オレは彼女と出会って人生が変わった   作:チャキ

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どうもチャキです!第15話どうぞ!


第15話

八幡side

 

今オレは小町と帆波と一緒に朝ごはんを食べている。時々こうして帆波が朝、家に来て朝ごはんを作ってくれる。そんな時突然小町が口を開く。

 

小町「そういえばさ、お兄ちゃん」

 

八幡「ん?なんだ?」

 

小町「あの事故の後、あのワンちゃんの飼い主さんがうちにお礼に来たよ」

 

八幡「は?」

 

今、小町の奴なんて言った?犬の飼い主がお礼に来た?ということは由比ヶ浜はうちにお礼に来たという事になる。

 

小町「どうしたのお兄ちゃん?」

 

八幡「いや、なんでも無い。それで?」

 

小町「ああ、うん。それでお兄ちゃん寝てたから言っとこうと思ってさ。で、お菓子もらったよ。おいしかった」

 

八幡「ちょっと待て。それ確実にオレ食べてないよね。まさか全部食べたんじゃないでしょうね?」

 

帆波「あ、それなら大丈夫だよ。私がちゃんと取っといたから」

 

八幡「あ、そうなんだ。サンキュ帆波」

 

帆波「どういたしまして」

 

小町「あ、それでその飼い主さん、学校同じだからお礼言うって言ってたよ?」

 

八幡「お前さ、なんでそう言うのもっと早く教えないの?」

 

小町「ご、ごめん。忘れてた」

 

八幡「はぁ…まぁ、今回は許す。次気をつけろよ」

 

小町「はーい」

 

八幡「それでその飼い主さんの名前聞いてないのか?」

 

小町「え?……『お菓子の人』、だったかな?」

 

八幡「お中元かよ……」

 

小町「うーん、ごめんなさいそれも忘れちゃった」

 

八幡「…そうか」

 

小町「ごめんなさい」

 

八幡「いや、小町が気にする事じゃない。それに未だにお礼や謝罪を受けてないからな」

 

小町「え!何それ!?あれからもう1年だよ!小町には言うって言ってたのに未だに言ってないだなんて。まさか嘘を言ってたのかな」

 

八幡「それは知らんが、まあ教えてくれてありがとうな」

 

小町「どういたしまして」

 

本当は知っている。けどこうして思い出して教えてくれたんだ、感謝しねぇとな。そしてオレ達は飯を食い終わり学校へ向かう為に家を出た。それから小町と別れてオレと帆波は折本と仲町のいる所まで向かう途中で

 

帆波「まさか由比ヶ浜さんが八幡の家に来てただなんて思わなかったね」

 

八幡「ああ」

 

帆波「それに小町ちゃんには八幡に謝るって言ってたのに未だに謝ってこないだなんて。ますます信用できないね」

 

八幡「そうだな」

 

帆波「ハァ…ホント嫌になるな」

 

八幡「…そうだな。オレが入院している時にうちに来たのに、なんでオレの病室にも来なかったんだ?」

 

帆波「そうだよね。八幡の家に来たんだったら、八幡の病室にも来るはずだよね」

 

八幡「雪ノ下やその家族は謝罪に来たが、由比ヶ浜が来た記憶はないな。帆波は覚えてるか?由比ヶ浜というか由比ヶ浜らしき人とか来たか?」

 

帆波「ううん来てなかったよ」

 

八幡「そうか」

 

帆波「八幡の家に来てからもう1年が経ってるよ。しかも八幡がワンちゃんを助けた事知ってた事になるよね」

 

八幡「そうだな」

 

帆波「今までは知らないと思ってたけど、実際は知ってたんだよね。ならなんで部室とか教室で言わなかったのかな?」

 

八幡「さぁ?それは知らんがもう放っておこうぜ。無闇に関わって面倒な事になりなくないからな」

 

帆波「それもそうだね」

 

向こうが謝ってこないのなら、それでも良いが後悔するのは向こうなんだから放っておくのが良い。そんな事考えてると…

 

かおり「おーい、帆波〜、比企谷〜」

 

八幡「おーう」

 

帆波「おはよう」

 

かおり「おはよう」

 

