕草が顕著だ。
―型にとらわれない柔軟な戦い方と戦略。かくも人は面白い。
真帝は劣勢を楽しんでいた。
しかし付き合わされるヒト―エノハにとっては溜まったものではない。
―どうだ?・・レン。
(・・・リンドウの反応が無いです。アラガミらしさが薄れてどんどん人間っぽく感情が動いているのに・・!!なんで・・!)
―マジかよ・・。
(エノハさん。これ以上は不味いです。コイツ不気味すぎます!やはりここは・・)
そう言いかけた時、既にエノハの迎撃態勢が整っており、レンの言葉は耳に入る余裕が無かった。
真帝が再び突進、斬撃より細かい突きを重視した連撃をしかけ始める。斬撃ならば振った方向に刀身や盾を使い、受け流すのは真帝の攻撃に乗せてくる体重を利用すればワケない。が、突きだとその範囲が極端に狭く、集中する為、捌くのがやや難しい。
―避けるのは比較的容易だけど・・つぅっ!?
「・・!」
エノハの頬に一筋の線が走る。第三段階解放状態故、その程度の傷は瞬時修復していくが動揺は否めない。
―撤回・・・!!攻撃が早くなってやがる!!
(不味いな・・リンドウの記憶―武道や体術の要素を取り入れ始めたのかも。リンドウの意志を介さないまま!)
闘いの中で攻撃を受け、吹き飛ばされ、痛手を負う。その先にどんどんと、じりじりと、真帝は勝利に近づこうとしていく。
「無力は罪ではない」
それを受け入れた真帝の柔軟さがこの飛躍的な戦闘能力の上昇、学習の速さを助長していた。
当然長期戦はエノハにとって不利になる。
よって現在出せる最大の火力を発揮して一気に沈めるしかない。徐々に戦闘力の差が埋まり、逆に天秤が向こう側に傾きつつある中、短期決戦をエノハが決心するのは当然の帰結と言えた。
つまり現在極限まで凝縮させた第三段階のアラガミバレットを完全にクリーンヒットさせ、真帝の体の大部分を欠落させる。止めに神属性の刀身で弱点、体の中心線、コア機関を突き、完全な一時的戦闘不能に真帝を陥らせる。
コレがベストである。
その為には近距離で完全な無防備な瞬間を真帝に作らせることだ。否作ることだ。容易ではないがやるしかない。
直撃即終了の黒い炎の剣閃を解放時の超感覚ですり抜け、エノハは真帝の間合いに入る。
「・・っ!うわっ!!」
突きに加え、スキの無い、しかし腕力だけに頼り切っていない洗練された斬撃も混ざり始めた真帝に最早違う意味で一刻の猶予もない事をエノハは悟る。
戦闘力を凌駕されるのは時間の問題、おまけに自分の解放状態解除の時間も迫る。
これ程強力になられてはまた捕食するのは至難だ。真帝も当然警戒している。捕食の際のスキが致命的になりかねない。
解放状態が切れ、尚且つその時真帝が健在であればエノハに勝ち目はほぼ無い。
その焦りが・・逆にエノハ側にスキを作らせた。
ガラッ!
―・・・っと!!
(エノハさん!!)
秒単位で上がっていく真帝の力量を読み間違えた、またはそれに傾倒しすぎて周りが見えなくなった瞬間、スキをさらすのはエノハ側である。
立て続けに続いた斬撃の嵐、巨大な真帝の踏み込みによる地形の変化、そして何よりも真帝の右肩上がりの力量はエノハの足場への注意を散漫にさせた。
がくんと上体が落ち、バランスを崩す。足が止まった。
その隙を見逃してもらえるはずもなく、真帝は抜刀の姿勢の様に身をかがめ、一気に振りぬく。
エノハの選択肢はガードしかない。それも両手が必要なほどの斬撃であると確信する。
――
真帝は一閃右炎刀を振りぬいた。音が中々来ない程の一撃。
しかし、振りぬかれた衝撃はエノハの両手をあっさりと振りぬかれた方向に抜けんばかりに弾く。そしてようやく
ビシュン!!
空を切り裂く音と余波がエノハに伝わった時であった。
その真帝の放った一撃に既視感を覚えたと同時に確信する。
コレも模倣だ。
しかもエノハの。
先程まともに喰らい、吹き飛ばされたエノハの「両刀」を使った攻撃だ。遅れてきたもう一手、左の炎刀が時間差を伴って体勢が崩れ、ガードが不可能な状態のエノハに迫る。
避けることも、弾く事も守る事も出来ない。絶体絶命の上体、状態。
―のはずだった。
―・・かかった。
エノハは確信した。「企み」の成功を。
振りぬかれた真帝の初撃の方向に流された右手の彼の神機の刀身の「下」で既に準備は整っていた。
ずぶりと砲身だけ真帝側―逆方向に向け、オラクルの集中も既に終え、ブラストの砲筒から既に光が発している。
引き金は既に引かれていたのだ。
―俺は二刀流じゃない。三刀流(二刀(内一つ(仮))+一銃)だ。
ドゴン!!!
真帝が今まさに振りぬかんとしている左の炎刀目がけ、強烈な破砕の一撃、インパルスエッジが真帝の右腕ごと炎刀をはじき飛ばす。
――――!!!!!!!
結果真帝はまるで十字架に張り付けられたように両手を大きく開き、無防備に体の中心線を目の前に居るエノハに晒した。
千載一遇のチャンスである。
ロケットの様にインパルスエッジの反動で一回転したエノハの右手の神機は銃形態に既に変形されていた。そこに解放状態で体中に充満したオーラを結集させ構える。
レベル3アラガミバレット―ブラッドレイジで一気に真帝の体の大部分を消滅、欠損させる為に。
前回は両手を使われ見事にいなされたが、今は「張り付け」中だ。前の様な真似は出来ない。させるつもりが無かったのだから当然だ。
―終いだ・・・!
