【完結】金木犀匂ふ<鬼殺隊列伝・森野辺薫ノ帖>   作:水奈川葵

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第五章 虚実(一)

 三ヶ月後 ―――――

 

 

 その日は心地よい風の吹く、春うららの陽気だった。

 桜の花はとうに散って、桜蘂(さくらしべ)が地面に赤の絨毯を広げている。

 

「あれ? あんた…えーと…確か…」

 

 翔太郎(しょうたろう)はしばし考えてから、思い出すと、やや大きな声で呼びかけた。

 

「あ! 伴屋(ばんや)さん。伴屋…ホウジ? だったっけ?」

 

 宝耳(ほうじ)は読んでいた本 ―― 正確には那霧(なぎり)旭陽(あさひ)博士の日記を下ろすと、ニコリと笑った。

 

「元気そうで何よりやな、()ン。ようやっと歩けるようになったか。お前もなかなかしぶといもんや。さすがは風波見(かざはみ)の…いうとこか?」

「そんなの関係あんの?」

 

 言いながら翔太郎は部屋に入ってくると、宝耳の周辺に散らばった綴本(とじほん)らしきものの一つを手に取る。中身をペラリと開いて、ゲッと声をあげた。

 

「なに、これ? 外国の文字じゃんか?」

「あぁ、そやで。アルファベットやな」

「ア…ファベト? なに? あんたそんなの読めるの?」

「まぁ、英語やったらわりと読める。これを書いた御仁、日記やからゆうて好き放題でな。時々、ドイツ語とかもあるから、難儀しとんねん」

「………」

 

 翔太郎は目の前の白髪交じりの中年男をまじまじと見つめた。

 すっかり色褪せた消炭色の隊服、顎にうっすらと生えた無精髭、目の前で大欠伸して臭い息を吐くおっさんが、こんな細かい字の外国語をスラスラ読める?

 疑念と敬服が入り混じった翔太郎の複雑な表情に、宝耳はプッと吹いた。

 

「なんや。信じとらんな? まぁ、ワイが読めようが読めまいが、坊ンが読めへんのやったら、本当(ホンマ)なんかどうかもわからんやろ」

「いや。読めるんだろうと思うよ。俺には何がなにやらサッパリだし。でも、どこで習ったんだ? そんなの」

 

 宝耳は傍らに置いてあった灰皿から煙草をとると、軽く吸いながら、遠くを見る。

 

上海(シャンハイ)租界(そかい)で、英国(エゲレス)人のボーイしとったからな」

「ぼーい?」

「下僕や。まぁ、丁稚(でっち)みたいなモンやな」

「ふーん…」

 

 翔太郎は色々訊きたくはあったが、ただでさえ見慣れない文字列を見て頭がこんがらがっているのに、宝耳の出してくる情報が突飛すぎて、もはやついていけなかった。

 ひとまず宝耳の謎の経歴については置いておくことにして、そもそもこの部屋を訪れて、この男の姿を見たときの最初の疑問。

 

「ところで、なんだってここにいんの?」

 

 翔太郎が尋ねたのは、ここが療養中の(かおる)の部屋だったからだ。

 

「病人が寝てるってのに、横でなにのんびりしてるのさ?」

「えぇ? 一応、律歌(りっか)からお嬢さんが起きたら知らせるように言われて、付き添っとるんやないか。ボケーっとしとっても何やから、ついでに勝母(かつも)刀自(とじ)が用意してくれとった、旦那はんの日記に目ェ通しとっただけやがな」

 

 宝耳としては勝母があらかじめ用意してくれていた那霧博士の日記をざっと読んで、無惨や青の彼岸花と関わりのありそうな部分だけ借りていくつもりだったが、これが表記がほとんど英語であったために、さすがの宝耳もざっと読むというわけにはいかなかった。

 いくら過去に英国人の屋敷で働いていたとはいえ、最近ではとんと使用していなかった言語の勘を取り戻すのは容易でない。最初の一冊は勝母の部屋にあった英和辞典と首っ引きで読み進め、昔とった杵柄を発揮できるようになったのは、二冊目を読み終えた頃だった。