千佳「おはよう。それより2人共どうしたの?さっきまでなんだか暗かったけど」

 

八幡「ああ…実は今朝小町に言われたんだけど、由比ヶ浜の奴オレが入院中にウチに来たらしいんだ」

 

かおり「え?それって…」

 

八幡「ああ、あの事故の事でだ。小町曰く由比ヶ浜は学校が同じだからお礼を言うと言ったらしい」

 

千佳「え?でも言われてないよね」

 

八幡「ああ」

 

かおり「という事は事故の事知ってたんだよね。知ってたんだったらなんでお礼の一言も言えないの?常識でしょ?」

 

帆波「そうだよね」

 

千佳「うん」

 

八幡「オレに言われてもな〜。まぁ、言いたくないんだったらそれでいいんじゃねぇの?知らんけど」

 

かおり「そうだね」

 

千佳「確かにそうだね。困るのは由比ヶ浜さん自身だもんね」

 

帆波「だね」

 

八幡「ほら、さっさと学校行くぞ」

 

帆波「そうだね」

 

オレ達はそんな会話を打ち切り、違う話をしながら学校へ向かった。

 

 

 

 

 

そして時は進みオレは放課後に予備校の資料集めをした。色々あるけど、どこがいいのか人それぞれだしな。この後じっくり資料を見たいけど、その前に帆波達と勉強をするので、約束の場所であるサイゼへと足を運んだ。そしてサイゼに入り帆波達を探す。すると

 

帆波「八幡〜。こっちこっち〜」

 

とオレを呼ぶ帆波の声が聞こえた。声のした方を見ると、もう既に皆揃っていた。

 

八幡「おう。悪いな遅くなって」

 

帆波「ううん、大丈夫だよ。ほら座って」

 

そう言われて席に座る。因みにオレの席は帆波と彩加の間に座っている。向かいに折本、仲町、雪ノ下という順で座っている。

 

かおり「それじゃあ比企谷も来たことだし、勉強会始めようか」

 

折本の一言で勉強会が始まった。皆黙々と勉強する。時々分からない所を教えあったりする。この店で勉強をしているのはオレ達だけでは無い。周りを見ると他の人達も勉強している。多分どこの学校も試験が近いのだろう。

 

かおり「ねぇ、比企谷」

 

八幡「どした?」

 

かおり「さっき色々資料みたいなの持ってたけど、あれ何?」

 

八幡「ん?あれは色んな予備校の資料とかだな」

 

かおり「へー、予備校か〜。私もどうしようかな。進路の事もあるしな」

 

千佳「そうだね。比企谷君は大学に行くの?」

 

八幡「まぁ、そのつもりだ。それにオレはスカラシップ狙ってるからな」

 

かおり「すからしっぷ?何それ?」

 

帆波「スカラシップと言うのはね、奨学金の事だよ。予備校では成績が良い人の学費を免除してくれる制度だよ」

 

かおり「何それすっご!?」

 

千佳「そんなのがあるんだ。知らなかったな〜。ん?てことは帆波もそれ狙ってるの?」

 

帆波「うん、そうだよ。八幡に教えてもらってね。これを使えばお母さんを楽させる事ができるしね」

 

かおり「なるほどね」

 

千佳「いいじゃん」

 

雪乃「一之瀬さんなら取れると思うわよ」

 

帆波「ありがとう雪乃ちゃん」

 

帆波の家は母子家庭だからな。この事教えてやったらすごく喜んでいた。そして更に勉強を進めていると…

 

小町「あれ?お兄ちゃん?それに帆波お姉ちゃん達だ」

 

瑞希「あ、ホントだ!」

 

声のした方を見ると中学の制服を着た妹の小町と瑞希がいた。そして嬉しそうな笑顔を浮べ、手を振っていた。

 

八幡「小町に瑞希?何してんの?」

 

小町「いや、ちょっと相談されちゃってね」

 

そう言って1人の男子が後ろから出てきて一礼する。

 

八幡「ほう…それで?小町と瑞希とどういう関係なんだ?」

 

帆波「そうだね〜。教えて欲しいなぁ〜」

 

