GOD EATER カスタマ   作:GREATWHITE

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Rock'n Roll Honeymoon

旧市街―教会跡

 

エノハ「おめでとうございます!」

 

リンドウ「お~!あんがとな!!みんな!!」

 

コウタ「おめでと~お幸せに!」

 

ソーマ「・・ふっ」

 

アリサ「サクヤざ~ん・・おべでとうございます~・・・」

 

サクヤ「アリサ・・もお・・泣き過ぎよ・・・ありがとう」

 

ヒバリ「サクヤさん~綺麗です!」

 

リッカ「ホント・・綺麗です」

 

サクヤ「有難う二人とも」

 

ツバキ「全くだ・・弟をよろしく頼むな。サクヤ」

 

サクヤ「・・ありがとうございます。教官・・」

 

ツバキ「教官はよせ・・」

 

サクヤ「あははは・・・これからも末長くよろしくお願いします・・お姉さん」

 

ツバキ「・・・・っ!お、お姉さんはよせ!」

 

榊「ツバキ君が照れている・・!コレはいいね!使えそうだ・・!」

―何かの弱みに!

ツバキ「死にたいようだな?博士。大人しくしていれば後三十年は生きられたものを・・」

 

 

リンドウが長い期間行方不明になるきっかけの場所となったこの場所でリンドウ、サクヤの二人は挙式を上げた。

 

アラガミが出没する地域であり、おまけに二人を引き離す場所となったあまり縁起の良くないとも思えるこの場所で挙式を上げることに訝しげに思った人間は多かった。が、「だからこそ」という想いが在ったらしい。

 

あんまり長居が出来る場所では無いがこの挙式は「あの」リンドウの挙式である。

アナグラの第一部隊はもちろん、防衛班、新人の二人含め主力ゴッドイーターほぼ全員が参列しているという豪華なラインナップはそうそうお目にかかれない。

 

式はほぼ滞りなく順調に進み、いよいよフィナーレだ。

その行事は当然。

 

ブーケトスである。

 

タキシード姿のリンドウの隣で大きく振りかぶり、美しいウェディング衣装を翻した美しい花嫁―サクヤは構える。

 

サクヤ「いくわよ~皆~?いい~?」

 

 

 

「「「・・・!!・・・!・・・!!」」」

 

サクヤ「あ・・・う、う~ん・・」

 

結婚式の雰囲気に相応しくない沈黙が辺りを包んでいた。サクヤも若干手の中にある物を投げづらそうだ。

今回の挙式の為にリッカがあつらえてくれた特製ブーケ―シオの為に作った白いドレスの配色を意識した自信作で或る。

 

挙式前―

リッカは直接花婿と花嫁にコレを手渡した。

 

―あ!!これ!・・・!!リッカちゃん・・・!!!

―シオちゃんもきっと見てくれています。お幸せに。サクヤさん。リンドウさん。

―っ・・!うん・・・!!ええっ!そうね・・・!

―・・ありがとな。リッカ。

 

サクヤが完成品を見た瞬間、懐かしさと喜びで涙ぐみ、お礼を言ってくれたことがリッカはとても嬉しかった。

 

 

 

それがこの式のフィナーレ。今まさに宙を舞おうとしている。

 

 

―しかし

 

「「「・・・!!・・!・・!??・・!!」」」

 

その落下地点と思しき周辺はさながらバスケットボールのゴール下の様な頻繁なポジション争いが繰り広げられている。

フェデリコが思わずこう漏らす。

 

「ブーケ下は・・戦場だ」

 

実は現代、このアラガミ隆盛のご時世挙式を上げること自体中々稀になっている。

よってこのブーケトス自体あまり一般に知られている物ではないのだ。

しかし極東一の「余計な事しい」の榊が余計な事を言った。

 

「ふむ・・一昔前の結婚式の伝統によるとこのブーケを受け取った人間は次に素敵な伴侶を得て幸せな結婚ができる・・という風習があったらしいね」

その言葉を起点に主に女性陣中心に雰囲気が変わった。一見表向き和やかな彼女達のムードもエノハの目には壮絶な目に見えない駆け引きに見えた。

 

「サクヤ・・いいから早く投げろ・・お前の持ってる綺麗なブーケが爆弾に見えてきた・・せっかく作ってくれたリッカに気の毒だし・・」

新郎、リンドウも気圧されていた。

「そ、そうね・・よ、よし、行くわよ!」

サクヤも覚悟を決めた。スナイプの時より緊張するわね。これ。

「それっ!」

とうとうブーケが宙を舞う。全員の目が朽ち果てた教会の天井を太陽に照らされ美しくキラキラと舞う花束に釘づけになっていた。

 

う、おおおおおおお!!!!