 

 いずれにしろ百冊以上ある日記を読んでいくには、時間もかかるし、持ち歩ける量でもない。

 百花屋敷(ここ)でしばらく逗留してのんびり読むことにして、ついでに薫の部屋に張り付いたのは、八重(やえ)を待ち伏せしていたからだ。

 三ヶ月前、薫の命を狙った八重は、あのまま姿をくらまし行方不明となっていた。だが宝耳は八重がいずれまたやって来るだろうと思っていた。ただの勘だったが、妙に確信していた。

 しかし現れたのは八重ではなく、つい先頃まで鬼に襲われて寝たきりであった風見(かざみ)翔太郎(しょうたろう)であった。

 

「勝母さんが用意した…? 旦那さんの日記? なにそれ?」

 

 怪訝に尋ねてくる翔太郎に、宝耳はフフンと笑った。

 

「早ぉに亡くなりはった勝母刀自の旦那はんの日記でんがな。まぁ、日記以外のモンも混じっとるけど…。大したもんでっせ、この人。元は鬼の血について研究しとって、その過程で色々と新しい実験方法やら見つけて、治療にも活かしてはる。血液型やら、血液凝固を防ぐ方法やら…これまともに論文にして発表しとったら、とんでもないことになっとったやろな。鬼殺隊で重傷者が死ににくなったんも、こン人のお陰かもしれん」

「はぁ…?」

 

 翔太郎はますます目の前の男への疑問が膨らんだ。

 この男が、ただの鬼殺隊士ではなく、ただの鬼の生け捕り師でもないことは、薄々感じていたことだった。

 

 先代のお館様の命令で、翔太郎の実家である風波見家が、鬼殺隊と絶縁した理由について調べていたことも聞いている。

 その調査中に翔太郎の曾祖母が彼に助けられたことも。

 

「そういや、俺、アンタにちゃんと礼を言ってなかったかもしれないな」

「ん? なんや?」

「大お祖母(ばあ)様のことだよ。助けてくれたんだろ? 今更だけど、有難うございました」

 

 宝耳はハハッと笑ってから、翔太郎に問うた。

 

「ワイへの感謝はえぇから、その大ばば様に会いに行ったらどうやねん? まったく気丈なことやで。あんなことがあったいうのに、あの家で今も一人、暮らしてはんで」

「……知ってる」

 

 翔太郎は俯いた。

 

 紅儡(こうらい)の襲撃によって、母と妹が殺され、曾祖母自身も重傷を負った ―― その現場となった風波見の屋敷。

 陰惨な痕跡が残っているというのに、曾祖母はそれでも一人、その家を守っている。

 

 一度だけ、翔太郎は曾祖母から手紙をもらった。そこには早急に鬼殺隊を辞めるように書かれていた。

 おそらく翔太郎が片腕をなくしたことを聞いたのだろう。戻ってきて結婚して家を継げと、しつこく書かれていた。

 

 翔太郎はもう曾祖母と話す気持ちがなくなってしまった。

 この期に及んで、そんなことを言っていることが、翔太郎には残念であったし、正直呆れ果てた。

 もう、この曾祖母とは一生分かり合えることはないのだと、区切りをつけてしまった。

 

『もはや会うに及ばず。曾祖母様が永く壮健であられることをお祈り申し上げます。』

 

 翔太郎が曾祖母からの手紙に返したのは、それだけだった。

 事実上、縁を切ったのだ。だからもう自分は風波見とは、何の関係もなくなったと言っていい。

 しかし、紅儡(こうらい)にはそうではなかったようだ。

 

「それにしても、坊ン。貴方(あン)さん、えらい妙な命拾いをしたもんですな」

 

 沈み込んだ翔太郎を見て、宝耳は話題を変えた。

 風波見家についてはいまだに不明なことも多く、聞きたいこともあるが、他人様の家庭の事情について興味はない。

 

