オレは彼女と出会って人生が変わった   作:チャキ

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どうもチャキです!第24話どうぞ!


第24話

八幡side

 

今日も文実の仕事の為、千佳と共に会議室へ向かう。定例ミーティングはないものの、仕事はある。そして千佳と会話をしながら向かう。そして会議室まで行くと、入り口で数人が中の様子を窺っている。何かあったのだろうか。

 

千佳「何かあったのかな?」

 

八幡「さぁ?」

 

そんな会話をしながら会議室へ入るとそこには、何だか見覚えのある人がいた。

 

雪乃「姉さん何しに来たの?」

 

陽乃「何って有志団体に参加しようと思ってね。OGとして。ねぇ?良いでしょ」

 

雪乃「そう。まぁ、いいんじゃないかしら」

 

陽乃「ほんと?ありがとう雪乃ちゃん。あれ?雪乃ちゃんって委員長じゃないの?」

 

雪乃「ええ、そうよ」

 

陽乃「じゃあ誰が委員長?」

 

帆波「あ、委員長は私です」

 

近くにいた帆波はサッと立ち上がり雪ノ下さんに自己紹介する。

 

陽乃「あー、君は確か……一之瀬帆波ちゃんだったかな?」

 

どうやら覚えてたみたいだ。

 

帆波「はい、そうです」

 

陽乃「ふぅん。……うん、一之瀬ちゃんになら任せられるかもしれないね」

 

帆波「ありがとうございます!」

 

雪ノ下さんはどうやら本当に帆波の事頼りになると思っているようだ。その事に帆波も喜んでいるみたいだ。

 

陽乃「楽しい文化祭にしてよ〜?期待してるからね、一之瀬委員長♪」

 

帆波「はい!」

 

あの人凄すぎだろ。一言で人に自信を与えてしまう圧倒的カリスマ。でも、アレはあの人にしかできない事なんだろうな。オレには到底無理だな。けど、帆波なら陽乃程ではないができるかもしれないな。そう思いながら会議室へと入る。すると、雪ノ下さんはオレと千佳に気づいた。

 

陽乃「あれ?比企谷君、と確か仲町ちゃんだっけ?」

 

千佳「あ、はい。そうです」

 

陽乃「そっか。あ、じゃあちょっと電話してくるね」

 

雪乃「ええ、わかったわ」

 

帆波「わかりました」

 

そう言って雪ノ下さんは携帯片手に電話をし始める。

 

 

 

その後、電話を終えた雪ノ下さんは有志団体の申請書類を受け取り記入している。けれど、あれだけ目立ったのか、他の文実の奴らも雪ノ下さんの方に視線を移している奴らもいた。オレはオレで仕事をする。けれど他の奴らもいつまでもそうしてはいられないと思ったのか、仕事し始める。帆波も雪乃もテキパキと仕事をこなしていく。

 

 

そしてそれから日がどんどん進んでいく。文化祭に向けて活気づくごとに仕事量は増えていくが、それを帆波と雪乃が均等に分けていく。忙しいが、最悪の事態にはなっていない。けど、やはり仕事は次々とやってくる。今もコンコンと会議室のドアノックされる。

 

帆波「どうぞー」

 

そのノックに帆波が答える。すると「失礼します」と一声かけて人影が入ってくる。その人物はオレと千佳とかおりと同じクラスでトップカーストの葉山隼人だった。

 

葉山「有志の申込書類、提出に来たんだけど…」

 

帆波「あ、それなら右奥だよ」

 

葉山「ありがとう」

 

と爽やかスマイルで答え、申し込みに向かった。申し込みのところには女子がいて、その子に話しかけるとその女子は若干頬を染めていた。いいねぇ〜、モテモテだねぇ〜。

 

 

 

そして数日後。文化祭のスローガンを決める会議が始まったのだがこれがまた難航していた。あるスローガンでは『面白い!面白すぎる!〜潮風の音が聞こえます。総武高校文化祭〜』

 