 

が、

 

一同「・・・・!!!!????」

 

一同次の瞬間目を疑った、一つの大きな黒い影が全員の視界を横切り、その後に空中にはブーケは残っていなかった。

その影は呆気にとられた全員とは少し離れた位置に着地した。

 

 

スチャッ!

 

グ、オァアアアアアッ!

 

その影は・・オウガテイルだった。そして彼の巨大な犬歯の先にブーケに誂えた薄緑色のリボンが謀った様にひっかかっている。

投げられたそれに犬の様に反射的に飛びついたのはいいものの、キャッチする直前でお気に召す食い物ではないと判断した。それよりも今、目の前に居る十人以上たむろした人間の方が彼にとって遥かに魅力的だったのだろう。

しかし・・相手が悪すぎた。

 

ジャコっ!!!

 

・・・!!!!???

 

彼に一斉に突き付けられたのは・・無数の銃口だった。

 

ではこの度式に参列したメンバーの方々各々の御挨拶をどうぞ。

 

アリサ「・・不行き届き者ですね・・こんな目出たい日に・・」

カノン「あの・・お、大人しくそれを渡してください!・・じゃないと・・楽に死ねないよ!?」

ジーナ「なるべく今日は花が咲かないように撃ち抜いて上げるわ・・それが貴方の汚い血で汚れちゃったら嫌ですもの・・」

アネット「む~・・・。はっ!いけない。ハンマーのままだった・・変形変形・・(ガコン)」

 

グ・・・!?・・ガァッ!

 

オウガテイルは一吠えして威嚇したが連中は全く怯む気配がない。じりりと近付いた連中に恐怖を覚え、くるりと背を向けて・・逃走した。

 

アリサ「あー逃げました!!」

カノン「追え!!」

アネット―嗚呼どうしよう。足が遅くて先輩達に置いてかれちゃう・・。

ジーナ―今日ばかりは遠距離狙撃は無理ね・・仕留めてもあのブーケを取られてしまっては・・今日ばかりは接近戦で仕留めるしかないわ・・!

ここまでが女性陣

榊は実はこのブーケを受け取れるのは(故意に)女性限定とは教えていなかった。

男性連中も一部は取りに行く気満々だった。

 

ここからは主に男性陣の参列者、その他も混ざります。

 

ではどうぞ。

 

タツミ「(あれをヒバリちゃんにプレゼントしたら・・よっしゃああ。ヤル気出てきたぁ!!)ブレンダン行くぞ!!」

ブレンダン「ぬ・・俺はいいよ・・」

タツミ「何言ってんだ!?俺達防衛班のチームワーク!見せてやろうぜ?」

ブレンダン「な、ち、チームワークだと?よ、よし解った!任せとけ!」

シュン「何だかよく解らねぇけど、いやぁ~面白い事になって来やがった!俺も行こうっと・・カレルもいこうぜ~」

カレル「(バカだバカだと思っていたがここまでとは・・空気の読め無さも大概にしろよ・・)折角の休日だってのに・・まぁいいか。特別手当ぐらい出るだろう。あのブーケもタツミあたりに売れば二、三万にはなるかな・・」

彼は知る由もない。下手をすれば十万まで出すような男が他に居る事を。

フェデリコ「アネットは足が遅いからきっと置いていかれちゃうはず・・だからまず取れないはずだ・・僕が頑張らなきゃ!・・ああ!緊張して神機が上手く変形出来ない!!」

 

他に少し変わった心配をしている少女がここに居る。

ヒバリ―タツミさんが取るのを妨害してくれそうな人を早く探さないと・・!!わー誰だろう!?

 

もしタツミがあれを取り、皆の目の前でヒバリに献上しようとしたりしたら・・・

 

まず絶対「そういう雰囲気」になる!!

断るのも憚れる状況に陥る!!

それだけは避けねばならない!

