オレは彼女と出会って人生が変わった   作:チャキ

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どうもチャキです!第14話どうぞ!


第14話

八幡side

 

翌日オレと折本、仲町の3人はいつも通り話をする。けど話をしながら葉山達のグループの様子を伺う。今更だが葉山のグループのメンバーは、葉山、由比ヶ浜、三浦、海老名さんそしてメールで書かれていた戸部、大岡、大和の7人だ。男女比は4対3という感じだ。確かに職場見学のメンバーは3人。誰か一人はハブかれる。

 

かおり「ねぇ、ホントにこれでわかるの?」

 

八幡「わからん」

 

かおり「わからんって…」

 

八幡「でもこうやって様子を伺うしかないだろ」

 

千佳「確かにね」

 

オレらは時折葉山グループをチラッと様子を伺う。今葉山は男子達とつるんでいる。その葉山達は窓際に陣取っている。葉山が壁際に寄りかかり、それを囲むようにして戸部、大岡、大和がいる。ここからわかることは実に簡単。そのグループの中で上位に位置するのが葉山ということだ。壁という絶対の背もたれを持つ場所こそがキングにはふさわしい。おそらく本人達にそんな自覚はあるまい。だが、自覚がないからこそ、それは本能的、本質的な行動であることをしてしている。そして3人の役割はそれぞれ決まっているように見えた。

 

大岡「で、さ。うちのコーチがラグビー部の方にノック打ち始めて!やばかったわー。硬球なのによー」

 

大和「…あれはうちの顧問もキレてた」

 

戸部「マッジウケんだけど!っつーか、ラグ部とかまだいいわ。俺らサッカー部やべーから。いいやーやばいでしょ、外野フライ飛んでくるとかやばいしよ!アツいわ激アツだわ」

 

大岡が話を振り、大和がそれを受ける。そして、戸部が盛り上げる。よくできた演劇のようだ。と言うか戸部、もしかして折本のウケる感染してない?え?違う?まぁいいや。それより戸部うるさいな。そして、この舞台の監督が、観客が葉山だ。葉山は時に話に笑い、時に話題を提供し、時に一緒になってはしゃぐ。だが、彼らを見ているとさまざまなことに気づく。

 

八幡「あ、アイツ今見えないように小さく舌打ちしたぞ」

 

かおり「え?マジ?」

 

千佳「分からないけど、確かにそういう仕草をしてたような…」

 

八幡「そして、アイツは隣の奴が会話をし始めると急に黙る」

 

かおり「あ、言われてみれば…」

 

千佳「確かになんだかつまんなそうに携帯をいじってるね」

 

八幡「と言うかあれ本当に友達同士なのか?」

 

千佳「どうだろう…」

 

かおり「ん〜、なんだろう……友達の友達?」

 

千佳「あ、それだ」

 

八幡「?友達の友達?他人みたいな?」

 

かおり「まぁ、そんな感じかな」

 

千佳「多分あの3人に取って葉山君は友達でそれ以外は友達の友達…ん〜、言い方変えるとただのクラスメイトみたいな?」

 

八幡「うわ何それ…なんかめんどくさいな」

 

かおり「そうなんだよ。だから気をつけないとダメなんだよね」

 

八幡「ああ、そうか。オレも気をつけるよ」

 

ホント人間関係は難しいな。と思いながらまた葉山達の方へ向く。周りから見るとすごく仲良さそうだけど、中身はスゲェドロドロしてるんだな。

 

千佳「ねぇそれよりさ」

 

かおり「ん?どうしたの千佳」

 

八幡「何か分かったのか?」

 

千佳「それはまだだけど、さっきからチラチラと由比ヶ浜さんがこっちを見てくるんだけど」

 

八幡・かおり「「え?また?」」

 

千佳「うん」

 

八幡「言っちゃ悪いがめんどくさい依頼をしているのに、更にめんどくさい奴が絡んできたらもっと厄介になりそうだな。これは早い事依頼を終わらすしかないな」

 

千佳「そうだね。あ、葉山君がこっちに来るよ」

 

八幡「は?」

 

え?なんでこっちに来るの?と思い見ると本当にこっちに向かってくる。一体なんだよ。そして葉山がこっちに近づいてきた。

 

八幡「何か用か?」

 

葉山「いや、なんかわかったのかなって思ってさ」

 

八幡「いや、そんなすぐにわかるわけ…」

 