小町「ちょっ!?待って待って!お兄ちゃん!帆波お姉ちゃん!」

 

瑞希「そうだよ!大志君はただの友達だよ!」

 

帆波「小町と瑞希がそう言うのなら」

 

八幡「仕方ねぇな」

 

オレと帆波がそう言うと小町と瑞希はホッと胸を撫で下ろしていた。

 

八幡「んで?何してんだ?」

 

小町「あー、えっとね。大志君のお姉さんが不良化しちゃって、その事で相談されてね。あ、そうだ!お兄ちゃんと帆波お姉ちゃん。ちょっと一緒に聞いてくれない?」

 

瑞希「私からもお願いします」

 

八幡「いいけど…どうする雪ノ下?」

 

雪乃「まぁ、そうね。聞くだけ聞いてみましょうか」

 

千佳「そうだね。実行するかは置いといてね」

 

かおり「そうだね。困ってるみたいだしね」

 

彩加「僕も手伝うよ」

 

八幡「よし、という事で大志とやら話してみろ」

 

大志「あ、はい。えっととりあえず自己紹介するっす。川崎大志です。姉ちゃんは総武高の2年で…あ、姉ちゃんの名前は川崎沙希って言うんですけど。姉ちゃんが不良になったというか、悪くなった?というか」

 

かおり「あー、川崎さんか〜。確かになんだか不良っぽい感じだよね」

 

千佳「確かにね。川崎さんが誰かと仲良くしてるところ見た事ないな。いつもぼーっと外見てる気がする」

 

彩加「あー確かにそうだね」

 

八幡「知ってるのか?」

 

かおり「知ってるも何も同じクラスじゃん」

 

八幡「え?まじ?」

 

かおり「まじ」

 

八幡「そ、そうか」

 

雪乃「それで?お姉さんが不良化したのはいつぐらいかしら?」

 

大志「は、はい…えっと…姉ちゃんが総武校行くぐらいだから中学のときはすげぇ真面目だったんです。それにわりと優しかったし、よく飯とか作ってくれたんです。高一んときも変わらなくて…。でも変わったのは最近なんすよ」

 

雪乃「なるほど。2年になってから変わった事はあったかしら」

 

かおり「うーん。あったかな?」

 

千佳「あったと言えばクラス替え?」

 

雪乃「そう。じゃあもしかしたら家の事情なのかもしれないわね」

 

ふむ、確かに雪ノ下の言い分もわかるな。

 

大志「あと帰りも遅いんです」

 

帆波「遅いってどれぐらい?」

 

大志「朝の5時っす」

 

帆波「え!?5時!?朝と言うより日またいでるじゃん」

 

おお…それはまた酷いな。高校生がそんな時間まで帰らないのは、結構な問題ごとだ。犯罪にだって巻き込まれるかもしれねーし。

 

彩加「ご両親は何も言わないの?」

 

大志「そっすね。うちは両親共働きだし、下に弟と妹いるんであんま姉ちゃんにはうるさく言わないんす。それに時間も時間なんで滅多に顔合わせないし…。それに俺が聞いてもあんたには関係ないの一点張りで」

 

八幡「ふむ…ということは家族にはバレたくないという訳か」

 

帆波「かもしれないね」

 

大志「あと、家に電話がきたんす。エンジェル何とかっていう場所から…」

 

千佳「エンジェル?」

 

かおり「聞いた事ないな」

 

雪乃「おそらくバイト先じゃないかしら?家族には内緒にしてるのだから知らなくてもおかしくないわ」

 

八幡「なるほどな」

 

帆波「夜遅いという事は深夜バイト?」

 

八幡「おいおい、もしそれが本当なら労働基準法破ってることになるぞ。もしそれがバレたらめっちゃ大変だぞ」

 

ハァ…なんだか面倒事に巻き込まれたな。これだけ聞いてしまった以上何とかしねぇとな。

 

八幡「…んで?どうする雪ノ下?こんだけ聞いてしまったんだ。何とかするのか?」

 

雪乃「そうね…これだけ聞いてしまった以上何とかする必要がありそうね」

 

ハァ…やっぱりか。でも確かにここで動かないと後で後悔するかもしれないしな。

 

