五条悟の次に強いやつって言われたいじゃん   作:五条悟のディスク

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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。


最新刊読みました。本当に辛いです。それなのに次巻が読みたくなる展開、毎週Twitterランドのみんなが阿鼻叫喚してた理由がようやくわかりました。本当に辛い。


そんなわけでついにフィジカルゴリラ登場買いです。ばちこり戦闘解であるのと三人称視点でお送りするものです。よろしくお願いします。





やるやん

 

都心に集まるビル群、一斉に開発された団地の住宅地。円李は呪力と自身の術式を用いて文字通り最短距離を通って空港から呪術高専に向かって疾走していた。なぜ円李がこんなにも急いで移動しているのか、それは自身に備わった第六感が告げたからであり本人もいまいちよくわかっていない。

 

高専に早く帰らなければいけない、うまく言語化できない謎の衝動に駆られるままに円李は疾走する。

 

 

 

 

 

 

本日の朝一番の便で天内一行は東京に向かった。飛行機が無事に飛び立ったのを滑走路が見渡せるロビーから確認した円李、七海と灰原の一同。大きく息を吐いてやっと一大任務が終わったのだという実感がやってきた。「じゃぁ、せっかくだし俺達も沖縄の観光してから帰ろうか」と提案しようとしたその時、全身に電流が流れたかのような違和感に襲われた。

 

『戻らなければいけない』

 

次に東京に向かう便は一時間後、円李は最悪今から脚で東京に向かうことも選択に入れていた。しかしこんな悪寒が走るほどだ、天内をめぐっての戦いが起きるかもしれない。その場合に大きく消耗した状態で対面することになってしまう。それは避けたい、なのでおとなしく飛行機を利用して、空港から全力で高専に向かうことにした。

 

天内の護衛には五条先輩と夏油先輩のツートップが付いている。なので、そもそもこんなに円李が不安を感じることもないはず。しかし現状今までに感じたことのないような違和感が付きまとっている。

 

円李が想定する最悪のパターンが現実に起きてしまうかもしれない。それを防ぐためにも円李は急がなければいけないのだ。急いで空港に在中していた監督補助の方に飛行機のチケットと高専の本部に警戒するように連絡してもらう。

 

もちろん急に態度が一変した円李を察して七海と灰原も一緒に向かうと言ってくれた。しかし、ぶっちゃけた話二人とも円李ほどの機動力を持たないし、総合的な持久力を考えても最速についてくるのは難しい。

 

なので現状予測できる状況、公共交通機関を使ってで構わないからなるべく早く高専に来てほしいと伝えた後に、非常階段から屋上へと一気に駆け上がる。高速で飛翔する人なんて目撃されれば面倒なことになる。なので、黒猫を生み出すにあたり教えてもらった自身を包む程度の簡易的な認識疎外の結界術を発動させ屋上から高専の方角目掛けて飛び立った。

 

本当にいい同期を持った。もろもろの説明を終え、お願いした点についても納得のいっていないような顔をされたものの、必ず向かうと約束してくれた。

 

一番いいのは円李の感じていたことが、当人の思い込み、勘違いであること。実際にどうなのかは現場を見てみないとわからない。ぜひ勘違いであることを願いながら円李は一層速度を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

護衛三日目(同化当日)

都立呪術高専 莚山麓

 

現在時刻 15:10

 

 

高専は呪術師を育てる学校であると同時に、全国に展開する呪術師の拠点でもある。当然、呪具である刀やその他もろもろ一般常識の内にないもの。銃刀法や倫理的な問題に触れたりするものまで扱うため、外界からは高専内部を観測することができないように様々な術式が張り巡らされている。

 

結界術とは、すなわち境界を区切ること。そのため術式の核になるものや境界をはっきりさせると同時に出入口となるものを術式の根底に据えることが多い。高専結界の場合は山のふもとから校門までにつながる参道に並ぶいくつもの鳥居がそれぞれ結界術の基底となっている。

 

円李は多少息が荒くなっているものの、術式による補助もあったため大きく消耗することなく高専の入り口までたどり着くことができた。

 