少なくともそんな勢いに任せた告白など御免だ。

 

ヒバリ―だ、誰か~たたた助けて~。

 

コウタ「いやぁ凄い事になって来たね~」

 

エノハ「お前は行かないの?コウタ」

コウタ「うん。べっつにーソーマもそうだろ?」

ソーマ「俺は行く・・」

コウタ「だよね~って・・ええ!?」

意外にものしっとソーマは足を踏み出した。やばい。本気だ。オーラすら感じる。

 

ソーマ―あのブーケは・・シオのドレスとおそろいだ・・今は人は無理でも・・物だけなら・・月に送ってやれるかもしれねぇ・・。

 

あのブーケに10万fc出す男は実は彼である。

ソーマは無言のまま走り出した。

 

ヒバリ―やった!ソーマさん行くんだ!頑張って!私の為に!

 

コウタ「ははは・・意外」

エノハ「俺はお前が行かない事に意外だよ。女の子好きなのに」

コウタ「んー・・まだ結婚はしたくないし、母さんとノゾミの傍に居てあげたいしね」

エノハ「ふーん・・大人だな?」

コウタ「へっへーん。だろう?」

エノハ「でも・・妹さんにあれプレゼントしてあげたら喜ぶんじゃないのか?」

エノハはこの一言がよもやコウタの逆鱗に触れるなど思いもしなかった。

コウタ「お!それもそうだね。凄い喜んでくれるのが目に浮かぶな~・・・ん?・・待て!?いやちょっと待て!」

エノハ「?」

コウタ「すると何か!ノゾミは俺を置いてサクヤさんの次に結婚するって事か!は!まさかお前もウチの妹を狙って!!」

その言葉と同時にコウタはエノハの胸倉をつかみがくがくと揺らした。

コウタ「ぜってーゆるさねぇ!妹に近付く男は全てぶっ飛ばす!例えお前でもだ!」

エノハ「いや、いや、いや、俺お前の妹と会ったこと無いから!散々写真は見せられたけどさ!!」

コウタ「そ、そうか・・ホントだな?」

ハァハァと息まきながらコウタは自分の行き過ぎの行為を諫めつつ、エノハの胸倉から手を離す。

エノハ「あ、ああ」

―・・やばい。かつて無い位コウタが怖い・・。

コウタ「・・!!いや!お前が良くても今取りに行ったアイツらの中でノゾミを狙ってる奴が居るかもしれねぇ!ゆるさねぇ・・!こうなったらあのブーケは俺が責任を持って回収する!!うおおお!!」

 

エノハ―・・行っちゃった。

 

ヒバリ―何か良く解らないけどコウタさんも参戦!やっちゃえ~!主にタツミさんを!

 

あまりの惨状にリッカは

リッカ「・・・。私が作った物のせいでこんなパニックに・・」

しゅん・・。

 

一方―

榊「いやぁ。皆が楽しんでくれて嬉しいよ!調べた甲斐があったなぁ!」

 

残されたメンツは自然と一か所に固まり、リンドウはエノハに話しかける。

 

リンドウ「よ。エノハ。お前はいかねぇのか?」

エノハ「いえ、行きます。ひょっとしたらオウガだけじゃないかもしれないですし」

リンドウ「そっか・・まぁお前は・・・・だもんな」

サクヤ「・・ふふ」

一瞬横目でちらりと・・ある方向を見た。それに気付いたサクヤも悪戯そうに笑う。

エノハ「はい?」

リンドウ「何でもねぇよー。あいつら早く連れて帰ってきてくれや?あんまり長く全員でアナグラ空ける訳にもいかねぇんだからよ」

エノハ「そうですね。じゃあ行ってきます」

サクヤ「気を付けてね」

エノハ「はい。あ。でもここは・・?」

リンドウ「俺が見てる。心配すんなぃ」

リンドウは得意げに自分の半アラガミ化した右手の甲を見せる。そこには琥珀色の「彼」の瞳の色によく似たコアが輝いている。

エノハ「・・そうですね」

 

リンドウは今、「彼」と共にある。この場に神機が無くとも問題無く対処できる。

 

サクヤ「ちょっと・・私もいるわよ」

花嫁姿のサクヤが両手を腰につけ、少し茶目っけのあるふくれっ面をした。

リンドウ「OH!マイワイフ!愛しの君の事を忘れるなんて!!」

サクヤ「・・馬鹿」

 

エノハ「・・・。じゃあ行ってきます」

 

リンドウ「おう!気を付けてな!」

サクヤ「・・こっちは心配しないで」

 

ヒバリ「お気をつけて!」

―わーい。極東のエースが満を持して出撃~!

