原作死亡キャラに転生したので適能者として戦う! 作:火野ミライ
オーロラが広がるメタフィールドの空の中をジェネッスへとスタイルチェンジしたウルトラマンが泳ぐように飛翔する。その輝く瞳は地上でウルトラマンを睨みつけるスペースビーストを捕らえていた。
頭や手足の形状は昆虫や節足動物を思わせる一方、胴体は熊の様な毛皮に覆われたしなやかな尾を持つ。インセクティボラタイプビースト【アラクネア(B)】が空を自在に飛ぶウルトラマンへ威嚇する。
「ヘェッア!」
その様を意にも留めず腕を正面でクロスすると一気に左右に広げ、一枚の三日月型の光刃【ボードレイ・フェザー】を放つ。両腕の鋏を振り下ろし叩き割ろうとするアラクネアであったがタイミングが合わず、振り終えた無防備なその背中に命中。右肩に生えた突起物を切り裂くのだった。
「___!!」
「シュアァーッ!」
痛みでもだえるアラクネアに向け急降下蹴りの追い打ち。血しぶきの様に身体から火花を散らし転がるアラクネア。一方のウルトラマンは先の一撃の勢いを殺すように地面を滑る。数十メートル移動したのち、身体を反転させアラクネアへ振り向きファイティングポーズを構えた。
立ち上がったアラクネア身体をふら付かせながらもウルトラマンへと接近、鋏を胸部へ向けて突く。迫りくる一撃を手首を掴み流れてく力を受け流すように身体を反転、アラクネアの背中目掛けて手刀と共にエルボーカッターを叩きこむ。
そのまま手首を放し右足による回し蹴りで追撃。大きく仰け反ったアラクネアであったがすぐに体勢を立て直し、拳による突きの一撃を放つ。迫りくる一撃に意を返さずノーガードで拳を振るう。アラクネアの一撃は肩の装甲を捕らえ、ウルトラマンの一撃は人で言うところの溝内を捉えた。
「___フォォオオオオーーーーーー! ………シュッアァ!」
アラクネアが痛みで動きを止める中、後方へと一気に距離を取ったウルトラマンが右腕を胸の前へと持っていく。鼓動の様なおと共に胸部の赤いクリスタル【エナジーコア】の光をアローアームドネクサスへ投影し【アローモード】へ。
アラクネアへ腕を伸ばした右腕の下に左手を沿わせ、弓を引き絞るように脇の下へ。溜めた光が光の矢として放たれる。超音速で迫る縦に伸びた矢は斬撃や衝撃波ともいえる代物であり、アラクネアに反撃の隙を与えずに切り裂いた。
「____!」
必殺の一撃【アローレイ・シュトローム】を受け、ゆっくりと地面に倒れ込むと爆散。光の粒子となり散っていく。その最後の様を見届けたウルトラマンは展開したままのアローアームドネクサスを再び胸の前に添え、光をエナジーコアへと戻し弓矢を収納。コアゲージが淡い光を放つとメタフィールドは光となり消え、ウルトラマンもまた心綺楼の如く姿を消した。
____そこで映像は終わり、一番最初へと戻る。
『キャーーーーアアアアッ!』
スピーカーから響き渡る悲鳴。モニターに映る夜の街で全長約50メートルほどのスペースビースト・アラクネア(B)が人々を捕食せんと迫る。腕の鋏で逃げ遅れた男性を捉えると不要に振り、恐怖をあおり口元へと運ぼうとしたその時!
『ヘアッ!』
何処から共もなく光の鞭が伸び、男性を回収。【セービングビュート】と呼ばれる技で救い出したウルトラマンは土煙を僅かに上げながら着地。アラクネアから遠く離れた場所に向けて手元の光を向けると、そこに向けて光が移動し気絶した男性を安全に運んだ。
その事を確認するとすぐさまアラクネアへと組み付くウルトラマン。アンファンスの足へと光集まりハイキックの要領で放たれたティンクルストライクの一撃が、アラクネアの喉元に命中。小規模の爆発が起き____る直前で【櫻井了子】の操作によって映像が止められる。
「これが昨日、偶発的にドローンカメラが捕らえたウルトラマンと新たなビーストによる戦闘映像よ。民間人が捕食される寸前に出現すると同時に光の鞭で救出。その後、軽く肉弾戦をしたのちに民間人の避難及び、派遣されていた一課の人間が撤退したタイミングで戦闘用亜空間を生成。内部でビーストを撃破しているわ」
「16年前、米国で確認された前のウルトラマンと同じく、人類に友好的な存在であるか」
「立花の様に味方と定義するには安易かと。こちらの目を欺くための行動であり、油断しきったところを…… とも考えられます」
二課の作戦会議室にて集められていた者たちが思い思いの意見を発現してく。了子の説明を受けて、かつての巨人と同じと考える弦十郎の呟きに正反対の意見をだす翼。平行線をたどる叔父・姪の買いを目の当たりにし了子が静かに肩を揺らす。
「そもそもいくら共通点があるとしても、16年前の巨人と今回確認された巨人が同種族の可能性がるからって同じコードネームはどうなんですか?」
「仕方ないんじゃない。上層部にとっては50メートル級の総称がウルトラマン、グロテスクな見た目の怪物がビーストの括りなんだし」
「だからってビーストにはこの前のペドレオン、昨日現れたのはアラクネアって名称を付けてるんですよ。ならウルトラマンに前のとか、今のとかより別のを付けるべきですよ」
「やけに熱弁するわね……」
本題からずれた話題で盛り上がる藤尭に引き気味に言葉を濁していく友里。そんなオペレーター人の会話を他所に緒川が言葉を発する。
「しかしウルトラマンとはいったい何処からやって来て、何処へ去って行くのでしょうか? それさえ分かればコンタクトの取りようはあるのですが、どうも神出鬼没。光と共に表れて、光と共に去る。これじゃ探しようがありません」
「確かにな。だがウルトラマンとコンタクトを取れば、その力を解析し兵器運用を考える連中もまた現れるだろう。そうなれば現在の世界行政は一気に崩れ、第二次世界大戦の比では甚大な被害をおぼす事となるのはに見えてる。案外、今の現状の方が人類にとっては良いのかもな」
「指令…………」
彼の言葉に俯きながら持論を並べる彼の表情は誰にも分らず、静寂な時間が訪れる。それを破ったのは新たに入って来た者だった。
「遅くなりました~!」
自動ドアをくぐり駆け足で寄って来るは学校の制服に身を包む響。
「遅れてすいません」
「では気を取り直して、仲良しミーティングを始めましょ」
頭を下げて謝罪する彼女。これ幸いと了子が場を仕切り、先程までの空気を拭い去る。
「あ、ウルトラマン」
「気になるなら、後で見せてあげるわね。今日の本題はこっちよ」
正面の巨大モニターに映るウルトラマンの姿に引かれる響に生易しい視線を向けながらモニターを操作する了子。やがてそこには地図の上に赤い丸が複数記載された物へと変わる。
「これを見てどう思う」
「いっぱいですね」
「ははは、全くその通りだ」
響の素直に感想に笑みを浮かべる弦十郎や周囲の大人達。一方の翼は呆れながら手に持つドリンクを口に含む。こうして始まった二課のミーティングは翼の表向きの仕事、アイドルとしての予定がせまるまで行われたのであった。
●アラクネア(B)
身長:52m/体重:4万t
過去にナイトレイダーと交戦したアラクネアと比べ巨大な個体。