と葉山の質問に対して否定しようとしたが、窓際のあの3人の光景を見て、それは遮られた。3人とも携帯をいじり、だるーっとしていた。そして時折葉山の方をちらっと見ている。

 

八幡「なるほどな」

 

さっきまで話していたようにアイツらは友達の友達のようだ。そして折本も仲町も3人の光景を見て分かったような顔になった。

 

葉山「何か分かったのか?」

 

八幡「ああ、分かったよ。だから放課後部室に来い」

 

葉山「あ、ああ。わかった」

 

そう言って葉山は3人の元へ戻って行く。そしてまた3人と話すとさっきと同じ光景が始まる。

 

八幡「やっぱりさっき話してたようにアイツらは友達の友達みたいだな」

 

千佳「みたいだね」

 

かおり「だね」

 

千佳「でもどうやって解決するの?」

 

八幡「ん?そうだな。それは後のお楽しみってな」

 

かおり「え〜、何それ」

 

千佳「そっかー」

 

そして放課後

 

雪乃「どうだったかしら?何か分かったのかしら?」

 

八幡「ああ、わかった」

 

帆波「ホントに?」

 

八幡「ああ、まぁな」

 

葉山「それじゃあ、説明してくれないか」

 

八幡「そうだな。まず、葉山お前に聞く。お前はお前がいないときの3人を見たことあるか?」

 

葉山「いや、見てないが」

 

八幡「まぁ、いないから見れるわけないか。まぁ、正直言うとあいつらが3人の時、傍から見たら全然仲良くないぞ。携帯いじったり、ポケーッとしてるだけだ。まぁ、折本と仲町とで話してわかったがアイツらに取って葉山は友達でそれ以外は友達の友達なんだよ」

 

帆波「なるほど…確かに会話の中心人物がいなくなると気まずいよね」

 

かおり「あー、わかる。それで何話していいか分からなくなって携帯いじっちゃうよね」

 

千佳「うん」

 

一方雪ノ下はわからない様子だ。まぁ、オレもだけど。オレと雪ノ下は帆波達以外に友達はいないからな。

 

雪乃「それでどうするの?それだとしてもやっぱり犯人を突き止めるしか方法しかないんじゃないかしら?」

 

八幡「いや、犯人は探さなくてもいい」

 

雪乃「探さなくてもいいの?」

 

そう言ってコテンと首をかしげる。確かに雪ノ下の言う通り犯人を突き止めるしかない。けど、昨日帆波が言ったように依頼人である葉山の意見を入れるのなら、犯人を探すのでなく、丸く収める方法を知りたいと言う依頼だからな。

 

八幡「ああ」

 

雪乃「じゃあどうするの?」

 

八幡「一つだけ方法はある」

 

帆波「それは?」

 

葉山「なんだい?」

 

八幡「あの3人とグループを組まない。葉山自身がハブられる。そうすれば3人の誰かがハブかれることはないし、そして、アイツらがもっと仲良くなれるかもしれない。まぁ、最終的に決めるのは葉山、お前自身だけどだな」

 

オレがそう言うと帆波達は驚いた表情になっていた。

 

葉山「…そうか。なるほど…こんな簡単な事だったんだな。ありがとう比企谷。雪ノ下さん達もありがとう」

 

雪乃「え、ええ…あなたがそれでいいんなら良いけど…」

 

葉山「それじゃ」

 

葉山はそう言って爽やかに去っていった。ホントアイツ一々爽やかな仕草しないと生きていけないのかよ。

 

雪乃「本当にアレで良かったのかしら」

 

八幡「本人が良いって言ったんだからいいんじゃねぇの?」

 

雪乃「それもそうね」

 

帆波「でも本当に犯人は誰なんだろう」

 

八幡「それもわかったかもしれない」

 

かおり「え!?マジ!」

 

千佳「比企谷君本当?」

 

八幡「ああ、っても予想だけどな」

 

帆波「誰なの?」

 

八幡「多分大和だと思う」

 

かおり「大和君が?」

 

八幡「ああ」

 

雪乃「どうしてそう思ったのかしら?」

 

八幡「まずは昨日見たチェーンメールの内容をおさらいしよう。内容は確か戸部は稲毛のカラーギャングの仲間でゲーセンで西高狩りをしていた。大和は三股かけている最低のクズ野郎で、大岡は練習試合で相手校のエースを潰すためにラフプレーをした。だったよな」

 