八幡「わかったよ。大志、そういう事だから、後はオレ達に任せて今日は帰れ」

 

大志「は、はい。ありがとうございますお兄さん」

 

八幡「ははは、お兄さん言うな潰すぞ?」

 

お前にお兄さんと呼ばれる筋合いは無い。そう思い言うと

 

帆波「はいはいストップストップ」

 

と帆波に止められた。ちっ!命拾いしたな。

 

八幡「わかってる冗談だ」

 

帆波「それなら良かった。まぁ、それよりもその川崎さんが働いているというならまずはそこの特定が必要だね」

 

かおり「特定するのは良いけど、どうするの?やめさせるの?」

 

千佳「でもそうすると今度は違う店で働き始めるかもよ?」

 

帆波「所謂イタチごっこだね」

 

かおり「うーん、どうしよっか〜」

 

八幡「まぁ、今日は帰ろうぜ。時間も時間だしさ。後は明日にでも考えようぜ」

 

雪乃「それもそうね。それじゃあ今日のところは解散ね」

 

帆波「そうだね」

 

八幡「よし、じゃあ帰るか。小町行くぞ」

 

小町「あいあいさー」

 

帆波「瑞希も帰ろう」

 

瑞希「うん」

 

こうしてオレ達は解散して家に帰った。そして翌日総武高の校門で集合して作戦会議が始まった。

 

八幡「悪いな彩加。付き合わせちゃって」

 

彩加「ううん、いいよ。ぼくも話聞いちゃったし。それにぼくが付き合いたいし」

 

八幡「そっか。ありがとな」

 

彩加「うん!」

 

そう言ってニッコリ笑顔になる彩加。帆波と違った感覚だな。

 

雪乃「それでは始めましょうか」

 

かおり「具体的にはどうするの?」

 

雪乃「少し考えたのだけれど、一番いいのは川崎さん自身が自分の問題を解決することだと思うの。誰かが強制的に何かをするより、自分の力で立ち直った方がリスクも少ないし、リバウンドもほとんどないわ」

 

八幡「かもな」

 

さて、どうしょうか。

 

雪乃「まず、一つ目の案はアニマルセラピーよ。動物と触れさせ合うことで彼女の心のケアになると思うの」

 

大志「あ、すんません。姉ちゃん動物アレルギーなんでダメだと思います」

 

八幡「ダメだな」

 

雪乃「…そうね」

 

ちょっと残念そうな表情を浮かべる雪ノ下。

 

八幡「次何かあるか?」

 

彩加「ぼく、いいかな?」

 

八幡「おう、いいぞ」

 

彩加「じ、じゃあ平塚先生に言ってもらうのはどうかな?ご両親だと距離が近すぎるから言えないことっていうのもあると思うんだ。でも、他の大人なら相談できるんじゃないかな?」

 

かおり「なるほど。それある!」

 

千佳「うん、確かに良いかもね」

 

雪乃「確かにあの人他の教師より生徒の関心が高いし、生活指導を担当している。むしろこれ以上ない人選だと思うわ」

 

八幡「んじゃ早速平塚先生に連絡だな」

 

そう言ってオレは携帯を取り出し平塚先生に電話すること数分後平塚先生がやってくる。

 

八幡「あれ?早かったですね」

 

平塚「うちの生徒が深夜バイトしてるという由々しき事態にのんびり等してられないだろう。これに限っては緊急性を要する。私が解決しよう」

 

と何やら不敵な笑みを浮かべる。何か勝算でもあるのか?

 

平塚「君たちは見てたまえ。2分ほどで戻る」

 

あれ?何でだろう、頼もしいこと言ってる筈なのにこの不安はなんだろう。嫌な予感しかしない。

 

すると川崎沙希がやってくる。気だるげな足取りで時折、くあと欠伸を漏らす。そして平塚先生は川崎を呼び止めて、朝帰りの話を切り出していた。それからしばらく口論になって、イケるか?と思っていたら、川崎に何を言われたのか先生はうなだれてトボトボと川崎から離れていってしまった。何を言われたのか考えないようにしよう。うん、それがいい。そして今日は案が出てこなかったので今日も解散となった。