なんだこれ。いや、ダメだろこれは。だってこれ十万石饅頭だし、それ埼玉だし、千葉的にはちょっと受け入れがたい。あるスローガンでは『ONEFORALL』板書される。だがそれも断念。そしてあれやこれやと案が出る。それでも決まらなかったので、会議は終了した。そして翌日スローガンが決まった。活性化した会議は激論を重ね、長時間に及ぶ討論結果、最後はみんな頭が働かず、フラフラになりながらもなんとか1つの案に纏める事ができた。今年のスローガンは『千葉の名物、踊りと祭り!同じアホなら踊らにゃsing a song!』に決まった。思ったけど、それでいいのか?でも、これが委員会メンバーはまだ話し合っている。

 

帆波「では、決定したスローガンの差し替えお願いします」

 

帆波の指示のもと、文化祭実行委員会がさらに忙しくなる。ポスターの再制作や予算の計算やら、貼り直す時に画鋲の回収。回収するのはいいが、あれは数を数えているらしく、数が合わないとダメらしい。やはりどこの部署も忙しい。もちろんオレと千佳が配属されている記録雑務も忙しい。仕事がどんどん積まれていく。それをどんどん消化していくが、また積まれていく。文実ってこんなに忙しかったんだな。来年は文実にならないように気をつけねぇとな。そんな事を思いながら仕事を終わらせていく。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

暗闇の中、生徒たちのざわめきが響く。一つ一つの声はきっと意味のあるものなのだろうが、それが無数に集まると意味をなさない。

張り巡らされた暗幕は隙間ができないよう、周到に目張りされている。誰かの携帯電話や非常口の明かり程度の頼りない光源ではせいぜい掌程度までしか照らせない。

 真っ暗で、何もはっきりとしない。だから、今この瞬間、闇の中では誰もが1つになっている。すると生徒たちの声が一つ、また1つと消えていく。

 

そして手もとの時計は九時五七分を示していた。そろそろ時間だ。オレはインカムのスイッチを押し、発報した。押してからマイクが声を拾うまで若干ラグがあるので、二秒ほど待ってから話し始める。

 

八幡「開演3分前、開演3分前」

 

数秒と待たず、耳に嵌めたイヤホンにザッとノイズが走る。

 

雪乃『雪ノ下です。各員に通達。オンタイムで進行します。問題があれば即時発報を』

 

落ち着いた声音が話し終えると、ブツッと通話が切れる。それから立て続けにノイズが走った。

 

『――照明、問題なし』

 

『――こちらPA、問題ないです』

 

『――楽屋裏、キャストさん準備やや押しです。けど、出番までには間に合いそうです』

 

いくつもの部署から連絡が入る。正直把握しきれないが、雪乃のことだからその全てを把握出来ている事だろう。と言うか問題があればって言ってんのに、問題無いなら無駄な発報は控えろよ。リア充は本当こう言うの好きね。それよりも記録雑務はその日に多くの仕事が割り振られる。オープニングセレモニー、エンディングセレモニーでの舞台まわりの雑用やらもその範疇だ。そして各所からの情報は司令塔である雪乃に総合されていく。

 

雪乃『――了解。ではキュー出しまで各自待機』

 

オレは時計とにらめっこする。開演まで一分を切ると、体育館は静かの海と化した。誰もが囁くことを忘れ、同じ時を生きている。インカムのボタンを押す。

 

八幡「――十秒前」

 

指はボタンから離さない。

 

八幡「九」

 

眼は時計に釘づけだ。

 

八幡「八」

 

息を吸うのをやめる。

 

八幡「七」

 

合間合間に息を吐く。

 

八幡「六」

 

息を継ぐ僅かな瞬間。

 

『五秒前』

 

誰かがカウントを奪った。

 

『四』

 

もう随分と聞き慣れた、透き通るような声。

 

『三』

 

そしてカウントダウンの声が消える。ただ、誰かの指が『二』を刻んでるはずだ。二階のPA室をなんとなしに見上げてみると、雪乃と目が合った。目が合うと雪乃は頷いてきたので、オレも頷き返す。この場の誰もが心の中で『一』を数えたはずだ。

 

瞬間、ステージ上で目が眩むほどの光が爆ぜる。

 

城廻「お前ら、文化してるかーーー⁉︎」

 

