五条悟の次に強いやつって言われたいじゃん 作:五条悟のディスク
プッチやん
たいていの異世界転生なんてエンタメとして、閲覧者として見るから楽しいのであって実際に当事者になったことを考えれば危ないったらありゃしない。
今まで触れたことのない常識を叩きつけられ、使いこなせる保証なんてされていない異能を与えられていわゆる原作キャラと戦う。何の異能もない平穏な世界でのうのうと生きていた自分が対等に戦えることなどあろうか。
さらに、実際にその世界に入るとなれば痛覚もあるし自身が思っているより楽じゃない。
ただ、そんな不思議体験ができたのなら、既に自身が死んでしまった後の話であるなら。物語を読んでいたものとして叶えたいことのために二度目の生を好きに生きてもいいんじゃないか。
なんてセンチになってみたがまさか本当に物語の世界、『呪術廻戦』の世界に生まれ変わるとは思ってもみなかった。
前世というべきかわからんが、まあ前世では絵にかいたようなテンプレの自動車事故で命を落とした。
後悔とか悔いがあるかといわれたら、まぁある。が、そこまで大したものじゃない。買ったばかりのゲームをまだクリアできていないとか、ずっと集めてたシリーズ物の漫画の完結が見届けられなかったとかその程度だ。
両親は絵にかいたようなロクデナシだった。父は身籠った母を捨てて気が付く前に霧散、母はストレスからか、夜遊びを頻繁に行うようになり育児を完全に放棄した。
そのため、俺は遠い親戚の爺さんに引き取られて育った。
ロクデナシから生まれた俺をそこそこまっとうに育ててくれた爺さんには感謝している。ただ、爺さんも病気で俺より早く死んでしまったので、これに関しても悔いは残っていない。
そんな前世を思い出したのは、いろいろあって家から追い出された時だ。
今回も例にもれずロクデナシの両親であったが、寝床と飯が出てくるだけまだましであったな、と。
追い出された理由としては、俺がいることでわけのわからない事象が発生するため、恐ろしくなりついには家から追い出した。という流れである。
俺には昔からほかの人には見えていないものが見えていた。少なくとも両親含めた他人はその存在に気が付いていなかったため、そう判断した。さらには俺がいる部屋の物体が急に天井に
そんな原理不明の怪現象が発生するので、追い出されたということである。小学2年生のころの出来事である。
リュックに収まる程度の私物を持たされて家から閉め出され、鍵がしまる音を聞いたその瞬間にすべてを思い出した。
学校や病院でよく見かける異形、過去に一度だけ見かけた特徴的な黒い服を着た人。そうして耳にした「呪術師」という言葉。この世界が呪術廻戦の世界であると完全に理解した瞬間である。
さて、では自身に起きた一連の怪現象は自身の術式によるものだと思ってまず間違いない。そしてそれらの現象は見覚えがある。これも前世の読みものであった某奇妙な冒険の第六部で登場するキャラクターの能力。すなわち重力を支配する能力。
この世界は呪力を術式に流し込んで事象を引き起こす。おそらくは俺に刻まれた術式は重力制御で、それの制御ができていないため漏れだしたと考えるのが妥当だろう。
そしてなにより、重力だ。重力操作といえば様々な作品でのボスキャラや強キャラが使用する強力な能力だ。せっかくこんな能力を持っているんだ、使わなければもったいない。ただ、やはり餅は餅屋。術式を完全に扱えるようにするには当然それを専門に教えている機関にお世話になるのが一番手っ取り早い。しかし、こちらからコンタクトをとる手段はない。
だったらなるしかないでしょ。
『独学で術式を完全に習得した天才』、『五条悟の次に強い呪術師』
ってやつにさ。
原作は交流戦終わるかどうか位まで読んだ。なので術式についてはある程度の理解がある。あとはどれだけ自分に対してストイックになれるかだ。目標はC-MOONの再現とその他諸々重力使いができそうな能力の習得。呪霊に対して有効なのは術式による攻撃などの呪い。俺が引き起こす事象はおそらく術式によるものであるのであまり考えなくてよい。
