GOD EATER カスタマ   作:GREATWHITE

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VS ウロヴォロス第二章です。
ちょっとオリジナル要素を多めにしています。
今回もよろしければお付き合いください。


原初の螺旋 2

エノハに当然の疑問が浮かんだ。何故ここまでの強敵―そして多大な被害を生じさせるこの巨大なアラガミを・・

なぜフェンリルはわざわざ「特務」―つまり限られた「個人」で対応するのかを。

「確かにこれほどの相手だと経験、練度が低いGEなら犠牲が出るだけになる可能性が高い。それでもチームで挑むべき相手だよな?このアラガミ・・」

「・・・」

「例えば俺達第一部隊でいつも通り対応・・もしくは他の部隊のカレル、ジーナさんでもいい・・遠距離型のフォローがあれば・・討伐は無理でも人的被害の出ない地域への誘導はだいぶ楽になるはずだ。少なくとも俺一人で挑むよりかは勝算が余程高い・・なんでだ?」

「・・・」

「それも複雑な事情とやら・・なの?」

リッカはバツが悪そうに頷いた。そしてこう呟いた。

「私が最も納得できないとこがそこ。完全に「上」の事情だから。このアラガミを相手にしてこれだけ人が死んでいるのに・・上の連中の思惑が絡むの」

「それも説明してくれるのか?」

「うん、もちろん」

 

「エノハは偏食因子の属性については知っているよね?」

「ああ」

火、雷、そして氷。誰もが知っている自然エネルギーであり、アラガミとの戦いでもアラガミの各属性の相性をよく頭に入れておくことで戦闘を優位に保つことができる―GEにとってははっきり言って小学生レベルと言っていいくらい基本中の基本である。

 

火―炎の熱によってオラクル結合自体を燃焼させ、蒸発、霧散させる。

氷―体組織を凍結、オラクルの活動自体を「休眠」させ、行動を阻害、または壊死させる。

雷―オラクルの神経伝達組織に過負荷を与え、神経組織を焼き切る。

 

どの属性もアラガミを討伐ないし弱体化させる上で欠かせない知識である。

「実は・・属性がもう一つあるって言ったら・・エノハは驚く?」

「もう一つ?」

「・・神属性」

「・・それまたファンタジーな属性があるもんだな」

ふざけたように少しエノハは笑ったがリッカは笑わなかった。

「・・マジなの?」

「うん。空想じゃないよ。現実に存在するんだ。これが」

「・・・」

神属性―

アラガミは「人類の天敵」とされているがアラガミにも多種多様な種が存在し、そのすべてが同じ意思で統一され、人間にだけ敵対意識を持っているわけではない。

当然アラガミ同士でも喰い合い―生存競争は行われている。同種すら共食いする連中もいる。

その生存競争の中で先程紹介した三つの属性を各々のアラガミは取捨選択している。

結果、ある因子には特別に強い半面、逆にある因子には全く以て抗体を持てないものがほとんどである。例えば先日のプリティヴィ・マータの様な明らかに氷に特化したアラガミは炎の属性の相手に当然ながら極端に弱い。逆に攻めに回れば極端に強くなる。

この属性の違いはアラガミ同士の生存分布地の住み分けに一役買っており、一概にアラガミ達にとっては悪い影響だけとは言えない。

しかし、生存競争の上で自分以外の種すべてに多大なアドバンテージを得るために生まれたのが・・この「神属性」だ。アラガミがアラガミを滅ぼすために生まれた属性である。要するに万能だ。

 

この因子をウロヴォロスは持っている。

 

これによって彼らは絶対数こそ少ないものの、恐らく世界のどの地域、どのような環境にも他のアラガミより優位に立って存在でき、他の種より多くの栄養、多様な種の因子を摂取し、巨大化したのだ。

その結果、シオが進化の過程で人間を捕食の対象にしなくなったように、彼らウロヴォロスも人間が栄養源としては不適格になったのだ。これがウロヴォロスが人間を捕食対象にしていない要因である。