「うおおおおおおお!!」

 

ステージに突如現れためぐり先輩の叫びに、観客席から怒号が返される。

 

城廻「千葉の名物、踊りとーー!?」

 

「祭りいいいい!」

 

そのスローガン、浸透してるのかよ……。

 

城廻「同じ阿呆なら、踊らにゃーー!?」

 

「シンガッソーーーー!」

 

城廻先輩の謎のコール&レスポンスで生徒たちは一気に熱狂する。そしてステージに現れたのはダンス部とチアリーディング部の皆さん。それにつられたのか、生徒たちは冗談混じりに踊ってみたり、手を大きく振り上げたりと盛り上がっている。……うわー、バカだなー。うちの学校。なんだよ文化してるかって。意味わかんねぇよ。まぁ、そんなことよりも仕事仕事。

 

『こちら、PA。間もなく曲あけまーす』

 

PAから連絡が入る。

 

雪乃『了解。一之瀬委員長。スタンバイします』

 

いつもなら名前で呼ぶがこう言う時は苗字呼びが正しいだろうな。そしてそのキュー出しは司会をつとめる城廻先輩にも伝わっているのだろう。ダンスチームが下手袖へはけて、上手袖にいた城廻先輩が呼び込む。

 

城廻「では、続いて文化祭実行委員長よりご挨拶です」

 

ステージ中央へと歩く帆波の表情は若干硬い。そりゃそうだろうな千人を超す人々の視線が一斉に注がれてるんだから。そして帆波はその場で数回深呼吸をした時だった、オレと目が合う。そしてオレは口パクで「がんばれ」っと伝える。それを見た帆波は小さく頷き、ニコッと笑う。それにより緊張が解けたのか、冷静に挨拶を済ませた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

オープニングセレモニーが終わると、いよいよ文化祭も本番だ。文化祭は2日間行われるが、一般公開は2日目のみ。1日目は校内のみとなる。それに文実の仕事もそこまで多いわけではない。精々が見回り程度。一応クラスの方へ行こうと思ったのだが、かおりと千佳に「帆波の所に行って、一緒に回ってこい」と言われて、追い出された。まぁ、確かに昨年は帆波やかおり、千佳、雪乃と回ったからな。今年は2人で回るのも悪くないかもな。

 

「ヒッキー!」

 

そんな事思っていると、後ろから声をかけられる。この声の主が誰なのかわかっているが、正直関わりたくない。なのでオレはその声の主を無視することにした。だってあの事であれ以来何も言われてないし、それに嫌いだしな。そう思いオレは帆波の所へ急いで向かおうとすると……

 

結衣「ちょっと!なんで無視するし!」

 

と大声で言われて、腕を掴まれる。今度はちゃんと身構えていたので大丈夫だったが、正直めんどくさい。周りの奴らもオレと由比ヶ浜を見ているから、早くここを立ち去って帆波の所へ行きたい。

 

八幡「……なんだよ。由比ヶ浜」

 

オレは腕を掴んでいる由比ヶ浜に返事をする。

 

結衣「ヒッキー今からどこ行くの?仕事は?」

 

八幡「……仕事はない。あっても見回り程度ぐらいだが、それがどうしたんだ?」

 

結衣「だ、だったらさ!あたしと一緒に回らない?」

 

由比ヶ浜は何やらモジモジしながら言ってくる。というかなんて言った?一緒に回らないだ?ふざけてるのかこいつ?あの事で何もしていないのに、どんな神経でオレを誘っているのだろうか。というかなんでオレを誘おうと思ったんだろうか。

 

八幡「無理だ」

 

オレは即答するように答える。

 

結衣「なんでだし!」

 

またもや大声で言う由比ヶ浜。うるさいよ。

 

八幡「なんでって、行く所があるからだ」

 

結衣「行くとこってどこだし!」

 

八幡「なんで言わなくちゃいけねぇんだ」

 

結衣「教えてくれてもいいじゃん!」

 

八幡「お前に教える理由はない。というか早く離せ」

 

そう言ってオレは由比ヶ浜の腕を振りほどく。

 

結衣「あっ……」

 

八幡「じゃあな」

 