 

リッカ「・・ごめんね」

エノハ「いや、相当リッカが謝る必要ないと思うけど・・まぁちょっと行ってくるよ」

リッカ「・・うん!気を付けて」

 

 

 

 

 

 

 

ツバキ「行ったな・・頼もしい奴らだ」

リンドウ「ええ、姉上。あいつらならこれからもきっと上手くやっていけます」

サクヤ「ええ。きっと・・」

リンドウ「年寄りは少し楽させて貰いますよ」

ツバキ「何を言ってる。これからもこきつかうからな?お前は散々休んだ分やる事は山積みだぞ」

リンドウ「うぇ~」

そのやり取りに少しサクヤが微妙な笑顔をしたがツバキはお見通しで

―冗談だ。本気にするな。

と、薄くサクヤに微笑んだ。

 

 

 

「ところで・・姉上はブーケを取りに行かなくてよろしいのですか?」

喉元まで出かかった声を直前でリンドウはこらえた。

 

借り物のタキシードを血に染める訳にはいかなかった。

 

サクヤを新婚早々未亡人にさせるわけにもいかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エノハ「皆!後五分!それで見つからなければ一旦帰還するからな!?」

 

(えー・・は~い。・・・やばい!!もう終わり~!?急がんと!!)

 

という一同の気配が感じ取れる。

 

エノハ「・・まるで○○○○○だな・・」

 

 

 

一方オウガは

 

・・何なんだあの連中は!

 

十人以上で襲ってくるが統率もバラバラ。仲違いしている節すらある。それで何とか命拾いしている状態だ。しかし一度遭遇してしまえば一人一人がアラガミである自分を楽に殺せる実力者である事が明白だった。

 

な、何でこんな事に・・?

 

彼が未だ牙からぶら下げている小さな物体がその元凶だという事など知る由もない。

何とか生き延びてこれたが・・最早時間の問題だ。

何故だかわからないが急速に周りの気配の動きも活発になった。もうダメそうだ。

オウガは自棄になった。

しかし、

 

ふと気付く。

最初の地点―旧教会跡に。

彼らGEが一人一人が携行している神機の気配を頼りに察知してみると・・その場所には人間の複数の気配がありながら神機―同族の気配が極端に少ない事に気付いた。

 

・・どうせ逃げられないのなら。

 

オウガテイルがそこに戻るのに最早理由は要らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧教会跡―

 

ツバキ「後十五秒・・」

残った一行―

新郎新婦と榊、ツバキ、ヒバリとリッカの六人が時計を覗きこみながら息を吐いた。

 

ピッ

 

ツバキ「・・時間だ。ヒバリ・・終了を告げてやれ。そして前言撤回だ。色ボケで我を忘れて連携を怠るとは・・アイツらもまだまだだな」

ヒバリ「はい!(よかった~当初の予定とは違うけどタツミさんの手に入らなかっただけよしとしよう!うん!)」

 

ヒバリは喜びのあまり、珍しくちょっと駆けだして

「はい!皆さん終了です!!集まってくださ~い」

そう言ってくるっとご機嫌に回転した時だった、

 

「・・・・っ!?」

 

リッカは一瞬にして顔面蒼白になったヒバリの異変に気付く。

 

―・・・!?ヒバリ?

 

口をはくはくと、空気が上手く吸えないような素振り。目を見開いて、ただ一点を見つめていると思った時、反射的にリッカは駆けだしていた。

走る自分の背中に黒い影が頭上で通過するのも気にせず、親友のヒバリの元にお構いなしに駆け寄った。

 

集団から少し外れ・・ただ一人自分の存在に気付き、おびえている小さな少女。

オウガの標的は彼女以外考えられなかった。

 

「ヒバリ!!!」

親友の元に辿りつく。振り返ると大きな口が空中から迫って来た。

それを正面にまっすぐと見据えて両手を開き、リッカは親友の前に立つ―

少女は・・覚悟した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十秒後―

 

戻ってきたGEの連中は凍りついていた。

その光景に。

教会の中心で割れたステンドグラスから太陽光が丁度差し込んでいる場所の光景を目の当たりにして。

その光景に誰しもが声も出なかった。

 

照らし出された教会の中心にはまだ息のあるオウガテイル、ペタンとへたれ込んでいるヒバリ。

 

その二つの中心で固く目を閉じたまま動かないリッカの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして―

 

さらにその間に。

 

一本の神機があった。

それがリッカとオウガテイルの巨大な口の僅かな隙間に割り込んでいた。

絶対不可侵の国境線の様に。

 

「・・やっぱり戻ってきてたか。小型種だけあって危機察知能力は大したもんだな」

 

