勧誘かぁ…。正直面倒くさい。もう別に技術なんか鍛えなくてもいいんじゃないだろうかと思わなくもない。
しかし、これは大事な第1章。主人公の成長の1歩目と、物語の目標展開をする今後の展開を決める大事な第1章。ここをしっかりこなせないようでは主人公として2流…いや、主人公と言えない。そんなものは主人公と呼べない。
「あの…私と一緒に気持ちの良い汗をかきませんか?」
「えっ、あ、あの…。うぅ……はい」
「本当っ!?嬉しい!じゃあ放課後グラウンドで!」
これでまた1人確保。モブは扱いが簡単で楽だなぁ。この調子でノルマまであと8人。さっさと確保して第2章に進むのだ。
お、ちょうどいいところに人が…て、女子か?…ふむ、じゃあ男になって勧誘しよう。
「ねぇ、君。すこし、お願いがあるんだけどいいかな?」
「え、はい。なんでしょう?」
「実は、部活の部員が足りなくて困っていてね。入部してくれる人を探しているんだ。良ければ入部してくれないだろうか?君が欲しいんだ」
「はいっ!喜んで!!」
「ありがとう。それじゃあ、放課後グラウンドでね」
これはもしかして今日中に終わるのでは?美少女モードと美少年モードを使い分ければ男女共に簡単に勧誘できるぞ?簡単すぎて怖いくらいだ。
放課後、グラウンド。そこはいつもの超次元運動部の戦場でなく、人の洪水が起きていた。グラウンドを端から端まで埋め尽くす人人人。学年も性別もバラバラに、ほかの部活の生徒も混じり全学園生のほぼ半分がここに集まっていた。
…いかん。調子に乗って勧誘しすぎた。手当たり次第に手玉にとって転がしたせいで人数がヤバいことになってしまった。しかも、私が勧誘してあるという噂が噂を呼んだ結果、尾びれがついて足と羽が生え彼方へ飛んだのか何か大きなイベントが起きると勘違いした生徒がここに集まってきているのだった。
これは…主人公のした方があずかり知らぬ所で勝手に大きくなって戻ってくるやつ!?迷惑だ。やめてくれ。
「すごいすごいすごいすごいすごい!!!すごいな!なぁ!すごいぞ!」
語彙力が微塵も感じられない感想をありがとう小学生。私もすごいと思うよ。でも興奮して私に抱きつくな抱きしめるなそのまま走り出そうとするなぁっ!?
「あの、あの、離してください。これ全部が部員志望なわけないじゃないですか。大半は何かのイベントと勘違いしたモブ共ですよ。元いた場所に帰しましょう」
「いやだ!私が世話をするから!お願いっ!なっ?」
「いやでも、しかし…」
「あら?イベントならあるわよ?」
この声は…ってかこの?マークはあの王女だな?ははぁん、分かったぞ。このままこの人数の王女様が主催の大会でも開くんだな?そして小学生は感動して、いい感じの良い話風にしてハッピーエンドって流れだな。うん。読めた。
「うん大体正解?」
だから地の文を読むなって。