目の前には高専敷地内に至るまでにあるいくつもの鳥居のうち最後の鳥居。そこから見える景色はいたって普通の学校だ。鳥居をくぐるまで油断できない。大きく息を吐き、意思と呪力によって強制的に自身を落ち着かせる。

 

「...思い違いであってくれ」

 

意を決して鳥居をくぐる。果たしてそこに広がっていた景色は。

 

「なんだよ、これ...」

 

鼻の奥に絡みつくような鉄の匂い。目の前はいくつものクレーターが出来上がっており、その周りを球状の何かが大地をえぐったかのような窪みが残っていた。確か高専に関連する建物がいくつかあったはずだが、それらもすべてきれいに倒壊していた。

 

そして円形に広がる崩壊の中心。そこに人に害を与えるほどの脅威を持たない呪霊、蝿頭が群がっていた。まるで何かを隠すかのように。

 

単純に呪力を弾丸のように射出し、あたりにいる蝿頭を吹き飛ばす。その中にあったのは全身から血を流して沈黙する人、銀色の髪に呪術高専の制服、ポケットから零れ落ちた罅割れたサングラス。そこに倒れていたのは間違いなく呪術師最強の五条悟だった。

 

「五条先輩!!」

 

急いで駆け寄り、声をかけるが全く反応がない。脈はあるものの、わずかに感じ取れる程度の弱々しいものだった。ひとまず脈があることに安心するが、どう見ても安心できる容態でないことを思い出し最悪の場合を想定して持ってきていた救急キットを取り出して止血を行う。

 

しかしあまりにも出血が多い。このままでは傷がどうにかなっても出血死してしまう。一縷の望みにかけて造血剤と鎮痛剤を投与するが果たしてこれが本当に効果があるのか、円李には確信が持てなかった。

 

「...え、んりか...?」

 

「五条先輩!?」

 

血を吐き、こひゅーこひゅーと常人ではまずありえない呼吸音を出しながら目を覚ます悟。言葉を紡ぐたびに苦しそうにうめく姿を見せながらも円李はその体から呪力がうごめいていることに気が付く。

 

一体この人の体で何が起きているのか、そう考えていた円李の胸倉をつかみ悟は今動員できる最後の力を振り絞り状況を伝える。

 

「天与、呪縛だ。呪りょくの、ないやつが天内の...ところに行った。はやく...」

 

悟の体をできるだけ丁寧に地面に横たえ、全力で目的地に駆ける。天内が最終的に向かうのは高専施設地下の空間。その場には高専を包む結界や攻撃手段を持たない監督補助を守る結界などを運用・増幅を担っている天元様がいる。扉は天元様直々の術式によって隠されており、素人が簡単に見つけられるようなものではない。

 

地下空間に通じる扉を圧倒的な術式や人員によって守ることはできない。なぜならば、そうやって厳重に守るということはそこに大切なものがあると敵に伝えることに直結するからだ。そのため、術式によって隠されているだけで、数人の見張りがいるだけ。

 

今回の護衛任務を行うにあたり、悟と傑、円李は件の地下空間に通じる道を教えてもらっていた。その入り口には首を切断された二人の見張り。痛みに苦しんだ様子もないので、声を上げる間もなく殺害されたのだろう。今は一刻を争う、遺体を無視し奥に進む。

 

地下空間に向かう方法はただ一つ。地上と地下を繋ぐエレベーターのみ。

 

下に降りるためにボタンを押すが当然下に降りたっきりなのですぐに乗ることができない。そのため円李は、ホームドアをぶち破り真下に広がる穴にその身を投げた。どんどんと速度を上げて落下する円李に、さっき押したボタンにより上に向かってくるかご。衝突する寸前で落下速度を緩めてかごの天板に着地。天板と床板をそれぞれ破壊して通り抜け、そのまま落下をつづける。

 

「あの五条先輩をあんなにするやつって、どんだけだよ!」

 

そう、今この先に向かっているのは無下限術式という最強の盾を持つ五条先輩を瀕死に追いやった人間だ。まず間違いなく円李も無傷とはいかない。それでもやらなければならない。夏油先輩があの場にいなかったということはおそらく天内についているのは夏油先輩。もしかしたら夏油先輩がもう倒しているのではないかと考えるが、円李自身の直感がそれを否定していた。

 