結衣「ちょっと待ってて!」

 

八幡「んだよ。まだあんのか?」

 

早く帆波と会いたい。

 

結衣「あたしと一緒に回ろうよ」

 

八幡「だから無理だって言ってんだろ」

 

結衣「なんでだし!」

 

八幡「オレは一緒に回る奴がいるから」

 

結衣「じゃあ、あたしも一緒に回ればいいじゃん!そんなことも分かんないとかヒッキーマジキモい!」

 

またそれか。お前それを言うの好きだよな。

 

八幡「キモイなら一緒に回ろうとするなよ」

 

結衣「えっ……」

 

八幡「だってそうだろう。最初会った時も、今もオレの事キモイって言ってだろう。なに?お前はキモイ奴と一緒に回るのが好きなの?」

 

結衣「そ、そうじゃないけど……」

 

八幡「というかオレはそいつと2人で回りたいんだ!お前みたいな他人と回りたくはない」

 

結衣「そ、そんな……」

 

八幡「話は終わりか?じゃあな」

 

オレはそう言って由比ヶ浜に背を向けてこの場を立ち去る。くっそ由比ヶ浜のせいでちょっと目立ってしまったじゃねぇか。それに無駄な時間を使ってしまった。帰りたいと思ったが、そうするとかおりと千佳に追い出されるし、それにまた由比ヶ浜に絡まれるかもしれないしな。それなら一刻も早く帆波の所へ行こう。そう思いJ組へと向う。そしてJ組の教室の前につくと同時に教室から帆波が出てきた。

 

帆波「あれ?八幡?」

 

八幡「よお」

 

どうやら帆波はその場にオレがいる事に驚いているようだ。

 

帆波「どうしたの?」

 

八幡「かおりと千佳に追い出された」

 

帆波「えー!何それ!?どういうこと?」

 

八幡「やる事ないんだったら帆波と回ってこいと言われてな」

 

帆波「あ、そうなんだ」

 

八幡「ああ、だから一緒に回ってくれるか?」

 

帆波「もちろん!それに私も八幡の所に行こうと思ってたから」

 

八幡「お、おう。そうか」

 

帆波「うん!昨年はかおり達と一緒だったけど、今年は八幡と2人で回りたいと思ってたから」

 

八幡「そっか。じゃあ行くか」

 

帆波「うん」

 

帆波はオレの隣に来たと同時に歩き出す。けど回ると言っても行き先が決まってるわけでもなく、だからと言って互いに目的地を定めることも無くフラフラと適当に歩き出した。周りは文化祭とあってそこらじゅう盛り上がっている。喫茶店やお化け屋敷などいった店が並んでいた。それらを見ながら歩いていると1人の女子生徒がメイド服姿で呼び込みをしていた。へぇ〜、メイド喫茶ね。本当にやるクラスあったんだな。アニメやラノベなのでやるのを読んだり見たりしたけど、それを現実でやる所、今日初めて見たわ。そんな事を思っていると腕を引き寄せられた。横を見ると帆波が頬を膨らませていた。

 

八幡「ほ、帆波?」

 

帆波「さっきからメイド服を着た子見てるけど、そんなにメイド服好きなの?」

 

八幡「い、いや、そうじゃなくて……」

 

帆波「そ、それなら私が……着てあげるよ…」

 

八幡「は?」

 

思いもよらない言葉が聞こえた。

 

帆波「だ、だからメイド服ならいつでも私が着てあげるって言ってるの!」

 

八幡「いや、だから違うって。見てたのは本当にメイド服喫茶してるクラスが珍しかっただけで、メイド服が好きで見てた訳じゃない」

 

帆波「え?そうなの?」

 

八幡「ああ」

 

帆波「そうだったんだ」

 

ホッ、良かった。なんとか誤解は解けた。

 

帆波「でも本当に好きじゃないの?」

 

八幡「なっ!」

 

まさかの追求!まだこれ続くの?ていうかメイド服だけで会話してない?

