第3話
「あの、カナメちゃん」
「なに?」
「次の授業は何をやるんですかね」
「ねー、何だろうね。時間割ぐらいあっても良いのにね」
「ですね」
そう、この学園は時間割すらない。そもそもがさっきみたいによく分からん理由で授業が終わったりするので、時間軸すらあやふやだ。五分と経たず授業が終了しても、学校を出ると普通に夕方になっている。なんてこともある。学園というより世界がテキトーだ。その場のノリで生きてる大学生みたいな感じだ。
「さーて、授業だぞお前ら。席につけ」
まだ5分も経ってないぞ。
しかし、先生が来ると教室の時計は次の授業の開始時間を指している。
「今回の授業は体力測定だ。主人公がモブとの差を見せつける為のイベントだな。存分に「あれ?俺また何かやっちゃいました?」をするといい」
と、いうことで私のスペックの説明パートに入るようだ。
体操着でストレッチをする少年少女たち。美少年美少女揃いの中、一際輝く美少女。つまり私である。
遥か昔から時間軸を超えて転生者をこの世界に送り続けたじじい。転生者は前世の自身の顔ではなく理想の顔として転生することが多い。つまり、顔がいい。そんな顔がいい奴らが遥か昔からぽこじゃかと増え、さらにハーレムや逆ハーをした奴らも少なくない。その結果顔がいい遺伝子が世界中にばら撒かれ、全人類顔が良くなったのだ。
多分。本当かどうかはしらない。何せ片手間にチートで世界を書き換えることの出来る奴らが星の数ほどいる世界だ。どこかで誰かが美男美女のみの世界にしていてもおかしくない。
「さて、身体もほぐれたことだろう。これから体力測定を行う。まぁ、ステータスを全員フラットにするのでそこまでの差は出ないだろうがな」
「じゃあなんでやるんですか?」
「言っただろう、主人公がモブとの差を見せつける為のイベントだって。全員が同じ条件の中で特出した結果を残すやつを見つける為だよ」
主人公ならここにいるぞ。
「ではまずは50メートル走だ。名前の順に4人ずつ並べ。バフデバフを掛けるんじゃないぞスキルや魔法の使用も禁止だ。己の技術のみで挑めよ」
純粋な技術のみでの50メートル走が始まる。自分が主人公かもしれない。そんな淡い幻想を抱いたモブ共は、皆懸命に走るも結果はどんぐりの背比べ五十歩百歩。他人と代わり映えのしない結果に終わり、モブである事実に打ちひしがれる。まだ走って無い者たちはその様子を見て嘲笑う。
そして私はそれを見て嘲笑う。愚かなモブ共め、主人公は私だ。私こそが主人公。私だけが主人公。そんな事を知らずに未だ自分が主人公である確率があると言う幻想を抱いていることが哀れでならない。嘘。そんなことない。めっちゃウケる。笑いすぎて脇腹が痛い。
「がんばろうね、アカネ!」
「ええ、頑張りましょうカナメちゃん」
カナメちゃんは親友ポジだからな。そこそこの成績を残すだろう。まぁ、私には敵わんがな。2位がカナメちゃん。ぶっちぎりの1位は私だ。
「位置についてー」
なぜなら
「よーい」
私こそが
「どん!」
ーー主人公だ
最下位でした。