佐久間
勇者として召喚された彼は、この世界に生まれたての転生者と同じく調子にのった。ついに自分の時代が来たと盛大に勘違いして名乗った。
『オレの名前は佐久間
哀れ、その名乗りをいかにも魔王の危機に瀕した異世界人風に受け入れたチート持ち共。そのまま世界にその名前でチートを使って厳重に刻み込んだのだ。いつか絶対後悔するから、その様を見て笑ってやろう…と。
そんな事を知らない佐久間先生は3回ほど魔王を倒した時点で気付いた。「あれ……なんか変じゃね?」と。そしてこの世界の仕様に気づき、我に帰った時には時すでに遅く世界中の人からその名前を知られてしまっていた。
「まぁ、いい。顧問の件だろう?良いとも。ただし条件がある」
ほらね。思った通りだ。
「君もわかっている事だろうが、私は主人公を探している。主人公はこの世界を救い続けるために必要な人材だからだ。私は勇者としての責務を果たさねばならん」
この哀れな男は勇者という呪いに侵されている。勇者として世界を救う。しかし、この世界はクソ乱数の時の如く世界の危機とエンカウントする。救っても救ってもキリがない。だから先生は考えた。救い続ければ良いと。その為の主人公探しである。
「君はおそらく主人公だ。この世界に数多くいる中の1人だとしても、主人公であることはほぼ間違いないだろう。モノローグも君のだし」
イェーイww聴いてる?ゼロせんせーwww
「そこで、ほぼ確実に主人公だとしても確信が欲しい。その為の条件だ。君が主人公である事を証明したら顧問になってやろう」
「すみません、死んでて話聞いてませんでしたわ」
「ログを見ると良い」
「死んでたのでログも残ってないですわ」
「4行ほど上を読むと良い」
「なるほど、話はわかりました。ならば証明して見せます。その時は顧問、よろしくお願いしますね?」
割と簡単な部類の条件だったな。私が主人公であることは間違いなく、紛うことなき主人公こそが私なのだから、証明は簡単だ。
街を出て森に行けばいい。
街の外は魔物が闊歩する世界だ。住人たちは車で轢き殺し、経験値稼ぎのために殺し、ドロップの為に殺し、なんとなく殺す。そうやって魔物の危険を回避している。街に近いほど弱く、遠ざかるほど魔物が強くなる。RPGの基本だ。
そして、主人公の基本とは…
「きゃあぁぁああぁああ!!誰か助けてぇぇ!!」
森で魔物に襲われる幼女を助けることだ。