 

帆波「ねぇ?どうなの?」

 

八幡「くっ……」

 

帆波「正直に言っちゃいなよ〜。メイド服、好き?嫌い?」

 

八幡「ぐっ……き、嫌いではない」

 

帆波「ふーん、そうなんだ〜。八幡はメイド服好きなんだ〜」

 

ニヤニヤしながら言ってくる帆波。

 

八幡「そこまで言ってねぇだろ」

 

いや、もうホントやめてください。そういう解釈するのやめてください。メイド服だけでどんだけ話すんだよ。もうやめてください帆波さん。

 

八幡「そ、そんな事よりも早く行くぞ。どこ回る?」

 

オレはまた追求されるのを阻止するために露骨に話を逸らす。

 

帆波「そうだな〜。あ、折角だし八幡のクラスの演劇見に行こう。かおり達にも挨拶したいし」

 

八幡「わかった。じゃあ行くか」

 

帆波「うん!」

 

というわけで、目的地は二年F組の教室へと決まったので、オレと帆波は教室へと向かった。というか何故腕を組んだままなの?

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

暗闇の中、星の王子様の公演第一回が始まる。見たところ、席は全て埋まり満員御礼のようだ。といってもいるのはほぼ全員女子の中に男子はオレだけ。不振な目で見られないように帆波が近くにいたのでそこは助かった。というかここにいる女子って全員葉山目当てか?

 

 

 

そんな中、ちょうど王子様がキツネを誘うシーンだった。オレはこのシーン好きだ。

 

彩加「僕と一緒に遊ぼうよ。僕は今すごく悲しいんだ……」

 

顔を俯かせ、寂しげに台詞を言う彩加。いい、ぐっとくる。ちなみに海老名さんが書いたシナリオ第1稿では「やらないか?」になっていたらしい。ホント何考えてんだあの人は……。

 

 

王子さまとキツネは対話を重ねていく。そしてお互いがお互いを飼い慣らすのだ。それでも別れが訪れる。最後にキツネは王子様に1つ秘密を教える。星の王子様の中でも有名なシーンだ。

 

 

大切なものは、目に見えない。

 

キツネと別れて後、王子さまはまたいろいろな場所を巡り、舞台は再び砂漠へと戻る。「ぼく」と王子さまは砂漠の井戸を探しに行くのだ。

 

彩加「砂漠が綺麗なのはどこかに井戸を1つ隠しているからだよ」

 

彩加の言ったセリフから観客席から感嘆の声が漏れた。こちらも『星の王子さま』で代表的な一節だ。知っている人も多いと思う。やがて、会話を重ね、時間を重ね、心も重ねた「ぼく」と王子さまにも別れの時がやってくる。ちなみに海老名シナリオ第1稿ではさらに唇と身体も重ねることになっていた。もうホントあの人は……。

 

葉山「王子さま……。ぼくは君の笑う声が、好きだ……」

 

葉山の台詞に女性たちが色めき立つ。やっぱ葉山目当てか?

 

葉山「ぼくたちはずっと一緒だ……」

 

これまた葉山の台詞にふーっと満たされたようなため息が観客席に充満する。そして、ついに別れのシーンがやってきた。ヘビに噛まれ、音もなく倒れる王子さま。儚げで消え入りそうな彩加の演技に客席が息を呑むのがわかる。舞台は暗転する。一筋のスポットライトが葉山に当たった。「ぼく」のモノローグでラストシーンが締めくくられる。すると、客席からは万雷の拍手が鳴り響いた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

F組の演劇を観終わった後、帆波が一言言った。

 

帆波「なんか凄かったね」

 

八幡「ああ」

 

登場人物は全員男。主役二人の友情を描いた筈なのに、それ以外の何か邪な思惑が見え隠れしているのは脚本が海老名さん故致し方なしと言うほかない。

 

かおり「お、帆波」

 

帆波「あ、かおり」

 

かおり「やっほ〜。演劇見に来てくれたんだ」

 

千佳「どうだった?」

 

帆波「うん。すごく良かったよ」

 

内容を無視してしまえばかなり上出来だったと言えるだろう。

 

かおり「ホント良かった!」

 

千佳「本当にね」

 

かおり「それにしても2人はやっぱり文化祭デート?」

 

帆波「一応見回りって事になってるよ。それにデートは八幡から誘われたから」

 