 

 

そして翌日、オレ達は今エンジェルと名の付く店にやってきた。エンジェルとつく飲食店は2つあった。まずはその一つである『えんじぇるている』というメイド喫茶に行く。

 

かおり「ねぇ、これって男子が行くようなところでしょ?女子の私達はどうするの?」

 

雪乃「それなら問題ないわ。ここ、女性も歓迎してくれるみたいだよ」

 

そう言って雪ノ下が指を指す。その方向を見ると看板に『女性も歓迎!メイド体験可能!』と書かれていた。

 

帆波「へ〜、メイドの体験できるんだ」

 

雪乃「ええ、だからそれを利用して、お店の裏側を調べるわよ」

 

かおり「いいんじゃない?それにメイド体験も中々できないしね」

 

千佳「だね」

 

そしてオレ達は店の中へと入る。

 

「お帰りなさいませ!ご主人様!お嬢様!」

 

とおきまりの挨拶を頂く。けど思った絶対に川崎はここいないと。オレと彩加は席に座る。帆波達はメイド体験に向かった。さて、川崎がいないと分かれば後は帆波のメイド服を見るだけだ。そして待つこと数分後…

 

帆波「お、お待たせしました。ご、ご主人様///」

 

振り返ると着替え終わった帆波がいた。帆波はフリフリのメイド服を着ており、オレはその姿に見とれていた。

 

帆波「な、何か言って欲しいんだけど///」

 

八幡「え、あ、す、すまん。えっとその……スゲェ似合ってるぞ帆波。す…スゲェカワイイ///」

 

帆波「そ、そっか…ありがとう八幡///」

 

八幡「お、おう///」

 

や、やべぇめっちゃ恥ずかしい。彩加も周りのメイドもスゲェ優しい目で見てくる。

 

彩加「なんだか初々しいしいね」

 

八幡「彩加…あんまりからかわないでくれ」

 

彩加「あはは、ごめんごめん」

 

すると調査を終えたのか雪ノ下達が戻ってくる。

 

かおり「ねぇ、どう?似合う?」

 

と言ってモデルポーズをとる折本。いや、絶対に違うだろ。

 

八幡「ん?そうだな似合ってるんじゃねぇか?な、彩加」

 

彩加「うん、皆とっても似合ってるよ」

 

かおり「ありがとう」

 

千佳「なんかそう言われると照れるね」

 

八幡「んで川崎いたか?」

 

雪乃「いいえ、残念ながら居なかったわ」

 

八幡「そうか。まぁ、何?調べてもらって悪いな」

 

雪乃「いいえ大丈夫よ」

 

さてそれじゃあ

 

八幡「すいません。写真って撮っても良いですか?」

 

「はい大丈夫ですよ。よろしければ撮りましょうか?」

 

八幡「良いんですか?」

 

「はい!」

 

八幡「それじゃお願いします。帆波、一緒に撮ってもらうぜ」

 

帆波「う、うん。そうだね」

 

「はい、それじゃ撮りますよ〜。もっと寄って寄って〜」

 

そう言われてオレと帆波はお互い寄る。もう肩と肩が触れ合うぐらいまで寄った。これぐらいならもう慣れてる。

 

「良いですね〜。じゃあいきますよー。はい、チーズ」

 

八幡「ありがとうございます」

 

「いえいえ」

 

オレはそう言って店員から携帯を受け取り写真を確認する。おおこれは良い。宝物の1つにしよう。

 

帆波「八幡、後で私にもちょうだい」

 

八幡「おう、いいぞ」

 

だけどここには居なかった。だとするとあと1つ候補点である『エンジェル・ラダー階』だけだがそこはホテル・ロイヤルオークラの最上階に位置するバーだ。オレ達未成年が入っていい場所では無い。だけど行くしかないがその前にオレは大志に聞く事があり小町に呼んでもらった。

 

小町「お兄ちゃん連れてきたよ」

 

八幡「サンキュ。大志悪いな、急に呼び出したりして」

 

大志「いえ大丈夫っす。それで聞きたい事ってなんっすか?」

 

