GOD EATER カスタマ   作:GREATWHITE

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今回もよろしければお付き合いお願いします。

それいけ。ジーナ。


カスタマ 短編集 8

「ぶっ・・・!おっほっ!!げっほっ・・!!そ、それってほぼプロポーズってやつじゃないですか!?リッカさん!?」

強力な喉と舌を持つアリサも驚きのあまり口に含んだコーヒーを噴き出しかける。

「そ、そうなのかなぁ・・?」

リッカはやり場に困る両手指先をもじもじ、まごまごとして漸くそう答えた。

 

「うわぁ・・エノハさん素敵です。はっきり伝えてくれたんですね」

カノンも嬉しそうに目の前で手を組みながらリッカを祝福し微笑んだ。

 

リンドウとサクヤの挙式から五日後。

同日に急展開を見せたリッカをリンドウと長期休暇をとっているサクヤを除いた女性GE陣+ヒバリがカフェテラス奥の一番大きなテーブルに陣取り、リッカを逃さないように取り囲む席配置をしていた。

 

―さてと。今日は色々とゲロって貰うぜ。

 

奴らにはそういう気配があった。

 

「・・ふーん。意外にしたたかよねぇ。エノハ君。勢いがあったとはいえ『この機を逃さない』っていう迫力があったことはリッカの話からひしひしと感じとれるわ」

ジーナは何時もの通り悠然と、流麗な動作で手元のカップを口に運びながら少し楽しそうにそう言い、綺麗な赤い目を妖しく、しかし優しげに細めてリッカを見る。

 

「押し切られちゃったのね❤」

微笑んだジーナに目を合わす事が出来ずリッカは俯いた。

「・・・・」

 

「・・私も意外でした。正直お二人は「いずれは」ってのは薄々あったんですけどリッカさんもエノハさんもお忙しい方ですし・・まだまだ先だろうなって思ってました」

「そうだったの・・?ヒバリ?」

「自然消滅しなきゃいいなって心配していたぐらいです」

「・・・」

―何せお二人のここでする会話ときたら・・。色気がほぼゼロでしたからね。

実は何度かエノハとリッカの駄弁りに付きあわされたことのあるヒバリは少し苦々しそうに眉をひそめて笑った。

その点で言えば大半妄想とはいえある意味アネットが一番真意に近づいていたと言える。

 

―いい意味で外しちゃいましたね私は。

ヒバリはちょっとした謝罪を込めてアネットをちらりと見るが・・

―・・・。ダメだ。既に逝っちゃってる。

 

She is gone!

 

「・・・」

―うふふっふ・・あははは・・・ザマス・・。

恍惚の表情を浮かべ、アネットは既にお花畑状態であった。妄想が振りきれているのだろう。

これはもう放置だ。

 

アリサ「・・リッカさん。おめでとうございます。リーダーの事よろしくお願いしますね」

カノン「おめでたいことって続くものなんですね。私!自分の事のように嬉しいです!」

ヒバリ「私もです」

ジーナ「おめでと」

リッカは泣きそうになった。いい人達だなぁ。ホント・・。ぐすっ・・。

 

アネット「・・いいですね~ナイスですね~」

 

一同「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで・・リッカ?」

アネットがぶち壊しかけた雰囲気をジーナが切りかえる。

 

「はい?」

「結局どうするの?」

「え・・その・・結果はその・・さっき言った通りですけど・・」

「その先よ。結婚するの?」

「えっ!?あ・・その・・」

「多分だけどエノハ君はそのつもりよ。その覚悟で言ったと思うわ。彼の場合・・当の実家は少々緩いけどれっきとしたフェンリル公認の上級貴族だし」

「あ。そうか・・リーダー結構凄い方の息子さんなんでしたね・・」

アリサは覚えている。

自分の体重を危険なほど美味すぎる食事で一夜にして2キロ太らせ、その次の日の過酷な労働で綺麗にそれを消費させた健康センター―エノハ家の当主エノハ イワナの姿を。

動きやすいラフな作業着姿のエノハ家当主は一見全く貴族には見えなかった。だが、実際は時折極東支部に現れる尊大で身形だけはいい貴族などとは比べ物にならない影響力を持つ男の子息なのである。

 

「・・・婚姻、式はともかく『婚約』ぐらいはしといた方がいいかもね。政略結婚狙ってくる貴族とかいそうだし。・・まぁ靡くとは思えないけど。彼の実家も彼自身も」

 

それに。

彼はGEだ。何時死ぬか解らない死と隣り合わせの仕事をしている。

本当に自分の娘を大事に思う在る程度真っ当な貴族であれば、可愛い娘を未亡人にしかねない過酷な職業についている彼に嫁ぐのはあまり良縁とは思えないだろう。

結果エノハ家の資産や技術、名声を目当てにしたタチの悪い貴族が売り込みに殺到する筈である。例えエノハやエノハ家が全く相手にしなくてもだ。

そういう意味ではエノハ、そしてエノハ家にとっての「楠 リッカ」という少女の立場ははっきりとしておいた方がいい。公認の相手として。

リッカにそんな連中からのいらぬ火の粉が飛ぶ前に。

しかし一旦リッカはそれを保留した形にしている。

 