そんなことを考えながら最下層に着地する。まずそこにいたのは正体不明の呪詛師ではなく、血を流して倒れる黒井だった。

 

「黒井さん!!」

 

しかし見張り二人とは違い、出血しているであろう箇所を押さえて倒れていた。意識はないようで放置しておけば同様に出血死してしまうことは目に見えていた。救急キットは上に置いてきてしまった。円李はごめんなさいと言うと、黒井のメイド服のスカートを引き裂き、出血部分を圧迫するように力を込めて結ぶ。これによってすぐに死んでしまうということは避けられるはずだ。

 

 

ドゴォォオン

 

 

先が見えない暗闇から音が響く。

 

この先で夏油と正体不明が戦っていると確信し、走るのではなく真横に落下していく。明かりが近づいてくる。円形に広がる天元様の空間につながるその回廊。円李が目にしたのは胸を十字に斬られた傑の頭を踏みつける男、そして頭から血を流して地に伏せる天内。

 

 

 

殺す

 

 

 

刹那、今までに感じたことのない不快感が円李の全身を突き抜けた。

 

呪術は負の感情をソースにして発動する。円李の呪力は幼少期から受け続けたストレス、無意識下でずっと感じていた負荷に対する感情を燃料にして生み出している。無意識に、その根底にある記憶が負荷を生み、呪力を生成する。

 

しかし、今円李の全身を駆け巡るのは今までとは比べ物にならないほどの純粋な殺意。それにより湧き出た呪力。

 

常人では対面しただけで意識を失いそうなそれを受けてもなお目の前の男は飄々とした佇まいでそこに立っていた。黒髪に唇にかかる傷、鍛え抜かれた肉体、その肩に赤子のような顔をした芋虫の形をした呪霊を乗っけている。重心の置き方、刀の構え方。戦わずとも黒髪が強者であることが見て取れる。

 

「これで三人目か。ったく割に合わねー仕事だよ」

 

黒髪こと伏黒甚爾は三人目が現れたことに苛立ちを覚えていた。別に勝てないからなんてつもりはない。目の前にいる呪術師、節円李については前に噂づてに聞いていた。富士樹海で見つかった呪術の天才、独学であの五条悟に迫った唯一の呪術師。しかし甚爾は円李に対しても勝てる自信があった。

重力、ひいては引力を操る円李の術式は確かに脅威であるがフィジカルで圧倒的優位にいるし、対円李戦を想定した呪具も念のためと持ってきている。事前の調査から用いる術式の幅が変わってなければ十分に対応できる自信があった。

 

「もう喋るな」

 

掌印を結び術式を発動させる。

 

「天重維谷」

 

円李の術式は対象に直接作用する類のものである。自分自身を原点として考える三次元上の絶対座標を用いて円李は術式を作用させる対象を設定していた。式神使いの爺さんや分身術式を用いたタンクトップと戦った時は、二次元での範囲指定によって術式を作用させていた。範囲の指定や対象の指定によって縛りを作り、出力を制御できるので便利な術式である。

 

富士樹海で戦った際に一度だけ使った必殺の術式、有機物無機物問わずに裏返らせる逆円環は点で座標を指定する。二次元のみではなく三次元での座標指定を術式を使う際に行うため、脳にかかる負荷が大きいため頻繁に使うことができない。

 

 

重力を操る術式、聞こえではとんでもなく万能な術式であるように聞こえるがこれには大きな弱点がある。

 

万物に言えることである。

 

「てめぇの術式は割れてんだぜぇ、当たる前に避ければいいってなぁ!!」

 

甚爾は肩にかけた呪霊から刀を引き抜くと、円李が範囲を指定し術式を発動させるコンマ数秒の間を見切り天与呪縛による身体能力を存分に用いて前進してきた。

 

(クッソ、やっぱばれてるか!!それにしても---)

 

「はっや!?」

 

円李が想定していた速度をはるかに上回る速度で前進する甚爾に動揺を受ける。しかし速いだけならいくらでもやりようがある、むしろ円李にとって未知となる術式を持たない相手であれば如何様にも対応できる。

 

永永無窮

 