 翔太郎は顔を上げた。

 そのことについては、翔太郎自身、疑問に思っていたのだ。

 

「そうなんだ。妙なことに…俺、どうやら助けられたようでさ」

 

 土中にいた紅儡(こうらい)の本体を攻撃しようと、薫と二人で地面に呼吸の技をぶつけている最中に、いきなりとんでもない衝撃波に襲われて吹っ飛ばされた。

 木の幹にでも頭をぶつけたのか、翔太郎は一時意識を失っていたが、気付くと目の前には巨大な紅儡(こうらい)らしき物体と、その前に超然と立っている古風な出立(いでたち)の男がいた。

 

 吹きすさぶ雪と、ビクビクと揺れる紅儡(こうらい)の白い触手に遮られて、男の顔は見えなかった。

 ただ、手に持っている刀らしきものが点々と紅くほのかに光っていて、不気味だった。

 翔太郎は声を上げたかったが、なぜか喉に詰め物でもされたかのように、出なかった。今にして思うと、あれは恐怖だったのかもしれない。

 あまりに圧倒的な、凄まじい剣気の重量のようなものを感じて、体中の骨が震え、重さに(たわ)んでバラバラになってしまいそうだった。

 

 それでも翔太郎にとっては、紅儡(こうらい)を殺すという意志のほうが(まさ)った。いや、意志というよりも激しい復讐心が恐怖を駆逐してしまった。だがそれは同時に、本来であれば備うるべき慎重さや思慮を欠いたものとなった。

 

 男がボソボソと何かをつぶやいて、紅儡(こうらい)に向かって刀を振り上げたとき、翔太郎は焦った。このままだと復讐の機会を逸することになるかもしれないと思ったからだ。

 

 

 風の呼吸 弐ノ型 爪々・科戸風

 

 

 咄嗟に技を繰り出し、紅儡(こうらい)の巨大な肉塊の一部を叩き斬った。

 その鋭く深い斬撃はそのまま、紅儡の前に立っていた男にも襲いかかったが、男はいとも簡単にその攻撃を無効化した。

 あの不気味な刀が一閃したかと思うと、次には翔太郎は地面に倒れていた。

 自分のうめき声が遠くに聞こえた。

 耳がおかしくなっていたのかもしれない。

 

「二人…ともに…逝くがよかろう…」

 

 男の声は低く、不気味に響く。

 翔太郎は呆然となった。

 確実な死が()えていた。あの男が次に刀を振り下ろすと同時に、自分は死ぬ。あまりにあっけなく、唐突に訪れた死期に、翔太郎は為す術もない。

 

 男が見たこともない呼吸の技を使って、あの不気味な刀を一閃させる ――― と、ほぼ同時に、翔太郎を何かが包んだ。

 何が起きたのか…翔太郎には訳がわからなかった。

 気付けばぶよぶよとした紅儡(こうらい)の触手に抱えられるようにして、崖へと吹っ飛んでいた。

 

 男の技によって引き千切られた紅儡(こうらい)の叫びが響く。

 まるで子供の泣き声のようだった。

 翔太郎は崖下へと落ちてゆきながら、自分を守るように包みこむ紅儡(こうらい)の触手を掴んだが、それは手の中で灰となって消えた。

 

 それらの記憶は、翔太郎が意識を取り戻してから、ある程度再構築したものだった。

 

 正直なところ、風の呼吸の技を放ったあたりで、翔太郎は精根尽き果てていた。その時点で意識は朦朧としていて、記憶は曖昧だった。

 だが、その状態の自分がこうして生きているのは、どう考えても紅儡(こうらい)が守ったからというしかなかった。

 あのとき、あの奇っ怪な男の攻撃をまともに喰らっていたのなら、確実に死んでいたはずなのだ。

 

「見たこともない呼吸の技を使う……鬼、でっか」

 

 宝耳がボソリと言って、静かに煙草を吸う。

 翔太郎は顔をしかめた。

 