「・・。確かにそういう意味で言ってくれたと思います。でも私達まだ十代だし、お互いに仕事も立場もあります。・・私は親も親戚も既にこの世を去ってますんで、もし『そういうこと』があっても私が我慢すればいいだけの話ですから」

「・・リッカさん」

アリサが少し心配そうにリッカを見ると「大丈夫だよ」と言いたげにリッカは微笑みを返し、続ける。

「だから私もそれだけはもう少し考えさせてほしいって言うつもりでエノハも納得してくれると思います。勢いだけで突っ切るとことしっかり考える所はきっちり分けておきたいんです」

 

 

「・・ちゃんと考えてるのね。部外者が余計な事言っちゃったかな?おめでたい話なのに雰囲気下げちゃってごめんなさい」

「いえ・・心強いです。私も正直その・・夢見心地って言うか・・地に足付かない感覚がまだ完全には消えてないですから正直ジーナさんみたいに色んな視点、観点から忠告して下さると助かるんです」

「そう言ってくれると嬉しいわ」

ジーナは年長者らしい気遣いを込めて再び雰囲気を和らげて微笑んだ。

 

「うぅ・・・!リッカさん!何かあったら言って下さいね!?私達がぶっ飛ばしますから!!」

「カノンちゃん・・有難う。でも神機持ってないのに物騒なその言葉が少し怖い・・」

「そうです!私達腕っ節は強いですよ!!」

ちょっとシリアスな話に意識を取り戻し、復活したアネットが呼応する。ハンマー型バスターを軽々と振りまわす彼女が言うと・・物凄い説得力だ。

 

 

リッカは嬉しかった。

心強かった。

 

今度は違う意味で涙が出てしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

ジーナ「そっか・・まだリッカとエノハ君は婚約はしてなかったのね・・」

カノンが淹れなおしてくれたお茶を再び口に運びながらジーナはそう呟いた。

カノン「ジーナさん・・?」

ジーナ「やっぱり・・・何だかんだ言っといて既成事実は作っといた方がいいと思うのよ色んな意味で。・・私はね」

リッカ「色んな意味って・・・」

 

「A?B?そ・れ・と・もC!!!???」

びくん!!びくくん!!

アネットの体が痙攣をおこす。再び妄想狂気炸裂。

ヒバリ「・・!(ああ・・ジーナさんがそんな事言うからまたアネットさんがバッドトリップ状態に・・!)」

 

そんなヒバリの心労にお構いなく、ジーナは言葉を紡ぎ始める。

 

ジーナ「エノハ君悪くないと思うんだけどね・・・なんだかんだ言っても名家の次男坊でご両親も健在、何かの間違いで子供が出来ても子供をおしつけ・・いえ・・任せる事が出来る・・孫が可愛くない祖父母なんてそういないはずだし喜んで引き受けてくれそう。バックアップ体制は万全と見ていいわね・・」

 

一同「・・・ぴく」

 

ジーナ「結婚して、子供産んでも仕事・・したいでしょ?リッカは?何と言っても彼は貴方の仕事に誰よりも理解がある人だし・・。産休、育児休暇取るとして・・?・・うん。きっと喜んで貴方の職場復帰を歓迎してくれるわよ」

 

一同「・・・ぴくく」

 

「むしろ兵役が可能な期間が極端に短いGEだから・・GE引退後はエノハ君が家庭に入って子供世話しても良いくらいね。子供が大きくなったら彼も仕事に戻ればいいし・・後進の育成の仕事とか榊支部長や雨宮姉弟がいくらでも世話してくれそう・・」

 

一同「・・・ぴくくく!」

 

 

「そもそも彼ほどのGEが引退した際の退職金、慰労年金って一体どれくらいかしら・・?散財しなけりゃ老後も悠々自適の生活でしょうねぇ・・?」

 

一同「・・・びくくくくん!!」

 

美しく整えられた右手人さし指を薄く紅をひいた艶やかな唇につんつん当てながら艶めかしくジーナはじとりと後輩たちを見回し、こう言った。

 

「・・こう考えてみると・・中々いい物件よねぇ・・エノハ君。どう・・?私に譲らない?リッカ・・?貴方に振られた直後の傷心のエノハ君を・・・」

 

「ダダダダダメです!!」

リッカは思わずダンと両手を机の上に叩きつけ、そう言った。

しかし彼女以外の同僚の様子が少しおかしい。

「―――!?」

 

「・・」←カノンが手鏡片手に睫毛を調えている。

アリサ「キューッ・・・んっ!ぱっ!・・・う~ん・・やっぱりこの口紅の色・・少し赤が強すぎるかなぁ・・新色のピンクゴールド・・いやいっそシャンパンゴールドかオレンジっていう手もあるか・・」

ヒバリ「パラパラ・・・ふむふむ・・草食男子を射止めるにはこのモテコーデが一番人気・・」

アネット「うわ・・過激ですね・・私もこれくらい短い丈のスカート履いた方がいいでしょうか」

ヒバリ「いや、そもそもアネットさんは・・・その・・」

アリサ「ダメですね。アネットは足太いのでミニスカ似合わないかと」

アネット「うわ。ひどいです」

 

リッカ「アンタ達!!何やってんの!!!!???」

―さっきまでの私の感動を返せ!!!