八幡「ああ、そうだな。まずお前の姉ちゃんが遅くなった時に何か変わった事とかなかったか?どんな些細な事でもいい」

 

大志「うーん、そうすっね……。強いて言うなら俺が塾に通い始めてからっすかね。それ以外には何も思いつきません」

 

八幡「お前が塾に通い始めてからか。じゃあお前の姉ちゃんは塾とか予備校とかには行ってるのか?」

 

大志「いえ、姉ちゃんは行ってません。家計的にそんな余裕はないので…」

 

八幡「そうか」

 

なるほど。オレの予想が合っていれば多分川崎は学費の為にバイトをしているのだろう。大志が塾に通い始めた時点で大志の学費の問題は解決している。生活に余裕が無いから川崎沙希は塾や予備校に通えない。高校生向けの塾や予備校は結構金を取られる。だからバイトをして金を稼いでるってことだ。深夜バイトは確かに給料少し高いからな。それもホテルのバーとなるとな。多分川崎は歳を誤魔化して働いているのだろう。

 

八幡「スマンな嫌な事言わせちまって」

 

大志「いえ大丈夫っす!それで何か解決できるのなら」

 

八幡「そうか。ありがとうな」

 

さて、大体予想もできたし後は帆波達に相談するか。その為には大志を帰らせなくちゃならない。こんな事大志の前で話せないからな。

 

八幡「教えてくれてありがとうな。また聞きたい事があったら聞くからそんときも頼むわ」

 

大志「はい!」

 

そしてオレ達は大志と別れる。大志が店を出ていったを見届け瞬間…

 

帆波「八幡、もしかして何かわかった?」

 

八幡「なんで分かるんだよ。エスパーかよ」

 

帆波「違うけど、強いて言うなら顔見た時何かわかった様な顔してたから、何かわかったのかな〜?って思って」

 

八幡「さいですか」

 

帆波「それで本当はどうなの?」

 

八幡「わかったと言うか予想だけどな」

 

帆波「教えてくれる?」

 

八幡「ああ、いいぞ。言うつもりだったし」

 

雪乃「それじゃ早速言ってもらえるかしら」

 

八幡「ああ。まず川崎がバイトしている理由だが、多分学費の為だろう」

 

帆波「え?学費?」

 

八幡「ああ」

 

かおり「でもなんで?」

 

八幡「まず川崎が不良化っぽくなったのは2年の時と大志が塾に通い始めた時と言うのは聞いたよな。そして川崎も塾に行ってると思いきや家計の関係で行っていない。もうここで大志の学費問題は解決しているわけだ」

 

帆波「なるほど。だから川崎さんは自分の学費を稼ぐ為にバイトをしているんだ」

 

八幡「ああ、多分な」

 

千佳「でもどうするの?」

 

八幡「そこなんだよな〜。多分言っても無理だろうし、というよりオレらが川崎の無理なバイトをやめさせる権利は無いしな」

 

雪乃「確かにそうね」

 

帆波「何か良い方法は無いのかな?」

 

確かに何か良い方法はないだろうか。けどこの問題は人の家庭事情だ。赤の他人であるオレ達が下手に関わってはいけない。けど、色々と聞いてしまったから何かしらしないとな。皆で色々考えていると折本が何か良い案を思い出したのか口が開く。

 

かおり「…あ」

 

雪乃「どうかした折本さん。何か思いついたのかしら?」

 

かおり「うん、前に比企谷が言ってたあの…えっと…スカラシップ?だっけ?あれを教えてみたらどうかな?」

 

八幡「あ、なるほどな。確かにあれがあれば学費の心配はいらないな」

 

帆波「確かにそうだね」

 

雪乃「いいかもしれないわね」

 

千佳「教えるのは良いけど、どうやって教えるの?」

 

八幡「そうだな…折本、仲町、悪いけど明日昼休みにオレのところに連れてきてくれないか?」

 

かおり「え?私達が?なんで?」

 

八幡「いや、オレが言ったら勘違いするだろ?多分」

 

千佳「あ、確かにそうかもしれないね。わかった明日川崎さんを比企谷君のところに連れていけば良いんだね」

 

八幡「ああ、頼む」

 

雪乃「じゃあ今回は比企谷君達に任せるわ」

 

