改めて言うことでもないが、この世界はチートに溢れている。遥か昔からチートによって世界はもっと面白くなるように、もっと楽しく過ごせるようにと書き換えられてきた。その結果が今のテキトーな世界である。なんならきっと今もどこかの誰かが勝手に世界をアップデートしていることだろう。
バージョンいくつかも分からないこの世界には、いくつかのルールが存在する。そのうちの1つが『英雄システム』だ。1回でも世界を救えば世界から『英雄』として認められる。そして救った回数によってランキングが付けられ、誰もがそれを確認することができる。…まぁ、ランキングから逃れる術もいくつもあるので、ランキング載ってない『
そして私たちの学校の関係者は全員が英雄だ。教師や用務員、学食のおばちゃんまで全員がだ。しかも全員が3回以上世界を救っている。だがまぁ、英雄自体は街に行けば1日に英雄3人とすれ違うレベルでゴロゴロいる。
さて、なんでこんなモノローグを垂れ流しているかと言うと…
「お願いします!純陸上部の顧問になって下さい!」
部活には顧問が必要だからだ。
「すまないが、俺はもう複数顧問になっていてね。上限いっぱいなんだ。悪いが他を当たってくれないか」
「分かりました。お時間をとらせてしまい申し訳ありませんでした」
「いやなに、新しい部の設立頑張ってくれ」
「はい。ありがとうございます。失礼します」
うちの学園には複数部活が存在する。だから顧問になる教師が足りず1人で最大10個の部活を受け持てる。しかし、教師はやるが部活の顧問を面倒くさがる教師が多い。本当は基本的に顧問なんてモノは必要ない。生徒たちが何かしらの手段でどうにかするからだ。しかし、生徒では蘇生することができなくなる場合もある。その場合、蘇生をするのが顧問の仕事だ。
面倒くさがる原因はここにある。部活での人死にはものすごく多い。1日で数十人は死ぬ。一人じゃ圧倒的に手が足りないのだ。分身や使い魔、時を止める能力を持つ先生以外は面倒くさがって顧問になってくれないのだ。
「またダメだったね」
「そうですね…」
かれこれ10人には断られている。ここまでくるこの後の流れが読めてくる。担任だ。あの口の悪い担任ならきっと受け入れてくれるだろう。恐らくだが、それは私が頼まなくては受け入れられないだろう。あの担任は主人公を探すことに力を入れている。
「あ、良かった。ちょうどお願いがあったんです零先生」
「ふむ。なんでも言うと良い。しかし…」
私の体が地面に突き刺さる。ついでにカナメちゃんの体も突き刺さる。
「下の名前で呼ぶなと入学時に言ったはずだが?」
この生徒を生徒と思わない、教師の風上にも置けない男は佐久間