気がつくと見知らぬ空間にいた。
いや、私はこの空間を知っている。見たことはないが確実に知ってる。この見渡す限り真っ白で上下左右前後不覚になりそうな空間。眩しいはずなのに眩しくない空間。
そして何より、その白さを見てるはずなのに私自身の身体が見えない事。
私がその答えに辿り着いた瞬間、空間の白さが霞む程に眩しい光が集まり人の形を成した。
「ワシは神じゃ」
「なるほど。して、どのようなチートを?」
「うーん理解が早くて助かるなぁ」
「なるほど、そのようなチートをですか。分かりました。ちょっと思い描いていたのとは違いますが、自ら転がしたサイコロの結果です。受け入れてあげましょう」
正直自分で振ったサイコロじゃなかったら文句をつけているところだ。具体的には上のものを出せと喚き散らして、追い出されそうになったり劣勢になったら泣きながら全力で駄々をこねる所存だ。
「理解が早くて助かるってレベルじゃないね。あれー?おかしいね。ワシ読み飛ばした?間違ってスクロールしすぎた?」
「なるほど、自分が死んだのはそのような理由が…。それなら仕方ないですね。許してあげますよ」
突然あんな形で死んだんだ。神のミスとか言われたら納得できなかったが、その理由なら納得だ。
…いやでもやっぱ5階にトラックは無いわぁ。
「うわっ…ワシの時間軸、遅すぎ…? てかてめーワシに対してちょいちょい上からモノ言ってるよな?」
「ちょっと静かにしてくれますか!! 親の顔より見てんですよそんなやりとりは! 巻きでってサイン出されてんの見えねぇんか!? 少しは足並み揃えようって思わねぇんかよあ"ぁ"!?」
「ウッス。スァーセンッシタ!!」
「次やったら容赦しねぇからなクソが。……では、名残惜しいですが次の生に行ってまいります」
振り返り、光の扉に向かって歩く。
ここを越えれば新しい人生が待っている。死んで終わりだったはずの、私の人生の新しいスタートが。
てかこれクソ眩しいな。後で文句つけとこう。
転生してから既に十余年。様々な幼少期のイベントをスキップし、私は学園に入学していた。
学園編はスタートしていた。
「おはよーアカネ」
「おはようございますカナメちゃん。珍しくギリギリですね?」
「いやね、昨日ドラマ見て夜更かししてたら寝坊しちゃってさ。電車に乗り遅れたってわけよ」
「なるほど…」
カナメちゃんは私のクラスメイトで隣の席の女の子、友達だ。彼女とは入学してすぐに仲良くなった。
すぐに私は気づいた。これは『主人公の初めての友達が最後には欠かせない相棒になっているやつ』だと。しかし…
「いやー、『転移』のチートが無かったら遅刻してたね。チート様様だよ」
そう、私の目の前で「なはは」と笑う彼女もチート転生者だ。私と同じ元男。私よりも遥かに強そうでカッコいいチートを持っている。
私が主人公だとごく当たり前に考えていたが、もしや彼女が主人公?私が親友ポジか?
いや、わたしが主人公なんだが。