千佳「へ〜、やるね〜!」

 

そう言ってかおりと千佳はニヤニヤしながらオレと帆波の方を見ている。正直ウザイ。

 

かおり「ならさ〜、手を繋がないとダメだね」

 

千佳「そうそう、デートなんだし」

 

なに?手を繋がないとダメだと?何故そこまでしないとダメなんだ。しかもここ学校の中だぞ。それに……

 

帆波「うーん、手は繋いでないけど、腕は組んだよ」

 

かおり「おお!これは中々大胆ですなぁ〜」

 

千佳「だね〜」

 

なんだこいつらは。なんかキャラおかしくねぇか?それにかおりの喋り方がなんだかおばさんみたいになってる。それとウザイ。

 

かおり「まぁ、話は後にして、デートの続きに行ってきたらどう?」

 

千佳「そうそう」

 

また、ニヤニヤし始めたぞこの2人。

 

帆波「それもそうだね。いつまでもここにいられないし。じゃあ行こっか八幡」

 

そう言ってスルッと腕を組んで、引っ張っていく。

 

八幡「お、おい、帆波」

 

帆波「ほら、早く行くよ。見回りもしないとダメなんだから」

 

そう言われてオレは帆波に教室の外へと連れて行かれた。

 

 

教室の外へと連れ出されたオレは帆波に腕を組まれながら、見回りの仕事する。何かトラブルや問題行動を起こしているクラスがないか、周囲に注意しながら進む。すると何やら甘い匂いが鼻をついた。

 

帆波「なんだろこの匂い」

 

八幡「そうだな。あ、あそこからみたいだな」

 

帆波「え?あ、ホントだ」

 

オレの指さした方向にはとあるクラスの喫茶店があった。多分ここから甘い匂いがしたのだろう。

 

帆波「ねぇ、ちょっと寄ってみよう」

 

八幡「え?見回りはどうするんだよ」

 

帆波「それも大事だけど、私達も文化祭楽しむ権利はあるんだから、ちょっとぐらい寄っても大丈夫だよ。それに他の人達も見回りしてるんだからいいじやん」

 

八幡「おい、それでいいのか委員長」

 

帆波「むっ、別にいいじゃん。ね?」

 

そう言って帆波はこてんっと首を傾げだ。ちょっとそういうのズルいと思いますよ帆波さん。

 

八幡「まぁ、そうだな。オレらも楽しみたいしな。それに腹ごしらえしとかないとダメだしな」

 

帆波「もお、素直じゃないんだから。じゃあ早く行こっ」

 

八幡「ああ」

 

というわけでオレと帆波は喫茶店の中へと入る。するとすぐに中にいた店員(生徒)がやってくる。

 

「いらっしゃいませ。2名様ですね。こちらにならます」

 

そう言われて奥の席へと案内される。

 

「こちらメニューになります。お決まりになりましたらお呼びください」

 

そう言って席を離れていく女子生徒。オレと帆波は渡されたメニューをみる。

 

帆波「どれにする?」

 

八幡「そうだな…」

 

メニューはそこまで多くはないが、それなりにある。ホットケーキやらサンドイッチやら喫茶店によくあるメニューが揃っていた。

 

帆波「ね、八幡決まった?」

 

八幡「ああ、帆波は?」

 

帆波「うん、決まったよ」

 

八幡「そうか、じゃあ呼びますか」

 

帆波「うん、そうだね。すみませ〜ん注文お願いします」

 

「はい、ご注文を伺います」

 

八幡「えっと、コーヒー1つ」

 

「コーヒーがお1つ」

 

そう言ってメモをする生徒。

 

帆波「私はオレンジジュースとこのカップル専用あまあま☆ホットケーキ♡をお願いします!」

 

満面の笑みでそう言う帆波。その注文を取る生徒は何やらニヤニヤして、なんだか暖かい目になっているような、なってないような。気のせいだよな。

 

「ご注文繰り返させていただきます。コーヒーが1つ、オレンジジュースが1つ、そしてカップル専用あまあま☆ホットケーキでよろしかってですか?」

 

帆波「はい!」

 