千佳「うん、確かにそうだった」

 

八幡「まぁ、それを聞くと3人全員が最悪なイメージが定着してしまう」

 

帆波「確かに戸部君は暴力で、大和君は三股をかけてるし、大岡君も相手に怪我を負わせてるから、3人とも悪者扱いされるよね」

 

千佳「それがもし本当なら大変な事だよ」

 

八幡「そうだな。もし本当なら停学や自宅謹慎、下手したら退学になるだろう。けど、その中で1人だけ罰を受けない奴がいる」

 

かおり「え?嘘一体誰?」

 

八幡「まぁ、待て。まず戸部だがさっき帆波が言ったように戸部は暴力沙汰の内容、これが本当なら間違いなく停学や退学になるだろう。次に大和を飛ばして大岡だ。大岡は相手校のエースにラフプレーをした。これも本当なら退部又は停学、最悪退学になるのはわかるだろ」

 

かおり「まぁ、それは」

 

千佳「分かるけど」

 

八幡「じゃあ最後に大和だ。大和は三股をしている最低野郎だ。聞いてみたら本当に最低野郎だ。誰でもわかる事だよな」

 

帆波「分かるけどそれでなんで大和君が犯人になるの?」

 

八幡「簡単な事だ。大和と違って戸部と大岡の2人は問題を起こしている。さっきも言ったが間違いく停学や退学レベルだ。でも三股はどうだ?確かに三股も問題だが他の2人と違って停学にも退学にもならない。最低野郎のレッテルを貼られるだけだろう。もうこれで分かるだろ?」

 

雪乃「なるほど」

 

帆波「そうか…」

 

帆波と雪ノ下はわかったようだ。仲町と折本は多分まだわかっていない。

 

八幡「要するにだ。4人のうち誰かがハブかれる状況だ。もしかしたら自分かもしれない。だからあのチェーンメールをクラスに出回した。だが自分が疑われないようにする為、自分の悪口を入れた。けど過激過ぎると停学や退学になってしまう。だから戸部や大岡の2人とは違って軽く済むような内容にしたんだとオレ個人としての意見だ」

 

千佳「そういう事か。やっと分かったよ」

 

かおり「私も今わかった。なるほど。やっぱ比企谷すごいや」

 

雪乃「ええ、そうね」

 

帆波「すごいよ八幡」

 

八幡「ありがとうな。でも、本当に大和が犯人かは分からん。他の誰かかもしれない。だからこれでもし、大和に問い詰めて間違っていたらこっちがダメージを受ける事になる。だからさっき葉山に提案した方法で行くしか無かったんだよ。それに依頼人の意見も入れなきゃならなかったしな」

 

雪乃「確かにそうね。無闇に問い詰めて間違っていたらこっちがダメージを受ける事になるしね。今回はその方法が正解かもしれないわね」

 

八幡「そういう事だ。それにそのチェーンメールは職場見学が終わったら収まると思うし」

 

かおり「え?そうなの?」

 

八幡「ああ、だと思うぞ」

 

千佳「そっか。収まると良いな。一々鬱陶しいんだよねあのメール」

 

かおり「それある!」

 

そんな感じで葉山の依頼は無事?に解決することができた。まぁ、それでも解決出来なければもうお手上げ。諦めるしかないな。だから放っておくしかない。それ以上オレ達が関わることは無いだろう。その後オレ達は家へと帰った。

 

翌日

 

葉山が自らの運命を決定づける選択をした翌日のことだ。教室の後ろの黒板には、クラスメイトの名前が羅列されていた。それぞれ3名ずつ一塊になって書かれていたそれらは職場見学のグループを表している。黒板には『戸部、大和、大岡』と書かれていた。そこには『葉山』の名前は無かった。昨日オレが提案した「ハブられろ」っつーのは、原因の一つである葉山を取り除くということだ。そしてその3人はと言うと後ろの方でお互いの顔を見つめてちょっと照れくさそうに笑っていたり、ヘッドロックをかけたりしてじゃれあっていた。オレはと言うと彩加と組んでいて後1人どうしようかと話し合っていた。折本と仲町も後1人どうしようかと話し合っている。そんな中葉山が近づいてくる。正直なんだ?と思ってしまう。

 

葉山「比企谷、戸塚。ここいいか?」

 

と聞いてくるが答える前にオレの隣の席に座る。聞く前に座るんだったら、初めっから聞くなよって話だよな。

 