自身の時の流れを現実世界から切り離し加速させ、相対的な時間停止を行う術式。目にもとまらぬ速さで振り下ろされる刀の軌道をしっかりととらえることができた。少ないとはいえ円李自身は全力で高専に戻ったこともあり消耗していた。ゆえに今の円李が止めることができるのはたったの2秒。その間にできることと言えばせいぜい刀を持つ手を弾いて斬撃を逸らすこと。

 

甚爾の手を打ったところで色あせていた世界が息を吹き返す。

 

(この隙に今持てる一撃を打ち込む)

 

腕を弾いたことによってできた空になった胴に向かって渾身の一撃、過去に悟と模擬戦をした時に放った熊直伝の技を構えるが、肘に当たる(甚爾)の体の感触を感じるよりも先に肩から首にかけて響く一撃によって大地に沈むこととなった。

 

体に力が入らない。永永無窮を使っていないはずなのに円李の目に映る景色がスローに、満足に動かない体を無理に動かして相手を見る。そこにはにやけた表情を浮かべ刀の柄を振り下ろした甚爾の姿が。

 

「なんか急に早く動いたと思ったら...それがお前の必殺技かぁ?俺の眼で捉えられる程度の速さなら、それに合わせてうごけばいいだけだよな!?」

 

ちょうど脚の振りやすい位置まで落ちてきた円李の頭部を思いっきり蹴り飛ばす。まるでボールのように吹き飛ばされた円李は、地面を何度かバウンドしながら大空洞の壁に衝突した。

 

何で、腕を弾いたはずなのに、それよりも術式中の俺の姿をどうやってとらえた?、俺が喰らった一撃は一体何なんだ。ちかちかする頭の中でいくつもの疑問が浮かんでは消えていく。円李の永永無窮はあくまでも自身の加速による相対的な時間停止、あくまでも疑似的な事象再現である。もし光の速度に匹敵する反応速度を持っていたのなら理論上術式中の動きを読み切ることも可能だ。事実、甚爾は天与呪縛により何重にも底上げされた感覚器官、そして備え付けられた第六感によって円李の動きを完全に捌いて見せた。

 

確実に致命傷ではあるが、寸前で呪力によって戦闘を継続するために重要な器官を補強していたため再起不能には至らなかった。血を吐きながら体勢を整えようとする円李にとどめを刺すためにゆっくりと甚爾は刀を構えなおして歩いてくる。

 

(...マズった、はやくなんとかしないと)

 

血を吐きながらもここから目の前の敵を倒すための手段を模索する。

 

圧倒的速度、術式を発動させる兆候からでも、いや発動させた後でも事象が起こる前に回避することができる圧倒的なフィジカル。そんな相手にもし兆候を見せずに術式を当てることができれば。

 

術式は自身の呪力を術式に流すことで発動する。そのためのきっかけとなるのが詠唱や掌印だ。術式の名を呼ぶことで術式を励起させる詠唱、手で術式を表す形を作り一種のルーティンとして術式を呼び出す掌印。これらをショートカットし、隠し術式を使うことができれば。

 

術式の兆候も隠す。術式が及ぶ範囲を絞るのではなく、対象を決定する。二次元的な面ではなく三次元的な点で相手を定める。

 

「さて、そろそろクライアントが約束した時間だからな。さっきの呪霊使いとは別にお前を殺したところでデメリットはない。さっさと死んでけ」

 

一歩、二歩、三歩。そこだ。

 

脚を踏み出したその瞬間、甚爾を襲う圧倒的な重力負荷。想像していなかった方向の負荷を受けたことにより体勢を崩し両ひざを地面につく。上半身も倒れることを望んでいたが、刀を地面に突き刺し杖代わりにすることで耐えて見せた。

 

「あっぶな、膝砕けるかと思ったわ」

 

「黙ってさっさと殺されろよ...!!」

 

円李が狙っていたのは確実にその場にとどめること。その場にいてくれれば座標を再度指定する必要もない。この場で終わらせる。

 

「逆円環ッ!!」

 

脂汗を浮かべながら負荷に耐える甚爾の胴が血に濡れる。メキメキと嫌な音を放ちながら肉が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 




まだまだ長くなりそうだったのでいったん切ります。


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それではまた次回。まじでこれどうやって勝てばいいんや...



2021年1月17日最新話との矛盾を修正
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