しかし、両者の歩んだ道は対照的だ。

一方は感情を手に入れ、人間とすらコミュニケーションをとれるようになったアラガミ。

一方は無機質、機械的に。より高次の栄養を求めてただ彷徨い歩くアラガミになった。

 

そして此度、再び極東に姿を現した。

 

「・・確かに面白い話だけど・・それが俺の疑問と何の関係が?」

「ウロヴォロスと闘うこと。つまりエノハ?君はウロヴォロスと同じになるんだよ」

「同じ・・?」

「他のアラガミでは手に入れる事の出来ない因子を手に入れることでキミの神機はこれ以上なく成長する。普通のゴッドイーターの限界を遥かに超えたランクになるの。つまりウロヴォロスと闘うことはキミというたった一人の人間に過ぎた力を与えることになる。フェンリルの上の人間がキミの反乱・・とまでは行かなくても扱いづらい人間になることは間違いない。だって・・怖いよ。自分たちより遥かに武力をもった存在がたった一人の人間なんだから」

GEの適合者の年齢は大体十代から三十代手前である。

そんな「幼い」連中が過ぎた極端な力を手に入れた場合果たしてどうなるのか?自分たちの立場は?

上の人間がそういうふうに不安を覚えるのも無理はないと言える。だが・・

「その数を過剰に増やしたくないが為に特務の人間は一人で挑むってことか・・?」

「このウロヴォロスの任務に関してはね。とはいっても私が内容を知ってる特務の数なんてたかが知れてるけど」

「・・・」

「ね・・?複雑でしょ?で、とってもくだらないでしょ?でもこんな事情で・・ひょっとしたら力を合わせていたら・・協力していれば・・死んだGEの子たちだけじゃなく、今も生き残って笑い合えたたくさんの人もいたかもしれないって考えると・・ちょっと辛いんだ・・」

「・・・」

「ごめんね。まだ引き受けてはないとはいえ・・任務の前に不安にさせるようなことばかり言って」

そう言ってリッカは苦笑いし、そして大きく息を吐いた。軽く伸びをする。

 

ヨハネスが先日言っていたことをエノハは理解した。

この目の前の少女が少しでも気持ちが楽になってくれたのであれば・・これ以上のことはない。

少なくとも今のエノハにとってそれで十分だった。

 

「ありがとう」

エノハは最後にそう言った。

「・・いくんだね?」

 

 

巨体―ウロヴォロスは躍動する。

巨大な右触手の先端が跳ね上げた土と泥水、その奥の遥か地下の土すら巻き上げ、雨の中に不自然な土ぼこりが舞っていた。

 

時は今、竜巻が螺旋を描く廃墟の平原に戻る。

 

巨体が削り取った大地のクレーターの中に・・あいつはいない。

 

しかし彼の無数の複眼の目端はすぐに違和感を捉えた。自分の叩きつけた触手に神機を刺してあの一撃を逃れ、触手を伝って死角からコアを突き刺そうと跳躍する小さな影を。

反射的に巨体は乱暴に体を振り回す。彼の体を軸にまた土煙が舞うほどに円周を強引に薙ぎ払う。

 

直撃はしなかったが「振り払った」という感触が巨体には残った。

その証拠に彼が弾き飛ばした「影」がはるか遠くでぬかるんだ地面に着地した音が響く。

 

巨体は睨む。その小さな身の程知らずを。

何百もの複眼全てに彼を映す。

 

別に大した興味もない。喰う気もない。だが、この敵は粉々にしないと、消滅させないと―

「こっちが足元をすくわれる」

 

巨体は侮りを捨てた。

ただ目の前の「敵」を排するため、後ろ足で立ち上がり、胸部から生えた六本の足の先をすべて地面にたたきつける。

立ち上がると体高はさらに二倍近くに跳ね上がり、巨大さに一層の拍車がかかった。

 

巨体は「巨神」となり、かつて「餌」として見限った小さな存在を睨む。

 

今―戦闘開始。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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