五条悟の次に強いやつって言われたいじゃん 作:五条悟のディスク
原作完結するまで話を描き続ける予定ですので、今後もお付き合いしていただければ幸いです。
よろ。
「ごめんて!マジでごめん!!この件から手を引く!呪詛師も辞める!!!」
『ニャー』
俺に手を出した呪詛師集団Qの戦闘員の一人、コークンとやらは下半身から肩までが星屑を集めたような透明感を持つ肥大化した『黒猫』の体に取り込まれていた。
「なんか足とか指先の感覚がもうないんだ!もちろんQも辞める!そうだ猫カフェを開こう!猫と楽しく触れ合える喫茶店だ!猫の保全にもつながるしいいと思うんだけどどうかな!ね、ね!!!」
「猫カフェねぇ…少し時代を先取りしすぎな気がするけど」
「時代…?と、ともかく早くここから出してくれ!もう何もしないって誓うから!!」
「つーかマジでマントかっこいいと思ってたの?あんなカッコつけてたのに瞬殺されてるし。なんかこっちまで恥ずかしくなるわ。猫カフェはいいんじゃない?」
「そんなにいうからなんか俺もマントダサいんじゃないかと思い始めてきた!なんなんだオマエは!!!」
「女性の前で騒ぐのはどうかと思うよ?」
「なら早くこれ解除しろーーーーー!!」
「はい、人に頼む態度」
「ぐわーーーーーー!!!!!」
どうも俺です。
戦闘構成員らしいコークンなんですが秒殺でした。蜘蛛の糸みたいなのを操って戦う戦闘スタイルなんだけど、重力の前には無意味だった。
ぶふぇ、とかカエルの潰れた音みたいな悲鳴をあげてその場で潰れた。
術式で押さえつけてもいいが、呪力を無駄に消費するのも面倒だ。そこで、黒猫に仕込んだ十の術式その一つである体内に取り込んでの対象の拘束術式をつかうことにした。
ちなみにこの黒猫は現状俺の最高傑作の式神。名前はまじでそのまま『黒猫』。姿かたちはGRAVITY DAZEに出てくるダスティ。ただ、仕込んだ術式なども原作とは異なるのでそのままの名前を名付けるのはばかられた。
黒猫に仕込んだ術式は対象の捕獲や主に俺の補助をするようなものを中心に用意した。
その中の一つの術式は捕縛に特化している。黒猫はその姿を制限はあるものの自在に変化させてその内に対象を取り込むことができる。
結界の本質は境界を敷いて世界を分けることにある。黒猫に仕組んだのはこの結界術の応用だ。内側の時間の流れを現実世界からずらすことで、内側を異界化させる。次元がずれることにより対象を取り込んだところと取り込まないところを空間的に切り離す。こうすることで一切の抵抗ができなくなる。
そんなわけで、コークンは体の感覚が消えているとかいう不思議体験をしてもらっているわけである。
爆破された部屋の中には星蔣体のお付きの人らしき女性。
応接室らしき場所に残っていたソファに星蒋体の少女とお付きの女性を寝かせる。
「フ…」
「あ?」
身体の感覚を感じていないのはそれなりに恐怖のはず。現に先ほどまではそこから逃れようとモジモジ暴れていた。そのはずなのに、急に余裕の笑みを浮かべ始めた。
「どしたの、ここから俺に勝つ算段でもついた?」
「そうだ、たかが学生になぜここまで怯えなければならない。ここにはQの最高戦力であるバイエルさんが来ている!!さらに一級呪具を持った戦闘員もビル内部に待機している!!」
「なるほど、その人達が俺も倒して星蒋体も殺してくれると」
「そうだ!オマエなんぞあの人の前では」
「ねぇ」
話を遮るように声を出す。
星蒋体の確保の連絡を五条先輩と夏油先輩に送り、今ちょうど両人から返信が届いた。
本文はなし、メールに添付された写真のみが送られてきた。
顔中に殴られたような痕があり、ぐったりとした様子のスーツとピースを添えたツーショットの写真。
そして、何やら札の巻かれた弓を取り上げて同じく呪霊に体の半分を飲み込まれているスーツとピースを添えたツーショットの写真。
それを交互にコークンとやらに見せる。
「それってこの人たちのこと?」
「……この人たちですね」
戦闘構成員が全滅、最高戦力バイエルのリタイアにより組織瓦解。
『そんなわけで、なるべく理子ちゃんには普通の学校生活を送ってもらいたい。私たちは学校内の動きやすい場所で待機、円李は学校外の警備をお願いするよ。何かあればすぐに連絡するように、いいね?』
「了解です。呪詛師を発見した場合は?」
『そうだね。可能であれば捕縛、最悪の場合は自分が生き残ることだけを考えてくれ。特に君の式神はそういったのに特化しているからね』
「かしこまです。天内のことは頼みます」
『そちらこそ、くれぐれもよろしく頼むよ』
パタン、とガラケーを畳んでポケットにしまう。そういえばこの時期はまだまだガラケーが主流か。
個人的にはスマホよりガラケーのほうが好きだったんでなんかラッキーである。ちなみにガラケーが好きだったのは、ガラケー型の小型ロボットと人間がサイバー犯罪に立ち向かう作品が好きだったが故である。
そういえば確か京都にメカメカしい奴がいたよな。携帯捜査官実現のチャンス来るか...?