葉山「君のおかげで丸く収まったよ。ありがとな」

 

そう朗らかに感謝の意を言葉にした葉山。

 

八幡「別にオレは何もやってねぇよ」

 

正直そうだ。オレはただ提案はしたが最終的に決めて行動したのは葉山自身だ。なのになんでこいつは気安く話しかけてくるの?良い奴?それともお人好し?まぁどちらでもいいや。

 

葉山「いや、君がああ言ってくれなきゃ、酷い揉め事になったかもしれないし。それに、俺のせいで揉めることもあるんだな、と少し痛感したよ」

 

そう呟いた時の葉山はどこか寂しそうだった。オレは葉山にかける言葉が見つからず…と言うよりは見つける気はさらさらない。どうでもいいからだ。すると葉山は更に続けて言う…

 

葉山「俺があいつらと組まないって言ったら驚いてたけどな。ま、これをきっかけにあいつらが本当の友達になれればいいなと思っているよ」

 

正直ここまで友達想いだと逆に不気味に感じる。病気なのかとも疑う。ここまで言う奴は初めて会う。

 

葉山「それでさ、俺まだグループ決まってないんだけど、よかったら2人の中に入れてくれないか?」

 

彩加「うん、ちょうど僕たちも3人目を探してたとこなんだ。僕はいいよ。八幡は?」

 

八幡「ああ、別にいいぞ」

 

と適当に相槌を送る。けど正直助かった。後1人どうしようかと悩んでいたところだったからな。

 

葉山「ありがと。それじゃあ名前書きに行こうか。行きたい場所はある?」

 

八幡「どこでもいいぞ」

 

彩加「僕も、決まってないからお任せするよ」

 

オレと彩加の返答に葉山はそうか、と言って後ろの黒板に書きに行った。

 

『葉山、戸塚、比企谷』

 

と言うか葉山の奴、帆波に注意されてからか名前を間違えて呼ぶ事はなくなったな。

 

八幡「んでどこにするんだ?」

 

葉山「マスコミ関係のとこだよ。気になっててね」

 

マスコミか……報道機関―マスコミュニケーションで情報の発信側となる機関、報道、出来事を取材し、マスメディアで公表する仕事だ。

 

八幡「…意外だな」

 

隼人「そうか?まぁ、親の仕事と深い縁がある職業だからね。興味はあったんだ」

 

マスコミと縁がある仕事ね。っつーことは、政治とかに関係する仕事か。ボンボンじゃねぇかクソォ…。

 

すると…

 

「あ、あーし、隼人と同じとこにするわ」

 

と金髪縦ロールこと三浦が言う。

 

「うそ、葉山くんそこいくの?あ、うちも変える変えるぅ!」

 

「私も〜」

 

「ウチも〜」

 

とクラス連中が一斉に葉山の周りに集まる。サメかよお前ら。そしてあれよこれよという間に皆が葉山と同じ職場を選び、黒板の名前の書き換えをし出した。人が集まって来たのでオレは折本と仲町の所へと避難する。

 

八幡「フゥ…」

 

千佳「大変だね」

 

八幡「ああ、まったくだ。と言うよりああいう風に何人も書けるのなら、依頼受けなくて良かったんじゃねぇの?」

 

かおり「確かにそうだね」

 

八幡「折本と仲町もどうだ?後1人見つからないのならあいつらみたいに書き換えたらどうだ?」

 

かおり「うーん、そうだね」

 

千佳「そうしよっか」

 

かおり「だね」

 

そう言って折本と仲町も他の奴らと同じようにオレらと同じ班のところに名前を書き足した。

 

八幡「これで一安心的な感じだな」

 

千佳「そうだね」

 

かおり「でも一応後1人探した方が良いかな」

 

八幡「どうだろうな?」

 

千佳「そうだね。でも確かに一応後1人探そうか」

 

八幡「そうか。なら、オレも手伝えることあったら手伝うぞ」

 

かおり「あの比企谷が自分から言うだなんて…明日雨でも降るんじゃ…」

 

千佳「ホントだね」

 

八幡「お前らな。そんな事言うんだったら手伝わないぞ」

 

かおり「あー、ごめんごめん!手伝って!お願いします!」

 

千佳「私からも!」

 

八幡「ったく…」

 

まぁ、でもこんなやり取りでも楽しい自分がいる。

 

 

 




いかがでしたか?ではまたお会いしましょう。

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