八幡「ああ」

 

 

そして翌日の昼休み。オレと帆波はベストプレイスで折本達が来るのを待つこと数分後。

 

かおり「比企谷〜、連れてきたよ」

 

八幡「ああ、サンキュ。いきなり悪いな川崎」

 

沙希「アンタは確か比企谷だっけ?それで何の用?」

 

八幡「すぐ終わる。まず初めにお前、最近帰りが遅いんだってな。朝の5時らしいじゃねぇか。大志が心配してたぞ」

 

沙希「成程。最近周りがやけに小うるさいと思ってたら、あんたたちのせいか。大志が何言ったか知らないけど、私から言っておくから、これ以上関わらないでね」

 

帆波「バイト辞める気無いの?」

 

沙希「ないね。話はそれだけ?もう行くけど」

 

八幡「まだ話は終わってねぇ」

 

沙希「まだなんかあるの?」

 

八幡「ああ。それじゃあ単刀直入に聞くそんなに学費が必要か?」

 

沙希「っ!?」

 

それを聞いた川崎は明らかに動揺したような表情になる。オレの予想は的中した訳か。

 

八幡「まぁ、どんな理由でバイトしているかオレは聞かねぇけど、もっと家族を大切にした方がいいぞ」

 

沙希「でも…お金が…」

 

八幡「まぁ、確かに塾とか予備校に行くとお金はかかるし、進学するとさらにお金はかかる。そこでだ。川崎、お前スカラシップって知ってるか?」

 

沙希「スカラシップ?何それ?」

 

八幡「まぁ、簡単に言うと成績優秀者の学費を免除するってやつだ」

 

沙希「え?そんなのがあったの?」

 

八幡「ああ、詳しくは先生とか聞けばいい。お前が抱えてる問題が学費だけならこれで解決できるはずだ。確か最近は大学によっちゃこの制度が入ってるとこもあるみたいだぜ」

 

沙希「そうか…ありがとう教えてくれて」

 

八幡「どういたしまして。それと家族と話せよ」

 

沙希「うん、話すよ。ちょっと怖いけど」

 

帆波「うん、その方が良いよ」

 

かおり「怒られるかもしれないけどね」

 

千佳「確かに」

 

沙希「うん、覚悟はするつもりだよ」

 

八幡「そうか。まぁ、話はそれだけだ。時間取らせて悪かったな」

 

沙希「いいよ」

 

八幡「そうか。それじゃな」

 

沙希「うん」

 

そう言って川崎は去っていった。

 

帆波「上手くいったね」

 

八幡「ああ、そうだな」

 

かおり「じゃあ終わった事だしお昼食べよう」

 

千佳「そうだね」

 

そして数日後、川崎はバーのバイトやめたそうだ。そしてスカラシップを狙うため勉強を頑張るそうだ。そして今日は職場見学の日だ。オレ達が向かうのは海浜幕張駅。このあたりは結構なオフィス街でもあり、意外な会社の本社があったりもする。オレは彩加、葉山の3人グループのはずだった。けど実施は葉山の周りにわらわらと集まっている。何、大名?まぁ、それよりオレ達、というより葉山が選んだのはどこかで聞いた事のある電子機器メーカーだった。まぁ、なんやかんやあって職場見学も終わり周りの奴らはぞろぞろと出入口の方へと向かう。

 

かおり「あー、終わった終わった」

 

千佳「そうだね」

 

八幡「そういえば帆波と雪ノ下はどこで待ってるんだっけ?」

 

かおり「えっと確か駅前のカフェだよ」

 

八幡「あー、そうだったな」

 

千佳「早く行こ!早く行かないと怒られちゃうよ」

 

かおり「それもそうだね」

 

八幡「あ、オレちょっとトイレ行ってくるわ」

 

かおり「わかったじゃあ外で待ってるね」

 

八幡「おう、わかった」

 

オレはさっさとトイレを済ませてエントランスに行くと、そこにはお団子頭がいた。いや、なんでいるんだよ。ハァ…見つかって絡まれたら嫌だからさっさと外で待っている折本と仲町の所へと向かおうとした時だった。

 