確信の元エノハの指はトリガーを・・・
―・・・?
引けなかった。指が凍りついたように動かない。
しかし
凍りついた指先の時間とは対照的に妙に生温かい感触が脇腹を中心にじわじわと広がっていく。
―え?
時間感覚がマヒしたまま目線だけチロリと動かす。そこには・・
真っ黒な鋭い針の様な何かの先端がエノハの脇腹、ブラストの構えた右手を掠めて抉り、真っ赤な血が噴き出していた。
―しまった・・。
ぐらりと天地が逆向くような感覚でぐらりとエノハの視界がゆがむ。
次の瞬間エノハは赤い鮮血の血煙の帯を纏ったまま高速で跳ねとばされた。
「ぐばっ!!」
(エノハさん!!)
「・・・。・・・っ!」
吐血の反動、そして頭の中で響くレンの声と共にとともに意識をエノハは取り戻す。現実味のない光景に我を失っていたエノハの体に鋭い痛みが戻ると同時に解放時特有の多量の脳内麻薬が分泌されて痛みはカット、その分頭の回転が始まる。
右脇腹を左手で押さえ、ただぼたぼたとだらしなく口から垂れ流す血反吐を無感動にながめながら悔しそうに歯を食いしばる。
―くっそ・・・!
あっちは正真正銘の
三刀流だったか・・・!
ピッ!
びちゃあ!
三つ目の刀―尾の切っ先についたエノハの血液を払い、二十メートルほど吹き飛ばしたエノハを見て真帝は「機」を確信した。
まともに立つことすら不可能な状態のエノハへ―
ぎりぎりぎり・・
上半身を限界まで捩じる。まるで剛弓を放つ直前の射手のように。右手の炎刀は今、真帝の甲に張り付いてるのではなく―
握られていた。
「・・・!!」
これはつまり投擲モーションだ。
今真帝の手に握られているのは刀ではなく巨大な黒い炎の槍に変化していく。
セットポジション。
クイックモーション。
最速の投球動作で・・・
ビシュッ!!!!
黒い槍は放たれる。真帝の手を離れ、一気にエノハの元へ。
「グ・・・がっ!!」
沈み込むだけで激痛が走り、内蔵が血液と一緒に飛び出しそうな脇腹を右手で押えながらエノハは跳躍、跳んだ右足を槍は掠めながら通過。どうにか躱した。
が。
ビシュッ
―・・・!
「初球」の投擲体勢で深く沈みこんだ姿勢のまま真帝は今度はサウスポーのアンダースローで出どこの見えにくい投擲を行う。
下半身が鍛えこまれている証拠だ。中々コントロールがいい。
―~~~っ!!!
声にならない叫びと激痛を抱えたままエノハは出血した右わき腹を抑えていた右手を離し、神機の盾を開き、二発目の黒い炎の槍の先端で盾の表面を削られながらもどうにか直撃から切っ先を逸らす。
―し、 の、 い、 だ、 !
エノハは捌いた槍二本に目もくれる事もなく、激痛で歪んだ顔からまともに開ける事が出来ない目で真帝を見据える。
カチン・・
その音が響いたのは完全に視線も意識も切った後方であった。エノハは視線だけちらりと向ける。
―・・・!?
その音の正体は背後の壁に突き刺さった一投目の槍の側面に二投目の槍が接触した瞬間の音であった。
無理やり真帝の力で凝固、固定されていた本来爆散するしかない膨大な熱エネルギーの塊である黒い槍はようやく―
その本懐を遂げようとしていた。
―野郎・・!
カッ
ドゴォっ!!
エイジスドームの端から巨大な黒い爆炎があがり、エイジスドームの円周をぐるりと取り囲む通路がむき出しになるほどの大穴が空いた。
「ふ・・ぐあぁっ!!!」
背中にまともに受けた爆発の熱と空圧により、エノハは肺から全ての空気を押し出されたような声を上げ、吹きとばされていった。
「・・・!」
招かれるように真帝の元へ。
その前方の真帝は手ぐすねを引いて双刀の替わりに両腕の先の鋭い爪を光らせ、エノハを待ち構えていた。
真帝の猛攻は終わらない。下手をすればエノハの命の灯が一瞬にして掻き消えるまで。
「くっ・・・」
苦肉の策で装甲展開したエノハの左手の盾の上を容赦なく真帝は爪で引き裂いていく。盾の範囲から漏れていたエノハの肩口の部分を深々と抉り、盾に四つの爪痕の筋を残す。
「・・!グ! あ あ」
次に返し手の左腕のアッパーで右手の盾を開いたエノハを空中に巻き上げ、止めに
・・ガァツ!!!
巨大な火球をほぼ零距離でエノハに命中させ、再びエノハの体を吹き飛ばす。
槍の爆発で大穴が空き、黒い炎が燃え盛る通路にエノハの体もまた黒い煙を纏ったまま吹き飛ばされていく。
エイジスの中心―エイジスドームからエノハは今リングアウトしようとしている。
三日天下どころか数分に満たない王座をエノハは開け渡す他なかった。
今、真帝の力は確実にエノハを凌駕し、王座に返り咲く。
読了お疲れさまでした。
長いので一旦切ります。
攻防の展開が細かいので自然文字数が多くなります。
良ければこの先もまたお付き合いください。それでは。