天内に関してもだ、何としてでも最後の学校生活を送ってもらいたい。同化した後は、高専結界の礎となるためこれまでのような一般的な生活を送ることはできなくなる。であるならば、最後くらいは好きにさせてあげたい。
学校生活を邪魔させないようにするのであれば、そもそも呪詛師を学校に入れなければいい。護衛組三人の中で、索敵に優れている俺を外に配置するのはなっとくである。
というのも、俺はとんでもなく勘がいいのだ。
これはちょっと運がいいとかいうレベルではなく、簡単な未来予測に匹敵する。とくに敵対反応においてはとんでもなく敏感だ。理由はわからんが、夜蛾先生からは『幼少期のほとんどを呪霊が跋扈する大森林で生活していたから、第六感が鍛えられたのではないか』と言われた。が、真実はどうだかわからん。
今回事前にわかっている敵対勢力はQと盤星教の二つ。そのうちの一つはすでに崩壊しているので問題は盤星教のみ、とその他こちらが把握していない第三勢力。可能性としては全然あり得る。すでに二つの団体に情報が洩れているのであれば、それ以外にも事が伝わっている可能性はある。
いずれにせよ、こちらに対して明確に敵意を持っているのは間違いない。だったら、嫌な予感として感じることができるはず。
「とりあえず人目のないところだよな」
目標である天内は学校の中、ともあれば必ず学校に侵入してくる。天内の最後の学校生活のためにもここで潰しておく必要がある。複数人であることも考慮すれば求められるのはスピードだ。
さくっといくぞー。
「そこのイカした丸眼鏡のじーさん、女子中学校に用があるなんて変態さんなのかな?」
嫌な予感が感じた方向に向かったところ、案の定変態がいた。そら女子中学校の壁に足をかけて見るからに侵入しようとしているおっさんがいたらもうそれは変態でしょ。
「その服装、そのボタン。呪術高専のもんだな?」
頭に巻いた手ぬぐい、紺色の甚平。こちらを視認した瞬間壁から離れこちらに対して構えをとり、呪符を用いて二体の式神を呼び出す。前後にそれぞれを配置し自身を挟むように配置する。
雰囲気も構えも素人のそれではない。
「じーさんさ、いい年なんだから家でおとなしく将棋でも打ってなよ」
「年上は敬うもんだぞ若造。それに、生きるには金が要るしな」
「ん?女子中の侵入と金稼ぎに関係があるんか?」
「おっと、いらんことを話したかな。お前さんをさっさととっちめて先に進ませてもらうわい」
盤星教の差し金か?それにしても金稼ぎってどゆことだ?考えられるのは盤星教がフリーの呪詛師に天内殺害を依頼したとか?
