原作死亡キャラに転生したので適能者として戦う! 作:火野ミライ
道路を走る車やバイク、そして人。ノイズやビーストと言った脅威が蔓延る世界でも人々は前世と変わらぬ営みを気付きあげている。道の端に寂しく供えられた花束にで目を向けず、それぞれの目的地へ向けて歩みを続ける人々の中で私は目的も無く道なりに進む。
「すいません~~!」
公園の方から足元に転がってきたボールを拾い上げると、手を上げながらこちらに走って来る女の子。その子の後ろにはこちらに視線を向けてくる子が一人。目の前に来た彼女にボールを渡し、風に背を押される形で移動を再開。そうやって辿り着いたのは潮の匂いがする水辺のベンチだった。
「…………」
船の汽笛や鳥の合唱をBGMに呆然と波揺れる水面を見つめながら首から下げたロケットペンダントを開く。そこには赤子の私を抱えた少女と両親が笑みを浮かべている写真。名前が分からない家族が4人で写った最初で最後の写真であり、私が持つ唯一の家族との繋がり。
きっと私がセレナとして生まれなければこの家族の名を覚えておく事はできたのだろう。僕じゃない別の誰かがセレナへと転生してたのなら覚えられた。今日もそんな後悔から目を逸らすようにペンダントを閉じて立ち上がる。
目の前に広がる現実から逃げるように私は再び歩き出す。あわよくば奏さんの手掛かりが見つかればいいなと思いながら……
「ねぇセレナ、学校の友達から聞いたんだけど今日は流れ星がすごいらしいよ!」
「そうなんですか?」
「こと座の流星群とかなんとか……」
「それが全部怪獣の卵とかじゃないと良いな」
「やめて、セレナが言ったらフラグにしか聞こえないから」
「すいません。ビーストがいる以上、私的に警戒しておきたいパターンですから」
「光の巨人様は大変ですね」
詩織が作った夕飯を食べながら何気ない会話を繰り広げる二人。大皿に盛られた焼き鳥を箸で掴もうとしたその時、セレナの動きが不意に止まった。そのまま箸を引っ込め乱雑に置くと、椅子の背もたれにかけていた上着を羽織り玄関へと駆ける。
「セレナ!」
セレナの後を追い廊下へと出た詩織が声をかける。彼女の声を背に受けながらも手早く靴紐を結びドアノブへを捻り外へ。
「___気負付けてね」
ドアの向こうへと消えたセレナに届いたのか分からない言葉を紡ぎ、無事に帰ってくる事を祈る。
夜空の下を走るセレナ。人気の無い場所へやって来ると立ち止まり瞼を閉じる。すると彼女に宿る光がセレナの脳裏に現在進行形で起きている光景を見せた。
『はぁ、はぁ、はぁ、 ……誰か助けて』
無数のイナゴの様なスペースビーストに追われる黒い髪に白いリボンが特徴的な高校生ほどの少女の姿を。少女は近場の物陰に身を隠し息を整えようとするも直ぐに見つかり、慌てて駆けだす。表情が恐怖で染まる中、絞り出すような小さな声で助けを求める。
「うおおおおぉぉぉぉーーーーー!」
彼女の声を聞いた瞬間にセレナは懐からエボルトラスターを取り出すと鞘から抜き出す。エボルトラスターを持つ右手を一度正面へ伸ばし、肩から後ろに回しながら肘を曲げ腰の辺りへ、そのまま突き刺すように一気に天へ掲げる。するとセレナの身体は光に包まれ空高くに消えてゆく…
赤い残光を残しながら夜空を突き進んでいくその様はまるで、赤色の流星のようだった。