オウガテイルは動けなかった。

間違いなくさっきまで自分を追っていた連中よりも遥かにタチの悪い、勝ち目のない相手が今隣に居る。

 

それも・・二人。両隣りにだ。

 

リンドウ「・・。助かったぜ。タキシードの右袖を台無しにせずに済んだ」

いつの間にか既にオウガの間合い内、一撃でオウガを仕留める事の出来る距離で琥珀色の右腕を構えていたリンドウがそう呟いた。

 

リッカは立ちつくしたまま力一杯閉じた目をおずおずと片目だけ開ける。その目線だけを動かすと・・・右手に握った神機を構える少年の姿を見える。

 

・・よくよく考えると戦っている彼の姿を見るのは初めてだなと思う。

 

リッカ「・・・エノハ」

 

エノハ「悪い」

 

リッカの声にただ一言そう言ってすまなさそうに眉をひそめ、彼は微笑んだ。

 

オウガテイルの全身から力が抜けた。同時に

 

しゅる・・

 

彼の巨大な犬歯から一向に外れようとしなかったブーケのリボンが不思議な事にスルスルとほどかれ、落ちて行き―

 

エノハ「あ」

 

リッカ「・・・っと!」

 

ポスッ

 

無意識にリッカは手元に落ちてきたブーケを両手で受け止めた。

 

「「え・・?」」

 

エノハもリッカも目を丸くしてお互いの顔を見合った。

 

同時にオウガは逃げ出す。もう周りに居る連中誰一人彼を追おうとしなかった。

極東の主力メンツ全員に囲まれて生きのびた小型種は後にも先にも彼以外いないだろう。

全員中央の光景に釘付けでそれどころではなかった。

 

リンドウ「ん?ん?あ、邪魔?俺?おーいヒバリ?・・いくぞ?」

 

腰の抜けたヒバリをひょいと担ぎあげ、そそくさとリンドウは新婦の元に戻る。

 

―ひーひー・・今日の主人公にいらん気使わせるんじゃねぇよ。全く・・。

 

 

 

 

教会の中心でたった二人。

 

エノハとリッカ。

 

それを飽きることなく射しこんだ光が二人を照らし続けていた。

 

 

 

 

 

レンの声が響く。

 

あの日彼と最後に交わした言葉。

 

 

 

 

―僕はレン。

 

好きなものは貴方達―人

 

 

そして

 

 

・・リッカさんです。

 

 

 

エノハさん?

 

 

 

君と・・一緒です。

 

 

 

 

どうか。

 

 

―お幸せに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「・・。まさか」

「ね」

エノハ、リッカは恐れ慄いていた。
オウガテイルを連携することなくお互いに邪魔しあい、仕留め損った事によってツバキはエノハを除くゴッドイーター全員がリンドウ、サクヤの乗るオープンカーを追って走ってアナグラに帰還という罰ゲームを課した。

後ろを必死について来る頼もしい後輩たちを見ながら花婿リンドウ、花嫁サクヤはとても楽しそうに車を走らせていた。
(鈍足のアネットには少々可哀そうな課題であったが。)

「・・まさか本気でやるとは」

「ね」

「く・・・」

「ふふふっ・・」

「・・楽しかったね」

「全くだね。良い結婚式だった。サクヤさんとっても綺麗で・・本当に幸せそうで良かった」

課された罰ゲームに疲れ果て、GE連中は恐らく全員グロッキー状態で自分の部屋に居るのだろう。
よって今エノハ、リッカの居るカフェテラスのいつもの席は静かだった。

「はは・・・これどうしよ」
リッカは手元に在るブーケを眺める。
「私が作ったのに結局私の元に戻って来ちゃった。いいのかな?」
リッカは苦笑いしながらほどけていた緑色のリボンを結び直し、綺麗に誂えた。

シオが着用していたドレスとおそろいのブーケ。
純真無垢なあの子の笑顔の手元にコレがあれば・・さらにあの笑顔が魅力的になるだろうな―
そんな風に思いながらリッカはカフェテラスの天井から覗く蒼い月を見上げる。

結婚披露宴の為、いつもより少しはめかしこんだ恰好をしてはいるものの、やはりこのブーケは自分には似合わないなぁと自虐的にリッカは笑う。

―我ながら自信作なのに・・
当の自分にはちょっと・・自信ない。

・・・さて!

終わり終わり!

戻ろうか。

また明日から。

仕事だ。

「ん~!!!!」
リッカは力強く伸びをする。



「リッカ」

「ん~?」

「俺と一緒になってくれないか?」










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