突如開催されたこの大会は、前回の予想通りの流れで進行していった。
予想を大気圏をも上回る勢いで集まった人数に小学生は興奮していたのだが、そのまま大会が開かれたことで言語能力を失い謎の奇声を上げていた。
しかも、何気にこの種目に興味を持ったモブがいたことでそれなりに部員も増えたらしい。小学生は興奮で1度死んだ。
小学生の、自身の得意とする種目での成績は表彰台にも及ばなかった。彼女のように研鑽を積んできた者たちが意外にも多くいたらしい。
小学生は悔しそうにしながらも笑っていた。それはそれはいい笑顔で笑っていた。
「私よりも速い人たちがこんなにも、こんなにも!沢山いるっ!仲間がこんなに!!」
涙を流しながら、雲ひとつない青空に向かって彼女は叫んだ。
彼女の速さを求める旅路はまだこれからも続いていくのだろう。このテキトーな世界で、確かに彼女は確固とした信念を持って走り続けるのだ。新しく増えた仲間たちと共に…
「みんな楽しそうだね」
「えぇ……そうですね。皆さん、とても良い笑顔です」
「ね、ほんとにね。私の方が速いのにね」
「カナメちゃん」
「転移すれば一瞬もかからないし」
「カナメちゃん?」
「てかスキル使えば良くない?」
「カナメェ!!」
あの大会の翌日から私は小学生の部活で技術を積んでいた。まるでブーストアイテムを使ったかのように溜まる経験値に私は戦慄を覚えた。私のチートが『経験値x倍』系のチートかと思ってしまう程の伸び率だったのだ。
そうして、なんかやればやるほど溜まる経験値にハイになった私はみるみるとメキメキとグングンと成長していった。
そして迎えた再びの体力測定の日。私は確信していた。今日こそ私がぶっちぎりの1位を取ってモブ共に『あれ?俺なんかやっちゃいました?』するのだと。
「ふむ。モブ共が生意気にもやる気に満ちているようで何より。1月程度でどこまで成長できたのか見てやろう」
いちいち偉そうな奴だ。厨二病だからだろうか。間違いない。あの年で厨二病はイタイイタイなのだ。
「では早速始めよう。それとヒカリくん。アカネくんを回復してやれ」
「あ、はっはい!」
いつか殺す。奴に殺された回数や殺されかけた回数を覚えておいてやり返してやるのだ。いや、やっぱ数えるの面倒くさいわ。好きなだけ殺そう。どうせ命の軽い世界だ。
と、私がヒカリちゃんに癒してもらうと私の番が近くなっていた。前回とは逆からの順番なのでもう小学生は終わっている。特筆することもなく普通に1位だった。なんのアクシデントもない。つまらない小学生だ。
私の結果は2位だった。あっけない終わりだ。散々引っ張ってイベントをこなした割に微妙な結果だった。
しかし、私の心は意外と荒れなかった。なんだかスンと落ち着いていた。それどころか何処か爽やかな気持ちですらあった。努力した結果が望むものでは無くとも、努力をしたという過程が大事なんだ。努力を続ける限り私の前にチャンスは転がり続けるのだから……。