 

「だってぇ・・改めてみるといい物件だなぁって・・家柄よし、性格よし、理解もあってお金もある。・・土地もある。顔も普通かちょっと上だし・・手頃だなぁって」

悪びれもせず尚もいけしゃあしゃあとジーナはそう続けた。

 

「よくないです!!」

ダン!

 

「わ」

 

「そういうのいけないと思います!!第一いい『物件』とかそういう言い方が気に入らないです!!私はエノハの家とか立場とかお金とか都合がいいとかそんな不純な理由で彼を受け入れたつもりはありません!!」

 

「そ、それにエノハは結構ダメなやつですよ!?実は何の目的も無くここにきて、『人生ここまで流されてきちゃいました』タイプで、いざという時はウジウジしてて!」

 

「・・・」

驚いて目を丸くしながらジーナは珍しいリッカの剣幕に押されて放心したように無言であった。

 

「と、とにかく!『物件』とか言ってあげないでください!!可哀そうです!」

 

「・・・あら❤」

ジーナは細く切れ長の目を目一杯見開いて感嘆とした表情で嬉しそうに笑った。

「・・!?な、なんですか・・?」

 

「今のでハッキリしたわ・・リッカ?貴方が間違いなく彼のことをを一番よく知り、その上で他の誰よりも彼を大事に想っている事が。・・私の言う彼の「家柄」とか「お金」とか表向きのいいこと上げ連ねただけで「こう」なっちゃうこのコ達とはレベルが違うわ~」

 

「・・・っ!~~~~~!」

 

リッカは再び赤面して俯いた。

 

対照的にリッカ、ジーナを除く一同は・・

「ガビーン!!!!!!」

彼女達は石化した。

 

―ジ、ジーナさん?は、嵌めましたね?わ、私たちをダシに使いましたね・・・?

 

恨めしそうな涙目の彼女達をジーナは

―はて?何のことかしら?

と、涼しげにその視線を受け流し、最後にこう言った。

 

「リッカ・・彼を・・エノハ君を幸せにしてあげなさい。それがきっと貴方の幸せに繋がるはず」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れさまでした。

最近登場キャラが複数の話が多い為、セリフ横に名前を入れることが多いです。
お見苦しい方もいると思いますがご了承ください。


↓以下
「俺のジーナはこんなこと言わない!うわ~ん」
って泣きだす方にはちょっとおススメしないです。



おまけのおまけ

ジーナ「ところで・・リッカ?」
リッカ「・・・はい?」
ジーナ「実の所どこまで行ったの?とりあえずち○この出し入れくらいは・・」

一同「ばぶふっ!!!」

五分後―

「あ。ジーナさん!」
優雅に紅茶を流麗な動作で一人嗜むジーナの元に駆け寄る少年が居た。

「ん・・・?あぁ・・ぼそり・・・」
「・・・はい?」
末尾の不明瞭なジーナの囁くようなその声はエノハには聞こえなかった。

―・・優良物件君・・。

「・・ジーナさん?」
「あ。いえ・・何でも無いわ。で。私に何か用かしら?エノハ君?」
「アリサとアネットが何処に居るか知りませんか?ヒバリちゃんに聞こうとしたら彼女も休憩中らしくて」
「・・ああ。その子達全員とさっきまで一緒にお話ししていたの。今はお手洗いに全員行ってるから・・・まぁじきに戻ってくると思うわよ?」
「そうですか。少し・・ここで待たせて貰っていいですか?」
「ええ。どうぞどうぞ・・お茶・・淹れるわね」
「有難うございます・・してあの・・一つ聞きたいんですが・・」
「何かしら?」
「なんで・・こんなにテーブルの上汚れてるんですか?」
「・・。それは・・女の子の口からはとても言えないわ・・」
「はぁ・・」
―・・一体。何が在ったんだ?

「・・一体何が在ったんだって顔ね?」
「解りますか」
「別に・・普通よ?・・今日は『物件』の話で盛り上がっていた所」
「・・『物件』?へぇ・・誰か引っ越しでもするんですか?」
「・・引っ越し・・まぁ・・そんな所ね?女の子にとって『住まい選び』は大事だから・・・ウフフフフ・・」

そう言ってまたジーナは心底楽しそうに妖しく笑った。

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