となれば、あとは練習するのみ。目下の目標は呪力の火種になる感情をどっからもってくるか、にある。
成長記録のために日記でもつけてみようかな。
○月○日
家を追い出された際に、それなりの金を渡されたので当分はこれで生きていく。また、重力とかいうトンデモ能力を扱うため、万が一被害が出ないように郊外の森でしばらく暮らすこととした。
食費を考えると金がすぐに無くなりそうなので、サバイバルキットを一式そろえた。食料に関しては現地調達になると思う。
いきなり自分に能力を使うのは怖いので、石とかを使って慣れていきたいと思う。
○月○日
もしかしたら俺は天才かもしれない。火種をどうするかみたいに考えてたけど、どうにかなりそうだ。
今の現状に対する不満、あったかいご飯を簡単に用意できないストレス。自身が意識している中ではそこまでストレスを感じていなかったが、無意識下では相当ストレスだったようだ。負の感情を火種に呪力を生み出すという点に関しては問題はなさそう。
そうなると、あとは重力操作についてである。これがてんでうまくいかない。
おそらく重力といってもそれを現実に持ってくる具体的なイメージがないため、うまくいかないのではないかと思った。さっき釣り上げた魚を焼きながら考えてみる。
○月○日
重力とは引力、つまり引っ張る力であると自身の中で明確に定義することにした。例えば、石を垂直上向きに飛ばしたい場合は引力を作り出す核を上空に置いておく。こうすることで石はその引力に引っ張られて上向きに落ちていく。ただ、これだと動かしたい石以外も引力の影響を受けてしまうという問題がある。これについては、自身の呪力でマーキングした物体に作用すると設定することで解決した。
なんだか、夢に見た俺ツエーを再現できているようで楽しくなってきた。
○月○日
この世界に来て初めて遺体を見た。大きな木の幹から吊るされた男性の遺体。そばに転がっている土台にしたであろう脚立。そして垂れ流された糞尿。遺体がそのままというのもあれなので、弔ってやった。
直接手を触れることで犯人として疑われることを避けるために、練習がてら術式を使って現場を片付けることとした。遺体を吊っている縄は中心を起点にそれぞれ直線状反対の斥力を生み出すことで千切り、地球の重力に対して反対方向の引力を与えることで遺体をゆっくりと地面に下す。
人が一人入る程度の棺と同じ体積に呪力を付与しそのまま持ち上げて穴を掘り、浮かせた遺体に横向きの力を加えて穴の上に移動。あとは先ほどと同じ工程の逆で土をかぶせて埋葬。無念なことがあったかは知らないが、今の俺ができるのはここまで。
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○月○日
当初目標に挙げていたC-MOONの能力の再現は完成した。ただこの程度ではまだ足りない。
もう少しいろいろ試行錯誤してみようと思う。
それと、最近妙な気配がするので気を
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猛烈な殺気。実際に呪霊と戦ったことはまだないが、それでもなお感じる大きな呪力と威圧感。日記をその場に放り出して重力操作を併用して水平方向に
「これが呪霊...」
僅かに手が震えるが、こぶしを握りなおすことでそれを抑える。
対呪霊である術式であるが、肝心の呪霊に対する訓練はまだ一度もできていない。大変貴重な機会だ。これ程の呪霊と戦える機会はそうそうない。
それに、五条悟ならこの程度の呪霊は秒殺のはずだ。
ならその次に強い呪術師になる予定の俺も当然秒殺できなくては。
「かかってこいよ、ボコボコにしてやるからよ」
こうして生まれ変わって呪術師となった男、
作者はお気に入り登録とか評価とか目に見えて数字が出るとやる気が25乗になります。
ちなみにやる気は下限が2です。
訂正
術式の自覚の年齢についてご指摘がありまして、内容をわずかに変更しました。ガキにしては大人びてる感はありますが、そら前世の記憶があれば...ねぇ?
ちなみに、主人公のイメージはかっこいい・強いに憧れるアホです。