「あれ…やっぱり鬼なのか」

「まぁ、貴方(あン)さんの話を聞く限り、人ではありませんやろ。しかし鬼やとしても、百戦錬磨の元花柱がそんじょそこらの鬼にやられるわけもない」

 

 翔太郎は黙って頷いた。

 紅儡(こうらい)と戦っているときに現れた勝母(かつも)の戦いぶりを思い返しても、現役と遜色ない立ち回りだった。

 分身とはいえ複数体現れた紅儡(こうらい)に対して一人で相手し、そのうえで薫と翔太郎が地中の紅儡(こうらい)本体を掘り起こすのまで手伝ってくれていた。

 やはり柱であったのだと、今更ながらに思い知らされる。

 

「鬼の中でもおそらくは十二鬼月。下手すりゃ…上弦」

「上弦…」

 

 翔太郎はつぶやいて、ゴクリと唾をのんだ。

 確かにあの空気が重くなったような威圧感は、今まで翔太郎が戦ってきた鬼とは桁違い…というよりも、もはや異質のものだった。

 

 宝耳は薫のほうに目を向けると、しみじみと言った。

 

貴方(あン)さんも、目が覚めて、いきなり勝母刀自が死んだと聞いたときには驚いたやろけど、お嬢さんも起きたらびっくりやろな。いや、もしかしたら…もう知っとんのかもしれん」

「まさか…」

「律歌が鴉からの連絡を受けて、駆けつけた先で、お嬢さんが倒れとった。そのそばに勝母刀自の首が落ちとったという話やからな。有り得んことでも、おまへんやろ」

 

 翔太郎は痛ましげに薫を見た。

 もし、そうなら…薫にとっては相当の衝撃だったろう。

 

 体調を崩してからは特に自分に自信が持てず、塞ぎがちになる薫を、勝母はいつも温かく見守り、時にはあまりに真面目すぎるその性格を笑い飛ばして励ました。

 刀鍛冶の里での療養でかえって体調が悪くなったのが、百花屋敷(ここ)に来て快方に向かったのは、多分に勝母という存在が薫に安心感を与えていたからだろう。

 

 薫にとって勝母は、もはや母同然の存在だった。

 律歌のように気安く「おっ()様」と呼ぶことはなかったが、勝母に対する薫の気持ちは、おそらく家族同然であったはずだ。

 その勝母の死。―――――

 

「人が弱るときは、たいがい内側から崩れていくもんや。もう容態も安定して、いつ目覚めてもよさそうなもんやのに、いまだに意識がないーゆうのは、お嬢さんが自分で自分に鍵でもかけとるんかもしれん。起きてもぅたら、勝母刀自が死んだことに、嫌でも向き合わんとあきまへんからな」

 

 宝耳の話は(もっと)もだったが、翔太郎は認めたくなかった。

 翔太郎にとって薫は、いつもひたむきな人だった。たとえ僅かでも自らの成長を信じて、努力することを諦めない人だった。現実逃避して、殻に閉じこもるような弱い人間ではない。

 

「元々、薫さんはここに療養に来たんだ。ずっと具合悪そうにしていたから、もしかしたら今回の戦いで、無理がたたったのかも…」

 

 翔太郎は異を唱えたものの、その声は小さかった。

 

「そういや、そんなこと言うてましたな」

 

 宝耳は頷きながら、ふと目の端にチラと何かの影が動いたのに気付いた。

 素知らぬ様子で煙草をふかしながら、庭のほうへと意識を向ける。

 常緑の灌木(かんぼく)が植えられた一角が、かすかに揺れている。

 

 ようやく来たらしい…。

 

 宝耳は内心でニンマリ笑うと、いきなりパン! と手を打った。

 薫の寝顔を見ていた翔太郎が、ビクリとして振り向く。

 

「な、なに?」

「さぁさぁ。いうても、貴方(あン)さんかて、まだまだ病人でっせ。顔を見て安心したなら、そろそろ寝床に戻って休んどき」

 