結衣「あ、ヒッキー!」

 

チッ!やっぱり見つかってしまうか。正直めんどくせぇな。無視して行こうかと思ったら

 

結衣「ちょっ!無視すんなし!」

 

八幡「チッ!なんだよ。何か用か由比ヶ浜」

 

結衣「今までどこに行ってたし!あたし待ってたんだからね!」

 

八幡「いや、どこに行こうがオレの勝手だろう。それに待つ理由もないだろう」

 

結衣「あるし!それにもうみんな行っちゃったよ?」

 

八幡「だったらなんだよ」

 

結衣「だからヒッキーも一緒に行こ?」

 

八幡「行かねぇよ」

 

結衣「なんでだし!」

 

あーもう、うっさいな。ここまだ会社のエントランスだぞ。もうちょっと静かにしろよ。あー、早く行かねぇと怒られるんだよな。そう思っていると

 

かおり「ちょっと比企谷?何して…ん…の…?」

 

千佳「どうしたのかおり?あ…」

 

考えていると外で待っていた折本と仲町がやってきた。

 

八幡「あー、悪い。すぐ行く」

 

そう言って折本と仲町の所へ向かおうとした時、オレの腕が掴まれた。

 

結衣「ちょっ!待つし!」

 

八幡「なんだよ。オレは今から行くとこあるんだ。邪魔すんじゃねぇよ」

 

結衣「行くとこってどこに行くの?」

 

八幡「なんで一々お前に教えなくちゃならない。しかもお前には関係ないだろ」

 

結衣「教えてくれてもいいじゃん!」

 

八幡「なんでだよ」

 

結衣「同じクラスなんだし教えてくれてもいいじゃん!」

 

八幡「またそれかよ…」

 

一体なんだよそれ。同じクラスだからって教えなくちゃならないのなら、お前も言う事あるだろう。

 

八幡「それより由比ヶ浜。お前、オレに言う事あるだろう」

 

結衣「はぁ!?そんなの無いし!」

 

ハァ、とオレがため息をつくと折本と仲町も同じタイミングでため息をつく。マジかよコイツ。オレの家にきてお礼を言うって言ったくせに。今もこうしてチャンスをあげたのにそれをコイツは無下にした。ホントどうしょうもない奴だな。

 

八幡「そうか…じゃあこういえば分かるか入学式、事故でわかるんじゃないか、なぁ、犬の飼い主さんよ」

 

そう言うと由比ヶ浜は目を大きく見開きすごく驚いた様子だった。

 

結衣「ひ、ヒッキー、覚えて、たの?」

 

八幡「いや、雪ノ下が教えてくれた」

 

結衣「そ、そうなんだ」

 

そう言うとオレの腕を掴んでいた手の力が緩んだので、オレはすかさず手を引く。

 

結衣「あ…」

 

八幡「じゃあな。オレら人待たせてるんだ。行くぞ折本、仲町」

 

かおり「うん」

 

千佳「わかった」

 

オレ達はそう言って職場から外に出て帆波と雪ノ下が待つカフェへと向かった。

 

帆波「あ、八幡、かおり、千佳遅かったね何かあったの?」

 

八幡「ああ、あった」

 

帆波「何があったの?」

 

八幡「ああ、実はな」

 

オレは職場であったこと帆波と雪ノ下に話した。

 

八幡「と言うわけで少し遅れた」

 

帆波「また由比ヶ浜さんか…。八幡がチャンスをあげてたのになんでお礼とか言わないの?」

 

かおり「ホントそれだよね」

 

千佳「しかも馴れ馴れしく色んな事聞いてくるしね」

 

八幡「ハァ…疲れた」

 

雪乃「お疲れ様」

 

かおり「ホントだよ」

 

帆波「ま、そんな嫌な事は忘れて、注文しよ」

 

八幡「それもそうだな」

 

かおり「だね」

 

千佳「うん」

 

こうしてオレ達は由比ヶ浜の事は忘れてカフェで色んな話をしながら過ごした。

 

 

 




いかがでしたか?由比ヶ浜に関してはまだ潰しません。あともうちょい先の方にする予定です。ではまたお会いしましょう。

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