「かしこまりました。では失礼します」

 

そう言って一礼して立ち去っていく生徒。それよりも……

 

八幡「おい、帆波」

 

帆波「ん?なに?」

 

八幡「なに?じゃあねぇよ。なんだ今の注文。それになんだあのホットケーキは」

 

帆波「え?ああ、カップル専用あまあま☆ホットケーキ♡の事?」

 

八幡「ああ、それだよそれ。なんつー名前のホットケーキだよ。それになんでそれを頼んだんだよ」

 

帆波「え?いいじゃん私達恋人なんだら」

 

八幡「そうだけど……まぁ、いっか」

 

オレも少し腹減ったしちょうどいい。そして待つこと数分、注文した品が届く。オレ達が注文した品を届けた生徒は席を離れていく。

 

帆波「うわぁ、美味しそう」

 

ホントに美味しそうだが、このホットケーキハチミツに生クリームものっている。これは名前通りあまあまだな。胸焼けしねぇかな?そんな事を思ってあると帆波がフォークでホットケーキを1口サイズに切り分け、それをフォークで刺してそれをオレの方に差し出してくる。

 

帆波「八幡はい、あーん」

 

やはりそういうことだろうな。それに帆波の顔若干赤くなっている。

 

八幡「ま、待って帆波。それはさすがにここではダメだ」

 

帆波「い、いいから早くしてよ。は、恥ずかしいんだから!」

 

八幡「恥ずかしいのなら、やるなよ」

 

帆波「うっ…は、早くぅ……」

 

そ、そう言われてもな。オレだって恥ずかしい。でもそんな事思っている場合じゃない。周りの視線が集まってきている。くっそ……。そしてオレは差し出されたホットケーキを食べる。めちゃくちゃ柔らかいし、めちゃくちゃ甘い。やはり名前の通りこのホットケーキめちゃくちゃ甘い。

 

帆波「どう?」

 

八幡「うん、うまい。後甘い」

 

帆波「にゃははは、だよね。見たらわかるよ」

 

ホント甘すぎるわ。

 

帆波「じゃあ次は八幡が食べさせてよ」

 

八幡「は?なんでだよ」

 

帆波「だってフォーク1つしかないもん」

 

八幡「なんでだよ。じゃあ帆波が自分で食べればいいだろう」

 

帆波「私は八幡に食べさせて欲しいの、はい」

 

帆波はそう言ってフォークを差し出してくる。これはやらないといけない状況になってはないか。それにさっき帆波恥ずかしいとか言ってたのになんでやらせんだよ。それに周りの視線が集まってきている。やはりやらないとダメらしい。……えーいままよ!

 

八幡「わかったよ」

 

フォークを受け取り、ホットケーキを切り取り、それを帆波に差し出す。くっそ……恥ずかしいけどやるしかない。

 

八幡「ほ、ほれ、あーん///」

 

帆波「あーん」

 

帆波はそう言いながら差し出されたホットケーキを食べる。

 

帆波「うん、確かに甘いね」

 

八幡「まったくだな」

 

オレはそう言って頼んでいたコーヒーを口にする。このコーヒーはあまり甘くなくて良かった。このホットケーキが甘いからこのコーヒーがあって良かった。

 

帆波「じゃあ次は私ね」

 

そう言って置いてあったフォークを手に取り、またホットケーキを差し出してくる。

 

帆波「はい、あーん」

 

オレはまたもや差し出されたホットケーキを食べる。でも恥ずかしいので黙って食べる。

 

帆波「はい、あーん」

 

オレが食べ終わったと同時にまたホットケーキを差し出してくる。そしてオレはまたそれをホットケーキを食べる。そして次はオレが差し出し帆波が食べる。そしてまた帆波が差し出してくるのでそれを食べ、またオレが差し出しそれを帆波が食べるの繰り返しを何度かした後、会計を済ませたオレと帆波は見回りを再開させた。

 

 

 




いかがでしたか?原作と違って実行委員長が帆波なので効率よく作業が進んだので何事も無く文化祭を開催できることができました。言ってしまったら悪いけど相模ってただのサボりだよね。

ではまたお会いしましょう。
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