 宝耳は急に立ち上がると、翔太郎の腕をグイと掴んで立たせた。

 

「えぇ? ちょっと…なんだよ、いきなり。まだ大丈夫だって」

「あきまへん、あきまへん。そうジロジロと寝てる女子(おなご)の顔を見るもんやおまへん。お嬢さんもこれで嫁入り前なんですからな」

 

 もっともらしいことを言う宝耳に、しかし翔太郎は納得がいかない。

 

「あんたはどうなんだよ?」

「ワイはせやし、見てまへんやろ? そばで本読んどるだけや。おじちゃんは、そういうのは心得てますねん。若いモンにはきついやろけど」

「きついってなんだよ?」

「精気の抑えがきかん…云う話ですわ」

「バッ…馬鹿か、クソジジィ! そんなこと考えるわけないだろ!!」

 

 あけすけに言う宝耳に、翔太郎は真っ赤になった。

 

「ホイホイ。ともかく行きましょ」

「オイ! なんであんたまで出てくるんだ?」

「ワイは貴方(あン)さんを送ったあとで、小用を足しに行きまんねや」

「勝手に行けよ! 俺は送らなくていい!」

「ホイホイ」

 

 宝耳は聞く耳を持たないとばかりに、翔太郎の背を押して部屋から出た。

 文句を言う翔太郎を適当になだめながら、廊下を進んでいく。

 角を曲がったところで、いきなりクルリと回れ右するなり、ストンと腰を降ろして壁際にへばりつく。

 

「え? なに?」

 

 翔太郎は訳がわからず戸惑っていると、宝耳は口許に指をあてて、静かにするよう目くばせしてくる。

 角からそっと薫の部屋の前あたりを窺っていた。

 翔太郎も宝耳に倣って気配を殺し、そうっと、さっき歩いてきた廊下を見やる。

 

 庭から何者かが来て、辺りの様子を窺っていた。

 鈍色(にびいろ)の布で頬かむりをしているので顔は見えない。

 着ているものは粗末であったが女物で、背格好からしても、おそらく女であろうと推察できた。やがて誰の気配もないことを確信したのか、土足で縁側に上がり込んでくる。

 

 翔太郎は眉をひそめた。すぐにも出て行って咎めたかったが、宝耳がガッチリと翔太郎の足を掴んでいた。しかも翔太郎の焦燥を悟ってか、より力が増す。翔太郎は痛みに顔を歪めたまま、立ち尽くす女を注視した。

 

 女はしばらく廊下から部屋の中を見ているようだった。

 そういえば出てくるとき、宝耳は障子を閉めていなかった。宝耳がわざとこの状況を作り出したとわかっても、意図が読めず、困惑する翔太郎の目の前で、女が頬かむりを取った。

 

「や……」

 

 翔太郎が声をあげそうになると、宝耳がすぐさまその口を塞いだ。頬に笑みを浮かべていたが、翔太郎を見つめる目はいつになく鋭い。翔太郎がコクコクと頷くと、静かに手を離して再びそっと廊下を見る。

 翔太郎もさっき以上に慎重に、息を殺して、庭から忍び込んできた人の姿を確認した。

 

 やはり、八重(やえ)だった。

 

 三ヶ月前に姿を消した八重が、なぜ再び、しかもこっそりと人目を忍んで、薫の部屋へとやって来たのか…?

 だが、その疑問について考える暇はなかった。

 ゴソゴソと懐を探る八重を怪訝に見ていると、ギラリと光る刀身が抜かれた。

 

 声を上げる間もない。

 八重は短刀を持って薫の部屋へと入っていく。

 

 宝耳がすぐさま飛び出した。

 翔太郎もあわててあとに続く。

 しかし、翔太郎と宝耳が廊下を走るその目前を、影がヒュッと横切ったかと思うと、薫の部屋から怒声が響いた。

 

「テメェ! なにしてやがる!?」

 

 

 

<つづく>

 





次回は二週間後の2023.07.29.更新予定です。
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