高専結界の維持に必要な人間だし、そういった意味では賞金付きで狙われてもおかしくはない。
やる気満々のじーさんだが、瞬殺してしまう。ごめん。
重力操作で負荷を増加させ、身動きが取れなくなった瞬間に黒猫で捕獲する。
今回の護衛任務においての主戦力は五条先輩と夏油先輩と俺の三人だが、これほどの任務だし俺たち以外の人も周辺に控えているはず。監督補助の人経由でこの呪詛師のおっさん回収してもらおう。
そのまえに情報を吐かせておこう。金稼ぎってどういうことか気になる、結局さっきのは俺の予測でしかないからね。
「さて、呪術戦もできずに完封しちゃって悪いね。ところでさっきの金稼ぎの件、教えてくんないかなって」
「.....こうもなってしまえばもうどうしようもないか。お前さんのせいで取り出すことができん携帯を見てみろ。そこに全部書いてある」
「面倒がなくていいね」
腕や足、言霊を警戒しての口といった体の各部分を黒猫で拘束したまま、甚平のポケットの場所だけ拘束を解く。
「ほいじゃ失礼~」
ポケットの中には何枚かの小銭と携帯電話。携帯電話の最新のメッセージに答えがあった。
天内の殺害に3000万円の賞金が掛けられていた。遺体がなくても殺害が確認できる証拠があれば3000万。なるほどそういうことか。金は一番簡単に人を動かす手段の一つだ。いくらかはわからないが仕事の内容が女子生徒一人を殺害なら呪詛師はこぞって仕事を受けるだろう。
ならば、ほかにも呪詛師がいると考えて動いたほうがいい。
次来るかもしれんし、備えておこう。幸い消費した呪力は大した量じゃない。とりあえず一人やりましたってメールを夏油先輩に送っておくか。
「今度はあきらかに変態じゃん」
「なんだおめえは?」
たぶん男かな?が電信柱の上に立って女子中学校をのぞき込んでいた。紙袋をかぶり、目と口にあたる部分を切り抜いたダサい被り物をした筋肉質の体。タンクトップに半ズボンという服装が変態度をさらに増加させている。
「あんたも金稼ぎが目的の呪詛師かな?」
「あん?お前も
相手の呪力が励起し術式を発動させる。
ドロドロとした何かが空気より現れ形を作る。そうして現れたのは紙袋頭の変態のそっくりさん、この場合は分身とでも呼んだほうが正しいのだろうか。それも一体だけではなく俺を取り囲むように最初に立っていた変態も合わせて合計五人の変態が現れた。
「分身の術式か。いい術式ジャン、呪術師として働くっていうんだったら高専に紹介するけど?」
「人のためとか面倒なんだよ。それに
前言撤回。
やっぱこんな変態と一緒に働くなんてこっちから願い下げだ。
術式の範囲を設定、大した相手でもないしこの住宅地一区画くらいでいいか。
「術式反転のもどきになるのかな。地球にいながら無重力を味わうといいよ」
一人を残してそのほかの三人にかかる重力に対する力の釣り合いを作ることで疑似的な無重力状態にする。大地から足が離れることで、物理的に身動きが取れなくなる。急に浮いたことで驚きとともに、手足をばたばたと動かす。さながら水中で溺れているかのような姿だ。
俺の術式は重力に作用するものである。強力であるがゆえに、広範囲に誰構わず術式を行使すれば呪力不足と同時に神経が焼き切れて死ぬ。そのため術式行使に伴い縛りを課すことで省エネ化と強化を行っている。この縛りというのは、術式の射程範囲を事前に決定しておくこと。これにより、必要となる呪力を制限し、範囲以外に攻撃できないという縛りによって威力を増加させる。
「な、なんだこれ!」
「重力操作の応用系、重力にとらわれない空間の再現。どこにも触れられないってことは力を加えられないってこと。子供相手だからって舐めてるとこうなるの」
浮かせた四人の分身?を一か所に引き寄せて思い切りぶつける。術式を解いて一度様子を見る。ぶつけられた三人は地面へと落下していくが、その途中でドロドロと空気に溶けていった。
殺してしまうのもあれだし、拘束してしまいたいが。
「これ、一人殺したらどうなるの?」
「お前に、俺は殺せない」
「そう...」
ドロドロとした何かが空気より現れ、分身として体を形成する。再び計五体のそっくりさんが俺を囲むように配置される。
殺せないとか自信満々だし、とりあえず一人やっておくか。
俺を囲んでいるうちの一人を屋根から引きずり降ろして地面にたたきつける。そのまま負荷を増加させて圧死させる。
「まず一人」
すぐ人数を補填するようにもう一人を増やすかと思ったが、いきなりのことにたじろぐばかりでなかなか増やす様子がない。ということは、分身を完全に破壊されると分身はすぐに出せないとか?式神使い?もし式神使いならば、こういった手合いの術式は術師本体を叩くのが一番だと相場が決まっているがそれもどうだろうか。
さっきの攻撃も、ランダムに狙った。あの中に術師がいればもしかしたら本人にあたるかもしれなかったのに、焦る様子もなかった。ということはここに術師本人はいないか、それとも全部本人だから逆にどれ殺されても問題ないとか?
どちらにせよ、完全に破壊すればすぐに分身を出せないようだし、一人を残して全員ここで潰しておこう。
今いる残り四人のうち三人を地面にたたきつけ、点無を用いて圧縮し消し去る。一瞬で分身が文字通り消し去られたことによって動揺している瞬間をついてとどめを刺す。呪詛師にかかる重力をこちら側に向けることで対象をこちら側に引き寄せ、衝突する勢いを活かして体術でボコボコにする。
動揺している間に不意を衝くことができたのもあり、あっという間に沈んだ。
さっきのじーさんの場合と同様に補助監督に引き渡し二人目も片付けたとメールを送る。
さきほどまで感じていたみえみえの敵意は全部なくなった。ただ、ずっと感じている不快感が全然なくならない。鋭い刃物を喉元に近づけられているかのような不快感。
何も問題が起きなければいいが...どうなるだろうか。